記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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近年、田舎で起業し、ビジネスを展開する人が増えています。
地方出身者が進学や就職でいったん上京した後、地元に戻るUターンが増加しているだけでなく、都会出身者があえて地方に移住するIターンで田舎起業する人たちが増えています。
田舎での起業が増えている背景には、国策として地方創生や働き方改革が進んでいるほか、地方でもITや物流などのインフラが発達しているからです。
このページでは、田舎で起業を成功させたい人に向けて、田舎の特徴を生かしたビジネスのポイントや、田舎起業する前にあらかじめ考慮しておくべき注意点について解説します。
田舎起業で成功するための3つのポイント
都会には都会の、田舎には田舎の、起業のポイントがあります。田舎起業を成功に導くための大切なポイントを紹介します。
1.田舎起業したい強い動機を持つ
田舎での起業を成功させるためには、地方のビジネス関係者に認めてもらい、地元の人たちから共感やサポートを得ていく必要があります。
開業届の提出や助成金の申請では役所から許可をもらわなければなりません。地方ならではのビジネスを展開するには、地元の農協や漁協から協力を得ていく必要があるかもしれません。また、地方の金融機関に融資を頼むケースもあるでしょう。
地元に縁もゆかりもない者が、地域の人々から共感やサポートを得ながら起業を成功させることができるかどうかは、田舎で起業したい強い動機が必要です。
そうした強い動機を地元の人たちに向けて熱く語ることができれば、共感してくれる人が増えて、支援者や応援者が広がっていくでしょう。
2.勝負できるコンテンツを見つける
商品やサービスが溢れかえっている都会に比べて、地方ではそれらが少なく、不便を感じている人も多くいます。本当は潜在的な需要があるにもかかわらず、人口の少なさから利益が十分に見込めず、大手企業が提供するのを躊躇しているコンテンツもあるでしょう。
また、長年その地域に住み続けている地元民にとっては当たり前すぎて気がつかないことでも、外部から移り住んできた者だからこそ気づくコンテンツもあるはずです。誰も見つけられていない、勝負できるコンテンツを見出すことができれば、地方でも新たな分野を開ける可能性が出てきます。
さらに、その地域ならではの物を発掘し、ブランド化することができれば、地元の人だけでなく遠方からも人を集めることができます。田舎だからと決めつけずに、その地域が持つ本来の魅力や可能性を丹念に調べ上げ、人とは異なる視点から見ていくことが大切です。
少子高齢化や過疎化が進む田舎ほど、実は起業の種は豊富なのかもしれません。
3.インターネットを最大限に利用する
田舎起業が増えている理由として、ネット回線の進化が挙げられます。PCやスマホ、ネット環境さえあれば、田舎であってもビジネスができる時代になりました。
メールやチャット、ZOOMを使えば、クライアントとの会話ややり取りが可能になり、わざわざ足を運ぶ必要はありません。オンラインショップを開設すれば、田舎にいてもネット通販で全国各地に商品を販売できます。
また、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを使うことで、事業そのものや、商品やサービスの認知度アップにつなげることができます。仕事に取り組む様子や商品を作る過程などをSNSに定期的にアップしていきましょう。
SNSは拡散力が高いため、うまく活用すれば広告宣伝費をかけずとも認知度アップや集客につなげることができます。
田舎起業が始めやすい4つの理由
田舎は都会に比べて起業が始めやすいのには、いくつかの理由があります。ここでは4つの理由を紹介しますので、参考にしてください。
1.助成金の活用がしやすい
地方での田舎暮らしには、さまざまな助成金が用意されています。そうした助成金のなかには起業を支援してくれるものも含まれているケースがあります。
助成金の種類や内容、金額は地方自治体によってまちまちですが、転入奨励金や移住資金、引越し費用に加えて、家賃補助や新築住宅購入奨励金、新規開業店舗の改装費用などを提供してくれる場合があります。
2.家賃を安く抑えられる
地方は、都会に比べて家賃が安く抑えられることが大きなメリットです。加えて、一戸建てなどの住宅を無料で貸し出してくれる自治体もあります。
地方で加速する少子高齢化や過疎化、空き家が増えている現状への対策を兼ねているためで、地方への移住促進策として自治体が積極的にアピールしているケースも多く見られます。
3.水道代や食費が安く済む
ガス代や電気代こそ都会と田舎であまり大差がないものの、場所によっては井戸が利用できるなど、水道代はかなり安く済むケースがあります。
食費についても、田舎では新鮮や野菜や魚介類が安く手に入ることが多く、日常生活を営むうえでの出費を安く抑えることが可能です。
4.子どもを保育園に預けやすい
小さな子どもがいる家庭では、保育園に子どもを預けて仕事に専念できる環境が手に入りやすいのも、地方ならではの特徴です。
都会に比べて待機児童が少ないためで、仕事と子育ての両立がしやすく田舎起業を始めやすいメリットといえるでしょう。
田舎起業でのリスクと対策
メリットも多い田舎起業ですが、デメリットもあります。田舎ならではのデメリットやリスクにしっかり目を向けて、事前に対策することが大切です。
人や情報、消費が少ない
都会にビジネスが集中するのは、人や情報が常に集まり、大量の消費活動が日々行われているからです。逆に地方では、人口が少なく市場が小さいため、大規模な集客や消費を見込むことができません。
田舎で集客を前提にした事業を始めるときは、誰をターゲットにして、具体的にどれくらいの売上高や利益を見込めるかなど、しっかりとした市場調査が必要です。
新しい価値観が許容されにくい
地方にはこれまでの古きよき文化を大切にする価値観が今なお根付いており、都会に比べて保守的な場所が少なくありません。起業アイディアがいかに画期的で優れていても、地方の人にはなかなか受け入れらないケースもあります。
地元の人たちに商品やサービスを受け入れられたい、地元の人たちを巻き込みながら事業を展開していきたいと思うのであれば、中長期的な視点に立って、焦らず着実に理解を得ていく地道な努力が大切です。
車両関係費用の出費は多く見込む
公共交通機関が発達していない地方では、車がなければ生活そのものが難しくなります。運転免許証を取得していることはもちろん、生活ができるだけの運転が少なくともできなければなりません。
また、車の維持費については、駐車場代こそ安く抑えることができるものの、そのほかのガソリン代や車検費用などは都会と大差はありません。むしろ、地方では生活や事業に伴って長距離の運転が必要になるため、ガソリン代や車両整備費が増えることを見込んだほうがよいでしょう。
車両に関係する費用は相当な出費になることを覚悟しておくべきです。
田舎の特徴を活かしたビジネスのポイントを理解して田舎起業を成功させよう
高速ネット環境の普及や国を挙げた政策の後押しもあって、にわかに注目を集める田舎起業ですが、起業を成功させるためにはポイントを把握しておくことが大切です。
田舎起業を成功に導くためには、田舎の特徴を生かしたビジネスのポイントや注意点をしっかり理解することが、近道になります。田舎起業をしたい強い動機を持ちながら、ネットの力と勝負できるコンテンツで田舎起業を成功させましょう。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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