記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「起業に向かない人の特徴」を読みながら、当てはまった項目を指で折り数え、そのたびに気持ちを落としていないでしょうか。向かない特徴のリストは、当てはまる数で合否を出す採点表ではなく、事業の形で外していく設計図として読むのが正しい使い方です。数える読み方と外していく読み方では、同じリストでも続きの一歩がまるで変わります。
私は起業18フォーラムで独立を目指す方の相談を長く受け、7つの特徴を持ったまま軌道に乗せた人にも、逆に向いていそうに見えて続かなかった人にも立ち会っています。性格だけで結果は決まらず、特徴を「合否表」にせず仕事の形を考える材料にした人は、次の打ち手を見つけやすくなります。
先に一つだけお願いがあり、当てはまる項目が見つかっても検索窓に戻らず、性格は消せなくても弱点が表に出にくい仕事の形を探してください。
独立して肌で知った起業に向かない人の7つの特徴

独立して肌で知った、起業に向かない人の特徴は次の7つです。まずはリストとして眺めてみてください。
- 完璧を求める評論家:
自分では動かず評価だけが先に立ち、最初の一歩が出ないタイプ - 人のせいにする人:
うまくいかない原因を自分の外に求めるため、修正の打ち手が自分に残らないタイプ - 得意分野を持たない人:
「何でもできます」が「何も頼まれない」につながりやすいタイプ - ネガティブな人:
悪い想像が先に立ち、決断のたびに足が止まるタイプ - 根気がなく飽きっぽい人:
成果が出る手前で次のテーマに移ってしまうタイプ - 夢中になれない人:
続けるための燃料が見つからず、苦しい時期を越えられないタイプ - こだわりを捨てられない人:
市場の反応より自分の理想を優先してしまうタイプ
この7つは、放置すると判断や継続を難しくすることがある、筆者の経験に基づく注意点です。医学的・統計的な診断ではなく、「当てはまる人は起業できない」という意味でもありません。ここを取り違えると、リストはあなたを止めるだけの道具になってしまいます。
7つの特徴を「合否表」でなく「設計図」として使う読み方

検索して読み比べていくと、多くの記事が7つや10個や14個の特徴を並べ、いくつ当てはまるかで向き不向きを結論づけていることに気づきます。合否表の読み方です。数えて、当てはまりが多ければ諦める根拠にする。これでは、リストは自分を止める道具にしかなりません。
設計図の読み方は逆になります。当てはまった項目を、性格として抱えたまま「事業の形で表に出ないようにする」対象として扱う。動かすのは性格ではなく、商品・お客様・進め方の設計のほうです。合否表なら7つのうち何個当てはまるかで判定し、設計図なら7つそれぞれをどの形で回避するかで判断します。
この差を意識せずに数えるだけで終わると、当てはまるほど絶望が深まる仕組みに自分から入ってしまいます。同じリストが、設計図として読めば、選び方の手数を増やす資料に変わります。
向いている人の正体は性格ではなく事業設計だった

「向いている人」の特徴もよく検索されています。行動力がある、継続力がある、人のせいにしない。どれも間違いではありませんが、支援の現場で近くから見ると、少し違う景色になります。
行動力があるように見える人の中には、最初の一歩を簡単な行動に分解している人がいます。継続できる人の中には、手応えが返る間隔で仕事を回している人もいます。性格の優劣ではなく、自分の癖と商品・客層の組み合わせを見直すことが、続けやすさにつながります。
だからこそ、7つの特徴に当てはまった人が最初にやるべきことは、性格改善ではありません。癖と相性のいい客層や商品構成を先に探すことです。性格を直してから始めた人を、私はほとんど見たことがありません。始めてから、仕事のほうを性格に合わせて直していくのが実情です。
7つの特徴に対応する補い方の早見表

では、特徴ごとの補い方を並べます。自分に当てはまる項目だけ読んでいただいて構いません。共通するのは、性格を変えるのではなく、商品や仕事の形のほうを動かすという方向です。
- 完璧を求める評論家→完璧の対象を変える:
納品物ではなくお客様の反応を完璧に近づける対象へ置き換え、試作を20点で出す進め方 - 人のせいにする人→数字に振り返らせる:
件数や問い合わせ数など動かない記録で月1回振り返り、原因探しを感情から切り離す仕組み - 得意分野を持たない人→商品を一つに絞る:
「何でもやります」を封印し、これまで頼まれた回数が最も多い作業だけをメニューにする絞り込み - ネガティブな人→撤退ラインを先に決める:
いくら使い、いつまでに反応がなければやめるかを開始前に決め、心配を計画段階に集約する設計 - 根気がなく飽きっぽい人→完結の早い商品にする:
飽きる前に1件が終わる単発型・短納期型を選び、切り替えの速さを長所に変える商品設計 - 夢中になれない人→テーマ選びからやり直す:
形を変えても夢中になれる要素が見つからないときだけの例外で、扱いは記事の最後で触れる項目 - こだわりを捨てられない人→こだわりを1点に限定する:
全工程で理想を通すのをやめ、お客様が価値を感じる1点だけにこだわりを集中させる配分
当てはまった項目の補い方を一つ選び、それを前提条件にして事業の形を考え直してみてください。順番が逆になると、つまり事業の形を先に固めてから性格を心配し始めると、打ち手が急に少なくなります。
開業動機の最多は「自由に仕事」59.7%(公庫2025年)

