記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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40代で「起業」・・・、正直、ちょっとだけ(数年)遅めです。
実際、起業する人の平均年齢は43歳くらいなのですが、40代よりさらに遅めのシニア起業層が平均を引き上げているのかもしれません。
シニア起業は注目されていますが、ポジティブな面だけではなく「企業が抱えきれないから自分でどうぞ」という面も強くあります。どちらかと言えば、消去法、消極的な起業が多いので、攻めの起業は、やはり30代後半がメインになっているのではないかと感じます。
40代後半~50代にもなると失敗が怖くて「検討」と言って動かない人がとても多くなります。起業18で成果を出していく40代、50代のメンバーさんたちは、その壁を乗り越えた素晴らしい人たちです。
40代は気力、体力の面で、最後とは言いませんが、最後に近いチャンスです。40代になってから動き出す人は、心も頭も体も動かなくなってしまう前に、検討の毎日から抜け出しましょう!
40代での起業は、20代、30代での起業とは勝手が違います。
万が一失敗した時の再就職も簡単ではなく、40代ならではのリスクを抱えながらの起業になります。ある程度の人脈はあるかもしれませんが、夢のある若者と見てもらえることはないので、具体的に応援をしてくれる人は少ないでしょう。
本記事では、40代で起業する際に考えられるリスク、およびリスク回避策、そして、それでも40代で起業することのメリットについて解説します。
40代で起業する際の5つのリスク
起業する場合、何歳であろうとリスクは付きものですが、年齢によってリスクの内容は異なります。40代起業のリスクとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 生活が不安定になる可能性がある
- 能力がピークを過ぎている可能性がある
- 失敗した場合の再就職が難しい
- 事業が軌道に乗った時には50代
- 先がないという不安や焦りが出る
それぞれについて、説明します。
生活が不安定になる可能性がある
40代に限らずの話ではありますが、家族を養う立場になっている場合、起業することで家族の生活が不安定になる可能性があります。
会社勤めで得ていた給料はなくなりますし、起業したからといって、必ずしも会社員の時と同等、或いはそれ以上の収入を得られるとは限りません。
事業が安定し、軌道に乗るまで、家計からの持ち出しが増える可能性が高いです。家賃を削減するなど、生活コストの節約を余儀なくされることもあるでしょう。
会社を辞めるのでしたら、その前に、考えられるリスクを家族にしっかり伝え、理解を得ておかなければなりません。
能力がピークを過ぎている可能性がある
仕事に柔軟に対処する力や、うまく落としどころを見つけて、関係者全員が納得いく形で話をまとめる力などは、年を重ねるほど磨かれていく傾向にあります。ただ、記憶力や体力などは、20代、30代の頃に比べると格段に落ちています。
事業が忙しい時は、寝る間も惜しんで働かなければならないこともあります。30代の頃は問題なくできていた徹夜も、40代になると・・・。
「自分の能力はピーク時から落ちている」ということを念頭に置いて、早めに行動する必要があります。
失敗した場合の再就職が難しい
20代、30代であれば、起業に失敗しても再就職は決して難しくありません。ですが、40代では再就職は難しくなります。
よく「日本の社会はやり直しがきかない」といわれますが、年齢を重ねるほどこの言葉の重みは増していきます。最初から失敗するつもりで起業する人はいないと思いますが、失敗した場合、簡単には元に戻れないという現実は認識しておくべきです。
事業が軌道に乗った時には50代
起業して立ち上げた事業がすぐに軌道に乗るというケースは珍しく、多くの場合は一定の期間を必要とします。
20代で事業を立ち上げれば、事業が軌道に乗った時には30代。40代、特に後半での起業になれば、事業がうまくいき始める頃は50代です。50代や60代だからといって、できることに制限がかかるわけではありませんが、記憶力や体力などは若い頃より確実に衰えています。
新しいアイデアが湧いてきて、気持ちは前向きなのに、体がついていかないというのは、非常にもどかしいものです。40代にもなって、やるかやらないかを悩んでいる時間は、とってももったいないことと言えます。
先がないという不安や焦りが出る
事業をするからには心身ともに健康であることが望ましいですが「40代で先がない」という意識があると、どうしても不安や焦りを感じやすくなります。そのため、適切でない判断をしてしまったり、すべきでない行動をしてしまったり、業績を悪化させてしまうこともあります。
年齢からくる不安や焦りを感じることは、避けられないと思います。負の感情と判断や行動を切り分けられるように、自身をコントロールしましょう。
40代で起業する際の5つのリスク回避策
40代の起業に限らずですが、リスクは上手に付き合い、コントロールする必要があります。特に注意したいリスクの回避策としては、以下のようなことが挙げられます。
- しっかりとした資金計画を立てる
- 体調には万全の注意を払う
- 経験や人間関係が活かせることで起業する
- 家族の理解を得ておく
- スモールスタートで始める
それぞれについて、説明します。
しっかりとした資金計画を立てる
起業してもすぐに稼げるようにはなりません。
先々の収入と支出のメドがついていると、安心して事業を行うことができるようになります。
収入が少ない、もしくはまったくのゼロでも、半年~1年は生活できる蓄えがあれば、お金に心を乱されることなく事業に打ち込めるでしょう。
自分だけでなく家族の生活もかかっているなら尚更、資金計画に関してはしっかりと立てておきたいところです。
体調に万全の注意を払う
「体が資本」とは仕事をする上での常套句のようなものですが、サラリーマンとして働くのではなく自分で起業して働く場合、その言葉はさらに重みを増します。
