起業で失敗する割合は10年後で30%! 失敗事例やその対処法を解説

新井一
記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

起業はハイリスク・ハイリターンと言われます。成功すれば、成長企業として事業規模が大きくなっていきますが、失敗すると財務体力がないために、すぐに倒産・廃業に陥るというわけです。
 

リスク
 

では実際のところ、起業後に事業がうまくいかずに市場から去るケースは、全体のどのくらいの割合なのでしょうか? 今回は、起業が失敗する人の割合と失敗事例、さらに失敗しないための対処法について解説します。

<目次>

ポイント 起業に失敗する割合はどのくらい? 起業後の生存率に注目

起業で失敗する割合は10年後で30%!

借金
 

希望を持って起業をした人すべてが成功するわけではありません。事業がうまくいかなくなって倒産・廃業に至るケースは多数発生しています。昨今ではコロナの影響もあってか、高齢経営者がこれを機に引退を決めたのか、休廃業する企業が増加し、逆にバラマキが成功して企業倒産は減るという状況になっています。

2020年(1-12月)に全国で休廃業・解散した企業(以下、休廃業企業)は、4万9,698件(前年比14.6%増)だった。これまで最多の2018年(4万6,724件)を抜き、2000年に調査を開始以降、最多を記録した。2020年の企業倒産は、コロナ禍での政府や自治体、金融機関の資金繰り支援策が奏功し、7,773件(前年比7.2%減)と2年ぶりに減少しただけに対照的な結果となった。

休廃業した企業の41.7%が、代表者の年齢は70代だった。60歳以上でみると84.2%と8割を超え、60歳以上の比率は前年(2019年)から0.7ポイント上昇した。事業承継がスムーズに進まず、社長の高齢化が休廃業・解散を加速する要因になっている。

株式会社東京商工リサーチ 2020年「休廃業・解散企業」動向調査 より引用

 

ポイント 起業してから10年後に3割、20年後には5割の企業が撤退

起業で失敗する割合は10年後で30%!

平成23年版中小企業白書
出典:中小企業白書 2011 経済成長を実現する中小企業(PDF11ページ)
 

「平成23年版中小企業白書」によると、1980年から2009年までに創設された企業の生存率は、3年後で89%、5年後で約82%、10年後で70%、20年後で54%となっています。つまり、起業してから3年後で約1割、5年後で約2割、10年後で約3割、20年後で約5割の企業が姿を消しているわけです。

ただ、上記の中小企業庁のデータについては注意事項があります。このデータは株式会社帝国データバンクの「COSMOS2企業概要ファイル」のデータを加工して算出されたものです。起業後に企業情報が同社の企業概要ファイルに収録されるまでには一定の期間が必要であり、実際には、起業後にこのファイルに収録される前の段階で早々に退出してしまった企業が多数存在しているとみられます。

そのため、実態としての起業後の生存率は、ここで挙げたデータよりもさらに低くなっていると考えられるのです。一説には、起業後の生存率は1年後で60%、3年後でたった40%ともいわれており、実情としてはまさに多産多死の状況が生じているといえます。(参考:「フリーランス独立後の生存率と廃業の理由・・・私の周りの実態」))
 
小規模企業白書 2017
出典:小規模企業白書 2017 小規模事業者のライフサイクル(PDF19ページ)

小規模企業白書でも、大体同じような数字ですね。
 

ポイント 他国の起業家と比べた場合、日本の失敗割合は少なめ

起業で失敗する割合は10年後で30%!

ニューヨーク
 

起業後に失敗するケースがかなり多いのが実態といえますが、他国の起業家と比べた場合、上の「平成29年(2017)版小規模企業白書」によれば、起業してから5年後の企業生存率は、日本の場合は81.7%なのに対して、アメリカは48.9%、フランスは44.5%、イギリスは42.3%、ドイツは40.2%です。つまり、起業後5年以内に姿を消している企業の割合は、日本が18.3%なのに対して、アメリカは51.1%、フランスは55.5%、イギリスは57.7%、ドイツでは59.8%に上っているのです。

先進5ヵ国のなかでは、日本は突出して失敗の割合が低いことがみてとれます。日本の起業家は多産多死の状況にあるといえますが、諸外国ではそれ以上に多くの起業家が事業継続に失敗しているわけです。
 

ポイント 起業で失敗した人の3つの事例を解説

起業で失敗する割合は10年後で30%!

会社に起業準備がバレた
 

では、なぜ起業に失敗してしまったのでしょうか? 実際に起業した人が成功できなかった理由を、事例を紹介しつつ解説します。以下では、起業前に顧客になってくれると考えていた人がなってくれなかった、理想が先行して資金が持たなかった「ひよこ食い」にあってしまった、というケースを紹介しましょう。
 

ケース1.顧客になると思っていた人が、ならなかった

サラリーマンだった人が、勤めていたときに築いた人脈、コネクションをもとに起業をした場合によくあるケースです。

優秀な社員だと、会社の取引相手などに「もしあなたが独立したらお得意さんになるよ」などと声をかけられることもあるでしょう。本人も社交辞令だろうと自覚することは多いはずです。

しかし、長年にわたって付き合いのある企業・担当者の人が相手だと、自分が独立したら必ず顧客になってくれると信じてしまうケースも出てきます。

実際に起業後に取引を持ち掛けても相手にしてくれない人が多く、起業時に見込んでいた売上が全く達成できない状態が続き、結果として失敗してしまうのです。

とは言え、フリーランスは紹介による顧客獲得がメインになることが多いので、たくさんの人に声がけすることは大切です。

顧客獲得のために営業・マーケティング活動をしている回答者は27.1%。具体的に実行している内容でもっとも多かったのは「SNSで自身の活動について発信をしている」で70.1%、ついで「勉強会や交流会などの集まりに積極的に参加している」が52.6%。一方、ほとんど/全く行っていない人が49.1%を占め、受注経路の設問と総合して、知人紹介や既存顧客のリピート、問合せなどPULL型で仕事を獲得しているフリーランスが大半を占めることが伺える。

