独立して知った「起業に向かない人の7つの特徴」

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

労働者として組織で働くことをやめ、起業して自分とパートナー、外注さんと組んで働くようになって、たくさんのことを経験しました。これまでのサラリーマン人生の10年分のよいこと、悪いことを、1年で経験できるようなペースだったと思います。

売れるビジネス

一番身に染みたのは、起業に向いている人と向いていない人がいるということです。パートナーの中に起業に向いていない人が混じってしまっただけで、急に全体の質に変化が現れ、その後、うまくいかなくなるのです。そんなことを何度も体験しました。どんな人が起業に向かない、つまりは、パートナーにすると苦しい人とは・・・

ポイント 起業に向かない人の特徴

独立して知った「起業に向かない人の7つの特徴」

評論家

完璧を求める評論家

新しいビジネスには失敗がつきものです。すべてを完璧にするより、成功が失敗を上回るように、とにかく数を打つことを続けてきました。確かにミスはない方がよいですが、ミスを恐れてチャレンジしないことの方が損失は大きいと思います。

そして、そのようなプロセスについて、ちょっと斜めの立場から評論をしてくる人が現れると、全体の士気に大きく影響することがわかりました。「あなたはどうなの? 動いているの?」会社にいても同じような思いをすることはあるとは思いますが、起業家は結果を求めてひたすら動くものです。

人のせいにする人

起業すれば自分が責任者であり、結果が全てです。自分の保身ばかりを考えている組織人には起業は向いていませんし、環境のせいにしても誰も何の同情もしてくれません。自分で判断し、自分で責任を取る。この考え方を持っていない人と組んでしまうと大変です。問題を「全てあなたの責任だ」と非難されることになります。もちろん、起業家なのでそうなのですが。。

もっと自分を目立たせろ、もっと報酬をよこせ、もっと私をよく扱え、もっともっと・・・、そして、実際、やるべきことはほとんどせずに動かない。仕事に対する優先順位が低い。そんな人に囲まれていたら、ビジネスはまず失敗に終わるでしょう。

人のせいにする

得意分野を持たない人

仕事とは他の組織との競争になります。競争に勝つためには差別化できるものを持っていることが条件になります。自分が他の人に負けないと信じることができる得意分野を持たないうち、或いは、一番になれると信じれるものがないうちは、起業しないほうがよいと思います。

ただ、この得意分野、一番になれる分野は、誰にでもあるものです。ここに大きな勘違いがあります。無いと思ってしまうのは、今、見えていないだけなのです。ですので、まずはしっかり自分と向き合ってください。そこから道が大きく拓けてきます。

ネガティブな人

コップに水が半分入っている時に「半分しか」と思うのではなく「半分も」と思える人のほうが前向きに仕事に取り組み、結果を出す可能性が高いと思います。できない理由ばかり探している人がいますが、それは計画の段階でリスク管理をする時だけにしましょう。計画を決めたら機械的に進めるだけです。

できないときには、すぐに撤退すればいいのです。能動的に、戦略的に撤退すること、やめることは、ネガティブな行動ではありません。理由ばかり考えていて、だから・・・、どうせ・・・、自分にはできない・・・、そういう気持ちがネガティブであり、ビジネスの邪魔になるのです。

疲れ

根気がない・飽きっぽい・すぐ休む人

大企業なら自分が休んでも、転職していなくなっても、組織は何の問題もなく回ります。お客様にも迷惑はほとんどかかりません。「あの人がいなくなったらうちは終わり」なんてよく言いますが、実は全く問題ありません。仕事は回るのです。ですが、起業したらそうはいきません。

起業家は、仕事を放棄しても世の中は回りますが、お客様や関係者に大きな迷惑をかけることになります。コツコツ続け、健康を保ち、結果がでるまできちんと仕事をすることが求められます。健康は特に注意です。フリーランスの人は健康診断さえ行かなくなりがちですが、身体を壊したら起業は大きく減速します。

夢中になれない人

新しい仕事をゼロから立ち上げるには、寝食を忘れるくらい夢中に取り組む必要があります。最初から、土日は休みで、いつでも旅行に行けて、と考えるのは間違いです。それは成功した後の話です。夢中になることができないのであれば、そこから出てくる結果もそれなりにしかなりません。

私はそれだからこそ、好きなことで、好きな人と起業することが大切だと申し上げています。どのくらい好きなことなのか? にはちょっとした持論、ノウハウがありますが、嫌いなことに夢中になることはできません。そして、夢中になれなければ、立ち上げなんてできないのです。

飽きっぽい

こだわりを捨てられない人

既存の価値観をこだわりなく捨てられる「柔軟性」が、起業家には求められます。事業環境はどんどん変わります。人はどんどん近づいてきて、また、どんどん離れていきます。法律も変わり、ライバルも変わり、自分の想うところも変わります。その変化にビジネスをフィットさせられるかどうかが、企業経営の要なのです。

強いものが勝つのではなく、変化できるものが勝つ時代です。大きなものが小さなものを食べるのではなく、早いものが遅いものを食べるのです。素早い判断と柔軟性は、一人型ビジネスにおいても非常に重要な成功要因になるでしょう。

がんこ

起業によって、自分で全てを決められる自由を手に入れることができます。それが苦痛だと思う人には無理に起業しろとは言いません。でも、もし一度も起業をしたことがなく、組織の中で悶々としている人がいたら、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか? やってみるとリスクよりリターンの大きな世界であることもわかると思います。

