東京で起業や副業をする6つのメリットと4つのデメリット

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

自分でビジネスを起こしたい、または副業で稼ぎたいという方は、やはり都会で、特に東京に出て勝負したい・・・と思う方も少なくないと思います。

私自身も、東京を拠点にビジネスをしてきました。あらゆるものが揃っていて(競合も揃っていますが)、ビジネス的に何かとメリットが多かったことが理由です。
 


 

ところが今は、昨今のテレワークの定着や、地方創生の影響などもあり「Iターン」「Uターン」「Jターン」といった、都会に出やすい地方都市で働くことがすっかり普通になりました。起業においてもその動きは全く同じで、ITベンチャーを中心に、地方で起業を目指す人が増えています。

ますます加速する少子高齢化による衰退を避けるためか、地方自治体は起業支援に力を入れています。ですがまだまだ、今の時点では、仕事も公官庁も東京に集中していますし、コストは高くつきますが様々なインフラが整っていることも事実です。

今回は、今日の時点で、東京で起業や副業をする際の6つのメリット、そしてデメリットをまとめてお話しししたいと思います。
 

ポイント 東京で起業や副業をする6つのメリット

東京で起業するメリットとデメリット

東京中央銀行
 

メリット1.人脈が広がりやすい

東京で起業・副業をするにおいて、まず一番のメリットは「人脈が広がりやすい」という事ではないでしょうか? もちろん地方の起業家間でも人脈は広がっていきますが、どうしても人口が多いため東京の方が有利になります。
 

面白い経営者と知り合う確率は、地方より格段上でしょう。
 

メリット2.優秀な人材が揃っている

人口が多いということは、ビジネスにおいて優秀な人材が揃っている可能性も高くなります。東京ではセミナーも人が集まりやすく、様々な考え方やバックグラウンドを持った人と知り合えるチャンスも多いです。

ビジネスを成功させるためには、優秀なチームを組まなければなりません。そのチームに必要な「高い能力を持つ人材」と出会うためにも、やはり人口の多い東京は、起業においてベターな場所であることは確かです。

東京は、神奈川・千葉・埼玉からも非常にアクセスがしやすく、地方では比較的少ない、県をまたいでの通勤なども全く珍しいことではありません。東京に住む人だけではなく、首都圏に住む人たちとも容易に関わることができるのです。
 

通勤
 

メリット3.情報量の多さ

東京は、様々な情報をキャッチできるという点でも非常に有利です。SNSからの情報ではない、ビジネス、投資、芸能トレンドまで、ネットにない一次情報が入ってくるのは確かでしょう。

起業する際に「どれだけ情報を持っているか」「情報の取捨選択能力」は極めて重要です。新しい情報を大量に取り入れ、良質な情報とそうでない情報の見極めをし、ビジネスに役立てていくことが大切です。
 
起業はアイデアとスピードが勝負であり、起業して事業を長続きさせるためには「特定の需要に答えること」と「新たに需要を作り出すこと」が必要です。そして、ファッション、食、情報など、流行発信の中心である東京は、それらアイデアやスピード「今ないもの」「今求められているもの」を知るために最も適した場所と言えます。

ある地域に限定し、地域根ざした事業を行なう方にとっては、地域のニーズを知ることが最も重要ですが、将来的に事業を大きくしたい起業家にとっては、やはりトレンドに敏感である東京に拠点を置くメリットは大きいと言えるでしょう。
 

東京
 

メリット4.通信環境が整っている

地方では、未だにWi-Fi電波が入りにくい場所があります。その反面、東京は、特に23区内では、通信の不便さを感じることはほぼありません。飛行機や新幹線の中のWi-Fiが多少不便なくらいです。

やはり、ネット環境がしっかりと整っている東京都内は、ビジネス的には安心です。
 

メリット5.電車やバスなど公共交通機関が発達している

起業する際には、移動手段の確保も大切です。都内であれば、電車やバスなどの公共交通機関が発達していますが、地方となると線路が通っていない地域があったり、1時間に1本しかバスが通っていなかったりします。時間を大切にすべき起業家にとっては、待ち時間ばかりの生活はしんどいです。

