
記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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起業するには、事業を運営するための資金を準備する必要があります。
資金調達の方法は複数ありますが、そのうちの1つが、金融機関などから借り入れをする「融資」です。
しかし、初めて起業をするという方にとっては、融資にはどんなリスクが潜むのか、分かりにくい点があります。
そこで今回は、初めて起業をする場合に直面する3つのリスクを紹介した上で、融資はある程度の経験を積んでからの方が良いこと、融資以外の企業資金の調達方法について詳しく解説しましょう。
初めての起業で融資を受ける3つのリスク
金融機関などから借り入れて資金調達することには、特に初めて融資を受けるという場合、大きなリスクを伴います。具体的には、担保とした土地・建物を失うリスク、保証人に迷惑をかけるリスク、返済が遅れると損が遅延金を請求されるリスクです。
担保とした土地や建物を失うリスク
すでにある程度事業を拡大させている企業であれば、事業によって生み出される利益を返済に充てることができます。
しかし、徒手空拳で初めて起業をするという場合、そのような利益を挙げている段階ではありません。融資を受けるには、返済ができなくなった場合に備えて、土地や建物などを担保にする必要が場合も多いです。
通常は、企業として保有する土地や建物などを担保とします。しかし、起業直後の企業が持つ不動産は事業に直結する場合が多く、もし事業がつまずいたらすぐ事業継続が難しくなるため、リスクは高いと言えるでしょう。
保証人に迷惑をかけるリスク
初めて起業する場合、担保となる不動産を持っていないことも多いです。その場合、返済が難しくなったときに備えて保証人を立てた上で、金融機関から融資を受けることも必要になってきます。
しかし、起業したからといって、必ず成功するとは限りません。もし、起業後にずっと赤字続きで、返済期日が迫っても返済の見込みが立たなくなったら、保証人に多大な損失を与えてしまいます。
融資の利息が経営を圧迫するリスク
金融機関から融資を受けるとは、聞こえは良いですがその実態は借金です。お金を借りた以上、金融機関や審査・契約状況によって変わりますが、年数%~10%程度の利息が発生します。
一見、この程度割合なら大きな金額ではないと感じられるかもしれません。しかし、融資額が大きい場合、創業間もない財務体力のベンチャー企業においては、利息の支払いが大きな負担になることもあります。
状況次第では、利息の支払いのため黒字企業が赤字になってしまうこともあるため、収益力のない段階での融資は大きなリスクを伴うわけです。
融資はある程度の経験を積んでからがおすすめ
初めて起業する人の場合、いきなり金融機関から融資を受けるよりも、ある程度、事業を成功させてからの方がが望ましいです。実績のある企業のほうが、金融機関も融資をし易いことも理由の一つです。
事業を成功させてからだと安心
起業後、事業を安定させ、利益が見込める段階であれば、金融機関も安心して融資を行えます。起業時の資金ではなく、新規に事業を拡大するステージであれば、核となる事業の利益を元にした返済計画も立てやすいです。
実績があれば審査に通りやすい
初めて起業した実績のない経営者は、融資をしても返済をしてくれるのかどうか信用できません。一方、すでに実績を上げている経営者であれば、失敗リスクが少ないので、金融機関の審査も通りやすいです。初めて起業する人は、そもそも融資を受けられるかどうかも分からない状況です。

融資以外の起業資金の調達方法を紹介!
起業にあたって資金調達を行う場合、その方法は融資だけではありません。ここでは、自己資金を溜める、知人から個人的に借り入れる、他企業から出資を受け入れる、ベンチャーキャピタル・個人投資家からの出資を受け入れる、などの方法いついて説明しましょう。
自己資金を溜める
外部からの資金調達を考える前に、内部からの資金調達、すなわ個人資産を資本に差し入れることが重要です。自社株の売却や借金を行うわけではないので、自己資金への依存度が高いと経営の自由度を高く保つことができます。
ただし、資金量に限界があるため、別途資金調達先を確保する必要がある場合が多いです。
知人から個人的に借り入れる
事業規模がそれほど大きくないのであれば、個人的な人脈を頼りに、借り入れを受けるという方法もあります。金融機関からの融資に比べると、借り入れの条件を自由に取り決める点が大きなメリットです。
ただし、金融機関が行うような専門的見地からの経営上のアドバイスなどを受けることはできません。
他企業から出資を受け入れる
株式をほかの企業に譲渡して出資を受け入れるという方法です。
ただし、株式の50%以上を譲渡すると、経営権を握られてしまいます。出資を受けるには、他企業と個人的な関係性を築いている必要があります。
ベンチャーキャピタル、個人投資家からの出資を受け入れる
ハイリターンを狙う投資会社や個人投資家に株式を売却するという方法で、将来的に上場を目指すような、高度な技術・専門能力を持つ企業などが行います。
ベンチャーキャピタルの出資を受けた場合、経営上の助言のほか、取引先や提携相手などを紹介してもらえることも多いです。しかし、起業家が保有する株式比率は低下します。
創業促進補助金を受ける
経済産業省が実施している創業者を対象とした補助金で、最大で200万円の助成を受けることができます。
年度ごとに募集していますが募集期間は短く、補助を受けるには、金融機関や税理士など中小企業支援において高度な専門性を持つ「認定支援機関」による確認書も必要です。
補助金であるため返済は不要ですが、申請すれば必ずもらえるわけではなく、補助対象として認められる経費は限定されています。(参考:マネーフォワード クラウド「起業家必見!創業補助金を確実に受け取るために知っておくべき事情」)
クラウドファンディング
資金面での協力をインターネット上で募集するという方法です。専用のクラウドファンディングサイトを利用し、事業内容を示して不特定多数の出資家から資金を募集します。多くの人に認められるスキルやアイデアがあれば、資金は集まりやすいです。
2020年度では、クラウドファンディング市場は、国内で約1,841億円に達しています。
2020年度の国内クラウドファンディング市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで前年度比17.6%増の1,841億円
~そのうち、新型コロナウイルス関連のプロジェクト件数は3,280件、支援者数124万人、支援額が156億円~
リスクはできるだけ小さくすることが大事
金融機関から融資を受けて起業することには、担保とする不動産を失うリスクや、保証人に迷惑をかけるリスク、利息の支払いが経営を圧迫するリスクなどを伴うため、必ずしも最善策とはいえません。ある程度の実績をあげてから、挑戦してみましょう。

融資以外の資金調達方法は多数ありますし、まずは、融資を受けずに、副業レベルの規模で起業するのもおすすめのやり方です。
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