記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
このブログ記事は「起業」について、初めて考えて、何となく概要を知りたくて検索を始めたという人に向けて書いています。
起業本の著者だから書ける「起業入門者のためのマニュアル」として、保存版で残しておきたいと思います。
こんにちは。起業18フォーラム代表の新井です。これまで、10000件以上の独立、自立を目指す会社員、主婦の皆さまのご相談に乗ってきました。
毎度おなじみで恐縮ですが、こんな本も書いています。起業を考え始めたばかりの人に向けて書いた、本当の入門部分の本になります。
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さて、今日、ブログに書きたいのは「起業」について。とは言っても、いつもそれを書いているのですが、今日はその中でも特に、昨日、今日、起業について初めて考えたような方に「起業とは?」という概要をご説明したいと思い、書かせていただいています。
検索エンジンで「起業」について調べている方が知りたいことは、おおよそ以下のようなことのどれかでしょう。
これまでの経験を踏まえ、順番に解説していきたいと思います。
起業するって、どういうことか?(今の生活との違い)
まず「起業するとは、一体どういうことなのか?」についてお話します。ざっくり言えば「自ら事業を興して、その事業でお金を稼いで生活していくこと」です。
独立とは「いわゆるお勤めを辞めて、自分で食べていくこと」です。ですが「独立=起業」とは限りません。いわゆるフリーランスの方は、自らのスキルを使って、企業から受注して納品するということをしたり、下請け作業や講師業をしたりしていて、これはいわゆる「起業」とは似て非なるものです。
起業するとは、事業を興すこと。独立とは、いわゆるお勤めを辞めて、自分で食べていくこと。並列に使われることの多いこの2つの言葉ですが、実際は全く違う意味なのですね。
あなたは、起業したいのですか? 独立したいのですか? それとも、起業して独立したいのですか?
ですので、言ってみれば、起業をしても生活は大きくは変わりません。もちろん、忙しくなったり、お金の使い方が変わることは当たり前ですが、必ずしも会社を辞める必要はなく、会社にいながら朝晩30分で事業を回すなどということも、当たり前にできるのです。
独立すれば、生活は大きく変わります。良い面もあれば、心配な面もあります。
- 他人に束縛されない自由
- 収入が努力次第で青天井
- 定年がない
- 生きているという実感
<心配な面>
- 稼げないかもしれない
- 信用がゼロからスタート
- 社会保険の負担が増える(給付も減るかもしれない)
- 借金を抱えるかもしれない
いろいろありますね。でも、心配な面は、心配していても仕方がないものでもあります。
リスクを避けて、やってみる!
と決めた人には、必ず方法があるからです。
社会保険だって、会社に通っていながらフリーランスのような契約をさせられて、給与所得部分が非常に小さくされているような場合などもあり、会社にいるから安全安心なんてことも言えません。
自分の人生は自分で創る!
そう決めることが、一番の安全、安心なのだと、私は思っています。
起業するには、自分にとっては、どのようなやり方がいいのか?(種類)
あなたが起業をしようと思ったら、まず、大きく分けて2つの選択肢があります。
- 大きく起業するか?
- 小さく起業するか?
