記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
2025年度上半期(4~9月)累計の企業倒産件数が5,146件を記録し(前年同期比3.1%増)、上半期としては2013年度以来12年ぶりに5,000件台に達しました。倒産増加傾向が続いており、サービス業、小売業、建設業の中小企業の倒産が目立ちます(調査機関:株式会社帝国データバンク)。
一方で、引き続き、都市部や京都では「オーバーツーリズム」が問題になるほどインバウンドは活況。2025年10月の訪日外国人数は389万6,300人となり、10月として過去最高を記録し、初めて300万人を大きく超えました。年間累計では10月までで約3,554万人に達しており、政府目標の3,000万人を大幅に上回っています。人手不足も深刻で、人手不足倒産は2025年度上半期(4~9月)に214件と上半期として3年連続で過去最多を記録し、「人件費高騰」を理由とした倒産が大幅増となっています。
変わらず続く物価高と長引く地政学的リスクの影響を横目に、こうした厳しい経済環境下でも急成長を遂げるビジネス分野が注目されています。

2025年急成長ビジネス分野の最新トレンド
生成AI市場は爆発的成長を続け、国内のAIシステム市場が前年比56.5%成長で1兆3,412億円に達し、2029年には4兆1,873億円規模に拡大予測。AIエージェント市場は2030年までに約3兆5,690億円という巨大市場へと発展する見通しです。特に製造業、ヘルスケア、教育分野でのAI活用ビジネスが有望視されています。
インバウンド関連では、人手不足対策としてAI通訳サービス、清掃・配送ロボット、自動調理システムなどの省人化ソリューションが急拡大。観光庁も「デジタルノマド誘客支援事業」や「人材不足対策事業」で最大500万円の補助金を提供し、新サービス創出を後押ししています。

サステナビリティ・ESG分野では、2027年3月期からの時価総額3兆円以上の上場企業におけるサステナビリティ情報開示義務化を機に、企業の環境・社会責任経営が本格化。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)開示が進む中、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ(自然再生)ビジネスが新たな成長領域として台頭しています。
富裕層向けビジネスでは、年収1,000万円以上のデジタルノマド層をターゲットとした高付加価値サービスが注目。地方創生と連携したウェルネス・ツーリズム、プレミアム体験型コンテンツが成長分野となっています。
ここでは、2025年、これからのビジネスはどうなっていくのか、どの方向に行けば成功し易いのかを考えてみたいと思います。
この記事は、随時、最新情報にアップデートしていきますので、ぜひブックマークしておいてください。
- 政治
- 高市政権の「責任ある積極財政」と大規模補正予算編成
- 給付付き税額控除制度の導入検討
- ガソリン暫定税率廃止と新税検討
- 防衛費GDP比2%の前倒し達成
- 消費減税・増税議論
- 金融所得課税の強化
- 社会保険料アップ
- 金融政策正常化と金利上昇局面への移行
石破政権退陣・自民党総裁選石破政権の行方新勢力の台頭参議院議員選挙東京都議会選挙160万円の壁103万円の壁高校無償化インボイス制度の段階的導入石破内閣発足・衆院選大敗スタートアップ支援衆議院解散・総選挙自民党総裁選日銀総裁人事統一地方選挙選挙G7広島サミット2023インボイス制度電子帳簿保存法
- 国際問題
- トランプ関税政策の本格始動
- ロシア・ウクライナ戦争の混迷と停戦交渉
- 紅海・ホルムズ海峡の地政学リスク
- 米中デカップリングの加速
- EU経済の停滞
イスラエル・イラン衝突米中覇権争い外免切り替え規制SNS世論誘導・ロシア関与米欧分断中国富裕層に10年観光ビザ新設台湾有事の可能性
- 環境(カーボンニュートラル)
- 金融機関の脱炭素国際枠組みからの脱退連鎖
- 米国のパリ協定再脱退の可能性
- EV市場の調整局面
- 原発回帰の世界的潮流
米国パリ協定脱退EV失速の可能性再生可能エネルギー原発再稼働/新設SDGs推進炭素税企業ミッションの見直し
- デジタル資本主義
- AIの急速な進化(ChatGPT、Claude、Geminiなどのマルチモーダル化)
- AI推進法の全面施行(2025年9月)
- EU AI規制法の段階的適用開始
- 生成AIのセキュリティガバナンス強化
- DX推進の遅れとデジタル格差の拡大
- 量子コンピューター実用化への期待
メタバースNFT空飛ぶ自動車
- 物価変動
- 実質賃金は9カ月連続マイナス(2025年9月時点)
- 長期化する人手不足・人件費の高騰
- 物価上昇(インフレ)
- 12月食料値上げ217品目・年間累計2万609品目の見通し
- 資源価格高騰
- 150円台半ばの円安基調継続
- 日米金利差の維持
- 日銀の追加利上げ観測
進次郎米令和の米騒動EV向け半導体不足&先端半導体は供給過剰金融緩和政策の行方
- 働き方改革
- 相次ぐ黒字リストラ
- 倒産件数は年間1万件超の見通し(2025年1-10月で8,584件)
- 人手不足企業75%超(正社員不足50.8%)
- 人材不足倒産は通年400件超の見通し
- AIによる業務効率化と雇用への影響
- 移民問題
2024年・2025年問題事業承継問題の深刻化キャリアチェンジ(リスキリング)解雇規制緩和早期退職制度(黒字リストラ)リモートワーク廃止(出社回帰)
- 感染症関連
- 新型コロナ第12波の懸念
- インフルエンザとの同時流行
中国で呼吸器感染症の一つ、ヒトメタニューモウイルス感染症が拡大インフルエンザ感染爆発で5年ぶりに警報基準超え第11波襲来全国旅行支援特定国に対する水際処置感染症法上の分類見直し新たな変異株ゼロゼロ融資の返済スタート
日本では2025年12月の食料値上げ品目数が217品目に達し、年間累計で2万609品目となる見通しです。また、トランプ関税政策の本格始動により世界貿易に混乱が生じる懸念があり、日銀も追加利上げのタイミングを慎重に見極めています。
世界的なインフレが進む中、日本は外国人にとって「品質が良くて安い国」として人気ですが、もはや東京のホテルは我々日本人庶民が利用できる価格帯ではありません。一方で、日本人の実質賃金は9カ月連続でマイナス圏が続き(2025年9月時点)、格差問題は深刻で、人口減少も止まりません。

