サラリーマンが起業するなら副業から始めるべき5つの理由

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

「働き方改革」が叫ばれるようになって久しく、サラリーマンとして本業を持ちながら副業という形で起業する人も増えてきました。

自宅

起業する場合でも、いきなり会社を辞めて起業することと、副業で起業することには、生活の安定において大きな違いがあり、後者のほうが多くのメリットを享受しやすいといえます。

こちらの記事では、サラリーマンが副業から起業することのメリットや、サラリーマンがいきなり会社を辞めて起業することのリスク、サラリーマンが副業を始める際の注意点などについて解説いたします。

ポイント サラリーマンが副業から起業する5つのメリット

起業するなら副業から始めよう!

オンライン

起業する時は、会社を辞めてから動き出す。かつてはそれがスタンダードな方法でした。しかし今は、いきなり会社を辞めるのではなく、副業から始めて軌道に乗せてから考える、それがメジャーになっています。(参考:「会社員が起業するには? 知っておくべきローリスクで始める3つの方法」

サラリーマンが副業から起業する主なメリットとして、次のことが挙げられます。

  • リスクを抑えながら起業できる
  • 独立して起業する際の資金を貯めることができる
  • 経営に必要なスキルや視点を磨くことができる
  • 独立後の見通しや計画を立てやすくなる
  • いろいろなことにチャレンジしやすい

それぞれのメリットについて、説明します。

1.リスクを抑えながら起業できる

副業としてスタートし、準備してから起業すれば、本業の収入を得つつの起業になるので、金銭的なピンチに陥る危険性は低くなります。

副業のままですと事業規模を大きくすることはできませんが、事業が思ったほどうまいくいかなかったとしても、失敗を恐れる必要がなく、方向修正を柔軟に行うことが可能です。

起業にはリスクが付きものではありますが、そういったリスクを抑えながら起業できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

2.独立して起業する際の資金を貯めることができる

会社を辞めて独立するためには、事業にかかるお金はもちろん、当面の生活費も必要になります。事業内容によっては金融機関から融資を受けたり、借り入れをしない人でも、十分な貯金をした上で会社を辞める準備が必要です。

しかし、実績がない場合、金融機関から融資を受けられるとは限りません。また、お給料を貯金しているだけなら、起業のタイミングを逃してしまうかもしれません。

副業で動き出して顧客を掴んでいくことで、会社を辞めた後の収入の目安がわかります。自分が独立できるタイミングもわかるのでお勧めです。

3.経営に必要なスキルや視点を磨くことができる

事業経営において必要なスキルや考え方は、一介のサラリーマンとして働く際に必要となるそれとはまったく異なります。エース社員も、雇われ社長も、オーナー社長とは全く違うのです。

当然、会社で優秀な成績を挙げている人が優秀な経営者になるとは限りません。起業を目指す場合は、全く未経験のことをやるのと同じこと。本を読んだりセミナーに参加したり、知人友人に経営者がいたら意見を拝聴したり、そして何より自分でやってみることで、経営に必要なスキルや視点・考え方を身に付ける必要があります。

副業から試してみることで、経営者に必要なスキルの向上はもちろん、小さな失敗を経験することができるので、独立後の大きな力になります。

4.独立後の見通しや計画を立てやすくなる

自身で事業を行う場合は、先の展望を見据えて事業計画を立てる必要がありますが、経験ゼロの状態でそれをいきなり行うことは非常に難しいことです。

副業で事業運営を経験しておけば、見通しや計画を立てることができるようになるので、独立後の具体的な未来を予測しやすくなります。

ただ、今は不確定要素の多い時代でもあり、感染症の再拡大など、元々想定していた見通しや計画が適用できなくなることもあるので、そのあたりは適宜修正できるように、柔軟性をしっかりと確保しておきましょう。

5.いろいろなことにチャレンジしやすい

起業したいと漠然と思っていても、具体的にどのような分野で、どのような事業に挑戦するかを決めあぐねている方もいるかもしれません。

そのような場合、副業で試してみるのが良い方法です。副業であれば、気になっている事業を少し経験してみて、自分にはイマイチ向かないと感じるようであれば、すぐに別のことに変えることができます。

独立してからでは、その事業がうまくいかなかったとしても、簡単に別の事業で再出発というわけにはいきません。事業をやめることにも、時間とお金が掛かってしまうのです。

ポイント サラリーマンがいきなり会社を辞めて起業することの4つのリスク

起業するなら副業から始めよう!

