記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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法人格を持った会社には・・・
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
- 有限会社
があります。このうち、有限会社は有限会社法の廃止によって新設できません。また、合名会社と合資会社は一般的ではないといえます。
そのため、会社を設立するという場合、多くは株式会社か合同会社の設立が該当します。なかでも、対外的な信用度などを考慮すると株式会社を選択したいと考える人が多いのではないでしょうか。
そこで、今回は株式会社の設立のために必要な手続をご紹介します。
起業18では、会社員の間の法人設立はお勧めしていません!(なるとしても個人事業主までで十分です。)理由は、手間暇、費用、そして会社バレです。副業解禁時代と世間は煽りますが、上司、同僚からの心証を損なう可能性がある以上、積極的に公開することは様子を見てください。
法人化する場合には、必要な手続きは10個です。意外と簡単かもと思うかもしれませんね。
会社設立に必要な10の手続き
1.事業目的や内容を決める
漠然と会社を設立するといっても、何をする会社なのかが決まっていなければ設立も事業活動もできません。まず、最初に決めるべきことが事業目的と事業内容です。それによって、会社の規模や所在地、初期投資などが見えてきます。
また、発起人として創業メンバーを何人集めるのか、取締役会を設置するのか、自分だけで起業するのかも決めておきます。決算月をいつにするかなど会社設立後に影響する諸々も決めます。
2.資本金を決める
資本金の額と株主の出資割合の決定は、より重要なポイントです。最初の資金繰りともいえる場面だからです。決めた資本金は実際に払い込まれなければならないものですから、いい加減な決め方はできません。
また、事業内容によっては最低額による制限がありますので、自分が始める事業が資本金の制限を受けないかを確認する必要があります。
3.会社名と本店所在地を決める
主な事業にマッチする名前にするのか、気に入った言葉を付けるのかなど、会社名を決める基準はそれぞれです。看板となる会社名をコロコロ変えるわけにはいきませんので、しっかり考えて決める必要があるでしょう。
本店所在地ですが、はじめは自宅の一室でも大丈夫です。オフィスを借りられればそれに越したことはありませんが、無理して家賃の高いところを借りるのは考えものです。
4.ハンコを作る
会社としてなくてはならないもののひとつがハンコです。
- 代表印
- 銀行印
- 社印
通常はこの3種類のハンコを作ります。
それぞれの機能としては、代表印が会社の実印であり、銀行印は銀行口座への届出印、社印は見積書や請求書などの簡素な書類に押すハンコとして使用する会社が多いです。
代表印の形状としては丸型が主流であり、社印は四角が主流であることから、それぞれ丸印、角印とも呼ばれます。すべての機能を代表印で賄うことも可能ですが、リスクが高まるため、3種類とも作ることをおすすめします。
その他、丸型の認印を作り、代表印の変わりに用いる会社もあります。実印を普段使いしないための工夫です。
5.資金を準備する
会社設立のためには、手続その他に必要な資金を準備する必要があります。
株式会社を設立するのに、最低限必要な費用は次のとおりです。
ア 認証手数料5万円
イ 謄本手数料1枚250円大体8枚2000円くらい
ウ 印紙代4万円。ただし電子定款のときはなし
エ 設立登記に必要な登録免許税15万円か出資額の1000分の7のいずれか高い額。
オ このほか、募集設立の際には、払込保管証明書約2万5000円
カ これに加えて、代表者印の作成費用、印鑑登録証明書代がかかります。
ちなみに、1円会社と呼ばれる資本金1円の会社も法的には設立できますが、実際に会社の運営を行うにあたり、資本金が1円ではどうにもならないでしょう。事業内容にもよりますが、一般には、数百万円程度は用意したいといわれています。
6.定款の作成と認証
定款とは、その会社が何ものであるのかを明確にした決まりごとであり、会社の憲法とも言われます。会社設立のためにはこの定款を作成し、認証を受けることが必要です。
定款には、その記載がないと定款として認められない絶対的記載事項と、記載することで効力を持つ相対的記載事項、記載することで規則性を高める任意的記載事項の3事項を記載します。
最低限必要となる絶対的記載事項は、以下の6項目です。
絶対的記載事項は、定款への記載が必須なものです。記載すべき項目は法律により定められており、ここに漏れがあると、定款そのものが無効となってしまいます。
絶対的記載事項は、以下の項目です。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 会社の設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 発行可能株式総数 ※
※ 発行可能株式総数は、会社法第27条で定められた絶対的記載事項には含まれませんが、原子定款に記載をしなかった場合、会社設立(登記)までの間に、発起設立の場合には発起人全員が同意したうえで、定款に追記をしなければなりません。
ただ、実際に定款を作成する場合には、絶対的記載事項以外の項目、相対的記載事項と任意的記載事項についても記載するのが一般的です。
マネーフォワード「定款の記載事項の要点まとめ」 より引用
作成した定款は、公証人役場で認証を受けます。この認証を受けるまでは定款として認められず、会社を設立することもできません。
7.資本金の振込みと証明書類の用意
定款の認証が終われば、各出資者(発起人)が資本金を自己の名義で口座に振り込みます。このとき使用する口座は、代表取締役となる発起人の個人名で開設した口座です。この段階では会社は登記前のため、個人の口座となってしまいます。
また、名義人が取りまとめて入金する形でもOKです。資本金の振込み(払込)が完了したら、払込証明書に通帳のコピーを添付して証明書類を用意します。コピーする箇所は、表紙と名義人欄のページ、実際に入金した記録のページです。
8.法務局で商業登記
法務局では設立登記申請書を提出します。主な必要書類を下に記しておきます。
- 会社設立登記の必要書類:全ての会社が必要な書類7点
- 登記申請書
- 登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
- 登記すべき事項を保存したCD-R
- 定款
- 取締役の就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑(改印)届出書
- 会社設立登記の必要書類:場合によっては必要となる書類4点
- 発起人の決定書
- 代表取締役の就任承諾書・監査役の就任承諾書
- 取締役全員の印鑑証明書
内容に問題がなければ登記され、問題があれば補正の指示が出ますので対応しましょう。
設立登記申請は、管轄の法務局で行う必要があります。登記の申請には、直接窓口へ出向く方法のほか、郵送する方法、オンライン上で申請する方法があります。
商業登記まで完了すれば、晴れて会社が誕生したことになります!しかし、そのままでは事業活動を行ううえで不備があるといえます。引く続き必要になる手続きを処理しなければなりません。
9.登記事項証明書等の入手
会社を設立したら、各種の手続きに必要となる登記事項証明書と印鑑証明書をとっておきます。手数料として登記印紙の購入が必要です。
10.関係する官公署への届出
会社を設立すると、関係する各役所への届出も必要となります。
一般的に、税務署には法人設立届出書や青色申告承認申請書などの手続きを、都道府県税事務所や市区町村には法人設立届出書の手続きをしに行きます。税金関係はしっかりと手続きを行なっておかないと後々面倒です。また、年金事務所では社会保険の手続きを、ハローワークでは労働関係の手続きを行います。
最新の情報をチェックしよう
ここまで、株式会社の設立にあたって必要な準備や手続きをみてきました。
手続きの詳細や必要種類は、個別の案件で変わってくることがあります。また、法令の改正により内容が変わることもあります。そのため、実際の会社設立にあたっては、最新の情報をチェックするようにしてくださいね。
慎重にやれば難しくないともいわれる会社の設立ですが、不安があるようなら専門家のアドバイスをもらったり、専門家に依頼したりすることも考えましょう!
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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