思い込みを外すために、公的な数字も確かめておきましょう。日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月公表)によると、開業動機で最も多かったのは「自由に仕事がしたかった」で59.7%でした。前年(2024年度)の56.9%からさらに上昇し、2年連続で最多となっています。
この結果は、開業者の動機として働き方への希望が多いことを示していますが、性格や適性の影響を否定する数字ではありません。同じ調査で、勤務経験のある人は開業者の97.6%、平均勤務年数は21.1年でした。この数字は勤務経験の有無を示すもので、個々の人が経験をどう事業に使ったかまでは示しません。
お金の面でも変化が続いています。この公庫資料では、開業費用の中央値は600万円ですが、250万円未満で始めた人が20.1%と、少額で始める道筋が用意されている状況が続いています。
拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』の第1章で、「他人と比較しないほうがうまくいく」という考え方を紹介しています。自分のやっていることに自信が持てる人ほど、他人と自分の状態を比較しない。逆に、「向いている人」の像と自分を並べて減点した瞬間から、動きが鈍くなります。向いている他人と比較して減点する時間を、自分の特徴を回避する設計に振り替えたほうが早く進みます。
「完璧主義×ネガティブ」の篠田さんが月商22万8千円まで来た経緯

ここからの人物・数値・発言は、進め方を説明するために構成した架空の事例です。実在の個人や取引実績を示すものではありません。
架空の例に登場する篠田さん(52歳・広告会社の事務職)は、7つのうち「完璧を求める評論家」と「ネガティブな人」の2つに、自分ではっきり当てはまると話していた方です。自己流の準備では、資料を集めては練り込み、SNSの投稿を書いては消して3年で1件も試作を出せずにいました。
気持ちが動いたのは、起業18フォーラムの勉強会で、まだ収益が伸びていない段階の会員さんが「まず20点で出しました」と発表するのを聞いた日でした。20点でも出してしまえば、お客様の声を集めながら仕上げていける。頭では分かっていたことが、目の前の実例で初めて自分ごとになったのです。
そこからの勉強会で、商品を「中小企業向けの社内報デザイン点検オンライン相談」に絞りました。45分の単発相談で、資料を送ってもらい、3つだけ改善点を返す形です。
完璧主義は捨てず、「完璧に近づける対象を、自分の納得ではなくお客様の反応に切り替える」設計へ組み替えました。ネガティブな性格も、開始前に「4ヶ月で問い合わせが月3件を下回れば止める」という撤退ラインを引くことで、心配ごとを実務の外に置きました。
8ヶ月目には、同じ会社の翌月号も相談したいという声が続き、月8社の常連からのリピートで月商22万8千円まで届きました。完璧主義もネガティブな性格も、今もそのままです。変わったのは、性格に合わせた商品の設計と客層の絞り込みだけでした。
ここまでの整理で「性格を直す」より「形で外す」感覚が見えてきたところで、向き不向きを別の角度から扱った関連記事もあわせて確認しておくと厚みが出ます。

よくある質問

Q.診断テストで向いていないと出たら、諦めるべきですか?
諦める判断材料にはなりません。診断は性格の傾向を映すだけで、事業の形を選ぶ選択肢を映しません。性格が「評論家型」と出たなら、完璧の対象をお客様の反応に置き換えた仕事の形を選べば、その性格のまま始められます。判定を疑うのではなく、判定に対応する形を先に決めてください。
Q.7つのうち何個当てはまったら要注意ですか?
個数だけでは判断できません。見るべきは、事業の形や支援で補えるか、生活・健康・資金・許認可など他の条件に無理がないかです。特徴が少なくても、需要や資金の見通しがなければ立ち止まる必要があります。
Q.夢中になれない場合はどうすればいいですか?
「夢中になれない」と感じるなら、テーマ、仕事量、体調や生活条件を分けて見直します。頼まれた回数の多い作業、関心が続く話題、人を助けてきた経験を手がかりにテーマを組み直す方法もあります。関心だけで需要は決まらないため、小さく反応を確かめてください。
Q.「向いている人」の真似をするのは効きますか?
真似の対象を間違えなければ効きます。真似すべきは行動の型(分解する・撤退ラインを先に決める・お客様の声で直す)であって、性格(大胆さ・慎重さ・完璧さ)ではありません。行動の型は誰でも今日から真似できますが、性格の模倣は続きません。
立ち止まる条件も含めて消去法で決める

最後にリストの使い方を整理します。7つの特徴は、事業の形や支援で補えるかを考えるための材料です。立ち止まる条件は一つではありません。需要や資金の不足、健康や家庭事情、勤務先のルール、必要な許認可などに無理があれば、テーマや時期を見直します。性格だけで自分を不合格にせず、現実の条件を一つずつ確かめてください。
反対に、特徴を無視して「向いている人の真似」をするほうが危険です。慎重な人が勢い任せの拡大路線に乗れば、長所だった丁寧さまで失われます。リストは自分を責める道具ではなく、自分に合わない事業の形を消していく消去法の道具として使ってください。
今日は自分に当てはまる特徴を1つ選び、その特徴が邪魔にならない商品の形を1つ具体的に決めて、起業18フォーラムの体験勉強会に問い合わせてみてください。
ここまで丁寧に向き不向きを調べてから動こうとしているあなたは、勢いだけで始める人より長く続く側にいます。その慎重さごと活きる形を選んでください。
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