起業したら消費税はどうするの? 益税をもらうのは罪?【体験談】

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

起業したら消費税をどうすればよいのでしょうか? 誰にいつ、どうやって払うのですか?

また、課税対象事業者ではないのに消費税を貰うのは犯罪ですか?
 

起業前質問集
 

● 回答

個人事業主でも消費税の納税は必要です。

納税義務は、現在のところ課税売上高1,000万円以上の事業者が対象になっています。正確に言うと、前々年の売上が1,000万円以下であれば「免税事業者」ということになります。但しその場合でも、前年の1月1日~6月30日の課税売上高が1,000万円を超えている場合には課税事業者になります。

つまり、消費税を納める必要のない「免税事業者」は・・・

  • 開業1年目
  • 基準期間(課税期間の前々年度)および特定期間(前年の1月1日~6月30日)の課税売上高が1,000万円を超えていない

となります。

免税事業者である場合、消費税分として代行して徴収した金額は「益税」と呼ばれ、その事業者の利益となります。それはやりたくないからと言って、消費税分の金額を受け取らないでいるとリスクが大きいです。昔は、課税売上高3,000万円以下なら免税事業者になれたのですが、今は1,000万円以下になりました。つまり、次第にそのハードルが下がっていく傾向にあるのです。
 

税金
 

私はかつて、業務委託契約をしていた取引先から、消費税込みで契約をさせられていた時期がありました。

それにより、頑張っても増税により自動的に報酬が下がっていくことになってしまいました。契約賃金の上乗せを交渉しても門税払い。そして、働くことが嫌になってしまいました。

売上が1,000万円を超えていようがなかろうが、消費税分をくださいと言うことに問題はありませんので、もらうようにしておきましょう。
 

会計ソフト
 

通常は、頑張って働いて売上が1,000万円を超えれば、翌々年から課税事業者になります。課税対象者になれば、代行して受け取った消費税は、しっかりと国に納めなければなりません。

では、どのような取引に消費税がかかるのかですが、これは原則として「国内で事業として行う取引全て」ということになります。資産の譲渡、役務の提供、物品の売買など、あらゆるものに課税されます。

しかし、例外も存在します。非課税取引と呼ばれるものです。

これは、消費税の性格上、対象にならないものや、政策的に配慮されているものなどがあります。例えば、土地の譲渡・貸付、切手や印紙、登記、登録の行政手数料などには消費税がかかりません。それ以外にも、公的医療保障制度による医療や、社会福祉事業、学校の授業料、住居利用の住宅の貸付などにも、消費税はかかりません。

もちろん、サラリーマンさんのお給料にも消費税はかかりません。フリーランスの報酬には、かかるのですけどね。(参考:国税庁「No.6201 非課税となる取引」
 

ポイント 消費税の計算方法

起業したら消費税はどうする? 益税は罪?

税金
 

消費税は、自分が既に支払った分の消費税があるなら、それをもらった消費税から差し引いてよいことになっています。このような、差し引くことのできる既に支払った消費税額の合計のことを「仕入税額控除」と呼びます。

これには、経費全般にかかった消費税が含まれます。支払い済の消費税は、全て「仕入税額控除」に算入できます。

この計算がとてもややこしい。全ての支払いと入金に関する消費税を管理しておかなければなりません。なおかつ、非課税対象取引がどれだけあったかも、把握していなければなりません。税理士さんに依頼する方が良いかもしれませんね。

この様なことが面倒だという人には、経費の割合が低いお仕事であれば「簡易課税」を利用するとよい場合があります。フリーランスの場合は、簡易課税で十分かもしれません。

簡易課税では、事業区分ごとの「みなし仕入れ率」が決まっていて、難しい計算をせずに、この率で仕入税額控除の金額を計算する方法です。第1種から第5種までがあり、それぞれ「みなし仕入れ率」が決められています。

この簡易課税制度を利用するには、2つの要件を満たす必要があります。

1つは、前々年の課税売上高が5,000万円以下であること。もう一つは、前年までに届け出をしているということです。
 

しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度(以下「基準期間」という。)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。

国税庁「No.6505 簡易課税制度」 より引用

 

注意点としましては、経費率の高い業種になると、みなし仕入れ率を適応した場合に税額が高くなることがあります。その場合には「原則課税」で計算するようにしてください。

なお、事業区分が異なる事業を掛け持ちでやっている場合には、それぞれのみなし仕入れ率で計算するようにします。税理士さんに相談して、適切な処理をするようにしてください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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