の2つです。このどちらを選択するのかで、次の行動、実務が全く変わってきます。
「大きく起業する」とは、たとえば、実店舗を持つ、数百万円の借り入れをする(在庫確保や広告のためなど)、会社を辞める、社員を雇う、事務所を構える、などのケースが該当します。この場合、事業計画書を作成して融資や補助金を申請したり、物件探しやスタッフを雇用したりと、いわゆる「昔からある」開業のプロセスを進むことになります。
このスタイルでやるスタートアップのメリットは「夢が叶った感」を強く実感できることと、腹が据わること。対して、デメリットは、極めて高リスクであることです。
一方「小さく起業する」とは、たとえば、ネットショップを持つなどの固定費が小さいビジネス、そして、経験を教えるなど「頭の中」や「自分」を商品にして、借り入れはせずに自己資金で小さく始める、社員は自分だけ(ご家族のサポートまで)、自宅でやる、等のケースが該当します。
この場合、いわゆる大きな動きは必要ないので、まずは商品作り、そして、情報発信と、今の時代に合ったプロセスを、しかも、会社員のまま進めることが可能になってきます。このスタイルでやるスタートアップのメリットは、極めて低リスクであること。対してデメリットは「ママゴトか!」と言ってくる人がいたり、コツコツ続ける必要があることです。
私たち起業18が推奨するのが、この「小さな起業」です。副業ではありません。あくまでも、独立のために、準備を小さく始めるスタイルです。
似たようなものに、週末起業という考え方があります。起業が独立とは違うのは言葉の通りで、週末起業は、あくまでも起業願望を満たすための「サラリーマン」の生き方を表すもののように感じます。
独立を目指す、自由を手にするという目標よりは、副業をして副収入を得るという考え方であり、そのコンセプトは、起業18の「起業のための準備」とは本質的に異なります。
もちろん、副業が悪いわけではありません。お小遣い稼ぎ、可処分所得を増やしたい人は、週末や深夜にどんどん働くといいと思います。
現在、副業・兼業を認めている企業は全体で49.6%。また「現在認められており、将来的にも拡充する予定」(19.4%)「現在一部認められているが、将来的には拡充する予定」(22.4%)「現在は認められていないが、将来的には認められる予定」(15.2%)と、将来的に認める・拡充する予定の企業は合計で57.0%となった。
2016年に引用した記事が以下のような内容ですので、世の中が大分変化したことがわかります。ですが、確かに副業や週末起業解禁の流れは歓迎ですが「もう面倒みきれません」「自分で何とかしてください」という意味でもありますね。
2014年におこなわれた中小企業庁の調べによると、サラリーマンの副業・兼業を推奨・容認している企業は3.8%と少なく、ほとんどの企業が禁止しています。なぜ日本は、社員の兼業・副業を推進してこなかったのでしょうか? まず言えるのは、日本の経済は製造業やサービス業が中心で、ノウハウや経験の蓄積が大切でした。そのため、長い間、終身雇用制度が大前提としてあり、正社員として働くことが当たり前の社会が続いてきたからでしょう。
しかし今は、経済成長の鈍化、ITによる産業構造の変化や、核家族化が進む中での子育てや介護などもあり、働き方は多様化していかなければならい時代になっています。しかし、現実では、終身雇用制度が崩壊しつつあるだけで、上述のように兼業・副業を容認している企業は少数派であり、働く側が自由に新しいワーキングスタイルを模索し、創りあげてゆくことはまだまだ困難な状況にあります。
ちなみに、2021年の中小企業白書によれば、日本の開業率は4.2%です。先進国ではとても低い数字であり、アメリカの開業率9.1%の半分以下になっています。
副業でチョロチョロとお小遣い稼ぎをする人が増える一方で、開業する人はこんな程度の数字です。理不尽な会社に不満があり、先行き不透明な感覚を持ちながら、結局は会社を辞めることはせず、週末や深夜にお小遣い稼ぎをしたり、パソコンの前で小銭を稼ぐ程度に止まってしまっているのです。
副業が解禁になったとしても、その分「本業をしっかりやれ、それができて初めて副業だろ」という無言の圧力が強まるでしょう。そして、上司や空気を忖度する社員は、本業に全力、そして週末や深夜に労働、その結果、身も心も疲れ果てていくのではないでしょうか?
風邪でもひいたとたんに「どうせ副業でもしているんでしょ」などの陰口をたたかれ、給料やボーナスが増えなくても「副業しろよ」と吐き捨てられてしまう。そんな時代がやってくるかもしれません。私は、ですので、週末や深夜に起業というお小遣い稼ぎ副業には、賛同しないのです。
今、世の中には「世間が副業を解禁した、さて、チャンスだから儲けてやる!」そんな副業思考の起業塾、サークルのような会が乱立しています。その結果、高額を支払って資格を取って、貴重な休みの時間を使ってコンサルティング、コーチングなどの労務提供・・・。それって、ただのアルバイト的労働になりませんか? 幸せなのでしょうか?
