記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
ドローン関係のマッチングサイトを立ち上げる予定で、サイトにGoogle広告とアフィリエイトリンクを貼って収益化しようとしています。本格的な事業として広告収益を得るのですが、このサイトは商用サイトとして判定されますか?
消費者から見れば、私のサイトは無料の情報サイトで、広告の先(他社)が営利という構造です。私のサイト自体は非営利と言えるのではないかと考えているのですが、いかがでしょうか?

● 回答
広告収益が発生する瞬間に、そのサイトは「商用利用」と判定されるのが実務の通説です。消費者にとって無料に見えるかどうかは、判定の主軸にはなりません。アフィリエイトリンクや広告枠を設置した時点で、運営側に収益化の意図がある以上、「商用」と整理する。フリー素材サイトや音楽配信サービスの規約担当者は、ほぼこの基準で動いていると思っておくのが安全です。
ただし、これは「規約違反になるかどうか」を判定するための線引きであって、「営利目的の事業として税務署にどう見せるか」とは別の話です。混同したまま準備を進めると、思わぬところでつまずきます。質問者さんのケースで何が起きるか、順番に整理していきます。
「商用利用」と「営利目的」、定義はどこが違うのか
まず言葉の整理からです。「営利目的」とは利益を得るための営み全般を指し、「商用利用」とはコンテンツや素材を利益のために用いる行為を指します。営利目的の方が広く、商用利用は営利目的の一部分という関係です。JASRACの基準では、非商用は「個人・非営利団体・教育機関が行う、一切の収入のない利用」と整理されており、これが業界の最大公約数になっています。
ここで重要なのは、「直接の収益」だけでなく「間接の収益」も商用に含まれる点です。広告収入・集客・販売促進・ブランド認知も、対価が動いていれば商用と判定されます。質問者さんのドローンマッチングサイトは、Google広告とアフィリエイトの両方から間接収益を得る構造ですから、規約上の判定では商用に倒れる確率が高いです。
アメブロ商用解禁の例が示す線引き
分かりやすい事例があります。アメブロ(サイバーエージェント運営)は、2018年12月25日に規約を改定し、それまで禁じていた商用利用を解禁しました。セミナー告知・商品販売・サービス宣伝が正式に認められるようになったのです。裏を返すと、2018年12月以前のアメブロでセミナー告知をしていた利用者は、本人がどう思っていようと「商用利用=規約違反」と判定されていたわけです。
このとき、規約違反の判定に使われていた線引きが、まさに「収益化の意図があるかどうか」でした。記事内に料金体系を書いた、外部のLPに誘導した、無料体験から有料サービスに引き上げる導線を作った。これらすべてが商用判定の根拠になります。質問者さんの「広告主が別にいるから自分は非営利」という構造論理は、規約の運用上はほぼ通用しません。

非営利の定義は「利益を構成員に分配しないこと」
では「非営利」の定義は何か。NPO法(特定非営利活動促進法)の整理を借りると、非営利とは「事業によって得た利益を、構成員(社員・役員)に分配しないこと」です。利益を出してはいけないわけではありません。利益を活動の継続費に充てる団体は、ちゃんと非営利として成立します。
質問者さんのサイトに当てはめると、広告収益を質問者さん個人の生活費・所得として受け取るのなら、これは明確に営利活動です。サーバー代と最低限の人件費だけを得て、残りを次の活動に再投入する仕組みを契約書・定款に落とし込み、それを第三者が確認できる形で運営しないと、非営利の旗は立てられません。「気持ち的に非営利」と「制度上の非営利」は別物です。
規約論争よりも、自分の事業意図を確定させる
ここからが起業18フォーラムらしい視点です。アフィリエイトサイトの商用判定で悩む方の多くが、規約のグレーゾーンを行き来しながら手が止まっています。先に決めるべきは、規約解釈ではなく「自分はこのサイトで収益を得る事業者として動くのかどうか」の自己判定です。
収益を得る事業者として動くと決めたら、開業届を税務署に提出し、所得区分を事業所得として整理する流れに入ります。Google広告とアフィリエイトの収益は、原則として事業所得(年300万円以下の場合は雑所得との境界判定あり・国税庁令和4年改正)で確定申告することになります。この時点で、商用判定はあとからついてくるだけの話に変わります。規約上の表現も、堂々と「事業として運営する商用サイト」と整理できます。

会員Bさんの体験:素材違反の指摘から考え方が変わった話
起業18フォーラムの会員Bさん(30代男性・会社員のまま副業形態でWebメディアを運営)は、最初の半年間「自分のサイトはアフィリエイトを貼っているだけだから非営利」という前提で、商用利用禁止のフリー素材を使い続けていました。月収が8万円を超え始めた頃、素材提供会社から「商用判定により利用規約違反」の指摘を受け、過去1年分のページから該当素材を差し替える対応に追われたそうです。
Bさんの場合、自己流で始めて引っかかった部分を、起業18フォーラムの勉強会で「収益化の意図がある時点で商用」という前提に整理し直しました。そこから先は素材契約を商用ライセンスに切り替え、月22万8,000円の事業所得が安定して入る形まで持っていけました。「規約のグレーゾーンで判断を遅らせるより、最初から商用前提で組み立てた方が結果的に速い」と本人が話してくれています。
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』にも、判断を遅らせる人ほど決断のコストが上がっていく構造を書きました。白黒を自分で先に決めて動いた方が、結果として失敗のコストが安くなります。
よくある質問
Q1. 趣味で書いているブログにアフィリエイトリンクを貼ったら商用ですか?
A. アフィリエイトリンクが1本でもあれば、規約解釈上は商用扱いになるケースが多いです。素材ライセンスや音源の利用規約は、リンクが報酬発生の可能性を持つ時点でアウト判定する設計です。
Q2. NPO法人が運営するサイトに広告を貼ったら非営利のまま?
A. 法人格としては非営利でも、広告収益の使い道・分配ルールが定款で明確に「事業継続費に限定」されていないと、運用上は商用と整理されることがあります。NPO法第2条の要件を満たしているか、税理士・行政書士に確認するのが安全です。
Q3. 趣味と事業の境界はどこに引けばいいですか?
A. 国税庁の整理では、年間売上300万円程度を一つの目安として、継続性・事務所の有無・記帳の有無で事業所得と雑所得を分けます。事業として続ける意志があるなら、開業届を出してしまった方が経費の計上範囲が広がります。
Q4. Google広告を貼っただけで商用利用と判定されたサイトはありますか?
A. 写真素材サイト・フォント配布サイト・音源サイトの規約改定事例には、Google広告の有無を商用判定の基準にしているサービスが複数あります。利用前に各サービスの最新規約を確認してください。
商用か非営利かの判定に時間を使うより、自分が事業者として動くかどうかを先に決める。その意思が固まれば、規約も税務も、あとから整える順番でちゃんと収まります。「曖昧なまま走り出す」から「白黒を先に塗ってから走る」への切り替えが、起業準備の早い段階でできる人ほど、収益化の速度も上がっていきます。
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