会社員が起業するには? 知っておくべきローリスクで始める3つの方法

新井一
記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

「起業に興味はあるが、十分な自己資金がない」「将来的に起業してみたいが、今の会社の仕事も気に入っている」という方は、会社員としての仕事を続けながら自分のビジネスに打ち込める「副業」での起業がおすすめです。
 

個人
 

最近は、従業員の副業を推進・容認する企業が増えてきました。所属する会社の利益や社会的信用を損なうような事業でなければ、会社に勤めながら起業しても法的な問題はありませんし、ある意味では中高年社員の面倒を見ることができなくなった会社が、続々と副業解禁にかじを切っているとも言えるでしょう。

副業からのスタートは、あらゆる起業方法の中でも、もっともローリスクな方法の1つです。本業と副業を両立する以上、自ずと固定費や先行投資をかけないスモールスタートになるため、自己資金が乏しい方でも気軽に始められます。

また、OLやサラリーマンとしての給与所得を継続的に得られるため、もし事業がうまくいかなくなっても生活に困るようなことはありません。

この記事では、会社員の方の起業に「副業」がおすすめな理由や、副業から小さく起業する際の注意点を解説します。将来的に起業を考えているOL・サラリーマンの方は、ぜひ参考にしてください。

<目次>

ポイント 起業はローリスクに始められる! 副業からの起業が注目される4つの理由

会社員が起業するには?

会計ソフト
 

起業に興味を持っていても「高額な開業資金が必要」「失敗したときの損失が大きい」というイメージをお持ちの方が少なくありません。確かに、いきなり脱サラして独立開業したり、無理な資金調達を行ったりすると、起業した後のリスクは高まります。

しかし、必ずしも「起業=ハイリスク」とは限りません。むしろ、今は会社員を続けて安定収入を得ながら、副業として小さく事業をスタートさせるローリスクな起業方法が一般的になりつつあります。
 

実際、週末にお小遣い稼ぎをするようなものではなく、副業から始めて起業準備をする場合、成功率が高くなるというデータ(日本政策金融公庫「2020年度起業と起業意識に関する調査」)が出ています。「勤務しながら起業した」割合は起業家で22.5%、パートタイム起業家では51.6%となっています。(※パートタイム起業家とは、事業に充てる時間が1週間当たり35時間未満の人。約半数が副業。)

「起業を初めて考えたあなたへ【実務・アイデア・お金・リスク・成功失敗事例】」 より引用

 
まず、起業に関心を持っている層が、具体的にどのような点をリスクととらえているかデータで見てみましょう。

2019年に日本政策金融公庫が行った調査では、興味はあるが「まだ起業していない理由」として「自己資金が不足している」と回答した人が全体の46.8%を占めています。2番目に多い理由が「アイデアが思いつかない」で35.7%、次いで「失敗したときのリスクが大きい」で、こちらは全体の34.4%です。そのほか、税金や法律の知識などのノウハウの不足、製品・サービスについての知識や、仕入れ・広告宣伝などのマーケットに関する知識の不足などが挙がっています。(データ:日本政策金融公庫「起業と起業意識に関する調査(2020年)」

つまり、一般的に「起業のリスク」として理解されているのは、資金不足・失敗への恐れ・知識やノウハウの不足の3点であることがわかります。

副業から起業すれば、これらのリスクのほとんどを回避できます。副業として小さく事業を始めれば、多額の自己資金を準備する必要がありませんし、もし事業が失敗してしまっても、本業という安定した収入源が残っています。

それでは、スモールスタートで起業する3つのメリットを見てみましょう。
 

1.副業なら自己資金が少なくてもOK

いきなり脱サラして独立開業する場合は、一般的に多額の自己資金が必要です。事業の規模が大きくなればなるほど、事業を始めるのに必要な設備投資や、店舗・事務所の取得費が増大します。合同会社や株式会社を設立する場合は、定款認証や会社の設立登記などの開業準備そのものに数十万円単位のお金がかかります。

こうしたイニシャルコストに加えて、電気光熱費や通信費、従業員の人件費、税金や保険料の支払いなどのランニングコストも考慮しなければなりません。起業一本でやっていく場合は、事業がうまくいかなかった場合の生活費も準備しておく必要があります。一般的な目安としては、およそ半年~1年分の生活費が必要になるため、独立開業すると生活費だけでも大きな負担になります。