リスク

「起業するからには『きっちりケジメをつける』という意味でも『自分の覚悟を示す』という意味でも、会社を辞めて起業しよう」と考える方も多いと思います。

ただ、いきなり会社を辞めて起業することには、次に挙げるリスクがあります。

  • 安定した収入を失うことになる
  • 今後、継続的に収入を得られるとは限らない
  • 経営に必要なスキルや視点を習得しないままの起業になる
  • 想像やイメージと違っても後戻りができない

それぞれのリスクについて、ご説明します。

1.安定した収入を失うことになる

サラリーマンとして働いていれば、毎月決まった給料を収入として得ることができますが、会社を辞めてしまうと、その安定した収入を失うことになります。

もちろん、独立することで多くの収入を得られるようになる可能性はありますが、サラリーマンとは違って最初から安定することはありません。

「子供が小学校や中学校に入学する」「引っ越しを検討している」など、まとまったお金が必要になるタイミングでは、会社を辞めるのは少し待った方が良いかもしれません。

2.今後、継続的に収入を得られるとは限らない

事業の成績や売上は、経営者自身の努力だけでコントロールできるものではなく、時勢の変化や流行の移り変わり、競合他社の動向などによって大きく変動します。

起業した直後は順調な滑り出しで、それなりの収入を得られていたとしても、経済情勢によって収入額が不安定になることはあり得ます。

事業計画を立てる場合は、現段階での収入を継続的に得られることを前提とすることが多いですが、収入の減少具合によっては、事業計画自体を一から考え直さなければならなくなる可能性もあります。

3.経営に必要なスキルや視点を習得しないままの起業になる

先ほど少し触れましたが、経営者に必要なスキルや視点は、サラリーマンとして働く場合に必要なスキルや視点とは異なります。

副業から始めて、経営者に必要なスキルや視点を磨きつつ独立すれば、リスクをかなり減らすことが可能になります。未経験のことだらけで、行き当たりばったりの経営では、あっという間に廃業になってしまいます。

4.想像やイメージと違っても後戻りができない

独立後に自分が思い描いていたような事業運営ができなくても、一度会社を辞めてしまうと、もう後戻りはできません。

場合によっては、もともと勤めていた会社に出戻りできるかもしれませんが、そういった保証はないと考えておくべきです。

後戻りができないということが、事業運営を頑張る原動力のひとつになることもありますが、現実問題として、起業がうまくいかなければ、家族も含めて厳しい生活に耐えなければならないということは念頭に置いておきましょう。

ポイント サラリーマンの起業の第一歩におすすめな4つの副業

起業するなら副業から始めよう!

ビジネスモデル

サラリーマンが副業をする場合、あくまでも「副業」という範疇で収めておくつもりの方もいれば、副業を経て起業を目指すつもりの方もいると思います。

起業を目指すサラリーマンの第一歩に良いのは、次の副業です。

  • クラウドソーシングを利用したギグワーク
  • 技術や知識を生かしたコンサルティングやコーチング
  • アフィリエイターやブロガー
  • レンタルビジネスやシェアビジネス

それぞれの仕事について、ご説明します。

1.クラウドソーシングを利用したギグワーク

クラウドソーシングを利用すれば、ネットを介してさまざまな仕事を得られます。

自分が行いたい内容のものを選んで受注することができるので、自身のスキルや経験を生かせるかどうか、確認することができます。

ですが、これで起業することはできません。単発仕事、下請け、これでは使い勝手の良い会社員以下の存在です。

ギグワークは自分のスキルの確認、需要の確認のため。その先の展開は、しっかりとビジネスを学んで構築していきましょう。

2.技術や知識を生かしたコンサルティングやコーチング

自身がこれまで培ってきた技術や知識を生かせるという点では、コンサルティングやコーチングといった仕事も良いでしょう。これもクラウドソーシングを利用する場合同様、自分の知識が世の中に求められているのか、確認をすることが大切です。

