記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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起業を志す女性にとって、今どんな業種・職種が女性起業家に人気があるかは気になるところですね。
この記事では、女性起業家に人気の7つの職種をとりあげて、その人気の理由や人気業種に共通しているコンセプトなどを紹介します。
それぞれの業種で成功した女性起業家の実例も紹介しているので、起業を計画している方はぜひチェックしてください。
女性起業家が選ぶ「3つのビジネス拠点」と「5つのコンセプト」
個人事業主として起業するケースが多い女性起業家は、顧客にも企業ではなく個人を選ぶ傾向があります。平成28年の内閣府男女共同参画局「女性起業家を取り巻く現状について」でも、以下のような調査結果が発表されています。
女性は男性と比べ、子育てや介護等、生活のニーズに根ざした「生活関連サービス業、娯楽業」、また趣味や前職で特技等を活かした「教育、学習支援業」等の分野での起業が多い。
3つのビジネス拠点
個人向けのサービスにも、飲食業、生活関連サービス、美容、学習支援など様々な業種・職種があります。いずれの場合も女性起業家は、ビジネスの拠点として初期投資が少ない次の3つを選択しています。
- オンライン
- 自宅
- 出張サービス
これらの2つ、または3つを組み合わせた起業スタイルもあります。
5つのコンセプト
女性起業家の商品やサービスに共通する特徴、ビジネスのコンセプトを見ると、
- かわ良い
- きれい
- 癒し
- 学ぶ
- 代行(助け合い)
というキーワードが浮かんできます。
これらコンセプトを基に、女性起業家らしい事業をはじめてみましょう。
【事例あり】女性の起業に人気のある業種・職業
3つのビジネス拠点、5つのコンセプトを把握したら、次に具体的にどのような業種・職業を立ち上げるのかを検討しましょう。
女性ならではの視点を活かして活躍している、女性起業家の事例と併せて紹介します。
1.ネットショップ
ネットショップは、会社勤務をしながら、副業でスタートできるハードルの低い起業として人気があります。ネット環境さえあれば、大きな起業資金は必要ありません。
ネットショップには既成のショップに出品する「モール型」と、自分のショップを立ち上げる「カート型」があります。最初はモール型で、手ごたえをつかんでから自由にデザインできる独自ショップを構築するのが一般的です。
ネットやパソコンの知識が不足している場合は頑張って勉強しなければなりませんが、それほど高いハードルではありません。
しかし、競争相手が多い分野なので、成功しているネットショップには必ずと言って良いほど、商品にオリジナルな魅力があります。
日本にはない海外の小物などは、日本人とは違った発想から生まれた「かわいさ」「美しさ」をもつものがあり、ヒットする可能性があります。
ベトナム食器など、すでに人気のあるジャンルを追いかけても大きな成果は出せません。ネットで検索してもは出てこないような、新鮮な魅力のある商品の発見がポイントです。
ハワイの雑貨やコーヒーを販売するネットショップ「アロハマーメイド」(水野裕子さん)は、日本では珍しかったイールスキン(うなぎの皮)のバッグや財布を販売しヒットさせました。今、イールスキンは競合の多い人気ジャンルとなっています。新鮮さが勝負です。
2.ハンドメイド製品の販売
アクセサリーやバッグなどの手作り製品での起業も人気です。人気の何よりの理由は趣味を仕事にできることでしょう。また、自宅ショップ、ネットショップで販売できるメリットもあります。
2018年に株式会社「きものりぼん」を設立した五十嵐晴予(いがらしはるよ)さんは、タンスに眠っていた着物や帯を、レース・ボタンなどの西洋の素材と組み合わせてバッグにするハンドメイドでブレイク。
「いろtoいろ」は、金属ではなく、紙などの軽い素材で作ったピアスを販売して人気を呼んでいます。「ピアスは好きだけど重たいのが欠点」という多くの女性の心をとらえたのです。システムエンジニアだった女性がハンドメイド作家に転身して成功しました。
3.ネイルアーティスト
ネイルアートは「かわ良い」「癒し」を求める女性のニーズに合致し、自宅や出張サービスで手軽にできるのが人気の理由です。民間資格ではありますが、取得したネイルアーティストの資格を活かせる点でも人気です。
