記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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今回は、マネーの虎「伝説の神回」のひとつである、小林社長に怒鳴られたうどん屋さんについてのお話です。
皆様は「マネーの虎」というテレビ番組をご存じでしょうか? マネーの虎は、起業したい人が、投資家の前で事業計画をプレゼンし「マネー成立」となれば希望額を出資してもらえるという、2001年から2004年まで日本テレビで放送された人気番組です。「料理の鉄人」のように、フォーマットとして海外に輸出されたことでも知られています。
マネーの虎に出てくる虎は、いかにも昭和の人たち。放送回によっては、プレゼンをする志願者が虎たちの怒りを買い、厳しい言葉を浴びせられます。殆どの放送では、一人の虎が怒っても、他の虎が「僕は良いと思う」などとフォローするのですが、全ての虎にボコボコにされた挙げ句に「ノーマネー」を宣告された志願者がいました。
それが、この記事で紹介する志願者「うどん屋さん(樋口さん)」です。
樋口さんは、番組での話によれば、東京に来て給食会社に10年勤め、米炊きや配送を経験。番組出演当時は37歳、大手牛丼チェーンのアルバイトでした。今聞けば「正しかった」とも言えるプレゼンですが、当時の虎たちは大激怒。特に怒ったのは「らんぷ亭」などを経営していた小林事務所の代表取締役・小林敬さんでした。
- 堀之内九一郎(54歳当時)年商50億
(株)生活倉庫 代表取締役社長 - 小林敬(44歳当時)年商56億
(株)小林事務所 代表取締役 - 加藤和也(30歳当時)
(株)ひばりプロダクション 社長 - 川原ひろし(37歳当時)年商5億
(株)なんてんかんでん 社長 - 高橋がなり(43歳当時)年商60億
ソフト・オン・デマンド(株)社長
ちなみに、、この放送回には出演されていませんが、現在の南原会長です。虎ノ門・株式会社LUFTホールディングス事務所にて、パチリ。
うどん屋さんのプレゼンはどうだった?
樋口さんは、東京日野市で、低価格(かけうどん1杯250円目標)の讃岐うどん店(手打ち・セルフサービス)を出すための資金として、虎たちに2000万円を出資してもらおうとプレゼンに臨みます。
お店のコンセプトは当時としては斬新。お客様が調理に参加する形で、振るいザルに丼のうどんを入れ、自分の食べたい茹で加減にすることができるというもの。たとえば、若い男の人ならコシのあるピンピンとしたうどんに、ご老人なら柔らかいうどんに、それぞれの嗜好に合わせた讃岐うどんを提供できるお店にしたいと言うのです。
演出なのか、人件費削減のためか、という高橋がなり社長からの質問に対し、樋口さんは「食には驚きが必要だ」と答えています。これは、デカ盛りに象徴されるような、今もグルメ番組では必ず求められる条件であり、アイキャッチとして正しい戦略であったと思います。
小林社長は、関西風のうどんが東京で受け入れられるのかを心配します。樋口さんは、うどん(麺)と汁の組み合わせが大切だと、虎を説得します。いつも厳しい堀之内社長からは、なぜうどん屋をやりたいのかと質問され、樋口さんは「美味しいうどんを食べさせたい」と答えています。
虎たちが激怒! その理由
しかし、プレゼンが進む中で「うどん店で働いた経験がないこと」を指摘され、また、事業計画書の内容が未熟であったことから、空気が一変します。虎たちが特に怒ったのは「土地付きの店舗を購入してそこに住もうとしていること」でした。
樋口さん「失敗はしない」
小林社長「国金とか銀行に持っていったって、鼻で笑われるか、しゃべってももらえないですわ」
加藤社長「自分もそこに住もうと?」
次第に空気が悪くなっていきます・・・。
川原社長から出た、核心を突いた決定的なひと言。そして・・・
そして、ついに・・・
今も伝説となっているひと言がさく裂します。
その後、ソフト・オン・デマンド創業者の高橋がなりさんは「悪意のない泥棒は一番たちが悪い」と言い残して退席。そしてノーマネーでフィニッシュとなります。
しかし、さらに修羅場が・・・。ノーマネーが決まった後の樋口さんの開き直ったような態度に、小林社長が・・・
と再び激怒。
樋口さんは、番組の最後で小林社長に謝罪し、激励の言葉をかけてもらうのでした。
その後の樋口さんのうどん屋開業計画はどうなった?
放送から、数十年の月日が流れました。今、樋口さんは、うどん屋さんとして成功されています。現在のお店は、東京の高幡不動近くにあります。
今はセルフサービスのお店ではなく、一般的なスタイルのうどん屋さんです。
あれだけ虎に怒られた樋口さんの事業計画。なぜ、彼は成功できたのでしょうか? そのことについて、2ちゃんねる創設者・ひろゆきさんがYouTubeで言及しています。
ひろゆきさんは、樋口さんの出演回について説明した後、プレゼンにおける樋口さんの「口下手さ」を指摘します。樋口さんは、虎たちに怒鳴られて涙目になってしまうほどの人でした。虎たちの怒りを買った「土地付き店舗の購入」も、本当は仕事に集中するため、24時間を店舗兼住宅で過ごすという決意表明だったのですが、それをうまく説明できなかったのです。
まとめ
画像出典:手打ちうどん咲楽ホームページより
樋口さんの成功は、ひろゆきさんの解説の通り、24時間を店舗兼住宅で過ごし、障害を持つお子様の近くにいながら全力で働いた結果です。
番組での激突は、樋口さんが計画した店舗型飲食店のミニマムと、社長たちがイメージしたミニマムの違いから生じたものであり、虎たちが怒った理由は、要するに「もっと小さく、手堅くできないのか?」と言っており、両者の目指す方向、想いは同じだったのです。
これから起業を目指す人にとって、大変勉強になる、素晴らしい神回と言える内容でした。
樋口さんの努力と成功に、心からの祝福を、そして、感謝の気持ちを送りたいと思います。高幡不動は私の実家のすぐ近くなので、今度ぜひ、お邪魔したいと思います!
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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