フリーランスのメリット・デメリットを2026年版で再整理

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

フリーランスは気楽な働き方ですが、26年・60,000人の支援現場で見てきたのは「気楽さの代償」を理解した人だけが2年目以降も続いている現実です。2024年11月にフリーランス新法も施行され、環境は大きく変わりました。

本記事では、最新の法令・統計を踏まえてフリーランスのメリット・デメリットを再整理し、起業18フォーラムの会員さん事例から「続く人と離脱する人の分岐点」を解説します。

フリーランスを目指す人

この記事でわかること

  • フリーランス=個人事業主と一人社長の総称。税制・社会保障・信用力で大きな差が出る
  • 2024年11月施行のフリーランス新法で、報酬支払期日60日以内・取引条件の書面化が義務化
  • 内閣官房令和4年度実態調査ではフリーランス人口は462万人。ランサーズ「フリーランス実態調査2024」では1,303万人と幅がある
  • 26年支援現場で見た「2年目で離脱する人」の3つの共通パターン
  • 会員さん体験談:気楽さの罠を越えて月収40万円超を実現した会社員からの軌跡

フリーランスとは「個人事業主」と「一人社長」の総称です。異なる点(メリット・デメリット)はたくさんありますが、大きな違いの一つが所得の計算です。

個人事業主は、事業で得られた収入から経費を差し引いた「事業所得」に対して所得税がかかります。所得が多ければその分、累進課税で税率も上がります。法人にした場合は、自分で自分に役員報酬(給料)を払い、その給料に対して所得税がかかります(※法人税もかかります)。

個人事業主として開業するのと法人を作るのと、起業準備の段階ではどちらが正解ですか?
● 質問 起業準備を進めており、そろそろ形にしたいと思っています。個人事業主として開業届を出すべきか、最初から

法人にする大きなメリットは、会社としての社会的信用度が高いこと。金融機関から融資を受けやすく、取引先からも安心感を持って受け入れられます。ただし、設備投資・社会保険・経理などの責任も重くなり、個人事業主の自由さに比べると準備も運営もそれなりに大変です。

会社員のまま起業準備を始める場合は、まず個人事業主から小さく実績を積むのが鉄則です。知り合いを相手に経験を積み上げ、自己資本が小さくても、多少の債務があっても、個人事業であればいつでも自由に始められて、廃業も簡単です。自分の裁量だけでできることは、何より気が楽なのです。

ポイント フリーランス新法(2024年11月施行)で環境はどう変わったか

2024年からの新法令と現場への影響

フリーランス仲間

2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称・フリーランス新法)が施行されました。これは、公正取引委員会と中小企業庁が運用する、フリーランスの取引を保護する初めての包括的な法律です。

主な義務化ポイントは以下の通りです。

フリーランス新法の主な義務(発注事業者側)

  • 取引条件の書面(または電子データ)による明示(業務内容・報酬額・支払期日)
  • 報酬支払期日のルール化(物品等の受領日から60日以内)
  • 不当な報酬減額・買いたたき・受領拒否の禁止
  • ハラスメント対策の義務化(相談窓口の設置等)
  • 育児・介護等への配慮義務

これまでフリーランスが泣き寝入りしていた「支払いの遅延」「契約書なしの口約束」「一方的な報酬カット」が、法律違反として明確に位置づけられました。違反した発注事業者には公正取引委員会から勧告・公表・命令が下る可能性があります。

起業準備段階のあなたが意識すべきは、新法を「自分を守る盾」として使えるようになったということです。取引先と話す際に「フリーランス新法に基づき、書面での条件確認をお願いできますか」と切り出せると、舐められにくくなります。これは26年で初めての大きな環境変化です。

ポイント 個人事業主・法人・会社員の立場別メリット比較

立場ごとの強みと弱みの整理

ビジネスモデル比較

「フリーランスがいいのか、法人がいいのか、会社員のままがいいのか」。これは起業18フォーラムでも頻出の質問です。立場ごとの違いを整理してみましょう。

観点 個人事業主 法人(一人社長) 会社員
開業/設立コスト 0円(開業届のみ) 合同会社6万円〜・株式会社24万円〜
税制 所得税(累進・最大45%) 法人税(実効税率約23%)+役員報酬への所得税 給与所得控除あり
社会保険 国民健康保険+国民年金(保障薄) 健康保険+厚生年金(手厚い) 健康保険+厚生年金(会社折半)
信用力 中(融資・賃貸契約で不利な場面あり) 高(在籍中に限る)
時間の自由度 中〜高
育児・傷病時の保障 薄(出産手当・傷病手当なし) 中(要設計) 手厚い
青色申告特別控除 最大65万円 ─(法人は別制度)

