記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
2023年度の倒産件数が、8881件となり、増加率は過去30年で最も高く(前々年度5916件、前年度6799件、30.6%増)なりました。(調査機関:株式会社帝国データバンク)
一方で、昨年度に続き、都市部や京都では「オーバーツーリズム」が問題になるほどインバウンドは活況で、人手不足、賃金の上昇が続いています。変わらず続く物価高、賃金上昇圧力と増税路線、長引く戦争の影響を横目に、ここでは、2024年、これからのビジネスはどうなっていくのか、どの方向に行けば成功し易いのかを考えてみたいと思います。
この記事は、随時、最新情報にアップデートしていきますので、ぜひブックマークしておいてください。
- コロナ対策関連
- 第11波襲来
全国旅行支援特定国に対する水際処置感染症法上の分類見直し新たな変異株ゼロゼロ融資の返済スタート
- 政治
- 石破内閣発足
- 増税・金融引き締め議論
- スタートアップ支援
衆議院解散・総選挙自民党総裁選日銀総裁人事統一地方選挙選挙G7広島サミット2023インボイス制度電子帳簿保存法
- 国際問題
- トランプ氏が次期アメリカ大統領に
- イスラエル・イラン衝突
- ロシア・ウクライナ戦争
- 米中覇権争い
- 台湾有事の可能性
- 環境(カーボンニュートラル)
- SDGs推進
- 再生可能エネルギー
- 原発再稼働/新設
- EV失速
炭素税企業ミッションの見直し
- デジタル資本主義
- AI(ChatGPT/自動運転/ロボット)
メタバースNFT空飛ぶ自動車
- 物価変動
- 賃金上昇
- 資源価格高騰
- インフレ
令和の米騒動EV向け半導体不足&先端半導体は供給過剰金融緩和政策の行方
- 働き方改革
- キャリアチェンジ(リスキリング)
- 人材不足
解雇規制緩和早期退職制度(黒字リストラ)リモートワーク廃止(出社回帰)
未だ病院ではマスクをするように言われますが、外でマスクをする人は少なくなりました。流行り病が落ち着く一方で、世界が財政出動を強化した反動で急激なインフレが襲っています。
日本でも、石破新政権が誕生。直後の解散総選挙で大敗を喫しました。政権の短命化が囁かれ、特に外交における政治空白は続いています。資源価格高騰などの外的要因による物価高、食料品の値上げは続いており、アメリカではトランプ氏が再選。今後は大幅な政策転換、米の利下げと日本の利上げが重なる可能性もあり、慌ただしい変化が予想されます。
世界ではインフレが進み、日本も物価高ではありますが、依然として安くて品質の良い国として旅行先、投資先の国として大人気です。一方で、日本人は20代若者や女性の貧困、格差は深刻ですし、人口が減り続けていることも盛んに指摘されるようになりました。
昨年、一時1ドル160円を超えた為替相場は急変し、執筆日(2024/011)時点現在は152円前後で安定しています。とは言え、海外に依存している資源価格が高いことに変わりはなく、自然再生エネルギーへのシフト、原発停止が続く以上、今後も値上げは避けられないでしょう。
引き続きロシア産物資の輸入は滞っていますが、中国が日本産水産物を買わなくなって一安心(しかし香港は爆買い)。なので外食産業が一旦落ち着くかと思いきや、光熱費や肉の高騰は続いており、淘汰は止まりそうにありません。
これからのビジネスは、大きくやると失敗した時に大変
起業18は、小さく起業準備を始めることを是としていますが、私たちのセミナーにいらっしゃる方の中には、多額の資金を要する大きな起業を考えている人がたくさんいらっしゃいます。
しかし、多くの上場企業が早期退職制度の導入を始め、今後は解雇規制が緩和される見込みの今です。実質賃金もようやくプラスになったレベルで、ボーナスが含まれない場合、再びマイナスに転じるかもしれません。今後の増税、社会保険料のアップ、アメリカ経済の減速などなど、、、予断を許さない状況です。
故に、これからのビジネスは、個人で起業する場合には、引き続き慎重にならざるを得ず、固定費(家賃・人件費)のかかるビジネスを選択することは、どうしてもリスクが高くなることを認識しておかなければなりません。
これからのビジネスのポイントは3つ
- 固定費(人件費/家賃)は、可能な限り少なく抑えれられているか?
- 柔軟に変化/撤退できる余裕を残せているか?(資金/時間的制約)
- オンライン化に対応できるビジネスモデルか?