そういった場合、移動手段は車になりますが、自動車の購入費や燃料費などにはお金がかかります。最初は痛いですね。人脈が要となるビジネスであればなおさら、会食やミーティングのしやすい東京に出て来て、多くの予定ををこなす方が有利でしょう。
 


 

メリット6.顔を合わせたコミュニケーションがしやすい

オンラインでのミーティングが増えたとは言え、やはり新規のお客様とは、直接顔を合わせたいものです。そんな時、東京にいる方が便利な場合が多くなると思います。

顔を合わせて仕事の話をする、また食事に赴くなどの機会も、そのうち半分くらいは復活するでしょう。その時は、都内の方がたくさんの予定をこなせそうですよね。
 

メリット7.起業に関するイベントが豊富

「起業18フォーラム」の勉強会はオンラインでの全国配信と東京池袋を同時に行っていますが、やはり起業セミナーなどのイベントの数は東京開催のものが圧倒的です。

実際に、起業セミナーの情報を扱う某検索サイトを見てみても、現在募集中をしている東京開催の起業セミナーが約300件あるのに対し、大阪開催は約150件、そして47都道府県のうち、半数以上の都道府県で0件という結果でした。

そして、地方で行われる起業イベントで起こりがちなのが「毎回同じメンバー」という現象です。せっかく情報収集をしたくて参加したイベントなのに、同じメンバーでは少しがっかりしてしまいますね。

東京開催のイベントでは、東京を拠点に活動する方だけでなく、地方から参加される方も多いため、ひとつの場所で様々な場所で活動する方たちと知り合うこともできるのです。もちろん、地方在住だって、オンラインでなら、東京の起業イベントに参加することは可能です! 意識の高い皆さんの積極的な活動には、いつも頭が下がる思いです。
 

スモビバ!
 

メリット8.起業を支援する体制がある

東京都は2017年1月、起業希望者人口の減少傾向に歯止めをかけ経済成長の停滞を改善すべく、丸の内に起業支援をトータル的に行なう拠点として「TOKYO創業ステーション」を開設しました。私も講師を務めています。

この施設は東京都の監理団体である公益財団法人東京都中小起業振興公社が運営し、起業に関するセミナーなどのイベントを開催するだけでなく、手続きや資金といった起業に関するあらゆる相談や、すでに起業家になった人がさらに事業を成長させるためのコンサルティングなども行っています。

さらに「TOKYO創業ステーション」では女性の起業支援にも力を入れていて・・・

  • 「女性起業ゼミ」と呼ばれる女性専用の起業プログラムの実施
  • 指定の曜日に保育士が子供の面倒をみてくれる保育サービス
  • 女性起業家専任のコンサルタントを常駐させる

などといった取り組みも行われています。こういった女性の立場に立ったきめ細やかな支援は、小池百合子都知事がトップを務める今だからこそなせる技なのかもしれません。

この「TOKYO創業ステーション」以外にも、東京商工会議所では「創業塾」と呼ばれるセミナーなどが随時行われていたり、東京都では行政が主体となって起業支援を積極的に行っています。
 

脱サラ
 

メリット9.前例が多い

やはり、有名な起業家は東京で起業した例が多く、藤田晋氏率いるサイバーエージェントなどはその最たるものでしょう。

そんなサイバーエージェントの本社もある渋谷では、1990年代にIT系のベンチャー起業が相次いで渋谷にオフィスを構え、その様がシリコンバレーのようだったことからかつて「ビットバレー」と呼ばれていた過去があります。

その渋谷では、東急グループにより、100年に一度とも言われる再開発が進められています。(参考:東急株式会社「渋谷再開発情報サイト】」)コロナ禍以前は、オフィスを大量に供給するプランもあったようですが、これについては、今は状況が変わっているようです。

渋谷区全体に目を向けると、オフィス需要はまだまだ厳しい。空室率の好不調の目安とされる5%に達した恵比寿・広尾エリア。コロプラが22年2月をめどに本社を恵比寿ガーデンプレイスタワー(渋谷区恵比寿)からミッドタウン・イースト(東京・港)へ移転。4フロアに分かれていたオフィスを2フロアに集約する。恵比寿ガーデンプレイスのような大規模ビルでの解約に加え、数百坪以下のオフィスの解約が積み上がったためだ。