やらなければならないことや、考えなければならないことの量はサラリーマンの比ではありません。どうしても無理をしてしまったり、長時間労働をしてしまったりしがちです。
40代になると、疲れが取れるまでに時間がかかるようになるので、特に注意が必要になります。「健康第一」ということをしっかり意識して、市区町村の実施する健康診断は最低毎年受けるなど、体調には万全の注意を払うようにしましょう。
経験や人間関係が活かせることで起業する
新しい分野で事業を始めるのではなく、今までの経験や人間関係が活かせる分野で起業すれば、事業成功の確率を高めることができます。マーケット感覚もある程度わかるでしょうし、これまでの人間関係が取引先の開拓に役立つ可能性もあります。
ただし、会社と競合する業務はご法度です。
家族の理解を得ておく
起業したら、常に様々な問題が起き、全てが順調に進むことはあり得ません。事業を継続していくためには、家族の理解や協力が必要になることばかりです。
家族が快く協力してくれるかどうかは、日頃の行い、コミュニケーション次第です。応援してもらえるならば、実務面でも精神面でも、非常に心強いものがあります。
起業への想いをしっかりと家族や両親に説明し、サポートが得られる状態にしておきましょう。
スモールスタートで始める
どれだけ自信がある事業でも、最初から多額の投資をするのは危険です。最初は最小単位でスタートし、手ごたえを感じたら、規模を拡大していくようにしましょう。
どうしてもスケールを出さないと判断できない場合には、それ以上の事業経験のある経営者にアドバイスをもらうなど、慎重に。固定費、買い入れが小さければ、柔軟性が維持できます。
40代で起業することの4つのメリット
ここまで、40代で起業する「リスク」を中心に説明してきましたが、40代起業には、もちろんメリットもあります。
メリットとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 今までの経験や人間関係が活かせる
- 経済的な安定を確保した上で起業できる
- 自分を客観的に判断できる
- 助成金が利用できる場合もある
それぞれについて、説明します。
今までの経験や人間関係が活かせる
20代や30代前半で起業をする場合、事業について手探りな部分も多く、勢いで事業を進めることもあります。また、顧客・販路の開拓や、パートナーとの連携などに関しても、経験ゼロのことが多いかもしれません。
しかし、様々な経験を経て起業する40代の場合、これまでの仕事が事業に生かせる可能性は高いですし、人間関係も役立つことがあります。長い社会人経験を武器にできるのは、40代起業の大きなメリットと言えます。
経済的な安定を確保した上で起業できる
20代、30代で起業する場合、貯金が殆どないという人は多いでしょう。手元にお金がないと、早く利益を出したいという気持ちが先行してしまいがちで、目先のお金を追いかけてしまうこともあります。
40代で起業をする場合、ある程度の元手を確保できることが多いので、じっくり腰を据えて、自分のやりたいこと、やるべきことに挑戦することができます。
自分を客観的に判断できる
20代、30代で起業する人は、体力も自信もみなぎっている場合が多く、何でも自分で抱え込んでしまいがちです。
しかしながら、40代ともなればそうはいきません。それを逆に強みにできます。管理職として部下に仕事を任せる経験をしたことがある場合、起業でもそれを活かしましょう。なるべく自分の手をフリーにしておくのです。
年齢を重ねる良さとして、自分ができること、できないことがある程度明確になっていますし、自分がした方が良いことや、人に任せても大丈夫なことも客観的に判断できるようになっているでしょう。
過去の失敗も人を見る目の成長につながっており、信頼できるビジネスパートナーを見つけやすくなっているはずです。
助成金が利用できる場合もある
起業にお金の心配は付きものですが、40代以上であれば「生涯現役起業支援助成金」という助成金を利用できる可能性があります。生涯現役起業支援助成金は、これから起業する、もしくは事業を始めて間もない個人事業主に対して、厚生労働省が実施している助成金です。
小さなひとり起業には適用されませんが、
- 起業する方の年齢が40歳以上である
- 従業員の雇い入れを行う
この2つの条件を満たすと、雇用創出措置にかかる費用の一部が助成されます。
40代はスモールスタートがおススメ
40代にもなれば、会社の中で中間管理職に就いて、数人の部下をまとめている人も多いでしょう。年次昇級を繰り返してきて、収入もそれなりにもらえていると思います。そのような安定を捨ててまで、起業することに尻込みしてしまう方もおられるかもしれません。
40代は、失敗してしまったら、やり直しができない年齢でもあります。そんな現実も、起業に消極的になってしまう要因のひとつでしょう。
そのため、40代になってから起業を考える場合、いきなり仕事を辞めて起業するのではなく、会社員のまま起業するのがおすすめです。リスクを最小限に抑えながら、様子を見ることができます。
経営を体験してみることで、どれくらいの収入が見込めそうか、どれくらい大変そうかを予測することもできます。
リスクを把握・対策を考えて起業しよう!
起業するにあたって、遅すぎる、歳をとりすぎているということはありません。ですが、年齢を重ねるにつれて相応のリスクを抱え、不利な点が増えることは事実です。
どのようなリスクにも対策があります。対策をすれば、何歳であっても安心して事業を始めることができます。
40代には、経験という強みがあります。うまく活用できれば、20代、30代に負けない力を得ることも可能です。自分を客観的に見つつ、できることをやっていきましょう!
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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