社長の給料はいくらにしたらいいの?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

社長になって年収3000万円を得るという目標があるのですが、そのために法人を設立し、一気にビジネスをやっていきたいと思います(ちなみにアイデアはまだ構想段階です)。

その場合なのですが、社長(私)の給料は、いくらくらいにしておけば妥当なのでしょうか? 基準などがあれば教えてください。一般的にはどうなのでしょうか?
 

起業前質問集
 

● 回答

社長の給与(役員報酬)に関しては、一律の答えはありません。年収3,000万円にする場合は多額の所得税が発生しますので、その辺りも一応頭に入れておいてください。(参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

社長の給与は、通常であれば、会社の収益状況から考えることになります。売上が無いなら払えませんからね。ですが、初年度は一般的な会社員の給与程度、或いはそれ以下で特に問題はないでしょう。

現実的には、あなたが会社のオーナーである限りは、社長の給料(役員報酬)など、結局は見かけ上の資金移動に過ぎないので、それほど深く考えなくてもよいということです。法人化されるのでしたら税理士さんと契約されると思いますので、相談されて節税などの観点からアドバイスを受けるとよいと思います。
 

ポイント その前に、社長の給料とは?【基礎知識】

社長の給料はいくらにしたらいいの?

お金
 

社長の給与とは「役員報酬」のことですね。個人事業主は売上げから経費を引いた残りが自分のものという考えになりますが、法人化すると自分で自分にお給料を払うことになります。

役員報酬は賞与や配当とは違い、利益から分配されるわけではありません。役員報酬は、会社の定款等で固定額を決めておくことになります。儲かったからいきなり金額を上げるということはできないのです。

役員報酬を事業年度の途中で改定することは可能ですが、儲かったら上げるという行為は税金逃れのように見られますし、通常はしません。

役員報酬の変更は増額でも減額でもまず株主総会などで正式に決定しなければなりません。その際には必ず「株主総会議事録」を作成します。

マネーフォワード「役員報酬を変更する時に知っておくべき手順と注意点」 より引用

 

では、役員報酬はいくらにしておくのがよいのか? 上述のように特にルールがないので、欲しい金額を決めてよいのですが、きちんと計算するのなら、利益計画やキャッシュフローをみながら、売上目標や会社にどれだけ利益を残すかを決めていくことになります。(※会社にバレたくないのでしたら、ゼロ円にしておきましょう。)

給与を沢山とって個人所得税を払うのか、会社に利益を残して法人税を払うのか、税理さんと相談して決めるようにしてください。
 

ポイント しかしその前に、本当に法人化は必要?

社長の給料はいくらにしたらいいの?

法人化
 

会社員のまま小さく起業する場合には、そもそも法人化にこだわる必要すらありません。ただし、BtoBのビジネスを行う際には、法人化されている方が信用されるというメリットがありますので、そこは取引の状況を考えて見るとよいと思います。

単純に年収を増やしたい、代表取締役社長と名乗りたいという理由で、そのために法人化するということは違うかなと思います。法人化のデメリットとして、経理処理が複雑になること、様々な経費が増えることがありますので、それであっても法人化したい理由があるかどうかを検討してみてください。

余談ですが、もちろん、法人としての事業から得られる収益には法人税がかかりますし、そこから給与を個人で得る場合には所得税がかかります。法人登記の手続きにも、もちろんお金かかりますし、その法人を閉鎖する場合にも、大きな労力を伴います。

その辺りも考慮しつつ、本当に今、法人化する必要があるかどうかを考えてみてください。もちろん、十分な実績、収益をあげて、会社を辞めて起業をする際には、法人化して船出をするのは素晴らしいことです!
 

ポイント 補足

社長の給料はいくらにしたらいいの?

まとめ
 

ひとつの目安として、法人にした方がよい場合について書いておきます。

  • 節税になる
  • 社会的な信用が高まる(取引しやすくなる)

節税のために法人化をするというのは本質ではありませんが、そのようにお考えの方も多いのでご説明しておきますと、課税対象所得がそこそこの額にならないとメリットは殆どありません。会社員のまま起業をしているのでありましたら、個人事業主でよいのではないかと思います。

一応のシュミレーションとして、本業の給与収入を仮に500万円程度だとすると、個人事業での事業所得が100万円を超えるくらいのあたりから、法人化(法人からの給与は100万円)した場合と税額(個人の所得税+法人税)がおおよそ同じくらいになります。

つまりは、会社員のまま起業した状態では、事業所得(売上マイナス経費)が100万円くらいにならなければ、法人化を考える必要はほぼないと考えておいてよいでしょう。売上が大きくなった時点で、税理士さんと相談をしてみるのがいちばんだと思います。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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