起業は「友達」や「仲間」としてはいけないのでしょうか?【事例紹介】

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

今日は「友達や仲間同士で起業をすると、高い確率でうまくいかないということについて」お話ししようと思います。

こんなご質問をいただきました。
 

怒られている女性
 

● 質問

28歳サラリーマン、現在、広告代理店に勤めています。

今、自分の勤めている会社の先輩(30代男性)から、一緒に起業をしようと誘われています。一人200万円ずつ出資してちょっとユニークなサロン(カフェも併設)を立ち上げ、自分が代表になるように言われています。

その話をしてから、先輩が自分に何の相談もなく色々なことを勝手に決めてしまいます。決まったこととして、どんどん話をしてくるのです。(※ しかも今勤めている会社の仕事時間中に・・・。)

お世話になっている先輩なので、自分も言いたいことが言えません。一度、勇気を出して、先輩の考えたサービスの案について「ちょっと古いかもしれない」と言ったときも「それはおまえの知識がないだけ。黙ってやればいい」と、全く聞く耳を持ってもらえませんでした。

自分も200万円を出す以上、また自分が代表になる以上、勝手に決めてもらっては困ると思っています。ですが、話が噛み合いませんし、そもそもコミュニケーションを取ることができません。

今、その先輩に対して強い不信感を持ってしまっています。どうすれば良いでしょうか?
 

オフィス二人でいる
 

● 回答

ご相談ありがとうございます。友達に声をかけてもらったり、今回のあなたのように、先輩の立場の人にお声がけいただくなどのことがあると、冷静に判断できない状態になりますよね。あなたが今、大変なのはとてもよくわかります。

もし、断った場合に、その後の先輩との関係がどうなってしまうのかが心配になったり、どうしたら上手く断れるかと考えたりしているうちに、先輩が次から次へと連絡をしてくる・・・。そうなれば、あなたはどんどん苦しくなってしまいますよね。
 

ポイント 友達や仲間に起業しようと誘われたとき起こりがちなトラブルとは?

「友達」や「仲間」と起業しない方がいい?

女性が怒っている
 

友達や仲間に「一緒に会社やろう!」と誘われることは、珍しいことではないと思います。実は、同じようなレベルの人と組んでも前に進めないことの方が多いのですが、それでも「何かをやってみたい」という想いを共有できた間柄では「一緒にやろう!」という話はよく出てくるものです。

しかしながら・・・、ここで知っておいて欲しいことがあります。
 

ビジネスは、初めてやるときは「たいてい失敗する」ものです。
 

昨日ボクシングを始めた人が、明日いきなり、世界戦に臨んで勝てるはずがありません。

そんな時、一人で起業していれば、いくら失敗してもそれは全て「自己責任」です。一人なら誰にも余計な気遣いをすることもなく、すぐに改善し、自らのお金を使って、事業を前に進めることができます。

ですが、これが友達と一緒であったり、ましてや今回の相談者様のように、言いたいことを言えない関係の人と組んでしまっている場合、ちょっとややこしいことになります。どちらかがどちらかに対して不満を持ってしまうこともよくあります。

当然のことながら、責任を押し付け合ってしまいそうな、信頼関係のない人と組むことはご法度です。
 

練習
 

実際、こんなことがありました。

私の友人の会社員のAさん(妻子持ち、残業多め)が、すでに起業しているBさん(独身)と事業を立ち上げたときがそうでした。

Aさんは会社員のためなかなか時間が取れず、休みの日も生まれたばかりのお子さんの子育て、家事分担と忙しい日々。Bさんは常に「Aさんは仕事が遅い」とイライラしていました。

やがて、Bさんは「起業はやっぱり一人で進めないとダメだ」と口癖のように言うようになり、一方のAさんは「Bさんは自分勝手だ」と言って、お互いに責め合うようになってしまったのです。結果、二人は決裂してしまいました。

友達、仲間と組む最大のリスクは「友人関係が壊れてしまう可能性がある」ということです。

お金が絡むことですし、常に相手が自分と同じくらい頑張ってくれていると感じていないとストレスを感じてしまうものなのです。
 

ポイント 友達や仲間の起業の誘いに乗るべきか?【失敗事例】

「友達」や「仲間」と起業しない方がいい?

交渉決裂の2人
 

私の友人のCさんとDさんは、ある起業の勉強会で知り合い意気投合し、一緒に事業を始めることになりました。Cさんは、その勉強会の講師、Dさんは生徒という関係でした。

彼らが始めたビジネスは、新しい講座ビジネス。Cさんが講師、Dさんはその他の段取り、という役割分担でした。

ところが、実際はDさんの本職は料理人。セミナービジネスなどやったことがありません。結果、全ての段取りはCさんが一人でやっている状態でした。

Cさんは「Dさんは未経験だし、しかも勉強会のお客様だし、それでも仕方がない」と仕事を続けていましたが、ある日、スタッフであるDさんが講座に遅れて登場し(すでに講座が始まって30分以上)、そして、着席後、Cさんが講義をしている最中、ずっとあくびをしていたのです。

講義をしながらDさんを前から見ていたCさんは、ついに不満が爆発してしまいました。二人は講座後に大喧嘩となり、決裂してしまったのです。

しかし、それだけなら、まだ話しは簡単でした。

Dさんは「講座を受けていた人の中に自分の友人がいた。友人の前で注意をされ、恥をかかされた」と、Cさんを相手取り損害賠償を請求すると言ってきたのです。

Cさんは「なんだその理不尽な話は!?」と思ったのですが、法律トラブルというものは、このように突然降ってわいてくるもの。Cさんは、このトラブルの処理に、その後3ヶ月以上の貴重な時間を費やし、大きな損失を被ってしまったのです。
 

メンタリストDaigoさんも言及

あのメンタリストDaigoさんも、友達同士の起業について「主導権がはっきりしていないと絶対喧嘩します」とおっしゃっています。その後にひろゆきさんも「どんなに仲良い人でも揉めるんですよね」と同意されています。

 

ポイント 友達や仲間と起業した場合のメリットとは?