しかし、サラリーマンをしながら起業すれば、自己資金がそれほど多くなくても大丈夫です。2019年に中小企業庁が行った調査では、働きながら起業する「副業起業家」の開業費用として、10万円未満・10~100万円未満の層が6割近くを占めています。また、開業費用「10万円未満」の層については、特定の組織に属さずフリーランスとして起業したケースや、副業・フリーランス以外のケースと比べて「副業起業家」の割合がもっとも多くなっています。(参考:中小企業庁「2019年版 中小企業白書・小規模企業白書概要」

副業である以上は、自ずとスモールスタートになります。本業との両立のために事業規模を小さくしたり、ネットビジネスのようなイニシャルコストの小さい業種を選んだり、独立開業する場合よりも低リスクなスタートを選ぶことになります。
 

副業
 

多くの方は開業届も出さずに副業をスタートし、軌道に乗ったら開業届を提出し、初期費用がかからない個人事業主から起業する道を選んでいます。そのため、法人設立に伴う金銭的負担が発生するケースもほとんどありません。

本業からの安定収入が得られるため、ランニングコストの負担も小さくなります。独立開業するケースと違い、事業の運営に必要なお金をあらかじめ確保する必要はありません。運転資金はサラリーマンとしての給与所得からまかなえます。もちろん、起業した後の生活費を心配する必要もありません。

また、本業と副業の両方から収入を得られることで、開業資金を効率的に貯めることも可能です。事業が軌道に乗ってきて、自己資金がある程度溜まってきたら、あらためて独立開業するかどうか考えることもできます。起業当初よりも知識やスキルが向上しているため、いきなり独立開業するよりも有利な状況でチャレンジできます。

実際、さきほどの中小企業庁の統計でも「副業から事業を始めた人」のうち、実に68.0%が本業への移行に成功していることがわかっています。「起業したいけど自己資金が少ない」「ローリスクに自己資金を貯めたい」という方は、副業から始めてみましょう。
 

2.失敗を恐れずにチャレンジできる

同様にして、副業からのスモールスタートなら、失敗してしまったときのリスクを恐れる必要はありません。先ほどの日本政策金融公庫の調査でも、全体の3分の1の人が起業後の失敗を恐れていることが浮き彫りになりました。同調査では、失敗したときのリスクとして、次のような項目が挙げられています(複数回答)。
 

事前に投下した資金を失うこと 80.3%
借金や個人保証を抱えること 74.2%
安定した収入を失うこと 70.5%
再就職が困難であること 24.6%
事前に投下した資金を失うこと 80.3%

 

しかし、いきなり独立開業するのではなく、副業として小さく始めるのであれば、起業するときに投下する資金はそれほど大きくなりません。

たとえば、副業として人気のあるネットビジネスを例に挙げると、初期投資として必要なものはパソコン本体の購入費とインターネット回線の契約料のみです。同様に人気が高いネットショップ事業でも、海外ドロップシッピングサイトを利用すれば、在庫を抱えずに行うこともできるので、失敗したときの損失はほとんどありません。

事業の種類にもよりますが、副業であればイニシャルコストがほとんど必要ないため、回収できない資金の総額も無視できる>ほどのものです。副業からの起業がリスクヘッジの点で非常に優れていることがわかります。
 

3.知識やスキルを身につける時間がある

副業からのスタートは「独立開業に必要な経験がまだない」「知識やスキルを身につけてから本格的に起業したい」という方にも向いています。

日本政策金融公庫の調査でも、起業の不安要素として経験不足やスキル不足を挙げている人が大勢いました。上司や同僚のフォローを得られるサラリーマン時代と違い、起業すると経営者としてさまざまな決断をしなければなりません。

事業を健全に経営するためには・・・

  • 所得税や個人事業税といった税金についての知識
  • 収支バランスやキャッシュフローを分析する会計・経理のスキル
  • 事業運営でかかわってくる法律の知識

などが欠かせません。売上を伸ばすためには販売戦略やマーケティングのスキルも必要ですし、ITスキルがあるとWebサービスやシステム開発などをビジネスにできます。
 

税金の知識 税金についてくわしいかどうかで、手元に残るお金が変わってくる。どんな税金を支払う必要があるか、いくら納税するかといった基本的な知識だけでなく、節税対策の知識があると強みになる。
会計・経理のスキル 日商簿記検定3級~2級程度の知識があれば、大まかなキャッシュフローを把握し、中長期的な収支目標を立てられる。
法律の知識 商取引の基本となる民法をはじめとして、起業後の法的トラブルを避けるために必要。モノやサービスを販売するなら「景品表示法(景表法)」化粧品や健康食品を取り扱うなら「薬事法」など、業種によっても学ぶべき法律は変わってくる。
マーケティングスキル モノやサービスを売りつづけるためには、市場を分析し、ターゲットに合わせた販売戦略をとる必要がある。とくにインターネットを活用したWebマーケティングのスキルがあれば、効率的な宣伝広告ができる。

