自営とは? 自営業を始めるなら知っておきたい事と魅力をわかり易く解説

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

自営とは、自営業ともいわれる働き方です。会社に雇われるのではなく、自分で事業を営むことをいいます。今、在宅勤務を経験し、今までの働き方に疑問を感じた人が自営に興味を持ち始めています。
 

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今回は、自営を始めるなら知っておきたいことをわかりやすく解説します。
 

ポイント 自営と会社員の違いとは?

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自営と反対の働き方が会社員でしょう。一般的な会社員は給与制のため、会社に就職し決まった時間に出社すれば、給与を受け取ることができます。仕事のやり方や働き方は、会社の方針に従うことになります。一方の自営は、給与ではなく売上から経費を引いた残りが受取額になります。

また、大きな違いは納税の方法です。会社員は源泉徴収されて納税します。源泉徴収とは、給与から前もって税金分を差し引き、残りを本人に振り込む方法です。会社が一時的に税金を預かって納税する方法が源泉徴収です。自営は、税金の計算も納税も自分で確定申告をします。そのため、会社員時代は「税金を支払っている」という実感がなかったけれど、自営になったら税金の大きさに驚く人も多いようです。

自営と会社員の違いは、税金の支払い方法からも分かる通り、会社員はいい意味でも悪い意味でも組織に守られ、自営は一匹狼であるということです。
 

ポイント 自営を始めるなら知っておきたい3つのこと

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自営を始めるならば、始める前に知っておきたいことがあります。自営の成功は、事前の準備と覚悟で決まります。事前に以下の3つのことをしっかりと考えて、心の準備から始めてみましょう。
 

老後の資金について

会社員は厚生年金ですが、自営は国民年金です。「老後は2,000万円が必要」という言葉が有名になりましたが、そんなに多額のお金は急に準備できません。自営を始めるならば、国民年金になる覚悟をもって老後の資金の準備も始めましょう。

厚生年金と国民年金は、もらえる年金額が違います。厚生年金は、現役時代にたくさん稼いでいた人ほどたくさんもらえますが、国民年金は最大でも65,075円です(2021年現在)。足りない分は別に用意しなければなりません。自営になったら国民年金基金に加入するなどして、会社員以上に老後のことを考える必要があります。
 

自営を始めた人の成功率

「自営を始めたら給与が会社員時代の2倍になった」や「人間関係に悩まなくなった」など、自営を始めたくなるような言葉ばかりが目に入るものです。しかし現実は厳しいです。自営を始めた人で1年続けられる人は半分以下、10年後には6%しか残らないともいわれています。

続かない理由はさまざまですが、実は共通している理由もあるのです。それは「準備不足」です。資金の準備、市場調査の準備、知識の準備、事業計画の準備のどれかひとつでも欠けていれば、自営を継続させることは難しくなります。「自営を始めたい」と思うと起業や開店を焦りがちですが、急ぐからこそ準備を怠らず、会社員のうちに準備することが自営を成功させるコツです。
 

起業後の生存率には諸説あります。データを見ると・・・起業してから3年後で約1割、5年後で約2割、10年後で約3割、20年後で約5割の企業が姿を消しているということです。中小企業庁や国税庁、日経新聞と色々な統計がありますが、20年後生存率で50%くらいになります。(参考:「起業で失敗する割合は10年後で30%!失敗事例やその対処法を解説」)フリーランス(個人事業)の廃業率についてはもっとひどい状態です。少し古いデータの解説になりますが、次に起業から3年経過した時の廃業率について確認していきましょう。今回参照...