昨年、一度1ドル160円を超えた為替相場は変動を続け、執筆日(2025年12月1日)時点では155円台後半の円安基調で推移しています。海外に依存している資源価格は高止まりで、エネルギー価格の上昇も続く見通しです。

特に飲食店は、引き続き未曽有の危機に直面しています。2025年上半期の飲食店倒産は458件と過去最多を記録し、原材料費、人件費、光熱費の上昇が経営を圧迫。価格転嫁の難しさと深刻な人手不足により、今後も倒産、廃業は止まりそうにありません。
これからのビジネスは、大きくやると失敗した時に大変

起業18は、小さく起業準備を始めることを是としていますが、私たちのセミナーにいらっしゃる方の中には、多額の資金を要する大きな起業を考えている方もいらっしゃいます。
しかし、人手不足倒産が上半期として3年連続で過去最多を更新し、物価高による企業経営への圧迫が続く今です。実質賃金の低迷も継続し、今後も不透明な経済情勢、社会保険料のアップ、地政学的リスクなど、予断を許さない状況です。
故に、これからのビジネスは、個人で小さく起業する場合には、引き続き慎重にならざるを得ず、固定費(家賃・人件費)のかかるビジネスを選択することは、どうしてもリスクが高くなることを認識しておかなければなりません。中小規模以上のビジネスについても、生成AIの活用やデジタル化・省人化への取り組みが重要となるでしょう。
これからのビジネスのポイントは3つ
- 固定費(人件費/家賃)は、可能な限り少なく抑えれられているか?
- 柔軟に変化/撤退できる余裕を残せているか?(資金/時間的制約)
- オンライン化に対応できるビジネスモデルか?

これからしばらくは「身軽に」「いつでも」「どこでも」
こんな不確実性が高い時だからこそ、これからビジネスを始める場合には、小さくスタートしておきましょう。これからのビジネスのポイントは「身軽に」「いつでも」「どこでも」です。そして可能なら、団塊ジュニア世代をメインに狙うことです。
では、小さくするのなら、どんな起業アイデアが成功するのでしょうか? 個人は、こんなスタートをすれば成功するのではないか、という例を書いてみようと思います。
輸出→輸入ビジネス

一時の急激な円安は落ち着きましたが、まだ円安基調には変わりありません。ですが今後、さらなる利上げが示唆されていますし、トランプ大統領の政策次第では、一気に円高に向かう可能性もあります。
仮に、円安基調がこのまま落ち着いて維持されれば、越境EC(電子商取引)が成長すると考えられます。国内のプラットフォームを利用して手軽に海外に商品を輸出できるようになり、税制上のメリットも大きくチャンスです。
健康スポーツ関連

