商社マンの出張ついで仕入れで起業準備、何から始めればいい?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

本業で総合商社に勤務しており、世界中に出張に出かけています。出張時の移動時間で音楽を聞いたり、飛行機内で映画を見たりしている時間が長くなり、海外の現地事情にも詳しくなってきました。

世界のニッチ商品を出張時についでに買い付け、日本で売る個人物販やネットショップで起業準備したいと考えているのですが、何から始めればよいでしょうか?

起業前質問集

● 回答

商社マンの出張ついで仕入れは強い武器ですが、薬機法・関税・在庫滞留の3点を押さえないと月10万円の壁を越えられません。まずは月8〜10万円規模の小ロット検証から始め、ニッチ商材の固有市場が見えてから本格化する順番が、商社マン起業準備の鉄則です。

出張ついで仕入れというアイデアは、26年の支援現場で何度も登場してきたモデルです。体力的にも経済的にも会社員であるうちに準備を進めるのは合理的ですが、踏むべき手順を間違えると在庫の山だけが残ります。

最初のステップ|何が日本で売れているかを調べる

売りたいものをマーケティングするのは費用も時間もかかります。最初は、すでに売れている商材に「商社マンの目利きで上乗せ」する形が、小さく始める起業準備の鉄則です。

具体的な調査の入口は、Amazon・楽天市場・BUYMA・Mercariの売上ランキング、Googleトレンドの輸入商材カテゴリ、Pinterestの保存ランキングです。出張先で見て「日本で見たことがない」と感じた商品が、実は日本ですでに別ルートで流通している場合もあります。販売実数とレビュー数を見て、需要の有無を客観的に確認してください。

経済産業省データで見る個人輸入EC市場の実体

経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年のBtoC物販系ECは16兆8,800億円、CtoC物販系ECは2兆7,000億円で、いずれも前年比プラス成長を続けています。このうち、海外仕入れ商材を扱う個人セラーの参入が増加しており、ニッチ系商材は競合が局所的なため利益率が25〜35%に達するケースも少なくありません。

ただし市場が伸びているからといって誰でも稼げるわけではありません。実際には、月商10万円未満で撤退するセラーが7割以上を占めるとされており、商品選定と法規制対応の精度が成否を分けています。

必ず把握すべき法規制|薬機法・PSE・関税

商社マンであれば法務部経由で輸入実務に触れた経験はあるかもしれませんが、個人輸入販売は規制の入り口が異なります。次の3点は最低限押さえてください。

  • 薬機法(医薬品医療機器等法):化粧品・サプリ・医療機器は厚労省登録の業者経由でなければ販売不可
  • PSE法(電気用品安全法):電気を使う製品はPSEマーク取得済みでないと販売不可
  • 関税・消費税:個人輸入16,666円超は関税課税対象、転売目的は商業輸入扱いで申告義務

食品衛生法・ワシントン条約該当品(皮革・象牙等)も注意点が多く、知らずに販売すると行政指導や輸入差止めのリスクがあります。

商品力×発信力×信用力で起業準備を組み立てる

商品設計

拙著『月30万円稼ぐ起業のはじめ方』には「商品力×発信力×信用力」という考え方を取り上げました。海外仕入れEC起業の場合、3つの軸はそれぞれ次のように分解できます。

  • 商品力:出張地でしか入手できないニッチ商材か、価格優位性のある商材
  • 発信力:商社マン視点の「現地ストーリー」を商品ページに埋め込む(産地・職人・文化背景)
  • 信用力:正規ルート輸入+通関書類の保存+特定商取引法表記の徹底

ニッチ商材は競合が少ないからこそ、ストーリー発信の良し悪しで売上が3倍変わることも珍しくありません。

会員Jさんの軌道|早期成功→在庫過剰→ニッチ転換でU字回復

会員Jさん事例

会員Jさん(仮名・38歳・総合商社化学品部)の軌道を紹介します。

Jさんは2023年に出張ついで仕入れで起業準備をスタート、最初は東南アジアの天然素材アロマ製品を1ロット30万円で仕入れて月12万円の売上を出しました。早期成功で気を良くして月100万円仕入れに拡大したところ、薬機法該当品の販売不可・季節性需要の読み違いで在庫が積み上がり、3カ月で月3万円まで売上が落ちる停滞期に入りました。

転機は起業18フォーラムの勉強会で「商品力×発信力×信用力」のフレームを学んだことです。Jさんは商材を「化学品商社マンが選ぶ南米天然鉱物標本」というニッチ路線に転換し、出張先のチリ・ボリビアで産地仕入れする独自ルートを確立しました。転換から12カ月後の現在は、平均月22.8万円の安定売上を1人運営で出し続けています。

Jさんが辿ったU字回復は珍しいパターンではありません。早期成功→在庫過剰→ニッチ転換は、海外仕入れEC起業のよくある軌道です。最初の3カ月で見える数字に踊らされず、転換タイミングを冷静に見極めることが大事です。

起業準備の3ステップ|月8万円→月22万円→月35万円の段階設計

商社マンの方が出張ついで仕入れで起業準備を進める場合、現実的な段階設計は次のようになります。

  • 第1段階(0〜6カ月):1ロット5〜10万円の小ロット検証、月8万円の粗利を出すことを目標にする
  • 第2段階(6〜18カ月):売れ筋3商材に絞り込み、月22万円程度の安定売上を作る(Jさんの段階)
  • 第3段階(18カ月以降):独自ブランド化・OEM化を視野に、月35万円超を目指す

各段階で「次に進む条件」を数値で持っておくと、在庫過剰や撤退判断のタイミングを見誤りません。

本業の商社業務との両立を考えると、自由時間を最大限効率的に使う設計が大切です。最初は土日と平日夜の合計10時間を起業準備に充てる前提で、商品調査・梱包発送・カスタマー対応のフローを月単位で回せるようにしておきましょう。詳細な物販起業の進め方や、メルカリを起点にしたステップアップの考え方は、下記の関連記事を参考にしてください。

メルカリで月10万円稼ぐ仕入先と進め方|失敗しない順番【2026年版】
「メルカリで仕入れて売れば稼げる」という情報は溢れていますが、現実に月10万円を超え続ける人は出品者全体の2割

商社マンとしての出張経験は、間違いなく起業準備の優位性です。あとは、その優位性を法規制・在庫管理・発信力という3点で「商品の山」ではなく「お客様への価値」へと転換できるかが決め手になります。一緒に進めていきましょう。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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