記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「パンパンサラダパン」
伝説の番組「マネーの虎」ファンなら今でも忘れられないフレーズでしょう。
この番組には、投資家である「虎」だけではなく、非常に個性的な起業志願者も多数出演しました。中でも異彩を放っていたのが、内村浩一さんです。
大人気投資番組「マネーの虎」とは?
伝説のテレビ番組「マネーの虎」は、2022年現在で50代前後の男性なら、多くの人がご存じのことと思います。「虎」と呼ばれる5人の強面社長が「志願者」と呼ばれる「起業資金を求める人」のプレゼンを聞いた後に、投資(または融資)するかどうかを判断する番組で、虎に叱責される志願者を見ているとハラハラしてしまう、真剣勝負が醍醐味でした。
今回ご紹介している内村浩一さんは、番組に志願者として登場しました。プレゼンで「パンパンサラダパン」という名言(?)を残し、その風貌と共に、多くのマネ虎ファンの印象に強く残っている志願者です。
内村さんは当時29歳。「外国帰りのベーカリーコンサルタント」と紹介され、虎たちに挑みます。その要求は「パンしか出さないレストランカフェバーの開店資金として7000万円出資して欲しい」というもの。
内村浩一さんの経歴
内村さんは、ベーカリーコンサルタント1年目で番組に出演しています。その前は、個人店のパン屋、その後に中小の手作りパン屋さんに入り、店長を任されました。しかし、お店の女性から総スカンをくらってしまいノイローゼ気味に。その後は、自転車を持ってヨーロッパを周り、戻ってから料理の修行を始めたそうです。
そして、あるレコード会社からベーカリーカフェのコンサルを依頼され、その仕事をしていたということです。また、少年サンデーに連載されていた「焼きたて!!ジャぱん」にも関わっていたことに触れており、実際、パン職人としての腕は確かだったと思われます。
- 堀之内九一郎(54歳当時)年商50億
(株)生活倉庫 代表取締役
全国規模のリサイクルショップチェーン - 貞廣一鑑(39歳当時)
(株)ラヴ 代表取締役
人気ダイニングバーを全国で展開 - 加藤和也(31歳当時)
(株)ひばりプロダクション社長
美空ばりの長男 音楽プロデューサー - 川原ひろし(38歳当時)
なんでんかんでん・フーズ(株)社長
行列のできる有名とんこつラーメン店 - 文野直樹(42歳当時)年商70億
(株)大阪王将 代表取締役社長
躍進する大阪発の大手外食チェーン
この放送回では出演されていませんが、南原会長とのツーショットです。
プレゼンの上手さが仇に!?
ラーメンにもパスタにも「食べ頃」があるのに、パンにはそれがない。カレーやスープは1日経った方がおいしいが、パンはそれは「アウチ」だと言う志願者。堀之内社長はイライラを隠せません。
「だからなんなの? お腹が空いたときに食べに行くレストランなの?」
レストランでもあり、カフェ業態もアリ、バー業態もある。それが内村さんの求める「非日常のパン屋さん」でした。夜中までやっている新しいチャンネル(新業態)です。堀之内社長が疑問をぶつけます。
「本当にパンしか出さないの?」
内村さんはコンセプトを説明していきます。
「パンパンサラダパン」
最後はゼリーでしめてもいいけど、お客様が帰宅した後「今日はパンメニューを楽しんだ」と思ってもらうことが、この店のコンセプトです。
ここで「パンパンサラダパン」記憶に残る名言が出てきます。直後の文野社長の表情(はぁ・・・って感じ)が何とも面白いです(笑)。
ビールとお好み焼きのように、お酒のおつまみとしてパンを出すというコンセプト。虎は不思議そうな顔をしています。
虎たちとの闘い
内村さんは、情熱的に、饒舌に、自身のパン理論を語ります。肉まんやタルティーヌのオープンサンド、マクドナルドのハンバーガーなど、料理を食べさせることに合わせたパンを作るのではなく、パンを中心に置いて、パンのために料理を作る。そんな説明を始めます。
そして、もう一度、伝説のひとことが飛び出します。
「パンパンサラダパン」
そう言ったところで、堀之内社長が遮ります。
「全然意味がわからない!」
試食に持ち込んだ志願者・・・虎たちの反応は?
