起業する際、自分のお給料や従業員の賃金はいくらにしたらいいの?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

1月に独立します。社員を一人雇う予定なのですが、お給料をいくらにすればいいのかわかりません。

なるべく多めに払ってあげたいですが、業績がどうなるのかもわからず、不安でいっぱいです。どのように計算しておけばいいでしょうか?

また、自分のお給料はいくらにしたらいいのでしょうか?
 

起業前質問集
 

● 回答

まずは独立おめでとうございます! 本来であれば、最初は社員を雇わず一人でやった方が安全ですが、人財が必要なのですね。

まず、地域の平均最低賃金を調べましょう。現在の具体的な給与所得者の平均給与は、年号が変わればデータが古くなるので明言は避けますが、ご自身でお調べいただいて、平均賃金の目安は知っておいた方が良いですね。

雇用されている場合は、給与の基準は月単位ですが、経営側で考える人件費は、月単位ではなく年度で計算を行います。その原点となるのが「最低賃金」です。
 

ポイント 最低賃金の計算方法

起業したら自分や従業員のお給料はいくらにする?

給料
 

どのような商売でも、人件費はコストの大きな部分を占めます。この計算方法ですが、基本的には、その業界の標準的な給与水準でなければ、必要なスキルは集まらないと考えるべきです。

まず、雇用する社員が業界初心者レベルなら、年齢に関係なく最初に1時間単位で計算します。例えば、その地域の最低賃金が1000円だとしたら、8時間の所定労働時間でこれを労働日数21日で8×21で168時間と計算します。(※一年の7分の5が平日であるとして。)

これにより時給1000円ではおよそ17万円ですから、大体この前後が基本給となります。仕事に不慣れなうちは離職率も高いので、初めの1か月~3か月間を時給換算で計算するケースも多いです。
 

ポイント 役員報酬の決め方について

起業したら自分や従業員のお給料はいくらにする?

給料
 

これは、起業する際には前提としない方がいいでしょう。なるべく正確なコスト計算が必要となるからです。

事業計画では役員報酬は最後に決めるのがいいと思います。先に取り分を決めるという考え方の先生もいます、私は反対のタイプです。厳密に計算しないと、経営を失敗してしまうと思います。役員報酬は多くても少なすぎても問題になるのです。

考えるポイントは3つです。

  1. 経営者の個人所得を多くすることで私財を確保しておきたい。
  2. 会社の納税後の利益確保で資本を増やしたい。
  3. 今後の成長ペースを見込んで投資用キャッシュを残しておきたい。

この3つのバランスです。

中でも3つ目のキャッシュフローの考え方が重要で、起業後は、自由に動かせる「現金」が必要になります。起業スタート時は、自分の給与はなるべく抑え、必要となるコストを差し引き、税引き後の残ったお金を貯めておくということです。

小さな会社が負債を抱え込むのは危険すぎます。取引上で必要に迫られる規模の商売になり得た頃から、2つ目の資本を増やす観点に切り替えましょう。

自分の報酬が少ないのは残念かもしれませんが、継続して利益を確保するのが本分です。致し方ないですね。最初から風呂敷を広げるなということです。
 

ポイント 安い給与でも人を集める方法

起業したら自分や従業員のお給料はいくらにする?

給料
 

最後に、安い給与しか払えないから、事業は大きくできないというのは間違っています。

確かに、雇用を考えた時に、低い給与は低い待遇と言われても仕方ありません。しかし、会社を継続し、長期の雇用で熟練した社員を育て、段階的に立場を引き上げ、給与を少しずつ増やすことも、ひとつの考え方です。

経営者の裁量次第ではありますが、急がば回れで、所定労働時間を守り、社員が健全に、幸せに働くことができる環境を作ることも大切なのです。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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