これからしばらくは「身軽に」「いつでも」「どこでも」
こんな不確実性が高い時だからこそ、これからビジネスを始める場合には、小さくスタートしておきましょう。これからのビジネスのポイントは「身軽に」「いつでも」「どこでも」です。そして可能なら、団塊ジュニア世代をメインに狙うことです。
では、小さくするのなら、どんな起業アイデアが成功するのでしょうか? 個人は、こんなスタートをすれば成功するのではないか、という例を書いてみようと思います。
輸出→輸入ビジネス
一時の急激な円安は落ち着きましたが、まだ円安基調には変わりありません。ですが今後、さらなる利上げが示唆されていますし、トランプ大統領再選となれば、一気に円高に向かう可能性もあります。
仮に、円安基調がこのまま落ち着いて維持されれば、越境EC(電子商取引)が成長すると考えられます。国内のプラットフォームを利用して手軽に海外に商品を輸出できるようになり、税制上のメリットも大きくチャンスです。
健康スポーツ関連
日本代表が素晴らしい活躍を見せたパリオリンピック。たくさんの子供たちがスポーツを習い始めるでしょうし、各競技人口は増えていくことでしょう。そして、MLBの大谷選手の大活躍もあり、野球少年は増えると思われます。日本人選手の活躍を見て、「やってみたい!」「習いたい!」と思う人が増えれば、これからのビジネスにつながります。
また、健康ビジネスで言えば、多くの企業においてテレワークがなくなっています。満員電車や忖度&理不尽な組織でストレスを感じるは多くいますし、ダイエット、サウナ、健康ブームはこの先も続くと思われます。
コロナ禍でオンラインサービスが一気に広まり、自宅でできる運動やダンスを紹介するYouTuberも多く登場しましたが、競合が激増した上、スタジオ、ジムに戻る人も多くなったため、広告収入は減るでしょう。ビジネスモデルの転換が必要になるかもしれません。
環境・グリーン・サステナブル(SDGs)関連
脱ガソリン車や再生可能エネルギーなどの大きな流れは、大企業や行政がやる仕事です。日本ではEV化について、2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止すると打ち出されていますが、550万人が従事する産業が転換期を迎えたら・・・、多くの労働者がキャリアチェンジの必要性に迫られることになります。保守政党は盛んに反対していますね。
実際にはEV化推進に対しては、自動車を生産している各国の思惑、各社の労働組合の抵抗もあり、このままスムーズに進むかは不透明です。テスラの業績も下がっています。ですが、日本においては、このままいけば「環境保全ビジネスへの切り替えしない=時代に合わない悪いこと」という空気が醸成されていく可能性は高いです。
各国の国益が複雑に絡み合う中で、欧州ではエネルギー問題が深刻化する可能性もあり、一旦、環境問題は棚上げされる可能性もないとも言えません。トランプ大統領再来となれば、脱炭素の政策転換もあり得るため、今後の動向から目が離せません。
私たち小さなビジネスをする人間は、「自分のビジネスにちょっとだけSDGsに関連する貢献を入れる」こと、そんなプチサステナブル、ミニSDGsを目指しましょう。先行きが不透明なため、大きな投資は避けた方が賢明です。
ファイナンシャルアドバイザー
物価高や老後資金の不安が高まる中、ファイナンシャルアドバイザーの需要の増加が見込まれます。ですが、従来型のアドバイス業務ではなく、AIアプリがこれらの業務を代替する可能性が高いでしょう。専門性の高いアドバイザーでないと生き残るのが難しくなるはずです。
新しい集客サポート
フェイクニュースやエビデンスの提示が不十分な情報などを排除する流れが急加速しています。ヤフコメも登録制になりました。これまでも検索の世界では、YMYLと言われる人に重大な影響を与える分野の情報に関しては、発信者の十分な権威性や信頼性が求められてきましたが、その勢いがさらに加速しています。
検索アルゴリズムが進化し、従来のネットマーケティングによる結果の操作が通用しなくなったこれからは、新たな「集客ビジネス」が求められるようになるでしょう。
アルゴリズムといたちごっこだったネットマーケティングは姿を消し、総合的な知識を持つ、情報発信をディレクションできるマーケッターが勝ち残るようになります。或いはもしかすると、AIの進化を超えてくる天才が登場するかもしれませんが・・・。
また、日本ではまだまだ需要が弱いため、プロフェッショナルな営業代行サービスが求められるようになると予測されます。特に成果報酬型の営業代行は、スキルのあるフリーランスにもチャンスがあります。
クリエイティブ関連
クリエイティブ関連と言っても幅が広いですが、たとえば、デザイナー、デザイン関連で起業する人は増えるでしょう。これなら小さく起業できますし、NFTという新たな技術の登場で、俄然注目のジャンルになっています。
クリエイティブ関連は、NFT、AIや3Dプリンタの普及で、この先大きく飛躍する分野です。しかしながら、AIが従来型の仕事の多くを奪っていくことは避けられません。いかに使いこなし、共存するかがカギです。最新のトレンドをしっかり掴んでください。