 

副業からのスタートなら、自分のための時間を確保しやすいため、本格的に起業するまでの間にさまざまなビジネススキルを身につけられます。いきなり大きく起業してしまうと、事業運営に時間をとられ、なかなかスキルアップのために時間を割くことができません。

中には、起業する前に資格の習得などに励み、まとまった勉強期間を設ければいいと考える方もいるかもしれません。

しかし、起業には実際に経験しなければわからないことがたくさんあります。副業として起業すれば、本やセミナーで学びながら、事業運営にも携わることで、座学だけでは得られない実践的な知識を身につけることができます。
 

ポイント 副業から始める起業とは? 個人事業主・週末起業・プチ起業の3つを解説

会社員が起業するには?

目標
 

副業でビジネスを起業する方法は、大きく分けて2種類あります。会社員として勤めながら事業を行う「週末起業」まずは月に数万円程度を稼ぐことを目的とする「プチ起業」も登場しています。

ここでは、もっとも一般的な副業をはじめとして、2つの起業スタイルを解説します。
 

1.会社員のまま「個人事業主」として副業

会社が副業OKの人は、開業届を出して個人事業主として活動しているケースがあります。開業届を出すと失業保険が下りなくなるなどのリスクもあるおで、多くの人はそのような手続きはせず、そのままビジネスをスタートさせることの方が多いです。
 

今回は「独立をするために会社を辞めたら失業保険がもらえない!?」についてです。  年末に退社しようと思っている方が多いからでしょうか、最近増えている質問として、失業手当に関するものがあります。 起業を目指して退職した場合に、失業手当がもらえないという噂を聞いたのですが、それは本当ですか? という類のお問い合わせです。退職してもすぐに収入があるわけではなく、起業の準備をしようというわけですから、失業手当が出ないと困ってしまいますね。  失業手当をもらえる要件とは?独立のために退職したら失業保険が...

 

個人事業主になるには、税務署の窓口で「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出するだけでよく、申請費用も一切かかりません。手続きにかかる時間も、窓口での手続きなら1日で完了します。国税庁の「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」を利用している人なら、オンラインでの手続きも可能です。
 

● 質問開業届はどのタイミングで出すのが良いですか? まずやってしまおうと言われますが、帳簿とか付けるのは面倒なのですが。。  ● 回答「個人事業の開業届」は「事業をして所得を得ている者として今後は確定申告します」と税務署に宣言するための書類です。開業届を出すこと自体は、事業活動そのものには何の影響もありません。会社員として問題があるとすれば、サラリーマンを辞めた時の失業保険です。開業届を出すメリットとデメリットと併せて、以下の記事をご覧ください。  開業届を出していない場合で、事業と言えるような...

 

少数派ですが、会社に勤めながら法人を設立する人もいます。ですが、個人事業主と違って開業の際に数十万円単位の費用が必要です。自己資金が少ない方や、起業するのが初めての方、法人格が特に必要のない方にはお勧めしません。
 

● 質問雑貨をネットショップで販売しようと思っています。ネットショップを作成していますが、このまま開業できるのでしょうか? 会社員を続けながらやりたいのですが、経理や税金はどうすればいいのでしょうか?私の場合、正社員ですが、個人事業主になるということなのでしょうか? 事業主は私ですか? それとも妻にできるのでしょうか?会社で健康保険と厚生年金を払っていますが、個人事業主になったら国民健康保険と国民年金も二重に支払うのでしょうか?税務署などのお役所に、具体的に何を手続きするのでしょうか? 青色申告を...

 

法人の設立には時間もかかります。会社の基礎となる定款の作成や、公証人役場での定款の認証、法務局での設立登記など、さまざまな手続きが必要です。
 

スタートライン
 

サラリーマンの起業は、従来よりもハードルが下がっています。安価に利用できるWebサービス、クラウドソーシングの普及によって、個人でさまざまなサービスを展開することが可能になりました。

未だに「日本は起業するハードルが高い」「起業するための法制度が整っていない」というイメージをお持ちの方がいるかもしれません。しかし、米ペンシルベニア大学の2019年の調査では「世界各国との関係」「教育を受けた人口」「起業家精神」「革新性」「資本調達の容易さ」「熟練労働者の人口」「技術的な専門知識」「商慣行の透明性」「十分に発達したインフラ・法体系」の9つの観点を比較した結果、世界80カ国のうち日本がもっとも起業に適した国だということがわかっています。(データ:ペンシルベニア大学「Best Countries for Entrepreneurship」