国税庁「令和6年分申告所得税標本調査」によると、個人事業主のうち青色申告選択率は61.3%。65万円控除を受けられるかどうかは、初年度の手取りに大きく影響します。最初は個人事業主→法人化の二段階が、現場でも最も成功率が高いパターンです。

ポイント リスクマネジメントと「気楽さの代償」

フリーランスを2年目以降も続けるための備え

フリーランスのリスクマネジメント

フリーランスのメリット・デメリットを考える時「リスクマネジメント」について語らない訳にはいきません。

フリーランスはリスクが比較的小さいと言えます。不測の事態が起こった際でも方針を転換したり、撤退することを、大手と比較すれば簡単に決断できます。代わりに、自分の信用や身体的な体力など、代わりの利かない要素も多くあり、全ては自分次第です。

売上の急変にも対応できないことが多く、天候や立地条件、タイミング、ライバルの動きなど、外部要因に大きく左右されてしまった場合は、苦しい局面を迎えることもあるでしょう。

26年・60,000人の支援現場で見てきたのは、フリーランスを2年目以降も続けている人と、12〜18ヶ月で離脱する人の間に、明確な3つの違いがあるということです。

2年目で離脱しやすい人の3つの共通パターン

  • パターン①:単発の仕事(フロー型)だけで埋めてしまい、ストック型収入をつくっていない
  • パターン②:気楽さに甘えて、毎月の見込みキャッシュフローを記録していない
  • パターン③:孤独に耐えられず、相談相手がいないまま意思決定の質が下がる

これは、拙著『起業の教科書』で「ストック思考 vs フロー思考」として取り上げている考え方です。単発で消費される収入(フロー)だけで生計を立てると、毎月ゼロからの綱渡りになります。講座・サブスク・継続契約など、積み上がる収入(ストック)の比率を、開業1年目から意識的に増やすことが、フリーランス2年目を生き延びる鍵です。

ポイント 会員Mさんの体験談:気楽さの罠を越えて月収40万円超まで

在職中スタートからストック設計に至るまで

起業18フォーラムのミートアップ

起業18フォーラムの会員Mさん(39歳・元IT商社の法人営業を14年)は、典型的な「気楽さの罠」にハマりかけた1人です。

会社員時代に身につけた営業力と業界知識を活かし、独立直後はクラウドソーシング経由でWeb系の単発案件を受注。1年目は月22万8千円〜45万円の振れ幅で売上が乱高下し、精神的に消耗していました。「自由な時間がある=気楽」のはずが、いつ次の依頼が来るかわからない不安で、カレンダーが空くたびに焦って単価の低い案件まで取ってしまう状態だったのです。

起業18フォーラムの勉強会に参加したのは、独立から13ヶ月目。「フローばかりで自分の時間を消費している」と気付いたタイミングです。月1回の有料コミュニティ運営とBtoB向けの月額コンサル契約を、自分の経験から設計し始めました。

転機は18ヶ月目。継続契約3件で月22万円のストック収入が安定したことで、単発案件を選別する余裕が生まれました。2年目は月収平均40万円超、3年目は月収70万円台で安定するまでに至りました。

Mさんが語ってくれたのは、「気楽さは、設計してこそ意味がある。設計しない気楽さは、ただの不安定」ということ。これは、フリーランスとして長く続けるために、最初に意識しておきたい言葉です。

ポイント 社員を抱えるリスクとフリーランスのリスクの違い

人を雇うかどうかの判断軸

フリーランス

フリーランスは、何より「気楽」です。一人でやっている場合には「社員がいないこと」もある意味ではメリットになります。社員は、雇用されて給与を受け取ることを「もらえて当然の労働対価」と捉えます。もちろん、それは正しいのですが、経営者側からすれば「事業の存続」が最重要課題であり「利益を上回る給料は払えない」のが現実です。だからこそ経営者は、コストの無駄を省き、サービスを揃え、収益を高めようとします。それが当たり前の感覚になります。

一部の社員は「労働対価=仕事をしているかどうかはともかく、会社に拘束されている時間に対する対価」と考えていたり「与えられた最低限の仕事をやるだけ」という感覚を持っていることがあります。時間に関しては確かに正しいのですが、零細企業でそのような人材が増えてしまった場合、経営は危機的な状態に陥る可能性が出てきます。結果、経営者が自分で仕事をすることが多くなり、さらに経営が危うくなるのです。