目に見えないものを売るという意味で、受注が大変難しい領域なので、セールスやマーケティングについて苦労する分、起業前に準備しておく必要性も実感できるでしょう。情報発信とブランディング、副業でこの事業を軌道に乗せられれば、起業はとても簡単に感じるはずです。

3.アフィリエイターやブロガー

アフィリエイターやブロガー、YouTuberとして副業をしているサラリーマンの方は多く、参入ハードルが低いのがメリットです。本気で取り組めば、ライティングスキル、企画力、集客力、SEOなど、スモールビジネス起業に必要なスキルの多くを習得することができます。

一度仕組みを構築してしまえばそこからは天国、半永久的に収入を得ることも可能ですが、軌道に乗せるまでは相当な努力が必要です。95%の人は全く成果がでないで終わるでしょう。

簡単に取り組めるけど成果がでにくい、後発組には厳しい典型的なジャンルですが、独立後も使えるスキルになることは間違いありませんので、成果にこだわらずやってみるのはアリです。

4.レンタルビジネスやシェアビジネス

レンタルビジネスやシェアビジネスは、最近のSDGsの流れもあってブームになりつつあります。集客や管理などを業者の仕組に委託することで、不労所得のような感覚で副業できます。

ですが、人の作ったプラットフォームに乗っかるだけで終わらせてしまうと、ビジネススキルは身に付きません。

では、なぜ最初の一歩に良いのかと言いますと、その資金を起業準備に回せるからです。また「今はレンタルやシェアをしていないけれども、実はレンタルやシェアできれば便利なもの」に気付くことができれば、新しい事業を生み出せる可能性があります。

ポイント サラリーマンが副業を始める際の3つの注意点

起業するなら副業から始めよう!

就業規則

上述したようなメリットやリスクもすべて踏まえたうえで、サラリーマンの方が副業に踏み切る場合、いくつか注意しておかなければならないこともあります。

サラリーマンの方が副業を始める際の注意点を挙げます。

  • 会社の就業規則に違反してしまう可能性がある
  • 自分自身で確定申告を行う必要がある
  • 本業に影響が出てしまう可能性がある

それぞれについて、ご説明します。

1.会社の就業規則に違反してしまう可能性がある

会社によっては就業規則で副業を禁止していることがあります。そのような会社で副業がばれてしまえば、就業規則違反を理由にして解雇されてしまう可能性もあります。

絶対にバレないように、住民税の支払い方(普通徴収での申告)などの最新情報を入手して、しっかりと対策しましょう。また、副業がOKの場合でも、就業規則にしっかり目を通し、会社の総務や人事に確認するなりして、副業をしても大丈夫な条件を確認したうえで取り組みましょう。(参考:「副業に関する就業規則は要チェック」

2.自分自身で確定申告を行う必要がある

サラリーマンとして働いて得るお給料に関しては、毎年年末に年末調整をしてもらえるので、税金の支払いや手続きを自分で行う必要はありません。

しかし、副業で得た所得に関しては、会社の年末調整の対象にはならないので、自分で確定申告を行わなければなりません。

週末起業がばれる! サラリーマンの確定申告
実は、この記事を書いている私も、会社に週末起業(副業)がバレた経験があります。取引先が会社トップに対し密告したことが直接の原因、その前にもちろん、私が週末起業のことを取引先に話てしまったことが最大の過ちでした。  その経験から、週末起業をする時は会社に絶対に話をしてはいけない、同僚、上司はもちろん、仲がよくても(この件については)絶対に信用してはいけない、取引先に話すなどもっての外。そのように言い続けています。自分で話してしまうという原因が最も多い週末起業の会社バレなのですが、その他にも、Fac...

確定申告は時期が決まっていますので、必ず決められた期間中に手続きを行いましょう。

3.本業に影響が出てしまう可能性がある

副業が軌道に乗ってくると、副業に割く時間をもっと増やしたくなります。しかし、副業に時間を割き過ぎると、本業に支障が出てきてしまうことがあり、そうなっては本末転倒です。

実はこれが、多くの会社が副業を禁止する理由の一つになっています。「副業」である以上「本業」の仕事に影響を与えないように、時間や仕事量はうまく調節しなければなりません。逆に言えば、それができる副業を作らなければならないということでもあります。

ポイント 副業として始めて先々の見通しを立ててからの起業がおすすめ!