「友達」や「仲間」と起業しない方がいい?

仲良し雀
 

私は、仲間と起業してうまくいっている人を、一人だけ知っています。

その人も同じように、自分の出ていた経営者になるための講座の先生だった人とタッグを組みました。自分が社長、先生が副社長という立場で会社を作り、明確に役割分担をしました。

彼が社長として表に出て、徹底的に営業をする、そして資本金も多く出す。先生は戦略を立て、社内の仕組みを作ることを担当し、お互いの仕事に一切意見しないことを徹底したのです。

ラッキーだったのは、結果的に、彼と先生が同じ会社でそれぞれ別の事業を成功させることができ、同じ会社なのに全く別会社のように仕事をすることができた点です。それがなかったら、つまり同じ事業を二人で分担していたら、確実に衝突していたでしょう。

結果、二人の会社は、10年以上続いています。

私がその先生と話す機会があった時に、この珍しい成功パターンについて話を聞いたところ「俺がバカになることに徹したからうまくいった」「別々の事業をやってきて干渉しなかったからうまくいった」と誇らしげに言っていました(笑)

仲間と一緒にやるメリットは、怠け心が出た時に「相手も頑張っているから頑張ろう」と思えるところだと思います。ですがそれ以上に「相手が頑張っていないことの方が気になるのが人間」ですよね。

彼らのように上手く幸運に乗れる人は多くはないと思います。
 

ポイント まとめ:友達、仲間との起業は冷静に判断しよう!

「友達」や「仲間」と起業しない方がいい?

ビジネスウーマン
 

さて、今回は友達、仲間と起業するメリットとデメリットについて、お話をしてきました。

ご相談者様への答えとしては「私は、基本、友達とは『パートナーシップ』で組む方がいいと思っています」ということです。社長と役員ではなく、社長と社員でもなく、社長と社長として組むのです。ようするに、お互いに得意分野以外をアウトソーシングすることです。

人にも会社にも、ビジネスにおいては役割があります。考えて見てれば、市場で同じ役割の会社(競合)とは、まず取引しないですよね? もし、友達や仲間と同じ会社で仕事をするときも、役割の違う人と組まなければ決裂してしまいます。

  • プラットフォーマー(買ってくれる顧客&名簿を持っている人)
    店舗・団体・ポータルサイト・商社
  • コンテンツホルダー(売れる商品&サービスを持っている人)
    コンサルタント・コーチ・講師・専門家・メーカー他
  • マーケッター(リサーチ&商品企画&ネット発信ができる人)
    ライター・コピーライター・SEO技術者他
  • セラー(リアル営業ができる人)
    フロントエンド講師・プロモーター・セールスパーソン・代理店他
  • ITエンジニア・デザイナー(コンピュータに強い人)
    プログラマー・システムエンジニア・WEBデザイナー他
  • 事務系(全体を見れる&細かいことができる人)
    総務・経理・受付他
  • インベスター(お金&人脈を持っている人)
    投資家

ざっと並べても、役割の違いはこんなにあります。
 

あなたの役割は何ですか?
 

繰り返しになりますが、私は、10000人を見てきた経験から、起業は友達、仲間とはやらない方がよいと思っています。
 
そして、このブログの読者の多くの方は、まだ起業前ですよね。起業してからも大変なのですが、起業する前も同じです。

私の起業塾のセミナーに参加する人たちを見ていても、友達同士で来てなにやら相談し合っている人たちで、その後本気で起業をすると決めた人はこれまで一人もいません。

今の世界で仲良くなった人たちは、当然ですが世界を今のままキープすることを望むので現状が変わらない方を選択するのです。

出典:大和書房「朝晩30分 好きなことで起業する 新井一著」(P130)

 

あなたの人生は、あなたがハンドルを握るのです。
 

いきなりですが、起業して成功するために一番大切なことは何かわかりますか?  私は今まで(2023年3月)時点で、述べ60000件を超える起業相談に乗ってきました。たくさんの起業家を見てきました。少し前までの起業は、カウンセリングやコンサルタントになる自分商品起業、WEBサービスのIT起業が流行り、今後はAIの登場で一気に変わりそうです。シニア層に起業ブームが来ているのかと思いきや、意外とそうでもなく、女性や学生が増えている印象を持っています。(シニア層はモヤモヤしてるだけで動いていないのかもしれませんね。)...

 

2017/02/14追記

考えてみれば、バンドやお笑いコンビもよく解散しますよね。どんな理由で解散するのかと言うと、代表的なものでは、

  • 音楽性、方向性の違い
  • ソロでやりたい
  • 売れなかった

などですよね。

これって、起業の仲間割れ分裂によく似ています。やりたいことが違う、一人で自由にやりたい、そして、売上が上らず継続できなかったり、お互いに相手が悪いと思ってしまったり・・・。

お笑いコンビも、今は仲良し同士がトレンド。社長と副社長がそんなんじゃ困りますね。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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