ネイルアーティストの豊竹桃子さん(1994年生まれ)は、スマホでネイリストを検索して自宅で施術を受けられるというサービスを開発。2015年に出張ネイルサービス「MICOLY」を立ち上げました。ネイルアーティストとして自分の顧客を増やすだけでなく、アーティスト同士がネットワークを作るという新しい発想での起業でした。(※2021年8月現在「MICOLY」のホームページは削除され、事業が継続されているのかは不明です。)
4.ワークショップ
手芸やフラワーアレンジメント、カラーコーディネイトなどのワークショップも女性起業家に人気の高い職種です。自分の趣味を兼ねている、資格を活かすことができる、自宅でできる、出張サービスも可能などの点が人気の理由です。
熊谷真貴子さん(1980年生まれ)は、アパレルメーカーのデザイナーから、ろうけつ染めの職人に転身。ワークショップを開いたりオーダーメイドを受注する「ORANGE GLOBE」を設立しました。オレンジグローブのワークショップは、定員6名の3~4時間のワークが材料費込5,500円というメニューで、参加者にはリピーターが多いと良います。
さいたま市で和雑貨とワークショップの「つくりえ」を主宰する塚田敬子さんは、和の手仕事にこだわっています。「ランタン・ちょうちんづくり」「布を選べるご朱印帳づくり」など、多彩なワークショップを開催するほか、イベント主催者向けに集客のためのワークショップ企画の提供も行っています。
5.家事・育児の代行サービス
主婦の経験が活かせる家事・育児の代行サービスも女性起業家に人気の職種です。
しかし、代行サービス会社のスタッフとして働くのではなく起業をするには、スタッフづくりやその養成、利用者とスタッフのマッチングのシステムづくりが必要です。
いまや主婦のほとんどが利用しているスマホを活用して、ベビーシッターと家事代行の会員制ネットワークを構築したの女性がいます。「キッズライン」の経沢香保子(つねざわかほこ)さん(1973年生まれ)です。経沢さんは、子どもが障害を持って生まれてベビーシッターを利用したことがあり、それが起業のきっかけになっています。
6.コンサルタント・アドバイザー
育児・家事を手伝うのではなく、ノウハウを教えるコンサルタント・アドバイザーも女性起業家に人気の職種です。
このジャンルには・・・
- 収納アドバイザー
- 掃除アドバイザー
- 節約(家計簿)アドバイサー
- 育児コンサルタント
など多彩な職種があり、それぞれに資格制度や認定制度もあります。
家事に対する独自のこだわり、ノウハウをSNSで公表して話題になった、本を出版した、などの経歴が人気アドバイザーの共通項です。
コンサルタント、アドバイバーには、現場でマンツーマンでコーチするほかに、希望者を集めてセミナー形式でコーチするやり方もあります。
収納アドバイザーとしてセミナー活動をしている「ミラクルマジック」の香田佳江(こうだよしえ)さんは、最初は実際に依頼者の家庭に出向いて収納のお手伝いしていました。しかし、1人でやるには限界があることを感じ、セミナー講師として起業しました。
7.スクール講師・トレーナー
英語力を活かして英会話教室を開く、ドッグトレーナーの資格を活かして犬のしつけをするなど、特技やその資格を生かした起業も人気があります。
好きなことを仕事にできる喜びがあり、簡単には習得できない技能や資格であれば参入障壁が高いことも人気の理由です。
このジャンルには、上記のほかに・・・
- スポーツトレーナー
- ヴォイストレーナー
- ヨガ指導者
- 絵画・イラスト教室
- 俳句・短歌教室の講師
などの職種があります。
「M’s English」を主宰する馬上千恵さん(1973年生まれ)は「外国人観光客に伝わる英語」をコンセプトに、企業や個人に接客英語を教える仕事で起業しました。今は少し我慢ですが、インバウンドの劇的な増加というタイミングの良さもあり、馬上さんの「おもてなし英語」のセミナーは企業にも個人にも人気を博しています。
大きな店舗なしで好きなことや特技・感性を生かせる仕事が人気
女性起業家に人気があるのは、ネットショップ、自宅ショップなど大きな店舗を持たなくてもできる仕事です。
また、仕事の内容では、自分が好きなこと、身につけてきたことを活かせる職種に人気があります。
成功者の例を見ると、やりたいことと顧客ニーズのどこに接点があるかを感じ取るセンスが、起業の成功のカギを握っていることがわかりますね。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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