副業解禁(ネガティブな動機のものが大半)は、一歩間違えれば、企業の体の良いリストラや、優秀な人材の給料が上がらないことへのエクスキューズとして利用されてしまう可能性がありますし、疲れた体に鞭を打って休日も働くといったことになりかねません。
私は、ビジネスを小さく始める目的は、夢を持つ人が起業をして、会社を辞めて独立する、そのための準備であってほしいと思っています。
実際、週末にお小遣い稼ぎをするようなものではなく、副業から始めて起業準備をする場合、成功率が高くなるというデータ(日本政策金融公庫「2020年度起業と起業意識に関する調査」)が出ています。「勤務しながら起業した」割合は起業家で22.5%、パートタイム起業家では51.6%となっています。(※パートタイム起業家とは、事業に充てる時間が1週間当たり35時間未満の人。約半数が副業。)
「勤務しながら起業した人」は全体の22.5%とまだまだ少ない層ですが、この手法は、今後ますます一般的になり、夢を叶えるための重要なプロセスになっていくでしょう。
もう一つの道として、フランチャイズ加盟というものもあります。お手軽そうに見えるので人気ですが、あなたが理想とする人生を実現できる仕事スタイルなのかは、よくよく考えて加盟する必要があります。
フランチャイズは自由度が低い場合もあります。経営者のように見えるけど実態は労働者、そんな風にならないように、よくよく調べてから判断するといいですね。
大手コンビニ「ファミリーマート」とフランチャイズ契約を結んだ加盟店のオーナーを「労働組合法上の労働者」として認める――。東京都労働委員会(都労委)は4月16日、そんな判断を下し、オーナーたちが作った労働組合との団体交渉に応じるよう、ファミリーマートに命じた。同様の判断は、昨年3月の岡山県労働委員会に続き、2例目という。
起業するには、何からすればいいのか?(方法/実務)
大きく始める場合
まず、事業計画書を書いてみましょう。いかに楽観的に考えていたか、何も考えていなかったかがわかると思います。事業計画を書くためのコンセプトワーク、そして市場や店舗なら立地の調査など、やることがたくさんあることがあります。
そして、お金がなければ何も始まりませんから、まずは借り入れからですね。日本政策金融公庫、信用保証協会、地元の信金などを回ることになります。
- 事業計画書作り
- 資金調達
- 物件選定・賃貸契約(事務所や店舗を借りる場合)
- 広告宣伝素材の作成(ロゴ、チラシ、名刺、ホームページ、他)
- 内装設計(店舗の場合)
- 申請・許認可・諸届け
- 施工発注(店舗の場合)
- 着工・検査・引き渡し(店舗の場合)
- 備品搬入・開店準備(店舗の場合)
- シュミレーション後、知人にお披露目(店舗の場合)
- オープン
小さく始める場合
小さく始める場合には、難しく考えることは全くありません。まずは商品のアイデアを出し、商品化し、情報発信をすることからです。
そして、実務では以下のようなことをする必要があります。
- 屋号を決める
- 住所・電話番号の確保
- 社員・角印などの作成
- 申請・許認可・諸届け(開業届など)
- 銀行口座を作る
- クレジットカードを作る
- 事業用携帯電話(番号)を持つ
- パソコンを用意する
- 会計ソフトを用意する
- モバイルツールを用意する
- 広告宣伝素材の作成(ロゴ、チラシ、名刺、ホームページ、他)
- 交流会などへの参加
こちらの記事に詳しくまとめています。
⇒ 週末起業したいと思ったらこの通りに進めよう「ToDoリスト」
起業するには、何で起業すればいいのか?(アイデア/商品)
「起業するには、何で起業すればいいのか?」については、多くの人がお悩みになるところなのですが、考え方は極めてシンプルでして、大きくやるにも小さくやるにも、以下から選ぶことになります。
スペース・チャンス系(ハコや機会の提供) カフェ、スポーツジム、貸し会議室、マッチングビジネス、インターネット広告など プロダクト系(モノの提供) 手作りのアクセサリーを売る、本を書いて売る、工具を仕入れて売るなど スキル・サービス系(技術の提供) ライター、カメラマン、ネイリスト、メイクアップなど ノウハウ系(知識の提供) セミナー講師、コンサルタント、カウンセラーなど
