記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「ロマンドロールって、まだやってるの?」。マネーの虎で伝説になったフランスロールの現在を、そう検索して開いた方も多いかもしれません。
結論から言えば、株式会社ROMANDO ROLL JAPANは閉店していません。2026年現在、長谷部文康さんは公式サイト上でも代表取締役会長として掲載され、FC展開を続けています。
本記事では、マネーの虎で27歳の青年が800万円をつかんだあの伝説回の全貌と、その後の全国展開・年商20億円超への到達、そして税務問題などの波乱と復活までを追いかけます。あわせて、この一人の起業家の軌跡から会社員起業準備層が学べる視点を、私が26年支援現場で見てきた事例と照らして整理していきます。

【2026年最新】ロマンドロールJAPANは閉店? 長谷部さんの現在地
2026年現在、株式会社ROMANDO ROLL JAPANは閉店していません。公式サイト(romandorolljapan.com)では店舗情報が公開されており、会社概要にも長谷部文康さんが代表取締役会長として掲載されています。
税務問題や離婚といった波乱を経てもなお、FC展開を広げるという新しい夢に向かって走り続けています。かつて番組で「そちら(虎)側に座りたい」と宣言した目標も実現し、投資家としての顔も持っています。
「閉店」の噂が今も検索される背景には、2008年の脱税事件で経営権が一度他の経営者に渡ったこと、そして2016年12月に長谷部さん自身が新会社を設立して事業を取り戻したことがあります。この波乱の経緯があるからこそ、多くの人が「今はどうなっているのか」を気にしてしまうのだと感じます。
伝説の番組「マネーの虎」とは?

「マネーの虎」は、2001年10月から2004年3月まで日本テレビで放送されたリアリティ番組です。起業を志願する挑戦者が、虎と呼ばれる現役経営者たちにプレゼンをぶつけ、出資や融資を勝ち取っていくという内容でした。今の基準ではパワハラと言われかねないほどの厳しい言葉が飛び交いながらも、視聴者を惹きつけて離さない番組でした。
虎が机に積み上げる札束が希望出資額に届けば「マネー成立」。そのお金が事業資金として志願者に渡される仕組みです。プレゼン内容だけでなく、志願者の人間性そのものが問われる大人の真剣勝負でした。ドキュメンタリーとしての見応えは、今のビジネス番組にはなかなか感じられない密度でした。
登場する社長たちは当時30代後半から40代前半。十分すぎるほどの貫禄と、ある意味の威圧感がありました。志願者は飲食店の希望者が多めですが、虎側は飲食に限らずさまざまな業種から選ばれた成功者が並びます。このフランスロール回では、南原社長、岩井社長、川原社長など、私が大ファンだった社長たちが顔を揃えていました。
志願者の長谷部文康さんは当時27歳。虎たちに「食べてもらえればわかる。負ける気がしない」と強気に切り込みます。福島ではすでに40分待ちにもなる人気店(移動販売車3台)のオーナーで、東京進出のための現金800万円を得るために移動販売車ごとスタジオへ乗り込んできました。プレゼンの途中で虎たちに外に出てもらっての実食。4人の虎が「美味しい!」と絶賛する中、スタジオに戻った南原社長の言葉は。
「美味しくなかった」
- 南原竜樹(42歳):
高級輸入車の並行輸入・販売を手がける「オートトレーディングルフトジャパン株式会社」代表取締役社長で、年商約100億円。冷静な計算と辛辣な指摘が持ち味。 - 尾崎友俐(34歳):
炭火焼肉店、ビール輸入、レストラン経営の実業家で、年商10億円。飲食店経営のコンサルも務める。 - 加藤和也(31歳):
ひばりプロダクションの社長。芸能事務所の経営者として登場。 - 川原ひろし(38歳):
ラーメン店「なんでんかんでん」を運営する株式会社なんでんかんでんの社長。 - 岩井良明(42歳):
愛知県江南市を拠点に学習塾「大志塾」を運営する株式会社モノリスの経営者。教育業界の実力者。
この放送回で、厳しい指摘の裏に愛情をにじませていた南原会長と、当時27歳だった長谷部さんのツーショットです。

フランスロールとクレープの決定的な違い
実家は和菓子店。パティシエを目指してフランス菓子の修行を積んだ長谷部さんが、クレープから発想を得て開発したオリジナルスイーツがフランスロールです。福島時代からすでに固定客がついていて、平日は2.5〜3万円、週末は7〜10万円/日を売り上げていました。東京では月300〜500万円を目指すと意気込んでいました。
「フランスロールってクレープと何が違うの?」と気になる方は多いはずです。両者は似て非なるスイーツで、生地の厚み・巻き方・原産国・提供スタイル・甘さの方向性のすべてが異なります。
| 項目 | フランスロール | クレープ |
