記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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女性起業家94人へのアンケート(平成28年総務省資料)によると、起業を断念しそうになった悩みでもっとも多かったのが、家族の理解・協力、家庭と仕事との両立です。
それに次いで、資金の調達、売り上げの伸び悩みがあげられ、3番目には経営知識や仕事の技術の習得についての悩みが挙げられています。
この記事では、この3つの悩みの具体的な内容を解説し、その解決策を提示します。女性起業家の強みであるコミュニケーション能力の高さについても解説します。
女性起業家が抱える悩みとは?
起業を志す女性にとって気になる「女性起業家ならではの悩み」とは何でしょうか? それを知るために参考になるのが「女性起業家を取り巻く現状について」という総務省男女共同参画局が平成28年に作成した資料です。(データ:内閣府男女共同参画局「女性起業家を取り巻く現状について」)
その中でも、女性起業家94人にアンケートを取った「起業家が起業を断念しそうになった際に直面した課題」は、女性起業家のもっとも深刻な悩みを反映しています。
このアンケートで多くの女性起業家が課題として挙げたのが家族・家庭に関すること。
- 「家族の理解・協力」(11.7%)
- 「家庭(家事・育児・介護)との両立」(7.4%)
を合わせて18.1%になっています。それに次いで多かったのが、次の事柄です。
- 「資金調達」13.8%、
- 「事業に必要な専門知識・技術の習得」11.7%、
- 「経営知識一般(財務・会計を含む)の習得」10.6%
これらの課題(悩み)を家族・家庭に関する悩み、資金・売上に関する悩み、仕事・経営の知識に関する悩みの3つに分けてみていきましょう。
女性起業家の18.1%が悩みを抱える家族の理解・家庭との両立
男性の身辺自立の必要性が説かれ、イクメンが奨励される現代でも、家事・育児・介護を女性の仕事とする風潮は根強く残っています。
マーケットリサーチ会社のマクロミルが行った「2018年 共働き夫婦の家事分担調査(インタビュー調査編)」によると、家事を「妻がほとんど担う」が27%「妻が主だが、夫も少し分担」が38%で、合わせて64%の家庭で妻がおもに家事を担っています。「妻と夫で分担」しているという家庭は31%にすぎないのです。(データ:マクロミル「2018年 共働き夫婦の家事分担調査(インタビュー調査編)」)
このような現状では、仕事と家事の両立に悩む女性起業家が多いのも当然と言わなければなりません。
売上が少なく資金調達が難しいという悩み
起業を断念しようとしたときに直面した課題が資金調達だった(11.7%)という背景には「売上がなかなか伸びない」という事実があります。
古いデータではありますが、中小企業白書2014年版によれば、女性起業家の起業後の手取り収入(月額)は、10万円以下が26.7%となっています。10万円以下の全体平均が20.5%ですので、女性は比較的低収入層が多くなっていることがわかります。(データ:内閣府男女共同参画局「女性起業家を取り巻く現状について」)
女性は男性に比べて小規模で起業するケースが多いにしても、多くの女性起業家が、新たな資金調達に困難やためらいを感じるのもうなずけます。
専門知識・技術、経営知識の習得についての悩み
起業を志す女性の多くは、会社勤めの経験が短い、あるいは会社を辞めて家庭に入ってから長年経っているなどで「会社・企業というものがよくわかっていない」という意識を持っています。
たとえば、簿記や経理の知識がない、税金の申告をしたことがない、人を雇ったら給与から源泉徴収するのか、消費税はどうするのか、手形で支払うといわれたけどどうしたら良いのか・・・など様々な問題があります。
趣味や資格を活かしての起業の場合、創業当初は専門知識やプロとしての技術に不足を感じることもあるでしょう。
また、女性の場合は1人で起業することが多いので、これらの課題について相談できる仲間、人脈が乏しいという問題も付随しがちです。
女性起業家が抱える悩みの解決策
多くの女性起業家が抱える、家庭との両立、資金繰り、経営知識・専門知識の習得の悩みを解決するにはどうしたら良いのでしょうか?
「仕事で輝くママ」になる
家庭と仕事の両立を目指すなら、本人の頑張りだけでは限界があります。
重要なのは、どうしても家族の助けが必要な時に、夫や子どもが快く協力してくれること。そのために欠かせないのが「ママは仕事をすることで魅力的なる」と思ってもらうことです。
言い換えると、家族を大切に思うのと同じくらい仕事を愛し大切にしているということを、夫や子どもに理解してもらうことです。家族にこうした思いや理解があれば、家事の分担にも不満が出ず、緊急の仕事が生じたときの「ママの不在」もきっと受け入れてもらえるでしょう。
仕事に対する家族の理解を得るためには、日頃から仕事に対する思いを家族に話すことと、真剣にそして機嫌よく仕事をすることが大切。そうすることで「ママと仕事の良い関係」を家族に理解してもらえます。
売上が伸びない悩みは「ファン作り」で解消しよう
売上が伸びない時に、商品やサービスの改善を考える人は多いものです。しかし、まず考えたいのは現在の商品・サービスを、より多くの人に知ってもらうこと。強い思いを持って始めたあなたの商品・サービスには、必ず魅力やこだわりがあるはずです。それを知ってもらい、ファンになってもらう方策を最優先しましょう。
良い仕事はしても、それをアピールできていなければ、職人ではあっても起業家とは言えません。ブログ、Facebook、InstagramなどのSNSの利用は必須です。広告に経費をかけられない場合、その活用が事業の成否を分けると言っても過言ではありません。
「炎上」というリスクもあり、心ないコメントに落ち込むこともあるかもしれませんが、SNSは個人起業家が仕事への思いを拡散できるツールです。「物語づくり」ができれば、ファンを増やすことにつながるでしょう。
経営知識、専門技術の習得はブレーンが大切
起業すると経理、税金の申告、監督官庁への届け出など、仕事に付帯する業務がいろいろ生じます。仕事そのものでも、より深い専門的な知識や技術の習得が日々求められます。これらは必要に応じて一つひとつ習得しクリアしていけば良いのですが、その頑張りがタコツボ型の孤独な奮闘にならないようにしたいところ。
顧客との関係を大切にするだけでなく、起業家同士の人脈も開拓していくことで視野が広がり、ブレイクスルーのチャンスをつかめる可能性があります。各自治体でも、女性起業家を支援する様々な機会が提供されています。こうした機会を活用して、経営者仲間を作っていきましょう。
女性起業家ならではの強み
女性起業家ならではの強みとして第一にあげられるのは、男性にはないコミュニケーション能力の高さです。ジムに行っても、旅行先でも、隣り合った人と世間話を始めるのは多くの場合は女性から。人間関係におけるこの「とっつきやすさ」や、周りに壁を作らないオープンマインドは、男性には滅多にないものです。
もうひとつ挙げるとすれば、家事・育児のリアルな経験です。女性起業家にとってネックとなることがある家事・育児・介護に携わる時間は、男性起業家には発想できないビジネスチャンスのシード(種)でもあるのです。
ストーリー作りで起業を成功させよう
女性起業家の最大の悩みである家庭との両立は、仕事に対する思いを家族に理解してもらうことが解決策につながります。
売上がなかなか伸びず、資金調達がままならない悩みは、SNSを活用して商品・サービスのストーリー(物語)づくりをしてファンを増やしていくことで解消されます。
会社経営の知識や仕事の専門技術についての悩みは、タコツボ型の努力にならずに、相談できるブレーンを作ることで、視野が広がり解決策が見えてくるでしょう。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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