あなたがやりたいビジネスで提供する商品、サービスのアイデアは、どれに該当するでしょうか? まずは、軸足を置くものを決定することからです。
もし「ここまでのアイデアがまだない」ということでありましたら、やってみていただきたいのが「振り返り」です。
あなたがどんな人で、何が好きで、どんな仕事をしたいと思っているのか、そんなことが掴めるワークです。上でご紹介しています拙著に、その内容についても書かれていますので、ぜひご参考になさってください。
ヒントを申し上げますと、実際のところ、起業アイデアというものは、自分で出すものではありません。人がやっていることを真似することが一番早くて確実です。
起業をしたいと考える人は、どうも勘違いをされていることが多く、完全オリジナルの差別化されたものをつくり出さなければいけないと思い込んでいます。
実際は、全く違います。
自分が好きなこと、自分がやれそうなこと、そんなことを何となく自分の中に見つけ、その情報を持って街を歩く、それだけでも入ってくる情報が変わってきます。たくさんのビジネスの情報が入ってくるようになるでしょう。
普通のビジネスでいいのです。奇をてらうアイデアは必要ありません。あなたらしさが発揮できる、あなたの好きなことをやればいいのです。
ネットで検索をしても、あまり良い情報はでてきませんね。広告クリックが目的の、中身のない情報が溢れています。そのようなものに惑わされるよりも、あなたの街をちょっと歩いてみれば、貴重な情報はいくらでも見つかるはずです。
情報が入ってこないのは、あなた自身がフックを持っていないから。振り返り、自己分析をしっかりやった後なら、世界が変わって見えるでしょう。
上の表でも少し紹介しましたが、まだまだあります。それも、当たり前のビジネスです。
スペース・チャンス系(ハコや機会の提供)なら
- 婚活パーティー
- シェアスペース運営
- 社会人サークル
- 不動産オーナー専用ポータルサイト
- 自宅エステサロン
プロダクト系(モノの提供)なら
- オークション品の輸出転売
- 海外製品の輸入販売
- キャラクターグッズ転売
- ワンピースデザイン&製作
- 日傘やアクセサリーの製造販売
スキル・サービス系(技術の提供)なら
- 経理代行
- 掃除代行
- 通訳
- イラストレーター
- 作曲
ノウハウ系(知識の提供)なら
- 経営コンサルティング
- 転売コンサルティング(動画)
- 通信制恋愛カウンセラー
- 会員制語学学校
- 電話お悩み相談
これらは、どこにでもある当たり前の商品、サービスです。これに、あなたの好きなこと、得意なことなどを、トッピングしたり、ちょっと入れ込んだりして、あなたらしさを出していきます。
それが、小さな起業の神髄なのです!
起業するにあたり、費用はどのくらい必要なのか?(お金)
費用は2つの面から考えるようにして下さい。ビジネスを興すことにかかる費用と、独立後の生活にかかる費用です。その両方がなければ、うまくいきません。
まず、簡単な「独立後の生活にかかる費用」をご説明しましょう。これは「いつ会社を辞めるか?」の指針にもなりますね。
独立後の生活にいくらかかるかは、人によって大きくことなります。ローンがある人、実家住まいの人、都会、田舎、親の協力など、人によって条件が違います。
ですが、今の生活レベルを下げるのは勇気が要りますね。ダメとは言いませんが、それだけの試練に、ご家族やあなた自身が耐えられるのかどうか、そこはじっくり考えたいところです。
もし、博打を打つようなことをしたくないのでしたら、会社を辞めるタイミングの目安は・・・
- あなたにご家族がいて、あなたの収入があてにされているのでしたら、一年分の生活費の貯金できたら。
- あなたが独身でしたら、会社のお給料の2倍程度の収入が、自分の事業から得られるようになったら。
そうなれば、辞めても大丈夫というサインでしょう。