|---|---|---|
| 生地の厚さ | やや厚め・しっかりした食感 | 薄くて柔らかい |
| 巻き方 | ロール状(円筒形) | コーン状・折りたたみ |
| 原産国 | 日本(福島発祥のオリジナル) | フランス |
| 移動販売スタイル | シトロエントラックが特徴 | 一般的な屋台・キッチンカー |
| 甘さ | クリームたっぷり・しっかりした甘さ | バリエーション豊富 |
実食の場でクレープとは異なる食感と見た目を存分にアピールした志願者。南原社長も最初は笑みを浮かべながら口に運んでいたように見えました。ところが、スタジオに戻った瞬間、あの一言が出るのです。
意外な虎が動く|800万円マネー成立の内幕

まず動いたのは1枠の南原社長。「自分には合わない味」「重たい」「あなたの事業の半分しか理解できない」と酷評しながらも「なので半分出す」と早々に400万円を積み上げます。この矛盾したような一手が、この放送回のハイライトでした。
続いて岩井社長。岩井社長は志願者に鋭い質問をぶつけます。
「なぜ今ある3台のうちの1台を東京に持ってくることから始めないのか?」
経営者ならまず出る質問です。試してみたらいいじゃないか。それでも長谷部さんは食い下がります。今、利益が出ている、そしてその利益は事業継続に必要である、と。岩井社長は首をかしげます。
長谷部さんはFC(フランチャイズ)展開も視野に入れており、「そちら(虎)側に座りたい」とまで発言しました。この28歳目前の青年は、東京進出の成功だけでなく、経営者として大成功を収めたいという野望を最初から持っていたのです。
南原社長に続き、尾崎社長、岩井社長が札束を積む
南原社長の意外な400万円に続き、2枠の尾崎社長が300万円を提示します。後日談で明らかになりますが、ここで自分が400万円を出してしまうと合計800万円で早々にマネー成立してしまい、後枠の社長たちが出せなくなる。だから敢えて300万円にしたそうです。この気遣いも番組ならではです。
その後、加藤社長と川原社長はノーマネー。5枠の岩井社長は、希望額800万円の1/8に過ぎない100万円を出すことに意味があるだろうかと悩みつつ、出さないと成立しないという状況を勘案して100万円を追加。これでマネー成立が確定しました。
後日談から見える虎たちの本気度
尾崎社長は飲食店のコンサルタントでもありました。もし長谷部さんが失敗するようなことになれば信用問題に直結します。だから出店のたびに現地に出向いたり、コックコートの襟の高さや腕時計を外すことまでアドバイスをしていたそうです。
番組はその後、フランスでの挫折と修行、東京・横浜への出店と、長谷部さんの躍進を追い続けます。東京での出店場所を確保できず土下座までしたこと、次々とやってくる困難を乗り越えたこと。その結果、長谷部さんは複数の資料で年商20億円超の到達が記録されています。「リターンが少ないなぁ」と尾崎社長が冗談を言いたくなる規模まで到達したのです。
年商20億円超から転落、そして復活|長谷部さんの軌跡
長谷部さんは事業を急速に伸ばしました。しかし、若くして成功した後、私生活や経営面の混乱も重なり、事業経営から一時離れます。経営権は一度別の経営者に渡ることになりました。
そんな挫折を経て、長谷部さんは2016年12月に新会社を設立し、フランスロール事業の経営権を取り戻しました。現在は株式会社ROMANDO ROLL JAPAN(ロマンドロールジャパン)代表取締役会長として活動されています。
長谷部さんは大きな失敗もしましたが、夢だった「虎側」としても番組に出演を果たし、さらにフランスロールをFCで世界に広めたいと次の夢に向かっています。公式サイトやSNSでは、現在の店舗情報や活動が発信されています。
南原社長の「投資の本質」を読み解く
この放送回で最も興味深いのが、南原社長の判断です。「美味しくなかった」と言い切りながら、真っ先に400万円を積みました。この一見矛盾した行動の中に、投資家の思考法の本質が隠れています。
南原社長は「自分には合わない味」「重たい」「あなたの事業の半分しか理解できない」と酷評しました。にもかかわらず「なので半分出す」と400万円を出した。つまり、個人の好みと事業の将来性を完全に切り離して判断したのです。
これは会社員が起業する時にも大切な視点です。「自分が好きなもの」と「売れるもの」は違います。家族に「それ面白くない」と言われても、市場にニーズがあれば事業として成立します。逆に、自分が大好きなものでも、お金を払ってくれる人がいなければビジネスにはなりません。
起業のアイデアを評価する時は、「好き嫌い」ではなく「需要があるかどうか」で判断します。南原社長はそれを行動で示してくれたのです。私が支援現場で見てきた失敗例の多くも、「自分の好きなもの」だけで押し切ってしまい、需要検証を後回しにしたパターンでした。
