記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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会社員のまま起業準備を始める、つまり副業でビジネスを始める場合、気になるのが「会社にバレないか」ですよね。
実際、ノウハウがないためにばれてしまう人が、毎年何人もいらっしゃいます。副業解禁とか、許可制になったという流れもあるのですが、まだまだ多くの会社では白い目で見られてしまうので気を付けたいところですね。
ですが、副業とはいえ、お客様からみれば事業者です。名前を隠したまま、営業などできるのでしょうか?
実際、もしあなたが買い物をするとして、リアルの店舗なら、経営者の正体などどうでもいいですよね。お店の人の名前も、本社の所在地も、まったく気にしたことなどないでしょう。
ですが、これがネットとなるとどうでしょう?
売っているものが、目に見えないものである場合はどうでしょう? 相手が一切、自分の情報を出さない場合、あなたは、クレジットカードの番号を入れる勇気があるでしょうか?
その場合、信頼できる第三者の保証が欲しくなりますよね。それがアマゾン、楽天だったり、有名企業が管理するポータルサイトであったりするわけです。ようするに、商品、サービスは「信用」されなければ、売れないのです。
代表者として匿名でいられるの?
あなたが会社員のまま起業した場合、どうしても、顔や名前、住所を晒すことには抵抗がありますよね。バレてしまえば、ちょっとした裏切り者扱いで、追及を受けることもあるかもしれません。
そこで、匿名で正体を隠したまま起業できるかどうかですが、これには法律上の規則と、営業上の有利不利の2つの面から考える必要があります。
法律上の規則について
まず、法律についてですが、特定商取引法というものがあります。
細かい話は専門サイトを見ていただくとして、ここで知っておきたいことは、ネット上で決済をする場合、たとえばお申込みを受けて、カードや銀行振り込みでお金をもらう場合などには、販売責任者の氏名、住所、電話番号などの情報を記載する必要があり(特定商取引法に基づく表記)これが問題となるのです。
これを避けるためには、いくつかの方法があります。
代表者をあなたじゃない人にする
あなたのご親族、友だちなどに代表者になってもらい、あなたは下請け業者になるということです。会社員のまま他の会社の社員になると、ほぼ本業の会社にバレることになりますので、社員になってお給料をもらうのではなく、あくまでも事業者同士で、あなたが業務委託を受けているような形にすると、あなたは表に出ないで済みます。
注意が必要な点としては、単純な名義貸しはNGということと、事業者同士にする場合であっても、同一生計親族への支払いは、所得税法第56条により、原則として経費として認められないなど、少しややこしいルールがあるので、事前に税務署などに確認をするようにしてください。
外注費として計上できないので、青色申告の場合にお給料として支払える「青色事業専従者給与」を利用したくなりますが、今度はそのご親族が会社員の場合には、会社にバレてしまう可能性が高くなってしまいます。
ようするに、たとえば、あなたの奥様が名前を出しても大丈夫だとして、奥様に代表者になってもらったら、あくまでも事業から得る収入はすべて奥様のものとして確定申告をし、あなたは無償で奥様のお仕事のお手伝いをしている、という形でないとおかしなことになるということです。
その場合も、消費者から奥様宛に電話があったような場合にも「は? 何のことでしょう? 私は何も知らないので・・・」となってしまうと、ただの名義貸しになってしまい、これは行政も厳しくチェックしています。あくまでも奥様が事業主として、きちんと責任を果たせるようにしておく必要があります。
販売代理店を設ける
これがイチバン簡単で、現実的だと思います。販売責任者をあなたではなく、他の会社になってもらうように委託するのです。
既に独立している人と組んだり、販売代行をしてくれるポータルサイトやネットショップなどに商品を卸したりするなどの方法があります。セミナーを販売する場合も同様で、このようなやり方をすることでビジネスネームを利用できるようになります。
ネット上で決済しない
これも非常にシンプルです。ネットはあくまでも出会いの場。問い合わせを受け付けるまでとし、その後、メールや対面で商談をするようにして、そこで説明をした上で契約をする形にします。
これであれば、特定商取引法に基づく表記は不要になりますので、ネットではビジネスネームにしておけば大丈夫です。
営業上の有利不利について
特定商取引法に基づく表記には、実は例外があり、問い合わせを受けてすぐに連絡をするのならば、ネット上に晒しておかなくてもよいという規定もあります。ですが、お客様の立場から考えた場合「問い合わせをするまで正体がわからないショップにカード番号を入力するだろうか?」と考えると現実的ではありません。
物販系、便利屋などの代行サービス提供系は、その物やサービス内容がよければ、それを誰がやろうが販売していようがあまり気にならないものですが、知恵系、場所系のビジネスは、先生や主催者のカラーはそれなりに気になるものです。
ですので、自己開示はすればするほど、商売には有利ということは間違いないでしょう。
代理店を募集するには?
いわゆるアフィリエイトは、販売責任者は広告主なので代理店にはなりません。一方、ドロップシッピングは、販売責任者があなたに代りますので代理店と言えばそうなのですが、日本ではすでに衰退して一般的ではなくなっています。
よって、代理店を集めるには知り合いに依頼していくのがイチバンの近道でしょう。代理店募集のマッチングサイトなどもありますが、会社員のまま個人で始めるわけですから、まだそこまで大げさにせずとも、既に起業している人や、知り合いなどにお願いし、取引してもらうのがいいでしょう。
まとめ・会社にバレずに起業できるの?
表に一切名前がでないようにするためには、やはり代表者を親族の方にやってもらい、あなたはボランティアでお手伝いをする。あるいは代理店を作る、その2つのどちらかを選択することになるでしょう。或いはアフィリエイトなど、そもそも販売をせずにただ人を紹介するのも大丈夫ですね。
ネット上で直接決済しなければ、つまり、メールや対面などできちんと商談をする機会を設けてあれば、ネット上で本名をさらす必要はないので(※もちろん、振り込み口座の名前が違ったりするので、お客様には事前に伝える必要があります)、そのようにビジネスを工夫する必要があるでしょう。
知恵を使えばできることはたくさんあります。頑張りましょう!
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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