では、ビジネスを興すのにどのくらいのお金がかかるのでしょうか? これも、選ぶ事業によって全く違うということになります。
たとえば、スペース・チャンス系(ハコや機会の提供)で、今はちょっと厳しいですが、カフェやラーメン屋さん、レストランを選んだらどうでしょうか? 居抜きで200~600万円、新規の店舗ですと1000万円を超えることもあるでしょう。貸し会議室をやるために、ビルのワンフロアを借りるにも、月に50~100万円がかかります。
ですが、同じスペース・チャンス系のビジネスでも、ネット広告(ネイティブ広告)を売るようなビジネスであれば、サーバー代金の月数千円で済むかもしれません。
プロダクト系(モノの提供)ではどうでしょう? 人気の中国輸入、アマゾン転売などでは、初期投資は30万円程度で済みますが、それで独立を考えるようになると、キャッシュフローは500~1000万円は必要です。となれば、多くの人にとっては借り入れは避けられませんね。
小さく済ますには、在庫を持たない無在庫販売にするか、スペースを取らないモノを選んで場所代を節約するなどの工夫も必要です。
スキル・サービス系(技術の提供)は、身体一つあればお金はかからないようにもできますが、カメラマンならカメラを買ったり、ある程度の設備投資は必要になる場合があります。また、スキルを提供するために有料の場所の確保が必要になる場合には、その分の経費もかかります。
最も費用がかからないのが、ノウハウ系(知識の提供)で始めることです。セミナー講師、コンサルタント、カウンセラーなどは、カフェやちょっとした場所を借りればできてしまう仕事ですから、かなり少ない費用でスタートすることができます。
ですが、資格取得に走ると大きなお金を失うことになりますので、そこは注意して下さい。資格なんて、基本的には不要ですから。
ちなみに、日本政策金融公庫の調査(日本政策金融公庫「2020年度起業と起業意識に関する調査」)では、起業した人のおよそ7割が自己資金のみでスタートしたという結果が出ています。
調査によれば、起業家では「起業費用50万円未満」とする割合が30.2%と最も高く「費用はかからなかった」(25.1%)がそれに続くとのことです。年々、より小さく起業する人が増えている傾向がわかります。起業時に金融機関から借り入れをしていない人は、起業家で87.2%、パートタイム起業家で88.3%という結果になっています。
また、起業するには行政手続きや備品の準備にもお金がかかります。
個人事業であれば、行政手続きにはお金はかかりません。それ以外のインフラとして、たとえばレンタルオフィス、スマホ、パソコン周りの費用がかかります。
対して法人(たとえば株式会社)を作るには、それなりの費用がかかります。委託する場合、主な明細は以下のようになります。
- 定款認証代・印紙代(公証人手数料、印紙代、謄本代)
- 登録免許税
- 登記簿謄本代、印鑑証明書代
- 行政書士・司法書士への報酬
などなど、およそ25万円程度です。自分でやる場合でも、このサイトなどを使えば、格安に設立できます。(参考:ひとりでできるもん)
ですが、私の経験では、プロの司法書士に頼んだ方がいいと思います。やっぱり、プロに依頼した方が安心ですし、開業した後もいろいろ相談できてありがたいものです。
起業するにあたり、向き不向きがあるか?(リスク)
起業する人に、向き不向きはあるか? これは、セミナーなどに来る人が結構気にしていて、質問されることが多いです。
よくある質問が、、、
何パーセントの人が成功するのですか?
これ、実に多い質問です。この質問の答えを聞いて、どうしたいのでしょう? できなかった時に、安心したいのでしょうか?「ダイエットする人の何パーセントが成功するか?」という質問と同じです。定員があるわけではないのですから、合格率なんてないのです。
全ては自分次第。
だと思います。
年齢的なことで向いていないと思う人もいらっしゃるかもしれません。「シニア起業」という言葉がもてはやされていますが、実際、起業には転職や再就職のような、年齢的な制限や制約があるのでしょうか?