FC急成長の光と影|会社員起業準備層が読み取るべき3つの視点
長谷部さんの事業は、マネーの虎の800万円からFC展開で急成長し、年商20億円超に到達しました。その一方で大きな転落も経験しています。この「成功と転落」から、会社員がFC起業や急成長型ビジネスを考える時に押さえておきたい視点を、3つに分けて整理していきます。
視点1:急成長は「仕組み」であって「実力」ではない
FC展開は、短期間で店舗数を増やせる強力な仕組みです。しかし、急に大きなお金が入ると、判断が難しくなる場面もあります。長谷部さんの事例でも、急成長後の混乱が事業の根幹まで揺らす結果になりました。
会社員が起業する場合も、成功した時こそ冷静に。「急成長しているから大丈夫」ではなく、「なぜ成長しているのか」を毎月言語化できる状態を保つことが大切です。私の支援先でも、成果が出はじめた3か月目〜6か月目に、あえて自分で「今、どのお客様が何に価値を感じてリピートしてくれているのか」を書き出してもらう時間を設けます。数字の裏側を言葉にしておくと、伸びも落ちも早く察知できます。
視点2:「復活できる人」と「できない人」の差
長谷部さんが転落から復活できた最大の理由は、失敗しても周りに人が残ったことです。尾崎社長のように、成功時も失敗時も見守ってくれるメンター、パートナーの存在は何よりも大きい。
起業は一人で始められますが、一人では続けられません。会社員のうちから、ビジネスの相談ができる仲間やメンターを見つけておくこと。これが、万が一の時の最大の保険になります。拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』でも、知・人・金の「人」を早期に育てることを繰り返し取り上げていますが、独立後にゼロから人脈を作ろうとすると、時間もお金も想像以上にかかります。
視点3:「商品力」こそが全ての原点
長谷部さんが虎たちを動かしたのは、巧みな話術ではなく「食べてもらえればわかる。負ける気がしない」という商品への絶対的な自信でした。実際に外で実食してもらうという大胆な行動が800万円を引き出したのです。良い商品があれば、余計な説明は要りません。まずは商品力を磨くことが、会社員起業の第一歩です。
拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』にも「商品力×発信力×信用力」の3つの力という考え方が出てきますが、この順序も大事です。商品が弱いまま発信力ばかり磨いても、続けて買ってもらえる関係にはたどり着きません。
会員さんの事例|地元密着からブランドを育てた歩み
会員の成田さん(40代・食品メーカー営業)は、長年温めていた地元名産のジャム開発を、勤めながら準備として始めました。当初は自己流でSNS投稿ばかりを増やし、フォロワーは3か月で1200人に伸びたものの、実際の注文は月に2件、売上は月8千円ほどで頭打ちだったそうです。
転機は、地元で長年頼られていた同業の先輩が高齢で店をたたむというニュースでした。「あの相談先が消える」と感じた成田さんは、需要の空白があることに気づきます。起業18フォーラムの勉強会で「誰の悩みを消すのか」を60分かけて掘り下げてもらい、ジャムそのものより「地元贈答用の詰め合わせ設計」に商品を作り直しました。
会員間の個別相談でギフト箱の見せ方や紹介経路の作り方もアドバイスをもらい、そこから半年で紹介による受注が積み上がり、月の売上は月22万8千円に届いたと聞いています。
成田さんが今も口にするのは、「一人で悩んでいた頃、いくら投稿しても数字は動かなかった。動かなかった理由を言葉にしてくれる場所が、外にあったのが大きかった」という言葉です。会社員のうちに、迷ったときに立ち戻れる場をひとつ持っておくと、進みも撤退も判断がぶれにくくなります。
数字で見る「起業と廃業のリアル」
マネーの虎の成功事例だけを見ていると、起業=一発逆転のイメージが先行しがちです。しかし、実態は違います。中小企業庁の統計(2006年版等をもとにした計算値)によると、個人事業主の廃業率は開業後1年目で約37.7%、3年目で約62.4%と報告されています。約8割以上が10年以内に姿を消す世界です(出典:中小企業庁統計をもとにした計算値)。
ここから読み取れるのは、「成功事例だけを見て走り出す危うさ」です。私の26年の支援現場で見てきた限り、続いている方の多くは、派手なマネー成立や急成長ではなく、勤めながら小さく試して、需要を確かめてから広げるという地味な順番を踏んでいます。
800万円をつかんで一気に伸ばすロマンではなく、月5万円を安定させてから月10万円、月30万円と積み上げていく道のほうが、廃業率の壁を越えやすいのです。数字が示しているのはそういう現実です。
よくある質問(FAQ)

Q.フランスロールの長谷部文康さんは現在どうしていますか?