高品質生産農家
農業も、これからのビジネスとして注目される産業の一つです。140円前後レベルの円安であれば、ビジネスチャンスを感じる人も多いでしょう。
日本の農業分野の一番の課題は、既に語りつくされた高齢化の影響です。しかし、今から少子化を抑制できたとしても、成果がでてくるまで20年近くかかるわけですから、やはり、改革は必須と言えます。
もちろん、事業化して目指すところは「高品質農業」です。農地造成、作付け効率や作業の軽減で、労働コストよりも収入を高くすることが目標となります。
欧米式の産業型大規模農産業ではなく、極めて小規模、都会であっても農家が存在し、そして地産地消していく姿が日本らしいですが、それでも全体の世帯数減を考えれば、今こそ、株式会社の参入、輸出市場を見据えた生産性の向上が必要ですね。
AIを活用するシステム
デジタル庁も立ち上がり、デジタル化、DXの流れは止まりません。そして、IT、通信技術は進化し続けています。もちろん、これからのビジネスとして有望な分野です。ChatGPTを始めとするAIの劇的な進化があったり、デジタル通貨の登場があったりと、新たな価値がブロックチェーンの中で生まれ、それが膨大な利益を獲得する事実を作りました。
今後、さらに注目の分野は・・・短期的には〝ChatGPT×●●〟というシステム。特に、金融、健康、教育などの分野で多くのベンチャー等によって開発され、その後、後発で個人が無料リリースする進化版に駆逐されていくことが予想されます。そんな中で、おそらく安定度ナンバーワンはセキュリティ分野でしょう。
セキュリティ分野もAI同様、スタータップ支援の下、プログラマーとして優れた若い人が続々とベンチャーを立ち上げ、そして数年で廃業していくことになるでしょう。過酷な大競争時代の幕開けです。
オンラインおよびオフラインのコミュニティ
オンラインおよびオフラインのコミュニティは今後も重要であり続け、さらに細分化されて広がるでしょう。COVID後にオンラインコミュニティは厳しい状況になりましたが、それでも勉強会コミュニティを中心に生き残っています。
趣味系ではリアルの集まりが完全に復活しています。同時に、ハイブリッドモデル(オンラインとオフラインの組み合わせ)も注目され、安全性、シンプルさが求められるようになりました。
建物・スペース活用ビジネス
空き家活用はずいぶん前から提言されています。これからも空き家は増える一方のはずですから、空きスペース再利用ビジネスは、今後も活性化するでしょう。
空き家物件を仲介するだけの不動産ビジネスは、もうすでに飽和しつつありますから、今後は、ベンダーとして物件活用自体をプロデュースし、業態によってその設備からインフラをデザインするなど、クリエイティブ要素が重要になってきますね。
シェアオフィス兼シェアハウスのようなサービスも続々と登場しています。
結婚相談所ビジネス
結婚相談所業界は若者向けのみならず、全年齢対象のエンタメ性のあるマッチングサービスにシフトしていくでしょう。インタラクティブで体験型のプラットフォームが、より魅力的で楽しさを提供する方法として注目されており、AIマッチングアプリと競争する中で重要なトレンドとなるはずです。
シニア向けデートプランニングなど、シニア向けサービスの開発もさらに進むでしょう。
インバウンドビジネス
感染症前は絶好調だったインバウンド。2007年から2008年にかけて観光立国基本法ができ、当初年間500万人程度だったインバウンド観光客は、2013年に1000万人を超え、2019年には3200万人になっていました。
また、医療観光として、セカンドオピニオン以上の治療方法を消費者に見せる観光ツアーが、ビジネスチャンスとして話題になっていました。ですが、時代は一変しました。日本は医療最先端というイメージでしたが、大阪などでは医療崩壊寸前まで行った現状を見れば、すでにその地位は揺らいでいるのかもしれません。
2025年にかけて、インバウンドは再び成長産業になります。治安が心配ではありますが、環境変化をしっかりと捉え、たとえば英会話ビジネス、国際恋愛ビジネスなど、小さく開業できる方法を模索すれば、チャンスはいくらでもあると思います。
まとめ:これからのビジネスとは?
大きな流れは、ネットニュースや新聞を読めばわかります。その流れが個人ビジネスで出来る範囲にどう降りてくるのか、そこに着目しましょう。外資は、空き店舗を安く借り上げたり、中古品や土地を買い叩くなど、着々とこれからのビジネスのために動き出しています。私たちも負けてはいられません!
個人にできるこれからのビジネスの範囲は限られますが、時代の変化の中で、チャンスはたくさんあります。それに気づけるのかどうかだけです。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
★会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!【セミナー@東京/オンライン】
★自分のタイミングで学びたい、セミナーは苦手、というあなたは【動画版】起業セミナー(特典付き)