日本政策金融公庫の調査では「年齢別にみると「起業したい」と考えている割合は30歳代(54.9%)が最も高い」と報告されています。(日本政策金融公庫「2020年度起業と起業意識に関する調査」)
とは言え、50代の起業関心層は54%、60代は51.7%で、大きな差はありません。私個人の実感としては「シニア起業は難しい場合がある」と感じており、その理由は、プライドやサラリーマン時代に培われた慎重すぎる、リスクを取らない習性、決断力の欠如にあると思っています。もちろん、私の周りにはそんな理由がまったく当てはまらない素晴らしい方々がたくさんいらっしゃいます。
また「大企業出身、中小企業出身によっても、起業に向いているかどうか違いがでるのでしょうか?」というご質問もいただきます。
2015年の話になりますが、活躍する起業家100人の1社目の職歴から経歴の傾向を調査したことがあります。
結果として、大企業出身者は、BI世代では66%、AI世代では20%でした。また、その大企業出身者の約半数はベンチャーへの転職を経て起業していました。純粋に大企業だけの就業経験しかない人は1割程度でした。
2016年の日本政策金融公庫の調査でも、起業家が会社員を辞める直前にいた勤務先の従業員数が19人以下である割合が41.8%となっていて、小さな会社の人ほど起業するという傾向がでていますね。かと言って大企業がダメということではないでしょうが、大企業にいる人ほど会社員としての環境がいいこともあるでしょうから、動機がないのかもしれません(想像です)。
個人的には、起業に向いていない人は「確実な対価を求める人」「他人の成功率が気になる人」「得意なことに偏る人」かなと思っています。
起業するにあたり、成功率を上げる方法は?(成功事例)
起業をする際、多くの人は成功事例を知りたくなるものです。「自分もそうなれるかもしれない・・・」という夢を見られるからかもしれません。実際は、失敗事例の方が参考になることが多いですが、まずは成功率を上げるための成功事例を知ることも必要ですね。
成功率を上げるのはノウハウ(特にマーケティング)、失敗率を下げるのはリスクマネジメント、経験上、簡単に言うとそんなイメージです。なぜ「特にマーケティング」なのかと言いますと、中小企業が倒産してしまう理由はいろいろあるのですが、販売不振がダントツなのです。
企業の倒産原因ランキング
「倒産の状況」によると、2018年における原因別の企業の倒産件数は以下の順になっています。なお、分類上「その他」となっているものは除きます。
- 販売不振
- 既往のしわ寄せ
- 放漫経営
- 連鎖倒産
- 過小資本
- 設備投資過大
- 信用性の低下
- 売掛金回収難
- 在庫状態悪化
となれば、成功率を上げるには、マーケティング、販売の仕組みを確立し、しっかりと強化しておくことが近道だということにもなります。
マーケティングの究極の目的は、販売(セールス)が要らなくなることです。商品の価値を実際以上に感じてもらえるレベルにまでしっかりと情報発信をし(もちろん誇大広告や嘘はご法度ですが)、見込み客を育てていくことが必要です。
会社員のまま小さく準備を始める際にも、ネットが得意な人はブログやSNSから、そうでない人は地道な活動になりますが、人とのつながりから情報を発信し続けることで、販売不振にならない仕組みを構築していく必要があります。
では、情報発信とは、具体的にどのような形で行うものなのでしょうか? たとえば、以下のようなものがあります。
- ホームページ
- ブログ
- SNS
- メルマガSNS
- Ebook(PDF・電子書籍など)
- ニュースレター(郵送するもの)
- レポート/白書
- 音声(MP3)
- 動画(YouTubeなど)
- チラシ
- 名刺
- セミナー/イベント
私の知り合いの小さな起業の事例ですが、まず、コーチング事業を始めたAさん。Aさんは、目標達成を支援するコーチとして独立。独立当初は、セミナーも友人や紹介者がつめかけ、連日満員御礼でしたが・・・。
半年後、セミナーは閑古鳥。
そして、クライアントをとるために値下げを繰り返し、一年で廃業となりました。残念ながら、今、また会社員です。
資格取得には50万円以上かけたものの、小さく始めたことは正解でした。ですが、この結果・・・。
Aさん:「実は・・・、売上が全くなくて、もうダメです。」
新井:「え、そうなんですか。。どうしてそんなことに」
Aさん:「セミナーに人が集まらないんです。」
新井:「もう手遅れなの?」
Aさん:「はい・・・」
こんな会話を交わしたことを覚えています。
原因は何だったのか?
