マネーの虎【川原社長】が「美味いよ(怒)!!」マジギレのラーメン起業物語

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

マネーの虎で印象深かった出演者の中に、当時、環七沿いにあった行列のできるラーメン店「なんでんかんでん」の川原ひろし社長を怒らせた「ラーメン店起業志願者」がいました。川原社長を怒らせた彼の名は、村野達郎さん。
 

豚骨ラーメン

他サイトのマネ虎系記事同様に、過去テレビ放送のYouTube動画スクショを載せた方が、より分かりやすいコンテンツになるとは思うのですが、動画も公式ではない(違法アップロード)可能性もあるため、また、テレビ番組のYouTubeアップロードは著作権法違反になるリスクもありますので、画像は記事内容とは関係のないフリー素材を使用いたします。

この記事では、放送を振り返ったあと、村野さんの現在や、ポジティブで力強い川原社長から学べる起業に大切なことについて、語ってみたいと思います。
 

ポイント 伝説の番組「マネーの虎」

マネーの虎から学ぶ起業必勝法則

お金とビジネスマン
 

伝説のテレビ番組「マネーの虎」は、成功した起業家、経営者たちが、起業を考えている志願者のプレゼンテーションを聞き、気に入った人や事業アイデアに投資する番組です。当時は飲食店起業の希望者が多かったのですが、議論が白熱し、時に社長同士が喧嘩を始めたり、志願者が罵倒されたり、とても面白い番組でした。

その起業家、社長たちは「マネーの虎」と呼ばれ、個性が強く人情味のある経営者たちは日本中から注目され、人気者となりました。今回ご紹介している「なんでんかんでん」の川原社長は、その中でも1、2位を争う人気キャラクターで、私も大好きな社長でした。
 

ポイント なんでんかんでんとは?

川原社長が作ったラーメンブーム

ラーメン
 

1980年代後半に豚骨ラーメンのブームを起こしたのが「なんでんかんでん」です。東京世田谷の環七沿いの本店から、当時は斬新だったバリカタ麺、替え玉などのシステムを入れた豚骨ラーメンは瞬く間に人気となり、客の路駐やとんこつ臭がクレームになるなど、数々の武勇伝も生まれました。

ところが、2012年に本店が閉店。2015年には全店が閉店することに。スープを薄め過ぎて信用を失ったとか、支店やコラボ店の味が統一できなかったなど様々な情報がありますが、借金は最高時5億円もなったそうです。現在は、西新宿店、渋谷肉横丁店が食べログに出てきますが、公式ホームページによれば外食の制限下で状況が変わっている様子です。SNSもブログもYouTubeも更新がなく、現在の詳細は不明という感じです。
 

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ポイント 川原社長に怒鳴られた村野さんとは?

虎を公然と批判した男

 

村野さんは、番組の放送当時35歳。その昔は子役タレントとして活躍していたそうです。ラーメンの食べ歩きが趣味で大食い、早食いも得意。ファストフード店やラーメン店で働いた経験があります。
 

川原社長に怒鳴られた村野さんのプレゼン

村野さんは「大食いラーメン店」の開業資金として、虎たちに1000万円の投資を求めます。ただ、村野さんのプレゼン中の態度は視聴者から見ても褒められたものではなく、すぐに一部の虎が不快に思っていることが画面から伝わってきます。

この回には、5人の虎(席順に左から/堀之内社長・小林社長・加藤社長・川原社長・高橋社長)が出演していました。

<虎のプロフィール(当時)>
  • 堀之内九一郎(54歳当時)年商50億
    (株)生活倉庫 代表取締役社長
  • 小林敬(44歳当時)年商56億
    (株)小林事務所 代表取締役
  • 加藤和也(30歳当時)
    美空ひばりの長男・音楽プロデューサー
  • 川原ひろし(37歳当時)年商6億
    (株)なんてんかんでん 社長
  • 高橋がなり(43歳当時)年商60億
    ソフト・オン・デマンド(株)社長

まず、村野さんは「世の中にあるラーメンは量が少ない」という話を始めます。大食いの人にも満足を与えられるラーメンを提供したいと主張します。

村野さんが考えていたラーメン

  • 最低ラインで、通常の麺の2倍(2玉)。
  • チャーシュー、メンマ、ネギ、コーン、玉子、海苔の全部乗せ。
  • 3玉、4玉のサイズも同じ価格(600円)で提供。

堀之内社長が「全て600円?」と驚いた表情を見せる中、川原社長は「麺の原価で言うとそんな大したことないと思う」と言いつつ問題点を指摘します。「量が多ければいいのなら、どんなラーメン屋でも日本一になれるよ」とツッコミ。ここから村野さんと川原社長は、バトルに突入していきます。

しかし考えてみると、今や大盛も特盛も同じ値段のラーメンや蕎麦は珍しくありません。大盛・特大サイズの料理、大食いのブームも何度も繰り返し訪れたことを考えると、村野さんには先見の明があった!? とも言えるのかもしれません。
 

バトル勃発!