会社に勤めながら起業すれば、さらに良い環境を手に入れることができます。
 

コンサルタント
 

開業届を出す、出さないに関わらず、このような副業の方法は「週末起業」とも呼ばれます。週末起業と一般的な副業の違いは、副業が「本業の会社以外に、別の会社の業務に従事すること(アルバイト)」であるのに対し、週末起業は「本業の仕事を持ちながら、自ら事業を起こしてビジネスオーナーになる」ことを指します。
 

「働き方改革」がすっかり浸透しましたね。  プレミアムフライデーは見事に失敗しましたが、厚生労働省がまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は衝撃的でした。「モデル就業規則」から副業禁止規定が削除され、大企業が続々と正社員の副業・兼業を認め始めたのです。(参考:厚生労働省「モデル就業規則について」)ディー・エヌ・エー(DeNA)、ソフトバンク、ユニ・チャームなどの有名企業を始め、金融機関のカブドットコム証券も副業を解禁しました。(※エイチ・アイ・エス(HIS)のように、業務委託や個人事...

 

シフトがあるわけでもなく、自分のペースで働ける仕事を作り込んでいくため、サラリーマンに向いています。時間が自由になるビジネス、利益率の高いビジネスを作れば、週末だけで十分な事業収益を得ることができます。「副業サラリーマン」の課題となりがちな本業・副業の両立もしやすいです。
 

3.まずは月収数万円を目指す「プチ起業」

副業から始める起業のなかでも、もっともローリスクなのが「プチ起業」です。プチ起業とは、いきなり月数十万円~数百万円の事業収益を得ることを目指すのではなく、まずは数万円程度の収益を目指す起業のことです。

家事や育児との両立が必要な主婦・主夫の方や、学業で忙しい大学生・専門学生の方だけでなく、サラリーマンでも「プチ起業」から始めるケースが少なくありません。

プチ起業は、収益性やリスク、リターンを考慮してビジネスを作るというよりは、自分の好きなことや、やりたいことから気軽に始めるスタイルです。その分、成果が出るまでに少し時間が掛かりますが、本格的な起業をする前に練習したいという方は「プチ起業」からスタートすると良い勉強になります。(参考:「プチ起業ならローリスクで誰でも始められる! 3ステップを解説」) 

起業家のサポートを行っている東京都の公益財団法人「TOKYO創業ステーション」も、本格的な起業のためのきっかけとして「プチ起業」を推奨しています。

たとえば、起業してみたい女性をサポートする場である「女性プチ起業スクエア」では、プチ起業を通じて自分の価値観を再発見し、好きなこと・やりたいことから「対価を得る」方法を学び、さらなるアクションへとつなげるためのきっかけづくりを行っています。

  • 働きながらローリスクに起業して、ゆくゆくは事業を大きくしたい
  • 副業で自己資金が溜まってきたら、独立開業や法人設立も視野に入れたい

という方は、起業を体験するきっかけとして「プチ起業」がお勧めです。
 

ポイント 起業は会社員でも始められる! サラリーマンが起業に向く3つの理由

会社員が起業するには?

仲間
 

日本政策金融公庫が「開業時の勤務状況」をまとめた調査によれば「起業家」の5.7%と「パートタイム起業家」のうち42.4%が「現在も勤務しながら事業を行っている」と回答しています。(※パートタイム起業家とは、事業に充てる時間が1週間当たり35時間未満の人。)統計から見ても「働きながら起業すること」は、全く珍しくないことだとわかります。(データ:日本政策金融公庫「「2020年度起業と起業意識に関する調査」

サラリーマンの副業というと「会社に迷惑をかけてしまうのでは」「会社に勤めながら内職をするのは体裁が悪いのでは」というイメージをお持ちの方がいるかもしれません。確かにそういう考え方をする企業もありますが、近年は副業を許可・容認する企業が増えつつあります。
 

「働き方改革」がすっかり浸透しましたね。  プレミアムフライデーは見事に失敗しましたが、厚生労働省がまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は衝撃的でした。「モデル就業規則」から副業禁止規定が削除され、大企業が続々と正社員の副業・兼業を認め始めたのです。(参考:厚生労働省「モデル就業規則について」)ディー・エヌ・エー(DeNA)、ソフトバンク、ユニ・チャームなどの有名企業を始め、金融機関のカブドットコム証券も副業を解禁しました。(※エイチ・アイ・エス(HIS)のように、業務委託や個人事...