それでも内村さんは怯まず「お酒に合うパンを持ってきたので試食してもらいたい」と、戦いは試食ステージに移っていきます。
フランスパンとごま油とネギという、輪の形をした不思議なパンが登場します。用意周到にビールまで用意した内村さん。モチモチの触感のパンとビールを、加藤社長は美味しいと評価します。
しかし、ここで堀之内社長が「美味しくないと思う」と爆弾を落とします。
「絶対という言葉を使うとキライなの」
いかにも堀之内社長らしい言葉。しかし、内村さんも負けません。
「論より証拠ですよね。実際のところでパンを僕に焼かせてみてください。じゃぁ。」
内村さんのキャラなのか、彼は動じません。
そして次の試食に移ります。次は「ピリッと辛いプランスパン」というものです。フォンデュ(fendu)と呼ばれる(チーズフォンデュではない)中央に割れ目を入れたパン(3日寝かせたもの)に、辛みとバターを入れています。
そしてパン屋さんならでは知識で、パンに水をスプレーして温め始めます。焼きたてパンには出せない味が出せるのだそうです。
今度は、文野社長が「自分の中のパンの知識が幅広くなった」と絶賛します。そして川原社長は、
「スゴイ美味い!」
と絶賛します。
しかし、プレゼンテーションでの饒舌な話し方が、重厚な性格に合わないのか、堀之内社長は厳しく彼に当たります。
経歴を聞いても、
「ようするに何をやっているのかわからないってことね」
と切り捨てます。さらに、収入を聞かれて「商社もやっています」と答えた内村さんに対して「そんなものは商社じゃない」とバッサリです。
「7000万円という大きな資金でスタートしないと流れが作れない」という内村さんの主張と「それがあなたが経営していないということ。どんと(お客様を)寄せるなんて、保証なんか何にもないんです。夢なんです」と真っ向否定の堀之内社長。
数字に詳しくない、パンに溺れていると、散々言われても内村さんは引きません。「アーチストと数字に詳しい人が組んでもバチは当たらない!」バトルは過熱していきます。そして・・・、
「人間が浅い」
「笑顔が気持ち悪い」
パワハラ直球ど真ん中。昭和パンチがさく裂します。今なら大炎上ですね(笑)そして、その流れに川原社長も乗っかってしまいます。
「堀之内社長が怒って、どうもありがとうございましたって普通にニコニコして言えないよ。俺はそういう奴が大嫌い。」
「すみませんそういう性格なもので」そう返す内村さんの顔が引きつります。今であれば、強いメンタルを褒められるところですね。結果は「ノーマネー」でした。
後日談を見ると・・・
後日談で、堀之内社長は、彼を嫌った理由を「成功しなかった時の言い訳が見えた」と語っています。またパンも美味しくなかったと言っています。動画を観た印象では、やっぱり話し方が嫌いだったのかなと感じてしまいました。
現在の内村さんのご活躍
現在、内村さんは、京都でパン教室「パンの耳」を主宰されているようです。Instagramには美味しそうなパンの写真が並んでいます。
「パンの耳」の場所は以下です。
「数字に弱いかもしれない、でも自分とタッグを組めばいいビジネスができるのではないか?」内村さんが言っていたことは、とても正しいことだと思います。全てができる人などいやしません。
内村さんはマネーの虎に出演した後に「TVチャンピオン」の「パン屋さん選手権」に出演して準優勝しています。職人としての腕は確かです。しかし、京都でその後に開いたパン屋さんは、数年で閉めてしまいました。閉店の原因はもちろんわかりませんが、数字に強い人とのパートナシップが組めなかったのかもしれません。
ですが、事業を再構築され教室化したことにより、現在もパンを仕事にされています。堀之内社長とは分かり合えないかもしれませんが、大好きなパンを仕事にし、今でも続けている人生に強く共感します。
今後もますますのご活躍を期待しています。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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