出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2020」(PDF11ページ)

 

ケース2.理想ばかり先行して、資金がもたなかった

アイデアが豊富で、企業理念を追求して事業展開をする傾向を持つ人が、理想ばかりが先行してしまい、売上見込みや資金繰りなどの計画がきちんと詰められておらず、その結果、事業を進めるうちに資金が枯渇して失敗するというケースです。

事業のアイデアはすばらしいのですが、その実現手前で早々に力尽きてしまうわけです。こうした理想先行型の起業家の場合、まだ世に出ていない新しい商品・サービスを販売すれば必ず売り上げが伸びると自信過剰になり、売り上げ見込みを高く設定し過ぎるケースがあります。

また、実際に事業を行うと、取引相手が倒産・廃業して売掛金などを回収できなくなる「貸倒」や、お金を払わず連絡が取れなくなってしまう消費者も出てくることがありますが、この点も考慮しておく必要があります。
 

ケース3.ひよこ食いにあってしまった

特に、初めて起業する人が直面しやすいのが「ひよこ食い」です。ひよこ食いとは、一部の士業や「業界に詳しい人」が、起業家を対象にセミナーや塾を開催し、多額の金銭を徴収するという商法です。

起業初心者の場合、事業失敗の恐怖を常に感じ続け、経営上気をつけるべきことや同じ業界での成功体験などを知りたいと思っていることが多いでしょう。そうした起業家の「ひよこ」たちの心理につけこんで、ひと儲けしようとする人がいます。

こうしたセミナーや塾に数百万円ものお金をつぎ込んだ結果、自己資金を枯渇させ、結果として事業の失敗にいたるケースもあるようです。

もちろん、経験の浅い起業家のために、誠実にセミナーや塾を開催している場合もあります。参加するのであれば、必要以上にお金をかけないこと、費用対効果を見極めることが大切です。(参考:独立行政法人国民生活センター「簡単に高額収入を得られるという副業や投資の儲け話に注意!」
 

ポイント 起業で失敗しないための3つのポイントとは?

起業で失敗する割合は10年後で30%!

資金調達
 

最後に、倒産・廃業を避けて起業後も事業を続ける上で、重要になるポイントを解説します。過剰な初期投資を避けること、大まかな事業計画を立てること、脱サラで起業する場合は副業から始めるとリスクが低いこと、について取り上げます。
 

ポイント1.初期投資にお金をかけすぎないこと

起業する際に必要以上にお金をかけると、自己資金に余裕のない状態で事業をスタートすることになります。たとえば、地価が高い場所に事務所を構える、従業員やアルバイトを過剰に雇ってしまう、といった固定費をかけてしまうスタートは、特に今の時代、あまり好ましくありません。

最初のうちはできるだけ費用をかけないようにし、諸々の投資にお金をかけるのは事業が軌道に乗ってからにしましょう。
 

ポイント2.大まかな事業計画を作成する

融資を受けず自己資金で起業する場合には、綿密な計画は必要ありませんが、ざっくりとでも事業計画を作っておくと、必要に応じて自分自身をチェックできるので便利です。

事業内容、提携先や市場でのターゲット層、営業・販売方法、自己資金の額などを把握しまとめておくだけでも、重要な場面で自分の事業を簡潔に説明できるようになります。
 

ポイント3.脱サラする場合は副業から始めるとリスクが低い

起業は失敗する可能性もあります。脱サラして初めて起業する場合は、副業から準備を始め、少しずつ規模を大きくしていくとリスクを小さくできます。白書を見ても、起業する前に副業からやりたいと考えている人が増えていることがわかります。もはやトレンドというよりも常識になりつつありますね。

①起業の担い手の推移
第 2-2-1 図は、起業希望者数、起業準備者数、起業家数などの推移を示したものである。これを見ると、起業希望者数、起業準備者数、起業家数ともに2007年以降は減少傾向にある。他方、起業家数の減少割合は、起業希望者数と起業準備者数の減少割合に比べて緩やかであることが分かる。

また、副業として起業を希望する者や準備をする者(以下、それぞれ「副業起業希望者」「副業起業準備者」という。)は増加しており、起業希望者や起業準備者の減少を補っていることが分かる。

出典:小規模企業白書 2019(PDF2ページ)

小規模企業白書
出典:小規模企業白書 2019(PDF2ページ)
 

ポイント 起業は多産多死! 失敗しない方法で堅実な起業を目指す

起業で失敗する割合は10年後で30%!

スタートライン
 

日本では起業してから3年後で約1割、5年後で約2割、10年後で約3割、20年後で約5割の企業が姿を消しており、事実上多産多死の状況となっています。(参考:「起業で失敗する割合は10年後で30%!失敗事例やその対処法を解説」)フリーランスの廃業率については諸説ありますが、一説には3年で6割が廃業とのうわさも。(参考:「フリーランス独立後の生存率と廃業の理由・・・私の周りの実態」

失敗しないためのポイントとして、初期投資にお金をかけすぎない、大まかでも事業計画を立てておく、副業から始める、といったことが挙げられます。ご家族を守るために、多少遠回りになっても、少しでも着実な路線を選択してください。


記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全9冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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