 

企業側が副業を推進・容認する理由としては「とくに禁止する理由がない」「社員の収入増につながる」といったもののほか「人材育成・本人のスキル向上につながる」といったポジティブなものもあり、今後も副業解禁の流れは続くでしょう。(参考:株式会社リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」

ここでは、多くのサラリーマンが働きながら起業する道を選ぶ4つの理由を解説します。

これから起業したい会社員の方は、いきなり脱サラするのではなく、働きながら起業する選択肢がないかどうか検討してみましょう。
 

1.サラリーマン起業家は経済的に安定している

会社に勤めながら起業する人が多いのは、サラリーマンは経済的に安定しているからです。本人の能力や勤続年数によって金額は異なりますが、会社に勤めているかぎり、定期的な給与所得を得ることができますよね。

国税庁の令和元年のデータでは、サラリーマンの平均年収は約436.4万円とのこと。事業をしながら、毎年約400万円の固定収入を得ることができるのは大きな助けですね。

サラリーマンの平均年収は、国税庁の民間給与実態統計調査(令和元年)によると436万4000円です。日本経済団体連合会(経団連)の調査だと平均年収は約663万2000円(※)、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和2年)だと平均年収は459万8000円となります。

マイナビニュース「サラリーマンの年収はいくら?業種・年齢別に調査」 より引用

 

サラリーマンであれば夏と冬のボーナスも期待できます。毎月の入金があるため、起業に必要な開業資金の準備には困りません。

すでにご紹介した日本政策金融公庫の調査でも、副業から起業する際に必要だった開業資金は、多くの場合100万円を上回りませんでした。とくにネットビジネスなど、イニシャルコストの低い業種で起業する場合は、開業資金の問題で困るケースはほとんどありません。

ランニングコストについても、サラリーマンとしての給与所得から補うことができます。いきなり脱サラした場合は、事業がうまくいかなくなると毎月の生活費さえ厳しくなってしまうことさえありますが「副業サラリーマン」ならその心配はありません。

会社に勤めて安定収入を得つつ、副業にチャレンジできるサラリーマンは、起業で成功するための多くの条件が整っています。これから起業をお考えの会社員の方は、まずは副業としてスモールスタートし、安定した給与所得を得ながらローリスクに起業しましょう。
 

2.サラリーマン起業家は会社の福利厚生を利用できる

「副業サラリーマン」の強みは、所属する会社の福利厚生を利用できる点にもあります。サラリーマンとして働いていると「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5種類の社会保険に加入することができます。

このうち、健康保険料(介護保険料もふくむ)と厚生年金保険料については、会社と労働者で折半する取り決めがあります。そのほか、雇用保険料は大部分が会社負担、労災保険料にいたっては全額を企業側が負担してくれるため、保険料の支払いについてサラリーマンは非常に有利な立場にあります。

サラリーマンを続けながら起業すると、こうした社会保険の会社負担をそっくり利用できますので、保険料の支払いを抑えながら自らの事業に打ち込むことができます。

しかし、サラリーマンをやめて起業してしまうと、これらのメリットを享受できなくなってしまいます。
 

● 質問WEBサービスを軸とした起業を計画しています。新井さんの言う一人起業、スモールビジネスではとてもできない仕事で、10人程度の社員が必要になります。最初は5人でスタートすることにしています。その場合、個人事業ではなくもちろん法人にし、スタートするのですが、社会保険などはどうすればよいのでしょうか? 教えてください。こちらの記事は従業員の保険をどうするか? の立ち位置で書きます。起業家一人の場合の視点で書いた記事は、こちら(↓↓↓)です。   ● 回答まず「社会保険とは何か」について触れおきましょう。...

 

また、そもそも自営業者では加入できない社会保険も存在します。自営業者とサラリーマンの社会保険の違いを表にまとめました。
 

  サラリーマン 自営業者
健康保険 健康保険組合、健康保険組合(協会けんぽ)などに加入。労使折半に基づき会社が半分を負担。 国民健康保険に加入。原則として全額自己負担。
年金 国民年金と厚生年金の2階建て構造で加入できる。労使折半に基づき会社が半分を負担。 国民年金のみに加入。原則として全額自己負担。
雇用保険 加入できる。労使折半に基づき会社負担分あり。 加入できない
労災保険 加入できる。
労使折半に基づき会社が全額を負担する。
加入できない
介護保険 40歳以上の人は健康保険と同時に加入。 40歳以上の人は健康保険と同時に加入。

 