 

外からのイメージ

自営は、自営業者やフリーランスや個人事業主とも呼ばれますが、呼び方が変わっても外からのイメージには共通点があります。それは「不安定」や「何をやっているのかわかりにくい」というイメージです。

会社員ならば会社名や役職を言うだけで社会的な立場を伝えることができます。さらに会社員といえば安定した収入がある人です。しかし、自営は「自営です」と言っても立場も内容も伝わりません。そのため、住宅ローンやクレジットカードの審査は、会社員よりも慎重に行われます。

自分のイメージや立場を守るためにも、自営を始めるならば安定した収入を生み出す努力が必要なのです。
 

ポイント 自営を始めるなら知っておきたいメリット

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自営の厳しい面についてお話ししましたが、自営には会社員では感じられない喜びやメリットもたくさんあります。ここからは、自営のメリットについてお話ししましょう。
 

家族と一緒に仕事ができる

会社では嫌な上司や同僚とも一緒に働かなければなりません。しかし自営は、自分の好きな人と一緒に働くことができます。もちろん家族と一緒に働くことも可能です。

自営を始めたら、確定申告をして納税をします。家族を従業員として雇い給与を支払った場合、青色申告ならば経費として計上することができます。ただ、青色申告はお金の流れを複式簿記で記帳する必要があり、白色申告にとどまっている人もたくさんいます。(※白色申告でも事業専従者であれば、事業専従者控除を受けることができます。)事業専従者とは、15歳以上の納税者と生計を同じにする人で半年以上事業に従事した人です。
 

● 質問個人事業のまま、嫁さんを従業員にしてお給料を払う場合について教えてください。  ● 回答青色専従者給与のことですね。青色専従者給与とは、同一生計の配偶者等に支払った給与を経費にすることができる制度です。要するに、たとえば旦那さまが個人事業をしている場合、奥さまやお子さんに仕事をお手伝いしてもらい、その報酬にお給料を払って、経費として計上することができるという仕組みです。 青色事業専従者給与とはどういうもの?青色事業専従者給与は、事業に携わっている家族に対する報酬を青色申告者の所得から控除...

 

自営は、ただのお手伝いではなく、家族ぐるみでひとつの事業に取り組める楽しさがあります。
 

がんばり次第で収入が増やせる

自営は収入が不安定です。会社員ならば、どんなにがんばっても基本給は決まっています。しかし自営は、がんばって売り上げを上げたら、すべて自分の収入になるのです。不安定という言葉にはマイナスのイメージがありますが、右肩上がりになる可能性もあります。

老後の資金についてお話ししましたが、老後についても自営にはメリットがあります。それは自営には定年がないということです。自分が元気ならば80歳になっても90歳になっても現役で働くことができます。会社員は60歳もしくは65歳で定年になり、それ以降の収入はゼロか激減です。体が元気なのに仕事がなくなることは、お金以上につらいことかもしれません。
 

● 質問あと4年ほどで定年退職となります。65歳まで再雇用はしてもらえるのですが、もう会社員人生は終わりにしたい気持ちが強く、できれば残りたくないのが本音です。ですが、この先何年生きるかもわからず、健康でいられるかどうかも分からないことを考えれば、元気なうちは働かなければならないと思います。人生100年と言われ、ちょっと疲れ気味です。  ● 回答定年が70歳になる方向で進んでいますが、多くの企業にはそんな体力はありませんから、逆に中高年に早めに去ってもらうためにあれこれ動く企業もでてくるでしょう。やはり...

 

自営は、自分次第で収入を増やしたり、老後をうんと遅らせたりすることができます。
 

やりがいがある

自営の一番のメリットはやりがいです。誰かに雇われるのではなく、自分で事業を運営することは、リスク以上にやりがいを感じるでしょう。

自営は、経理や総務、生産管理からマーケティングまですべてを自分でやります。幅広い知識と情報収集が必要になり、毎日がインプットとアウトプットの繰り返しです。それでも「やらされている」のではなく能動的に行動する毎日はやりがいだけでなく、生きがいも感じるのではないでしょうか。

自営は、人と人とのつながりが広くなります。たくさんの人と出会うことは自分の視野を広げます。自営で成功している人は、人との出会いをきっかけにして当初の目標よりも大きな目標に取り組み事業を拡大しています。自営は、自分の考え方次第でいくらでも限界を超えられる働き方です。
 

ポイント おわりに

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40代女性
 

自営で生き残る確率はけして高くはありません。1度目のチャレンジで成功するとも限りません。しかし、険しい山ほど登ったときの達成感は大きいものですし、会社員のうちに準備をしておけば怖いことではありません。

「あのとき思い切ってやっておけばよかった」という後悔をしないためにも、いきなり会社を辞めずに準備をしっかりと行い、自営への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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