記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
雑貨をネットショップで販売しようと思っています。
ネットショップを作成していますが、このまま開業できるのでしょうか? 会社員を続けながらやりたいのですが、経理や税金はどうすればいいのでしょうか?
私の場合、正社員ですが、個人事業主になるということなのでしょうか? 事業主は私ですか? それとも妻にできるのでしょうか?
会社で健康保険と厚生年金を払っていますが、個人事業主になったら国民健康保険と国民年金も二重に支払うのでしょうか?
税務署などのお役所に、具体的に何を手続きするのでしょうか? 青色申告をするべきですか?
● 回答
はい、ネットショップが完成し、お客様が使える状態になったのでしたら開業することができます。受注、梱包、入金確認(振り込み、カード、代引き、その他)、発送、など、準備に漏れがないか、何度も確認しましょう。
次に、会社員のまま副業をする場合に事業形態についてご説明します。
会社員のまま副業をする場合の事業形態
- 法人を作る(株式会社、一般社団法人など)
- 個人のまま始める
- 税務署に開業届を出さずに始める
- 税務署に開業届を出して始める(個人事業主になる)
- 税務署に開業届と青色申告承認申請書を出して始める(個人事業主になり青色申告で始める)
大きく分けるとこのようになります。ですので、必ずしも個人事業主になることが決まっているわけではありません。
現実は、副業をするにあたり開業届を出さない人も多いです。会社員はお給料を会社からもらっているため、独立するという感覚がない、そして、失業手当がもらえなくなるデメリットがあるからだと思います。(参考:「開業届を出すデメリット」)
また、事業を始めたら開業届を出すのが原則であり義務ではありますが、売り上げ規模や副業であることを理由に受理されないケースもあります。
開業届を出さない場合、一般的な副業からの所得は雑所得とみなされます。メインの収入ではなく、補助的な収入といった扱いですね(※開業届を出していなくても、税務署が「この副業は事業でしょ」と判断すれば、事業所得の扱いになります)。
一般的な会社員の場合、雑所得は年間20万円未満であれば所得税の確定申告の必要はなく、副業を始める多くの人はまずこの形態からスタートします。雑所得が年間20万円を超えた場合には、所得税の確定申告が必要になりますので、その辺りの細かいお話は以下のページも参照してください。
開業届を出したら個人事業主になる
開業届を出したら、個人事業主という扱いになります。副業から得る所得は「事業所得」になります(※認められない場合もあります)。会社員のまま個人事業主になった場合、給与所得と通算して確定申告をすることになります(※雑所得と違い、赤字も通算することができます)。
また、どうせ個人事業主になるのでしたら、青色申告を選択した方が得策です。初年度は間に合わずとも、2年目には必ず青色申告を始めるようにしましょう。青色申告には特別控除があったり、赤字を繰り越すことができたり、小規模の事業主に優しい制度です。(参考:「確定申告の青色申告とか、白色とか、よくわかりません。」)
デメリットとしては帳簿をつける手間がかかることがありますが、会計ソフトを導入したり、苦手であれば記帳代行会社や税理士に任せてしまえば良いと思います。余計な心配をしているより、事業に集中した方が得だと思えるのでしたら、投資してしまいましょう。
質問者様の場合、とりあえず今の段階では、事業の立ち上げに注力された方がいいでしょう。開業届などはその後に、雑所得が20万円を超える見込みが立った段階で提出すれば構わないと思います。
開業届の提出は義務ではありますが、罰則はありませんので、売上がゼロのなのに気にしていても時間の無駄だと思います。必要な納税さえきちんと行えば、手続きは後からでも大丈夫です。初年度は事業所得ではなく雑所得での申告になっても構わないでしょう。
名義借りは基本NG
次に、事業主を奥様にするかどうかの件ですが、名義借りは基本NGですので、あくまでも奥様の事業として活動されるのであれば、奥様を事業主にしてください。お勤めの会社の就業規則が副業を禁止しているのであれば、奥様の名前を出した方が安全ですし、質問者様は無償でお手伝いに徹すればいいわけですので、そうしてください。(※その場合、奥様の所得が増えることになりますので、配偶者控除が受けられれなくなる場合もあります。)
国民健康保険と国民年金も二重に支払うのか?
また、健康保険や厚生年金を払っていても、国民健康保険と国民年金も二重に支払うのかというご質問ですが、これは副業+個人としてやっている限り、本業の分だけ支払うことになります。
お役所への具体的な手続きについては、開業届(開業一カ月以内)と、青色申告の承認申請くらいを把握しておけば大丈夫です。準備が整ったら提出をしましょう。
自治体によって、失業保険をもらえなくなるリスクがありますので、必ずハローワークに確認をしておいてください。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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