いきなり脱サラして起業すると、健康保険や年金については全額自己負担となるだけでなく、雇用保険や労災保険などのサポートを受けることもできません。国民健康保険は月々の負担が大きいだけでなく「傷病手当金」や「出産手当金」などの支給を受けることができません。

そのため、仕事中に病気や怪我をしてしまったり、出産や育児などで仕事を休んだりした場合でも、すべての費用を自分自身でやりくりしていかなければなりません。

このように、サラリーマンであることは福利厚生の面でさまざまなメリットがあります。働きながら起業する「副業サラリーマン」なら、こうした福利厚生の強みを活かしつつ、自分のやりたい事業を展開することが可能です。
 

3.サラリーマン起業家は本業の知識を活かせる

サラリーマン起業家は、本業の知識や経験を自らの事業に活かすこともできます。とくに現在勤めている会社と同じ業界で起業する場合は、その業界の収益構造やコスト構造についての経験をそのまま活かせるため、最初から収益性の高い事業経営をすることも可能です。

別の業種で起業する場合でも、自分の強みを活かすことができます。

たとえば、BtoBモデルの企業に勤めているサラリーマンは、製造業者~卸売業者~小売業者といった業界構造についての知識や、顧客やサプライヤーと良好な関係を構築するスキルを自らの事業にも活かせるでしょう。

Webマーケティングの会社に勤めているサラリーマンなら、インターネットを利用した販売促進の知識、顧客の属性(パーソナルデータ)を分析するスキルや、モノやサービスの流通・価格設定などのスキルを幅広く活かすことができます。

専門的な知識やスキルを持っていない場合でも、日頃から経営者目線に立って仕事をしてみることで、ビジネススキルの向上につながります。漫然と仕事をするのではなく、タスク管理やスケジュール管理を意識して行うだけでも、業務効率化や自己管理能力の向上につながります。

本業から学んだことを副業に活かし、さらに副業で学んだことを本業に還元すれば、効率的なフィードバックループを構築することも可能です。

  • 経営者として大きく成長したい
  • 副業を通じて、本業のスキルも高めたい

とお考えの方は、副業での起業がスキルアップのための近道です。
 

ポイント 会社員が起業するときの4つの注意点

会社員が起業するには?

適正
 

しかし、会社員が起業する際は注意すべきポイントもいくつかあります。思わぬトラブルに発展する可能性もあるため、次の4つの注意点を抑えておきましょう。
 

1. 副業に関する就業規則は要チェック

まず、会社の就業規則をチェックしましょう。意外と、就業規則で副業・兼業を禁じていない場合もあります。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によれば、副業・兼業をすることそのものは法律で禁じられていません。

ですが、公務員の方は副業・兼業が禁じられている点に注意が必要です。
 

● 質問公務員なのですが副業できますか? 起業準備はどうすればよいのですか?  ● 回答公務員の副業は、一部例外を除いて「原則禁止」になっています。副業規定の根拠は、国家公務員法と、地方公務員法の2つになります。こっそりやっていても、もしばれてしまえば、会社員が食らってしまうペナルティー以上のものがあり、アウトです。一部の例外とは、株やFX、不動産投資などです。やっぱり、公務員は守秘義務はもちろん、税金をもらっているのですから、公務に集中せよということなのでしょう。では「対策はあるのか?」ということ...

 

会社員の場合は「届け出ればOK」という企業も増えていますので、その場合には堂々と届け出た方が安心です。

ただし、副業が容認・推進されている企業でも、副業の内容によっては就業規則の「懲戒」に該当してしまう可能性があります。たとえば、下記のようなケースに注意が必要です。

  • 競合関係にある副業を営み、会社の利益を損なったケース
  • 副業を行った結果、会社の社会的信用を失墜させたケース
  • 副業と本業の両立ができず、会社の業務に著しく支障をきたしたケース

とくに会社の顧客を自分の事業のために利用したり、会社のサプライヤーや仕入れルートを流用したりした場合は「会社の利益を損なった」と見なされる可能性が高くなります。同業種での起業は法律違反ではありませんが、会社の就業規則で「競業・利益相反」が禁じられている場合は注意が必要です。

もちろん、会社の機密情報を流出させたり、会社の名前を使って反社会的な勢力と関係したりするなど、会社へ直接損害を与える行為も懲戒処分になります。

また、本業と副業の両立がうまくいかず、会社の業務に明らかな悪営業が出てしまった場合も、減給や解雇などの懲戒処分が課される可能性があります。たとえば、長時間の副業を行ったため、本業への労務提供ができなくなった労働者に対し、懲戒解雇処分が課された事例があります。