(中略)

オフィス空室率はピークアウトしているが、先行きはまだ予断を許さない。コロナが収束する兆候はまだ見えず、商業施設や飲食施設に回復の兆しも見えない。「職住遊」を合わせた複合的な街づくりを目指す渋谷は正念場を迎えている。

2021/03/18 日経産業新聞3面「渋谷の飲食、回復遠く「職住遊」の街づくり正念場(沸騰都市再開発)」より引用

 

とは言え、2020年の東京商工リサーチ「社長の住む街調査」においては、上位10位までの街が全て東京23区という結果でした。(データ:東京商工リサーチ「2020年全国「社長の住む街」調査」)やはり、結果を出した成功者たちが多くいるのが東京という街のようです。身近に成功者を感じることができるのも、東京で起業する強みです。
 

ポイント 東京で起業や副業をする4つのデメリット

東京で起業するメリットとデメリット

東京 
 

デメリット1.物価/人件費が高い

東京で起業することの一番のマイナス面は、物価や人件費の高さでしょう。東京の物価や人件費は、諸外国と比べると決して高くはありませんが、日本のなかではトップレベルに高いです。

そうなってくると、ビジネスの維持管理費も高くなります。レンタルオフィスやワークスペースなどの利用も増えてきましたが、それでも地方に比べれば高額になります。
 

デメリット2.自然災害の物理的/経済的ダメージの可能性

東京で仕事をこなしていく場合、万が一の災害も不安要素のひとつです。今後30年以内に起きるという南海トラフ自身や、首都直下型地震による致命的ダメージを考えると、東京で起業することに不安を感じる方もいるかもしれません。

ですが、、、これは日本にいる以上同じリスクかもしれませんね。 
 


 

デメリット3.環境変化が激しく先が見え辛い

地方よりも、都内の方が起業家の人数は多くいます。2020年の東京商工リサーチ「社長の住む街調査」においては、上位10位までの街が全て東京23区という結果でした。(データ:東京商工リサーチ「2020年全国「社長の住む街」調査」

次々とコラボ、イノベーションが起こるため、変化がとても激しく、先が見えづらい一面もあります。
 

デメリット4.同業他社との競争が激しい

東京では、必然的に、同業他社が多くなります。すぐ近くに同じようなお店ができることは当たり前の世界です。

激しい競争に勝ち抜く意志と覚悟、そして才能が必要となるでしょう。

ライバルが多いということは、意識の向上にも繋がります。ビジネススキル、レベルも格段に向上する環境だとも言えるでしょう。
 

ポイント 東京で勝負するかどうかはあなた次第

東京で起業するメリットとデメリット

東京
 

今回、東京で起業するメリット/デメリットをご紹介しましたが、必ずしも「東京で起業しなければいけない」というわけではありません。売れっ子作家が地方に拠点を移すように、生活コストを下げ、スローライフを送ることも十分に可能なのです。

何かを始めようと思った際に、人の多い東京近辺で勝負するか、ライバルが少ない地方を攻めるか、オンラインをメインに全国展開するか、それぞれの起業家の戦略です。
 

東京はマーケットが大きく、サービスを展開する時にも、多くの分野でたくさんの顧客を得ることができるというメリットがあります。しかし、裏を返せば、起業しやすい分それだけライバルたちもひしめいていて、企業として生き残るのはとても大変・・・。そして、都内にオフィスを構えたり、有能な人材を雇ったりするためには、それに見合った対価を支払わなければなりません。  東京のオフィス賃料は他の場所と比べると高く、人件費もそれなりにかかってしまうのは言うまでもないことですよね。東京で起業する際のデメリットに上手く...

 

一般的に、チャンスやサポートが充実している東京が最も適していると感じる人が多いと思います。もし判断に迷うようでしたら、東京の会社に転職して、東京近郊に住みつつ、会社員のまま小さく起業して試してみるのがお勧めです。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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