そのような心配もなく、自分のできる範囲で効率性、単価アップを追求し続けられるのは、フリーランスのメリットでありリスクでもある特徴です。中規模以上の企業に勤めるサラリーマンとフリーランスは、今後ますます二極化していくでしょう。

日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」によれば、開業時の斯業経験は平均14.7年で、勤務経験のある人が97.9%、斯業経験のある人も83.1%にのぼります。「自分の現在地から地続きで広げる起業準備」が、2026年現在もっとも成功率の高いスタイルです。

ポイント よくある質問(FAQ)

フリーランス開始前の不安と疑問への回答

起業前質問集

Q:フリーランスは個人事業主と何が違いますか?

A:「フリーランス」は働き方の呼称、「個人事業主」は税務上の区分です。フリーランスは法人化(一人社長)も含む広い概念で、個人事業主は税務署に開業届を提出した個人を指します。一人社長として法人を作ったフリーランスもいれば、開業届を出さずに兼業的に活動している人もいて、すべて「フリーランス」と呼ばれます。

Q:開業届は出すべきですか?

A:青色申告で65万円控除を使うなら必須です。事業所得があるのに開業届を出していないと、白色申告になり所得控除の恩恵を最大化できません。国税庁の調査では個人事業主の青色申告選択率61.3%で、控除の差は手取りに直接影響します。

Q:フリーランス新法は私にも関係ありますか?

A:あなたが個人事業主としてBtoB(法人取引)の仕事をしているなら、関係します。発注事業者側に「取引条件の書面化」「報酬60日以内支払」「ハラスメント対策」が義務化されているため、自分から条件確認を依頼しやすくなりました。違反は公正取引委員会の勧告・公表対象です。

Q:フリーランス1年目で気をつけることは何ですか?

A:①売上の月次記録、②国民健康保険・国民年金の口座振替設定、③青色申告承認申請書の提出(開業から2ヶ月以内)、④ストック収入の設計(単発案件だけで埋めない)、⑤孤独対策(相談相手・コミュニティ)の5つです。特に④と⑤は、26年支援現場で「2年目で離脱する人」の共通課題です。

Q:会社員のまま準備した方がいいですか、いきなり独立した方がいいですか?

A:在職中スタートが圧倒的に有利です。日本政策金融公庫の調査でも、開業時に貯蓄や本業収入があった人は資金繰りで困りにくく、生存率が高いことが示されています。会社員特権(厚生年金・健保・住宅ローン審査)を残したまま、夜と週末で月10万〜20万円の実績を作ってから本格独立するのが、起業18フォーラムの推奨パターンです。

Q:フリーランスの平均年収はいくらですか?

A:職種により大きく異なります。Findy「2026年最新調査」によれば、フリーランスエンジニアの平均月単価は約80万円(年収換算900万円台)。一方、内閣官房調査ではフリーランス全体の中央値は会社員と同水準〜やや下程度。エンジニア・コンサル系は高単価化が進む一方、デザイン・ライティング系はAIの影響で単価圧力もあります。「平均」より「あなたの専門性で実現できる単価」を見ることが重要です。

ポイント まとめ:気楽さは「設計」してこそ続く

2026年版・フリーランスの本当のメリット

フリーランス

フリーランスは確かに気楽な働き方です。しかし、26年・60,000人の支援現場で見てきたのは、「気楽さは、設計しないとただの不安定になる」という現実でした。

2024年11月のフリーランス新法施行で、契約書面化と報酬支払期日のルール化が義務付けられ、外部環境はかつてないほど整備されました。しかし、内部の設計(ストック収入の比率・キャッシュフロー記録・相談相手の確保)は、結局自分で組み立てるしかありません。

会社員から起業準備を始めるなら、まず個人事業主として小さく実績を作り、月収22万円超のストック収入を設計してから本格独立する。焦らず、設計しながら進めれば、フリーランスは2年目・3年目とどんどん楽になっていきます。気楽さは結果として手に入る、というのが現場の真実です。

フリーランスになろうか迷っているけど、会社員と比べて実際どっちが得なの?
税金、保険、年金、融資の4つの観点から徹底比較した結果を、わかりやすくまとめてお届けします。 結論から言え

これからフリーランスを目指す方が、新法を味方に、ストック思考を武器に、長く続く働き方を実現できることを心から願っています。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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