会社に所属するということは、価値ある労務を提供する義務を負うということです。働きながら起業する場合は、本業に支障をきたさない範囲でスケジュールを管理しましょう。

現時点で、副業や兼業に関する法的規制は存在しません。しかし、とくに会社の利益に相反する可能性のある副業は、余計なトラブルを引き起こす可能性があります。

実際、過去の裁判所の判例でも、就業規則を根拠として、懲戒処分を正当とみなしたケースがあります。サラリーマンをしながら副業する場合は、あらかじめ会社の就業規則の内容に目を通しておきましょう。
 

2.社内の人間関係にも配慮しよう

仲間
 

就業規則や社内規定で副業が容認されている企業でも、職場の人間関係には最低限配慮しましょう。

たとえば、外回りや営業活動中にカフェで副業をしたり、時間前に帰宅して副業したりすれば、いつか同僚や上司にバレてしまうかもしれません。とくに本業での業務が忙しくなる繁忙期にそんなことをしているのが露見すると、悪印象を持たれることは避けられません。もし懲戒処分に当たらなかったとしても、職場での評価や求心力が大きく低下してしまいます。

職場の人間関係でリスクを背負ってしまうと、本業での居心地が悪くなり、ひいては自分のビジネスのパフォーマンスにまで影響してしまいます。

「社内のルールや人間関係に縛られたくないから起業する」という方も少なくありませんが、本業・副業の両立を目指す以上、自分から波風を立てるようなことはやめておきましょう。焦って仕事をしなくても、事業を成功させる方法はいくらでも存在します。
 

3.本業と副業を両立するには体調管理も重要

「副業サラリーマン」によくあるのが、本業と副業のリソース配分を誤り、オーバーワークになってしまうケースです。

繁忙期に差し掛かって本業で体力を消耗したり、副業に夢中になりすぎて本業が疎かになったり、本業と副業の両立に悩む人は少なくありません。精神的・体力的に負担がかからないよう、適切に時間配分する必要があります。

とくに起業するのが初めての方は、最初のうちは余裕を持ってスケジュールを立て、自分のライフスタイルを考慮し、無理のない範囲でリソース配分を行いましょう。
 

4.本業とは別に税金を支払わなければならない

また、意外と盲点になりがちなのが、税金の支払いです。

サラリーマンとして支払う税金は、会社がほぼ全て手続きをしてくれています。起業すると、自分で確定申告をしなければなりません。

確定申告は、その事業年度の1月1日~12月31日までの所得を合計し、税務署に申告します。

副業からの所得が20万円を越えない場合は、所得税の確定申告は不要になります。「所得」は「売上」ではなく「売上-経費」が20万円を超えない場合ですので、売上が20万円を越えていても、確定申告を行わなくて済むケースがあります。
 

実は、この記事を書いている私も、会社に週末起業(副業)がバレた経験があります。取引先が会社トップに対し密告したことが直接の原因、その前にもちろん、私が週末起業のことを取引先に話てしまったことが最大の過ちでした。  その経験から、週末起業をする時は会社に絶対に話をしてはいけない、同僚、上司はもちろん、仲がよくても(この件については)絶対に信用してはいけない、取引先に話すなどもっての外。そのように言い続けています。自分で話してしまうという原因が最も多い週末起業の会社バレなのですが、その他にも、Fac...

 

なお、確定申告を行わなかった場合でも「住民税」の申告は必要です。

通常、住民税の納付金額は所得税と同じタイミングで計算されるため、確定申告をすると自動で「住民税の支払決定通知書」が送付されてきます。しかし、所得税の申告をしていない場合は、自分で金額を計算しておかなければなりません。お住まいの市区町村の窓口に行き、必ず申告を行いましょう。
 

ポイント 起業するには開業届は必要? 開業届を提出する3つのメリット

会社員が起業するには?

税務署
 

サラリーマンをしながら起業する際「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を出すか出さないかで悩む人が少なからず存在します。
 

● 質問私は写真が趣味で、東京の様々な景色を20年以上撮り続けています。同じ場所を同じアングルで撮影することも多く、時代の移り変わりを見ることができる写真の展示ポータルサイトを立ち上げようとしています。アクセスが集まりましたら、広告収入やお店紹介などを行い、お店からの情報掲載料をもらおうと考えています。私はまだ開業届も出していませんし、もちろん、法人化も考えていません。そのような状態ですが、お店と契約をしたり、請求書や領収書の発行をすることはできるのでしょうか?  ● 回答お店紹介となれば、そのよ...

