記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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これから起業される方にとって、悩みのひとつでもあるのが「起業資金」の調達ではないでしょうか? 補助金も潤沢し、スモールスタートも一般的になり、従来に比べると比較的簡単に誰でも起業できるようにはなりましたが、それでも多少の起業資金は必要となります。
今回は、起業するために必要な資金の調達方法について種類別に解説しますので、参考にしてください。
起業するための資金調達方法や種類とは?
起業するためには資金が少なからず必要となります。起業資金の平均は1,000万円前後だと言われており、業種によってはそれよりも少ない500万円前後とも言われています。
日本政策金融公庫の調査によると、開業資金の平均(2019年度)は1,055万円。中央値は600万円でした。ちなみに調査を開始してから500万円未満の割合がもっとも高くなったとのことで、下図のとおり開業資金には下落傾向が見られます。
ネットショップなど在庫を持たない形で起業する場合には、起業資金が100万円以内で始められるケースもありますが、それでも自己資金ゼロでは、起業は難しいのが現実です。
そこでどのような形で起業資金を集められるのかを確認しておく必要があります。ここでは起業資金集めの方法を4つご紹介しますので、自分に合った方法を探してみてください。
自己資金を使う
もっともオススメな方法は、無理なく手持ちの自己資金で起業する方法です。自分で貯めた資金のため、その用途や使い方については縛りもないため自由度が高いです。
努力して貯めてきた貯蓄を起業資金に回すため、しっかり考えながら慎重に資金運用できます。無駄な使い方をしないため、経費削減にもつながるでしょう。
また、借入や融資とは異なり、返済するという精神的負担もないため、事業に集中できるというメリットもあります。返済できなくなるというリスクもありません。
出資を受ける
資本家にあなたの事業に興味をもってもらい、事業が成功、成長することに期待して投資してもらうパターンです。マネーの虎ですね。これは投資家として配当というリターンを期待して投資する資金であるため「返済する必要のない資金」となります。
また、投資家にとっても株数に応じた額を利益配当として受け取ることが可能なため、win-winな関係となります。起業家にとっては資金繰りしやすいというメリットがあるため、投資家からの出資が募れるのであれば、最も効率的な資金の集め方だと言えるでしょう。
家族や友人・知人などから借入する
起業する際の資金集めにおいては、頼れる家族や友人・知人などから資金援助を受けるという方法もあります。メリットとしては、金利や手数料などを取るケースは少ないため、信頼のみで資金集めができる点にあります。
しかし、金融機関からの借入ではないため、返済リズムがルーズになることも多く、いつまでにいくら返済するのかを双方で明確にしておく必要があるでしょう。大切な人間関係が壊れてしまう可能性もあるため、十分な注意も必要です。
金融機関からの融資を受ける
起業資金集めで最も多く利用されているのが「金融機関からの融資」です。会社員のまま起業を目指す人は利用することは少ないかもしれませんが、事業計画をしっかりと作っておけば融資を受けることが可能です。(参考:「事業計画書の書き方~融資・出資を受けて起業するなら】」)
大きく起業する場合の起業資金は、中央値でも600万円以上を必要とするケースが多く、自己資金では難しい場合があります。融資となると金利や手数料も発生しますし、万が一、返済が遅れてしまえば信用に傷を付けることにもなります。事業計画をきちんと立て、返済できると確信が持てる場合に限り、利用することが大切です。
金融機関から融資を受ける際に重要なことは、しっかりとした「事業計画書」と「信頼できる人となり」です。相手も人間ですから、多額の融資をするに値すると思ってもらうことが、融資を受ける秘訣であり、起業資金調達のポイントです。
資金調達を成功させるポイントとは?
起業資金を集めるうえで、前述したどのケースにおいても必要なことがあります。それは「資金援助するだけの事業内容」かどうかです。
ここでは資金調達を成功させるために抑えておくべき3つのポイントを解説します。
ビジョンを明確に見せる
資金を調達するためには、今からあなたが行おうとする事業は一体どんな内容なのか、どのような収益モデルなのかを相手に理解してもらうことが大切です。
「しっかり返済できる事業です」と伝えることで、融資や借入の際にも承諾率が上がります。逆に事業内容が不透明な場合「貸したお金が返ってこないかも」と思わせてしまう可能性もあります。
大切なことは・・・
- どのような事業内容で起業するのか
- どういった流れで収益を上げていくのか
- どのようなスパンで返済していくのか
の3つです。
熱意を伝える
もし事業内容が収益性に乏しい内容であったとしても、その事業に対するあなたの熱意が伝わるとき、出資や融資につながります。もちろん収益性あってのことですが、やる気の有無は起業資金調達には欠かせないポイントです。
たとえば、人助けを生業とする職種で起業する場合には、特にやる気や熱意が必要とされます。どれだけ起業に対して真摯な気持ちで向かい合っているのかを見てもらうのも起業家の務めといえるでしょう。
借入先にとってのメリットを見せる
起業資金を貸す側の立場からすると、投資のように何かメリットがあると借入のハードルが下がる傾向にあります。
なぜなら、貸すことにより具体的にいくらくらいのリターンがあるのか、きちんと返済できる収益性があるのかをイメージすることが可能だからです。
資金調達がうまくいかないときの原因とは?
いろいろ試したけれど、それでもなかなか起業資金の調達がうまくいかないという方もいるでしょう。
そんなときは「事業計画」と「調達活動」を見直しましょう。あなたの計画した事業内容が本当に魅力あるものなら、自然と資金は集まってきます。
もちろん資金を投資してくれる投資家との出会いの数も重要です。どれだけ起業資金を集めるために行動できたでしょうか? あなたが投資家との出会いを求めてどれだけ行動できたのかも見直す必要があるでしょう。そもそもの行動力が足りていない場合には、どれだけ魅力的な事業内容でも資金調達はできません。
もし、今あなたが起業資金の調達に苦戦しているならば、ぜひ「事業計画」と「調達活動」の見直しを行いましょう。
無理な借入は避けて小さな副業から始めることも検討しよう
何よりも起業したての始めの段階では、無理な借入は避けるほうが無難です。なるべく自己資金の範囲内で無理なく事業を運営していき、軌道に乗り始めたら大きな融資や借入で事業を大きく育てていく流れが大切です。
もし自己資金が少ないという場合には、まずは副業という形でスタートし、上手くいったら副業から本業へとスライドさせていくことも念頭においておきましょう。
よくある質問
Q. 2023年時点で、起業時に利用できる融資制度を教えてください。
A. 同じ事ばかり申してすみませんが、お金を返せる利益を叩き出すのは簡単なことではありませんので、十分に検討してから決定してください。
まず、日本政策金融公庫の〝新創業融資制度〟があります。実績もいらず、無担保で保証人も要りません。次に、自治体の〝制度融資〟も検討できます。こちらも無担保、無保証の融資になります。ただし、信用保証協会の保証が条件になります。
そのほかにも、助成金や補助金制度があり得ます。返す必要のないお金になるので、ぜひ検討してみましょう。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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