村野さんは、ストレートに言い放ちます。

村野さん「九州ラーメンの替え玉というシステムは、非常に私としては否定をしたいと思っておりまして」

川原社長は不機嫌モードに突入。

川原社長「そういうの聞くと、俺あったまにくるのね」

村野さんは動じません。

村野さん「飲食店は温かいものは温かく、冷たいものは冷たくが鉄則だと思っておりますので、替え玉の時点で薄いぬるいもので2玉目を食べていただくのであれば、最初から一杯のラーメンでお腹いっぱいになってもらうというのが、僕のポリシーなんで」

川原社長は、明らかに不機嫌な顔になっています。

川原社長「量も大事だけど、味に信念持ってないと。経験はあるんですか?」

村野さん「20代半ばからここ8年ほどは、ラーメン屋さん渡り歩いて」

川原社長「作れるの?」

村野さん「はい」

川原社長「自信ある?」

続いて、加藤社長が出店候補地について質問します。村野さんは新宿の歌舞伎町界隈や西口を考えていることを伝えます。がなり社長からも初期費用について質問され、村野さんは資金計画を説明し始めます。

  • 賃貸400万円(カウンターのみ15席/15坪程度)
  • 改装費300万円
  • 什器・備品200万円
  • 宣伝広告100万円

ここで当然ながら経験の差がでます。川原社長がすかさず「それはもうできないね。歌舞伎町はやめた方が良い。外れでもできない。改装費だけで1000万円はかかる」とツッコミます。

ここからは、虎たちに攻められ防戦一方となります。収録当時、無職で親のマンションに住んでいる状態。そして、8年間ラーメン店に勤めていながら5店舗を渡り歩いている。その原因を聞かれると、行く先々で経営側と揉めてきた経緯を、自身を肯定しながら説明。これは、投資する側としては気になる点でしょう。
 

豚骨ラーメン
 

修行中は怒られて当たり前、今、これを言ったらパワハラ扱いかもしれません。時代が違えば、村野さんの言っていることも違った形で受け止められた可能性もあります。ですが、当時は昭和のど真ん中。ついに、小林社長が「薄っぺらい!」とイエローカード。直後、堀之内社長が「まったく投資対象外」と吐き捨て退場。

しかし、村野さんのふてぶてしい態度はそのまま変わりません。その後、小林社長に、ラーメン屋にとって大事なことは何だと思うかすぐに答えてみてとフラれ、村野さんは以下のように答えました。

  • 美味しい
  • 食材に妥協しない
  • 盛りがいい
  • お店がきれい
  • 従業員の雰囲気がさわやか
  • 新鮮なもの
  • 熱いものは熱く出す
  • 味に特徴がある
  • 選び抜かれたメニュー

言っていることは、その通りです。ですが、経営となれば話は変わってきます。理想の追求だけではダメ。小林社長が厳しく言います。

小林社長「安定したスープなんて手作りで出せるわけがないですわ」

大きな売り上げを目指すなら、こだわりだけではダメ。きちんと計算しろ、と社長は教えてくれたのです。しかし、村野さんの態度は変わりません。話し方、物件をきちんと調べるなどの行動をしていない、無職など、商品企画以前に、人として拒絶されてしまっている状態が続いています。

ところが、ここで高橋がなり社長が驚きの質問をします。

がなり社長「もしも川原さんと僕が両方とも出すと言ったらば、あなたはどっちを希望しますか?」

村野さん「本来の意味で言ったら専門家が良いです。ただ川原社長のラーメンは僕は美味いと思わないので、高橋社長に出して欲しいと思います」

ここで伝説のひと言がさく裂します。

川原社長「冗談なこと言うんじゃねぇよ。美味いよ(怒)!!」

村野さんを睨みつける川原社長。もはや、村野さんが1000万円を得ることなど不可能だと思われたのですが、番組は思わぬ方向に展開します。高橋がなり社長が助け船を出したのです。「飽きっぽい性格」「自分を肯定する態度」を改めるには「あなたが嫌いなラーメンを作る川原社長の店で働くのが一番だ」と意見します。それに同意するなら「川原社長がOKを出すまで月20万円給料を出し、1000万円出資する」と提案したのです。

まさに、大どんでん返し「えええええ!」と視聴者の誰もが思う展開。ですが、ここでまた昭和がさく裂。なんと川原社長が・・・

川原社長「僕は、あんまり太った人雇いたくないのね。これから痩せるとか思ったりすることは?」

今なら大問題ですね(笑)村野さんも「邪魔ってことですか? 偏見ですよ!」と言い返します。そして、実は過去にも「厨房が狭いから」という理由で採用されなかった経験を語ります。その後、今度は村野さんから名言が飛び出します。

村野さん「恋も仕事も僕は妥協ってのは嫌なんですよ!!」

結局、川原社長が「皿洗いしかさせないが時給は払う」「嫌なことも我慢して学ぶこと」「最低3年から5年、何を言われても素直にはいと言う」という条件で「マネー成立」となります。結局お金を指した川原社長、そして、村野さんを育てようと助け舟を出した高橋社長、お二人の凄みを見た放送でした。

しかし、初日から、村野さんが川原社長の店に現れることはありませんでした。結局、村野さんの態度が変わることはなかったのです。番組宛にこんな手紙が送られてきたようでした。

並みの店よりは売れていますが、私はやはり、なんでんかんでんで働きたくありません。モチベーションが高かったら働いていたかもしれませんが、本番でさらけ出された私の欠点として、既存の器に入ることは不可能です。

ポイント 川原社長に怒鳴られた村野さんの今

村野さんの凄さはここ

ラーメン屋
 

村野さんはその後、大食いが祟ったのか糖尿病を発症し、巨漢だった番組出演当時の姿からは想像もつかないスリムな体型になっています。現在は親が持つ不動産の家賃収入で暮らしており、生活に不自由している様子はありません。

このままだと「ラッキーな金持ちの息子」ということになってしまいますが、村野さんがひと味違うのは、不義理をした川原社長と和解していることです。「美味しくない」とこきおろした「なんでんかんでん」のラーメンを、川原社長の公式チャンネルですすっており、良好な関係であることがうかがえます。ほっとする動画ですね。

不義理をした人に頭を下げた村野さん、そして川原社長の笑顔は、起業家が誠実でなければならないこと、過去は固執するものではなく、学んでいくものであることを教えてくれます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全9冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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