 

メリットデメリットを上のページでご紹介していますので、チェックしておきましょう。
 

ポイント 起業するには情報収集も必須! 起業の勝敗を分ける3つの情報収集術

会社員が起業するには?

自由
 

ビジネスを成功させるには、事前の情報収集が鍵を握ります。本やインターネットで調べ物をする習慣があったり、起業家向けのサロンやセミナーへ積極的に参加したりしている人は、さまざまな発想や考え方にふれることができます。自分の強みや弱みを理解し、スタートさせる事業の客観的な立ち位置を知ることもできるでしょう。

また、手持ちの情報が多ければ多いほど、決断する際の判断材料が豊富になります。ビジネスは自分1人で行うものではなく、競合他社やマーケットなどの外部環境に大きく左右されます。日頃から新しく確実な情報を収集していると、現在の状況が自分にとってチャンスとなりうるか、逆に不利益となりうる要素がないか、迅速に判断することが可能です。

ここでは、起業を成功させるために欠かせない3つの情報収集術をご紹介します。
 

1.まずは本やインターネットで手軽に情報収集を

本やインターネットは、もっとも手軽な情報収集術の1つです。

最近はTwitterやFacebookなどのSNSを通じて発信する起業家が多く、ほとんどコストをかけずに先輩の教えや考え方を学ぶことができます。起業に関する情報を集積したドリームゲートのようなポータルサイトも利用すれば、有益な情報を集中的に手に入れられます。自分と同業種の起業家の体験談やアイデアだけでなく、なるべく幅広い分野の情報を収集することを心がけましょう。

また、起業の成功談だけを追うのではなく「自分はなぜ起業に失敗したか」「あのときどうすれば事業が成功していたか」といった失敗事例から学ぶことも大切です。ただし、SNSで公開されている情報は正確な裏付けがないことが多いため、情報の正確さや新しさはきちんと検証する必要があります。

起業についての書籍を探す場合は、発行年に注意しましょう。起業家を取り巻く環境は年々変化しています。なるべく鮮度の高い情報を手に入れることが、起業家として最前線に立ちつづけるための近道です。
 

2.起業家を対象としたサロンやセミナーに参加する

民間・公的機関を問わず、起業家の支援を目的としたサロンやセミナーは多数あります。起業の心得や、経営者としてのノウハウなどを講師が解説するセミナー形式のものや、先輩起業家と直接会って話ができる相談会のような形式のものがあり「生の情報」を得たい方には最適な方法です。

その分野の専門家たちと直に会ってコミュニケーションがとれる機会はめったにありません。まだビジネスアイデアが固まっていなかったり、税金や法律についての知識に不安があったりするなど、起業についての悩みがある方は、ぜひチャンスを活かしましょう。

起業初心者を対象としたものから、ある程度起業経験があってステップアップを目指したい方向けのものまで、さまざまな人をターゲットにしたセミナーが開催されています。これから起業してみたい方は、自分の興味関心やレベルに合ったサロンやセミナーを選びましょう。

多くのセミナーには募集期間が設定されているため、気になるプログラムは欠かさずチェックしておきましょう。
 

3.国や地方公共団体の起業家支援サービスを利用する

民間企業だけでなく、国や地方公共団体が運営する起業家支援サービスも、これから起業する人にとって情報の宝庫です。たとえば、次のようなサ―ビスが利用できます。

国や地方公共団体は、1人でも多くの起業家を増やすためさまざまな取り組みを行っています。公的機関が運営するセミナーは情報の信頼度も高いため、開催場所が近くにある場合やオンラインセミナーがある場合は検討してみましょう。

ただし、地方公共団体が主催するサービスは、その地域に在住している人しか利用できないことも多いため、あらかじめ公式ホームページなどで確認が必要です。
 

ポイント 会社員が起業するには? まずはローリスクな副業から始めよう

会社員が起業するには?

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今回は、会社員の方におすすめの起業方法や、起業する際の注意点などを解説しました。

「副業サラリーマン」は経済的に安定していて、社会的信用が高いだけでなく、会社の福利厚生を利用できるため万が一の事態でも強いという特徴があります。しかし、会社によっては就業規則や社内規定で兼業・競業が禁止されていたり、社内の人間関係に悪影響を与えてしまったりするケースがあるため、副業する際は周囲の理解を得られるような形で行いましょう。

  • 起業はリスクが大きい
  • 起業したいが、会社をやめた後のことが怖い

とお考えの方は、サラリーマンを続けながらできる副業からの起業がおすすめです。


記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全9冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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