記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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元マネーの虎、現在も令和の虎主宰として大活躍の、株式会社モノリス代表取締役会長の岩井良明さん。多くの若手経営者に「岩井社長」と呼ばれ慕われています。(※2024年9月15日、肺がんによりお亡くなりになりました。享年65。とても残念で、悲しいです。)
伝説の番組「マネーの虎」とは?
バブル世代、団塊ジュジア世代、今でも幅広い層で語り継がれる伝説のテレビ番組「マネーの虎」は、虎と呼ばれる5人の社長が、志願者による事業計画プレゼンを見て投資するかどうかを決める真剣勝負。海外にも輸出され、アメリカでは「SHARK TANK」と名前を変え、4大ネットワークのひとつであるABCの看板番組になっています。
今回ご紹介している岩井社長は「あほんだら!」でお馴染みの小林社長に匹敵する強面キャラだった印象があります。大人になった今思えば、昭和の人らしい人間味に溢れる人。礼儀、礼節に厳しく、筋の通らない話を嫌う「ニッポンの経営者」という印象です。
マネ虎ファンなら、その岩井社長に「今までで一番嫌い!」と言われた「カウンセリングレストラン」の青年を覚えているのではないでしょうか?
志願者は当時25歳。虎たちの前で「米国カリフォルニア州ロサンゼルスに『カウンセリングレストラン』を開業したいので1500万円を出して欲しい」とぶちかまします。
番組での話によれば、当時3万人のカリフォルニア州にいる日本人留学生の多くが、英語ができないために目標を見失っていたり、うつ病になったり、ドラッグに手を出してしまう人すらいる。そんなうだつが上がらない生活をしている留学生が、カウンセリングの学位を取った人に相談できる、人生を再起できる場所を作りたい、というのが志願者の想いです。
しかし、プレゼン冒頭から、志願者の物言いが気に入らないと、虎たちが厳しい反応を見せます。特に岩井社長は「イラっ」と来ている様子です。
- 堀之内九一郎(56歳当時)年商92億
元ホームレスのリサイクルショップ社長 - 吉川幸枝 年商50億
よし川グループ代表取締役 - 南原竜樹(43歳当時)年商55億
日本を代表する高級輸入車ディーラー - 貞廣一鑑(40歳当時)年商25億
元DJの衣食住プロデューサー - 岩井良明(43歳当時)年商12億
全国で躍進する名門学習塾
この放送回では、ほとんど発言が放送されませんでしたが、南原会長との対談動画です。
カウンセリングレストランとは?
上述のように、志願者はアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡パサデナに、日本人留学生の相談所となるレストランを開業しようとしていました。パサデナは大きな町で、ロサンゼルス北東の高級住宅街です。
プレゼンはのっけから「???」な展開に
青年は、カリフォルニアに住む日本人留学生の惨状を訴え、虎たちに同意を求めます。ですが当然、虎たちの反応は「そんなこと知るわけない」状態。
さらに青年は、自分はすでにアメリカンドリームを掴んだと豪語。その内容が「人間関係の大切さを学びました」というのですから、虎たちは「???」いや、むしろ苦笑する状況に。すかさず、貞廣社長が「マニュアル的に聞こえてくるので自分の言葉でしゃべったほうがいい」と助け船を出すと、青年は何を勘違いしたのか、普段の「言葉遣い」でしゃべりだします。
岩井社長がますます不機嫌になっていきます・・・
後日談を見ると・・・
後日談で、堀之内社長は、当時、ロサンゼルス進出を手掛けて、学校の支援などもしていたため「彼の言っているアメリカの状況はよく知っていた」と語っています。そして、留学生は勉強を目的とした人ばかりではなく、様々な事情で逃避的に留学していることもあると言い「そのような学生がご飯を食べに来た時に色んなサポートをしてあげるというのは非常に良いことだ」と感じていたというのです。
一方で岩井社長は後日談で「カウンセリングレストランがビジネスとしていいと思ったのですか?」という質問に対して、食い気味に「全くねぇわ!! 何だカウンセリングレストランって意味わからんと思ったよ」とお答えになっていました(笑)
なぜ、お二人から後日談が出ているのか・・・
そうなんです。実は、この岩井社長も、堀之内社長も(もう一人貞廣社長も)マネーを出すという判断をされたのです。
最終的には岩井社長が引き受けることになったのですが、経緯としては、まず最初に岩井社長が、青年がコミュニケーションに問題を抱えていることを指摘し、人にカウンセリングできるような人間ではないとして「うちの塾に来て3年教壇に立ったら1500万円出すよ」と出資を申し出ます。青年は「やります」と応じますが、貞廣社長と堀之内社長も、アメリカで経験を積むことを条件に出資を申し出ます。
すると、青年は貞廣社長と堀之内社長になびきます。この様子を見た岩井社長が降りることを伝えると、青年は決定的な言葉を吐くのです。「出してくれるところに行くのが当たり前じゃないですか」この言葉に、貞廣社長と堀之内社長も降りることを決断。
ここで岩井社長から、今も記憶に残る伝説の一言が飛び出します。
「一番嫌い!」
しかし、次の言葉が岩井社長らしい、漢気、彼の人間性、生き方がそのまま表れた言葉だったと思います。
「一番嫌いと言っている俺っていう社長について来れるか?」
青年は、岩井社長の下で修行することを決意したのでした。後日談で、彼はその後しばらく岩井社長の塾で真面目に働いていたそうですが、ある日突然連絡がつかなくなってしまったとのことです。やりたいことが変わってしまったのかもしれませんね。
この放送回から学べたこと
カウンセリングレストランの放送回は、非常に見応えがあり、学びの多いものでした。
若い青年は、独りよがりで、コミュニケーションに問題がありました。南原社長からも「僕も若いころは君のように無知で生意気だったと思う」と皮肉混じりにバッサリ。
しかし、最後の最後、岩井社長に「他の社長が降りたとしても、自分が見捨てたらダメなんじゃないかと思った」と思わせたのです。それがまっすぐさ、ポテンシャル、何だったのかはわかりませんが、彼の持つ魅力だったのでしょう。
結果、カウンセリングレストランはオープンできませんでしたが、まっすぐ虎に挑んだ青年、最後は受け入れた岩井社長。何十年もたった今でも見応えがある伝説回ですね。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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