そんなに難しい話ではありません。養分たっぷりの「知り合い」「友人」という畑から、果実を全て刈り取ってしまったのです。次の土壌を育てていなかったこと、そしてもちろん、安易な「紹介してもらえるだろう」という考えによる情報発信不足です。
一方で、私のクライアントのMさん。Mさんは、カウンセラーとして独立しました。
Mさんは、会社員時代に人間関係で苦労した経験から、職場でのあり方について悩む会社員の相談に乗るというお仕事をしているのですが、ある意味で幸運だったのは、口コミからは縁遠い業界だったということ。
もちろん、ゼロではありませんが、自分が悩んでいることを積極的に人に伝え、Mさんのカウンセリングを推奨する人は多くはありませんでした。
そこでMさんは、安易に紹介、口コミに頼らず(頼ることができず)、ホームページを開設しました。地味な情報発信からのスタートですから、最初はクライアントは全くいませんでしたが、半年後、そのホームページから毎日2~3人の新規セッション申し込みが入るまでに成長し、メルマガは毎日100人以上が登録するようになりました。
Aさん:「実は・・・、忙しすぎて、何とかしたいのです。」
新井:「え、そうなんですか。。どうしてそんなことに」
Aさん:「相談が多すぎて、一人何分かかるかをつめないといけない状況なんです。」
新井:「他のカウンセラーに振るように作っていきましょう!」
Aさん:「はい、紹介収入も順調に伸びていますので、もっと進めます!」
こんな会話をしたばかりです。
違いは情報発信です。Mさんは愚直に、クライアントとの体験を発信し続けてきました。Aさんもブログから多少の発信はしていましたが、かっこよさ、スマートさを優先してしまい、愚直にコツコツ積み上げるという泥臭さはなかったような気がします。
起業するにあたり、失敗を避ける方法は?(失敗事例)
上では、成功の秘訣が「販売不振の解消」にあること、つまり、最初にできることは「情報発信」であることをお伝えしました。
次は、リスクマネジメント「失敗を避ける方法」についてです。
大きく起業する場合は、失敗の原因は兎にも角にも「どんぶり勘定」、つまり、経営者の不勉強が原因です。もちろん、その結果の販売不振が最大の原因であることは間違いなさそうです。
一方で、会社員のまま始めて準備をする場合には、失敗する確率が低くなるのはご紹介した通りです。繰り返しになりますが、会社員のまま準備を始めた人のうちの47.4%が事業が軌道に乗っている、売上が増加しているという人は45%になっています。
ですが、小さく始めれば必ず上手くいくというほど、ビジネスは簡単ではありません。上のAさんもそうですが、それでも失敗してしまうケースはたくさんあるのです。
上の成功事例では、情報発信が成否を分けた例についてお話しました。こちらの失敗事例では、最近、私の身近でよくある2つのケースについてお話します。
まず一つ目は「物事の順番」です。
最近、私のところにご相談に来られる方にとても多いのが、カフェやサロンを開業したいというご相談です。起業アイデアのところでお話しました系列で言えば、カフェはいわゆる「スペース系」と「プロダクト系」の組み合わせ事業であり、初期投資の大きい起業に該当します。
もちろん、大きくやることを否定するつもりはありません。経営者の性格、リスク管理次第で、それはもちろん可能なものですし、事実、たくさんの人がそうしています。ですが、リスクが大きい分、素人のどんぶり経営では廃業率も高くなってしまいがちです。
まず、カフェやサロンの開業をする場合、そのままストレートにやる場合は、会社員のまま起業することはほぼ不可能でしょう。となれば、会社を辞めて、借り入れをして、お店を構える・・・とするのが一般的なプロセスです。
ですが、これで成功するでしょうか?
経営もカフェも素人のあなたが、この先、10年、20年と、そのカフェを続けていくことができるのか、、いかがでしょうか? これを、順番を変えることで成功率を高めることができるとしたら、やってみたくありませんか?
私の知り合いで、会社員でありながら司法書士の女性がいらっしゃいます。その方は、カフェを経営したいと考えていましたが、リスクを考えると容易に手が出せずにいました。
そこで、その女性は、まずリスクの小さい「ノウハウ系」ビジネスをスタートします。セミナーを開催し、相続などの様々な法律マメ知識を提供する小さなビジネスを始めたのです。彼女は、そこで出会った人や、司法書士になりたい人を集めるコミュニティを作っていきました。
そして、その人たちが集まれる場として「法律カフェ」を提供したのです。もちろん、最初からお店など構えませんでした。既存のカフェを貸し切りして、月に一度のイベントとしてスタートしたのです。
コミュニティは次第に育ち、そろそろ、そのコミュニティの人が常連客となってくれるカフェの開業が視野に入っています。小さなビジネスから、念願のカフェ開業に向けて進んでます。素晴らしいですね。
一方でいきなりカフェやサロンを開業して失敗する人は後を絶ちません。カフェ、飲食店は廃業率が高いことでも知られています。リスクを抑えるには、やはり頭を使う必要がありますね。(参考:株式会社東京商工リサーチ「2019年(1-8月)「喫茶店」の倒産状況」)
もう一つ、失敗事例に多いのは「話題性」の欠如です。失敗するビジネスには特徴もなく、世の中で話題になることがありません。要するに、仕掛けが足りないのです。
ビジネスは普通でいいのですが、話題を作らなければ人に知られることはありません。
たとえば、かつて「豚骨ラーメンのなんでんかんでん」で一世を風靡したマネーの虎の川原ひろし社長は、創業後赤字続きのラーメン店の業績を伸ばすために、様々な話題作りを仕掛けたことを、しくじり先生というテレビ番組で公開しています。
- 無料券付きのFAXを東京中の出版社に送り、取材をしてくれと依頼した
- ラーメンの焼き海苔に「スポンサー広告」を印刷して広告料を得た
- 「粉落とし」という新しい「麺のゆで具合」の名称を作った
などです。結果的に彼のラーメン屋は潰れてしまいますが、話題作りから頂点に上り詰めたことは事実です。一時、彼のラーメン店はマネーの虎への出演によって盛り返しますが、
- 海の家
- オリジナルTシャツ
- オリジナルソングCD
など、やはりどんぶり勘定、甘い見通しでサイドビジネスに手を出し大失敗。-2000万円まで損失が膨らみ、本業のラーメン店では従業員の不正があり、中国に出店した店舗では、あまりに放置したために、ラーメン店がいつの間にか焼き肉屋になっていたというのですから驚きです。
話がそれてしまいました。「話題性のないビジネスは人に知られない」というお話ですが、そう言うと奇をてらったアイデアが必要なのかと誤解されます。
それは違います。
普通のビジネス、商品でも構わないので、あなたの強み、好きなことを加え、あなたらしさを出し、そして、人の話題になる「企画」を作るということです。
話題性がないと、いくら情報を発信しても人の印象に残りません。私の周りには、情報発信の大切さを知っていて、一生懸命にブログを書いたりSNSで投稿をしている人もいますが、爆発力がないためにいつまでたっても独立できない人がいます。
アイデア一つです。当たり前のビジネスを作ったら、次に「話題」を考えてみましょう!
起業するにあたり、簡単にできる方法はあるのか?(ノウハウ)
いよいよ最終章です。
ここまで、起業について初めて考えた人が最初に気になるだろうと思うこと、アイデア、手続き、リスク、成功する確率、失敗事例とそれを避ける方法、そんなところを簡単ですが書かせていただきました。
最後「簡単にできる方法はあるのか?」ということですが、この答えは・・・「ない」が正解です。ですが「簡単」という言葉の捉え方は人それぞれですから「ない」とも言えないかもしれませんね。
少なくとも今は、SNSでの拡散からマスコミ露出につなぐことができれば、一夜にしてトップスターが誕生する時代になりました。
ちょっと前ですが「ピコ太郎」などがその好例ですね。だからこそ言いたいのは、好きなことを、あなたらしく、そして、それを世の中の話題になるように発信できれば、誰にでもチャンスがあるということなのです。
起業18には、たくさんの会社員のまま準備を進める皆さまがご参加されています。副業ではなく、週末に労働して収入を増やそうということでもなく、自由になるために、自立するために、起業準備を進める人たちです。
うつに悩んで休職したり、転職を繰り返しているうちに「自分は会社員はイヤだ!」と気づいた方も大勢いらっしゃいます。仕事は仕事で特に不満はないけれど「もっと自分の人生は輝くはず!」と前に進んでいる方も大勢いらっしゃいます。
大きくやるか、小さくやるか、何系のビジネスをするか、どうやって発信し、いかに話題を作るか、独立までの道は簡単ではないかもしれませんが、ノウハウは確立されています。
この記事を最後までお読みいただいたあなたは、起業への情熱のある方だと思います。ぜひ、たくさんの情報を集めていただき、あなたが求める人生の方向へ、その近道を見つけていただき、力強く、しかし軽い気持ちで、一歩を踏み出してみてください。小さな一歩から始めれば、リスクは極めて小さく、失うものは殆どありません。
あなたがあなたらしく、素晴らしい人生を見つけられますように。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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