メジャーリーガーの大谷翔平選手の大活躍もあり、野球少年は増えると思われます。日本人選手の活躍を見て、「やってみたい!」「習いたい!」と思う人が増えれば、これからのビジネスにつながります。
また、健康ビジネスで言えば、多くの企業においてテレワークがなくなっています。満員電車や忖度&理不尽な組織でストレスを感じるは多くいますし、ダイエット、サウナ、健康ブームはこの先も続くと思われます。
コロナ禍でオンラインサービスが一気に広まり、自宅でできる運動やダンスを紹介するYouTuberも多く登場しましたが、競合が激増した上、スタジオやジムに戻る人も多くなったため、広告収入は減るでしょう。ビジネスモデルの転換が必要になるかもしれません。
環境・グリーン・サステナブル(SDGs)関連

脱ガソリン車や再生可能エネルギーなどの大きな流れは、大企業や行政がやる仕事です。日本ではEV化について、2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止すると打ち出されていますが、550万人が従事する産業が転換期を迎えたら・・・、多くの労働者がキャリアチェンジの必要性に迫られることになります。保守政党は盛んに反対していますね。
実際にはEV化推進に対しては、自動車を生産している各国の思惑、各社の労働組合の抵抗もあり、このままスムーズに進むかは不透明です。テスラの株価も下がっています。ですが、日本においては、このままいけば「環境保全ビジネスへの切り替えしない=時代に合わない悪いこと」という空気が醸成されていく可能性は高いです。

各国の国益が複雑に絡み合う中で、欧州ではエネルギー問題が深刻化する可能性もあり、一旦、環境問題は棚上げされる可能性もないとも言えません。トランプ大統領が脱炭素の政策転換を行い、企業もそれに倣う方針を続々と打ち出しているため、今後の動向から目が離せません。
私たち小さなビジネスをする人間は、「自分のビジネスにちょっとだけSDGsに関連する貢献を入れる」こと、そんなプチサステナブル、ミニSDGsを目指しましょう。とは言え、先行きが不透明なため、大きな投資は避けた方が賢明です。
ファイナンシャルアドバイザー

物価高や老後資金の不安が高まる中、ファイナンシャルアドバイザーの需要の増加が見込まれます。ですが、従来型のアドバイス業務ではなく、AIアプリがこれらの業務を代替する可能性が高いでしょう。専門性の高いアドバイザーでないと生き残るのが難しくなるはずです。
新しい集客サポート

フェイクニュースやエビデンスの提示が不十分な情報などを排除する流れが急加速しています。ヤフコメも登録制になりました。これまでも検索の世界では、YMYLと言われる人に重大な影響を与える分野の情報に関しては、発信者の十分な権威性や信頼性が求められてきましたが、その勢いがさらに加速しています。
検索アルゴリズムが進化し、従来のネットマーケティングによる結果の操作が通用しなくなったこれからは、新たな「集客ビジネス」が求められるようになるでしょう。
アルゴリズムといたちごっこだったネットマーケティングは姿を消し、LLMO(大規模言語モデル最適化)などの総合的な知識を持つ、情報発信をディレクションできるマーケッターが勝ち残るようになります。或いはもしかすると、AIの進化を超えてくる天才が登場するかもしれませんが・・・。
また、日本ではまだまだ需要が弱いため、プロフェッショナルな営業代行サービスが求められるようになると予測されます。特に成果報酬型の営業代行は、スキルのあるフリーランスにもチャンスがあります。
クリエイティブ関連

クリエイティブ関連と言っても幅が広いですが、たとえば、ライターや単純なデザイナーとして起業する人は激減するしょう。もうAIに抗うことはできません。これからはデジタルではなくアナログが勝機。体験参加、生演奏、文化などの人間が絡むものにしなければ生き残れないでしょう。

クリエイティブ関連は、AIや3Dプリンタの普及で、流れに乗れれば大きく飛躍できる分野です。しかしながら、AIが従来型の仕事の多くを奪っていくことは避けられません。いかに共存するかがカギです。最新のトレンドをしっかり掴んでください。
高品質生産農家