起業するなら副業から始めよう!

アフィリエイト

独立起業を見据えているサラリーマンの方こそ、まずは副業でスタートし、事業を手がけることとはどういうことかというのを体感してみるのが賢明です。

サラリーマンという本業を持ちながら起業することには、メリットがたくさんあります。うまくいかなかった場合でも、痛くもかゆくもない、そうしておけば良いのです。

副業を楽しみながら、自分の好きなことを活かせる分野で、起業を目指しましょう!

「副業収入がいくらになったら独立できるか」の答え方

「月収が〇万円になったら独立しよう」と数字だけで決めている人は多いです。ただ、その数字が「何ヶ月続いているか」を見ていない場合、判断は危うくなります。拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』にこんな考え方があります。収入額ではなく、収入の「ステージ」で判断する、というフレームワークです。

  • STAGE I(月収0〜10万円):実験期。需要があるかを確かめる段階。独立判断をするには早い
  • STAGE II(月収10〜30万円):手応えを感じ始める時期。「もうすぐ独立できそう」と感じやすいが、継続性はまだ未確認
  • STAGE III(月収30〜50万円・継続3ヶ月以上):独立を現実的に検討できるライン。収入源が複数あるかも確認する
  • STAGE IV(月収50万円以上・継続6ヶ月以上):独立の準備を具体化できるタイミング。生活費と事業費を試算する

多くの人が陥るのは、STAGE IIで独立を判断してしまうことです。月収が15〜20万円程度のときに退職を考え始めるケースですが、STAGE IIの収入は「仕組み」ではなく「たまたまの受注」で成り立っている可能性が高く、独立後に急減するリスクがあります。STAGE IIIに達し、それが複数月続いて初めて、独立を検討する土台ができると考えてください。

起業18フォーラムの会員Gさんの例をご紹介します。40代・製造業の管理職として働きながら、技術コンサルティングの副業を始めた男性です。

Gさんは開始から1年ほどで月収15〜20万円を安定して得られるようになりました。「そろそろ独立できる」という確信があり、一時は退職届を準備したこともあります。ところが会社から役職変更の打診が来たタイミングで、改めて収入の中身を点検しました。

気づいたのは、収入の8割以上が1社のクライアントから来ていたことです。この状態で独立すれば、その1社が離れた瞬間に経営は傾く。Gさんはそこから半年間、クライアントの分散に集中しました。4社から月次顧問料を受け取れる体制が整い、月収が45万円を超えたところで退職を決断。独立後1年で月収は60万円を超え、「あのとき急がなくてよかった」という言葉が印象的でした。

副業収入を「合計額」だけで見るのをやめ、「収入源が何社あるか」「その金額が何ヶ月続いているか」の2点を手帳に書き出してみてください。このリストを持っているかどうかで、独立の判断精度は大きく変わります。

統計面でも、こうした段階的な移行の重要性が裏付けられています。日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」によると、開業前に副業・兼業の収入経験がある開業者は、開業後に「黒字基調」と回答する割合が高い傾向にあります。地道に収入の土台を作ってから踏み出す人ほど、独立後も安定しやすいのです。

  • 月収の「額」だけでなく「継続月数」と「収入源の数(何社から来ているか)」を確認する
  • STAGE IIIに達して初めて独立を検討し、STAGE IVで具体的な準備に入るのが目安
  • STAGE IIでの独立は「たまたまの好調」を実力と混同しやすく、最もリスクが高いタイミングです
起業したいけど安定した生活も守りたい。どう折り合いをつければいいですか?
● 質問 安定した収入のある会社員です。起業したい気持ちはあるのですが、今の生活を壊したくないという気持ちも強

副業から起業への道は、勢いで渡るより地盤を確かめながら渡るほうが、結果として早く安定に届きます。今の副業収入が「どのSTAGEにいるか」を書き出し、STAGE IIIまでに何が必要かを逆算してみてください。その一枚の紙が、独立を「いつかの夢」から「来年の現実」に変える出発点になります。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

起業アイデア診断
【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!

【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!

ポイント この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます!