記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
WEBサービスを軸とした起業を計画しています。新井さんの言う一人起業、スモールビジネスではとてもできない仕事で、10人程度の社員が必要になります。最初は5人でスタートすることにしています。その場合、個人事業ではなくもちろん法人にし、スタートするのですが、社会保険などはどうすればよいのでしょうか? 教えてください。
こちらの記事は従業員の保険をどうするか? の立ち位置で書きます。起業家一人の場合の視点で書いた記事は、こちら(↓↓↓)です。
● 回答
まず「社会保険とは何か」について触れおきましょう。一人起業でも「法人」を作った場合、或いは「個人事業」でも5人以上の雇用を作り出した時点で「健康保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」に加入しなければなりません。会社は従業員の「給与」から、健康保険料と年金保険料を代理として徴収し、国や自治体に納める義務が生じます。(参考:freee株式会社「社会保険の加入条件・加入手続き方法・必要書類をまとめて解説」)
今回は、5人で法人を作って起業するということですので、社会保険に加入しなければなりません。あなた自身(経営者)も加入します。(ちなみに、個人事業主で上述の要件に満たない場合には、国民年金や国民健康保険への加入が必要になります。法人の場合は、一人でも厚生年金に強制加入となりますが、国民年金の上積みができるので退職後の備えとして悪くはありませんね。)
また、職務上の災害や怪我に関しては、労働基準法に従い、社員は労災保険給付を受ける権利があり、会社はこの加入も義務となります。雇用保険も同様で、解雇や社員が退職した場合の国の補償として、社員と会社で相互に保険料を負担する必要があるのです。ちなみに、労災保険料は会社が全額負担です。
社会保障は大きな負担になります
社会保障は、独立後の大きな負担となる費用の一つです。健康保険も大きいです。保険料納付の義務はどうしても逃れることはできません。現在、社会保障抜きで雇用を求めるのはまず無理な話ですし、必要最低限のコストとして計算しておきましょう。これは意外と大きな負担となりますので、注意してください。
厚生年金保険料も同じで、こちらも従業員と折半ですが、大きなコストがかかります。従業員を雇うということは、単にお給料を払えばよいというわけではありません。その後ろでかかる膨大なコストがあるわけです。税金と比べても、キャッシュフローとしては、経営に非常に大きく影響する費用負担ですから、やはり創業間もない間、経営基盤の弱いうちは、従業員採用に関しては慎重にならざるを得ませんね。
会社員時代は、被保険者としての立場だけで社会保障を見てしまいます。当然です。自分たちの権利ですからね。どうしたって「社会保障=生活と老後」という側面にばかり目が行きがちです。ですが、経営者となれば、社会保障は義務としての側面が大きくなります。
ただ、義務とはいえ、やはり未来への投資でもあります。従業員の将来や健康を折半して保証し、事業継続のためによりよい人材を長く確保するための手段なのです。ただの「雇用条件の一つ」とだけとらえるのは間違いです。「起業をして人を雇う」ということは、事業収益によって継続し、経営者が現役を退いても、従業員の家族も含めた将来を約束することが使命でもあるのです。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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