A.株式会社ROMANDO ROLL JAPAN代表取締役会長として活動中です。公式サイトでは会社概要や店舗情報が公開されています。
Q.ロマンドロールJAPANは閉店しましたか?
A.閉店していません。2026年現在も長谷部文康さんが代表取締役会長として事業を継続しています。店舗や会社概要は、公式サイト(romandorolljapan.com)で確認できます。
Q.フランスロールとクレープの違いは何ですか?
A.フランスロールは日本・福島発祥のオリジナルスイーツで、クレープにヒントを得て長谷部さんが独自開発しました。クレープがフランス発祥の薄い生地を折りたたむのに対し、フランスロールはやや厚めの生地をロール状に巻きます。食感はクレープよりもしっかりしていて、クリームがたっぷり入っているのが特徴です。移動販売のシトロエントラックで提供されるスタイルも独自です。
Q.フランスロールはどこで食べられますか?
A.ROMANDO ROLL JAPANの公式サイト(romandorolljapan.com)で最新の店舗情報を確認できます。
Q.長谷部さんの最盛期の売上はいくらでしたか?
A.複数の資料で年商20億円超が確認されており、全国にFC展開していました。マネーの虎で獲得した800万円から始まった事業として、驚異的な成長を遂げました。
Q.マネーの虎の他の成功事例と比べてどう位置づけられますか?
A.マネーの虎から成功者として名前が挙がるパスタの茅ヶ崎「ラ・パットーラ茅ヶ崎」の存続、飲食FCの拡大例など複数ある中で、長谷部さんの全国FC展開は規模として上位クラスです。ただし、急拡大後の脱税事件による転落と、その後の復活という点で、成功と失敗の両方を経験した稀有な例といえます。
この放送回から学べたこと
後日談まで含めた長谷部さんのフランスロール人生には、多くの学びが詰まっています。
「東京って厳しい所だよ」「生き残れる人間は100人に1人」「もっと知れよ、勉強しろよ、大きくなれよ」と、終始厳しい姿勢で接した南原社長の言葉。それを正面から受け止め、本気で事業に取り組んだ長谷部さん。岩井社長曰く「瞬間的成功」ではありますが、年商20億円超という数字は、それ自体が並の会社員では見ることのない景色です。
そして、失敗を経て復活し、アラフィフになった長谷部さんが、なお追い続ける夢を持っているということ。たくさんの人に迷惑をかけてしまったかもしれないけれど、それでも今もたくさんの人が長谷部さんの周りにいるという事実。そこに、経営者としての人間力が表れています。
27歳の青年のチャレンジ、全国FC展開からの挫落、そして復活。見応えのある、学びの多いストーリーでした。ご自身のビジネスを考えるとき、まず1週間だけ「お客様になりそうな人が何に困っているか」をただ観察してみてください。商品を作る前に、悩みを見に行くところから始めるのが近道です。
個人的には、このバナナフランスロール、めっちゃ食べてみたいです。

いつか、あなた自身の名前で仕事の依頼が届く日のことを、少しだけ想像してみてください。
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