記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「会社員のまま、ひとりで小さくスタートし、高い利益率で大きく育てていく起業」を推奨している立場から言うと、カフェ出店の相談が増えるほど、内心ヒヤッとします。夢は大切。でも、カフェは“かわいい見た目の重機”みたいな事業で、扱いを間違えると一気に沈みます。
帝国データバンクの集計では、2025年の「飲食店」倒産は900件で過去最多、しかも小規模倒産が中心でした。 つまり「小さく始めたつもりでも、固定費とコスト高で耐え切れない」が、現実に起きています。

初期投資の話:小さなカフェでも、意外とお金が溶ける

まずは、ざっくり財務シミュレーションです。相談で多いモデルに合わせます。
- 規模:10坪、座席数6
- メニュー:軽食3品、コーヒー+紅茶
- 前提:昼も夜も営業できる体制(夜だけ副業営業だと収益性が著しく落ちます)
立地は「街中の一般的なカフェ」を想定します。日中の主要ターゲットは、サラリーマン、買い物客、時間調整の人たち。ここを取るには、動線上(駅前寄り)が基本になります。
| 項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 家賃(郊外想定) | 月5万~8万円(予算は8万円で見る) |
| 厨房設備(中古中心) | 約30万円前後 |
| その他電化製品 | 約40万円程度 |
| シンク | 約20万円前後 |
| 内装(坪単価30万円基準) | 160~170万円程度 |
| 敷金等 | 家賃4カ月分など |
合算すると、かなり小規模でも初期投資は190~230万円あたりが見えます(機材・食器などでさらに増えやすい)。
カフェは「コンテンツビジネスと違って、簡単に撤退・転換できない」性質を持ちます。ここが第一の怖さです。
2026年に「失敗しやすい構造」が強まった理由

帝国データバンクも指摘しているように、材料費・人件費などの運営コスト上昇が続き、収益確保が難しくなって倒産が増えています。
つまり、以前よりも「ちょっとの読み違い」が致命傷になりやすい。カフェは薄利になりやすいので、コスト高局面では特に、体力差が露骨に出ます。
カフェの起業のリスク・第3位 商品力の誤解

結論から言えば、「美味しいコーヒー」だけでは勝てません。
なぜか? カフェの来店動機の多くは、味ではなく用途です。
- 時間調整
- 待ち合わせ
- 作業
- 休憩
比喩で言えば、高性能な万年筆を持っていても、みんなが求めているのがスマホのメモ機能なら選ばれない。これと同じです。
よくある失敗パターンは「焙煎にこだわる」「奥様の絶品チーズケーキで勝負」「コーヒー愛を語る」といったもの。もちろん熱量は尊いのですが、「目的来店」になる商品は極めて限られます。
商品だけで集客したいなら、現実的には食事化(パンケーキ、ナポリタン、ランチ需要など)が必要です。ただし、食事化は難易度が跳ね上がります。調理力、オペレーション、ロス管理、仕込み時間、衛生管理。要するに”別競技”になります。
- コーヒー単体は集客力が弱い
- 来店動機を外した商品開発は危険
- フード展開は覚悟が必要(難易度が一気に上がる)
第2位 人の問題:オーナー依存型ビジネス

カフェは「空間×人」のビジネスです。重要なのは、話す技術より「空気を読む力」。
- 放っておいてほしい客
- 話しかけてほしい客
- 相談したい客
これを瞬時に見抜けるか? ここで体験価値が分かれます。
さらに重要なのは、オーナーのキャラクターが価値になるかどうか。強い個性は、4割熱狂・6割拒絶を生みます。 熱狂が出れば強い一方、拒絶も同時に生まれる。
例外的に成立しやすい型もあります。自社物件+ワンオペ+低固定費。「固定費を極小にして、オーナー価値を尖らせる」設計なら成立しやすい。 ここはビジネスモデル次第です。
- (メリット)ファンが付けば強い、差別化しやすい
- (デメリット)再現性が低い、オーナー依存で拡張が難しい(休めない、任せられない)
- 接客は技術より洞察力
- キャラ型は設計しないと破綻しやすい
- 固定費設計が命
第1位 立地

最も現実的な理由は立地です。スターバックス、ドトール、コメダ、ルノアール。強さの本質は「味」より「インフラ」です。
- 駅前
- 病院の隣
- ロードサイドで駐車場完備
- ビッグターミナル集中
カフェは嗜好品に見えて、実態は時間消費インフラです。「今コーヒー飲みたい」と思った瞬間、近くになければ行きませんよね? これが答えです。
- カフェ需要は効率性が強い
- 動線上にあることが最優先
- 立地は戦略の中心
戦略的整理:なぜカフェは潰れるのか?

- 商品への過信
- 自分の価値観の押し付け
- 立地軽視
共通点は「顧客視点の欠如」です。
マーケティングでは「顧客のジョブ(片付けたい用事)を理解する」ことが基本です。カフェ利用のジョブは「美味しいコーヒーを飲むこと」ではなく、だいたいこうです。
- 時間をつぶす
- 仕事をする
- 会話をする
- 一息つく
ここを外すと、ど真ん中を外した弓矢になります。刺さりません。
成功の順番を間違えない

カフェ経営成功の順番は、これです。
- 立地設計
- ビジネスモデル設計(固定費、営業時間、席回転、誰が運営するか)
- 商品設計
順番を間違えると失敗しやすくなります。夢で始める業態だからこそ、数字と現実で設計する。感情で開業すると危険。戦略で開業すれば可能性はあります。
もし開業前なら、「自分は何屋なのか?」より先に、「顧客は何のために来るのか?」から逆算してください。 ここがすべての出発点です。
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