ポイント 2026年の起業環境では「向かない人」の定義が変わった

時代がカバーする弱みの範囲

便利屋

独立してパートナーが見つからなくても困らない時代

「起業に向かない人の7つの特徴」を示してきましたが、これらは20年前なら致命的でも、今はAIや外部サービスがかなりカバーしてくれる時代になりました。記帳代行・営業代行・SNS運用代行など、苦手な領域は月数千円から外注できます。

特に大きく変わったのは「ネガティブ」「根気がない」「飽きっぽい」と言われがちだった人の活躍機会です。AIに壁打ちすればモチベーションが下がりにくくなり、サブスクの仕組みで根気がなくても収益が積み上がります。

  • 記帳・確定申告:会計ソフト+税理士スポット相談で月3千円
  • 営業:紹介サービスやマッチングサイトで案件獲得が可能
  • SNS:AIが下書きを作るので1投稿15分
  • 顧客管理:無料CRMで自動リマインド送信
  • 商品開発:ChatGPT等で壁打ち相手が常時いる状態
向き不向きより「最初の一歩を出せるか」が結果を決める

起業18フォーラムが2021年末にFactBaseリサーチと共同で行った調査では、独立した方の動機はネガティブな理由(会社方針への不満・理不尽な業務・年功序列)のほうがポジティブな理由より多かったというデータが出ています。「向いているから始めた」のではなく「向いていないなりに始めた」のが現実なのです。

つまり、向き不向きの判定で時間を使うより、小さく始めて市場の反応で自分を補正していくほうが早く正解にたどり着けます。

ポイント 会員Hさんが完璧主義から抜け出した経緯

38歳IT会社員の半年

SNS

スタート時の状況:「準備が整ってから」で2年止まっていた

会員Hさん(38歳・IT企業勤務・年収520万円)は、SaaS導入支援で独立したいと考えながら2年間動けずにいました。理由は「市場分析が不十分」「営業資料が完成していない」「LPがまだ作れない」と、すべて「準備不足」でした。完璧主義で評論家気質という、まさに記事で書かれている特徴を強く持つタイプだったのです。

転機は、勉強会で「完成してから動くのではなく、動きながら完成させる」と聞いたことでした。Hさんは、その日のうちに前職の同僚3名にメッセージを送り、「無料でSaaS導入の壁打ちをさせてほしい」と申し出たのです。

  • 1ヶ月目:知人3名に無料相談を実施し、議事録を残す
  • 3ヶ月目:議事録をテンプレ化し、有料化(1件2万円)
  • 5ヶ月目:紹介で月4件入り、月収8万円
  • 6ヶ月目:在職中の収益化を続けながら退職タイミングを相談中

Hさんは「完璧主義は変わっていません。今もLPは未完成です。でも、お客様の前で言葉が崩れることが完璧の最高峰だと気づきました」と話しています。完璧主義は治す必要はなく、完璧の対象を変えればよいだけなのです。

ポイント 向き不向きより使える「3つのチェック」

続けられる起業の見極め

『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』の判定軸

拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』に「3つのチェック」という考え方が出てきます。これは性格判定ではなく、続けられるビジネスかどうかの判定軸です。

  • チェック1:一人で始められるか(仲間集めから始まる事業はやめる)
  • チェック2:一人で続けられるか(人を雇わないと回らない事業はやめる)
  • チェック3:大きなお金が動かないか(数百万の借入が必要な事業はやめる)

7つの特徴に当てはまる人ほど、この3つを満たすビジネス設計をすると失敗が小さくなります。向き不向きは性格論ですが、続けられるかは設計の問題なのです。

「7つの口ぐせ」が出始めたら設計を見直す

『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』には「7つの口ぐせ」も書いています。「忙しい・疲れた・お金がない・時間がない・難しい・あとで・誰かが」が頻出するときは、性格の問題ではなく設計が無理をしているサインです。設計をやさしくすれば、口ぐせも消えていきます。

ポイント よくある質問

向き不向きで悩む人の疑問

起業前質問集

Q.自分は完璧主義なので起業に向かないと思います。直せますか?

  • 性格は変えなくてよい
  • 「20点で出す」を毎週1回練習する
  • 完璧を目指す対象を「お客様の声」に絞る

完璧主義そのものを治す必要はありません。完璧を目指す対象を「自分の納得」から「お客様の反応」に切り替えるだけで動けるようになります。20点でも出してみてください。お客様が80点に育ててくれます。

Q.根気がなく飽きっぽい性格です。一人起業は無理でしょうか?

  • 飽きやすさを「素早い切り替え」と捉え直す
  • サブスク型で収益を仕組み化する
  • 飽きるまでに最初の収益を出す

飽きっぽさは弱みではなく強みになり得ます。新しい市場に素早く反応できる人ほど起業向きとも言えます。サブスク型で仕組み化すれば、自分が飽きても収益は続きます。

自分が起業に向いているかどうか、どうやって判断できますか?
● 質問 起業に向いている人と向いていない人がいると聞きます。自分が向いているかどうかを判断する基準はあります

向き不向きを判定するエネルギーを、最初の一歩に使ってみてください。動き出した瞬間、向き不向きの基準そのものが変わっていることに気づくはずです。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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