農業も、これからのビジネスとして注目される産業の一つです。140円前後レベルの円安であれば、ビジネスチャンスを感じる人も多いでしょう。
日本の農業分野の一番の課題は、既に語りつくされた高齢化の影響です。しかし、今から少子化を抑制できたとしても、成果がでてくるまで20年近くかかるわけですから、やはり、改革は必須と言えます。
もちろん、事業化して目指すところは「高品質農業」です。農地造成、作付け効率や作業の軽減で、労働コストよりも収入を高くすることが目標となります。
欧米式の産業型大規模農産業ではなく、極めて小規模、都会であっても農家が存在し、そして地産地消していく姿が日本らしいですが、それでも全体の世帯数減を考えれば、今こそ、株式会社の参入、輸出市場を見据えた生産性の向上が必要ですね。
AIを活用するシステム

デジタル庁も立ち上がり、デジタル化、DXの流れは止まりません。そして、IT、通信技術は進化し続けています。もちろん、これからのビジネスとして有望な分野です。ChatGPTを始めとするAIの劇的な進化があったり、デジタル通貨の登場があったりと、新たな価値がブロックチェーンの中で生まれ、それが膨大な利益を獲得する事実を作りました。
今後、さらに注目の分野は・・・短期的には〝ChatGPT×●●〟というシステム。特に、金融、健康、教育などの分野で多くのベンチャー等によって開発され、その後、後発で個人が無料リリースする進化版に駆逐されていくことが予想されます。そんな中で、おそらく安定度ナンバーワンはセキュリティ分野でしょう。
セキュリティ分野もAI同様、スタータップ支援の下、プログラマーとして優れた若い人が続々とベンチャーを立ち上げ、そして数年で廃業していくことになるでしょう。過酷な大競争時代の幕開けです。
オンラインおよびオフラインのコミュニティ

オンラインおよびオフラインのコミュニティは今後も重要であり続け、さらに細分化されて広がるでしょう。COVID後にオンラインコミュニティは厳しい状況になりましたが、それでも勉強会コミュニティを中心に生き残っています。
趣味系ではリアルの集まりが完全に復活しています。同時に、ハイブリッドモデル(オンラインとオフラインの組み合わせ)も注目され、安全性、シンプルさが求められるようになりました。
建物・スペース活用ビジネス

空き家活用はずいぶん前から提言されています。これからも空き家は増える一方のはずですから、空きスペース再利用ビジネスは、今後も活性化するでしょう。
空き家物件を仲介するだけの不動産ビジネスは、もうすでに飽和しつつあります。そして、特区の民泊は移民制度の穴として悪用される一方です。そのうち規制も入るでしょう。今後は、ベンダーとして物件活用自体をプロデュースし、業態によってその設備からインフラをデザインするなど、クリエイティブ要素が重要になってきますね。
シェアオフィス兼シェアハウスのようなサービスも続々と登場しています。
結婚相談所ビジネス

結婚相談所業界は若者向けのみならず、全年齢対象のエンタメ性のあるマッチングサービスにシフトしていくでしょう。インタラクティブで体験型のプラットフォームが、より魅力的で楽しさを提供する方法として注目されており、AIマッチングアプリと競争する中で重要なトレンドとなるはずです。
シニア向けデートプランニングなど、シニア向けサービスの開発もさらに進むでしょう。
インバウンドビジネス

2025年初頭、インバウンドは過去最高で1000万人と突破。年間4000万人ペースでとんでもない成長産業になっています。医療観光が再び注目され、外国人患者の受け入れ整備も進んでいます。国保の悪用、不公平さえ是正されれば(ようするに彼らが自費や民間保険を利用するのなら)、日本としても大歓迎でしょう。
2025年、インバウンド産業は成長を続けるでしょう。治安が心配ではありますが、環境変化をしっかりと捉え、たとえば英会話ビジネス、国際恋愛ビジネス、ウェルネスなど、小さく開業できる方法を模索すれば、チャンスはいくらでもあると思います。
まとめ:これからのビジネスとは?

大きな流れは、ネットニュースや新聞を読めばわかります。その流れが個人ビジネスで出来る範囲にどう降りてくるのか、そこに着目しましょう。外資は、空き店舗を安く借り上げたり、中古品や土地を買い叩くなど、着々とこれからのビジネスのために動き出しています。私たちも負けてはいられません!

個人にできるこれからのビジネスの範囲は限られますが、時代の変化の中で、チャンスはたくさんあります。それに気づけるのかどうかだけです。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
★会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!【セミナー@東京/オンライン】
★自分のタイミングで学びたい、セミナーは苦手、というあなたは【動画版】起業セミナー(特典付き)
