記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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2020年から今年にかけて、最も世界に影響を与えたのは新型コロナウイルスでしょう。私たちは、生活様式や仕事のやり方を、大きく変化させなければなりませんでした。
これから起業する人は、起業の仕方、アイデアも「新しい日常」に合わせて変化させなければいけません。
こちらの記事では、コロナ禍を生き抜くための起業アイデアについて、6つのポイントを解説していきます。
コロナ禍を生き抜くための起業アイデア
1.アプリ開発/ホームページ作成
コロナ禍でも需要が減らず、むしろ必要とされているのがオンラインのインフラビジネスです。スキルがある人は、アプリ開発やホームページ作成、動画編集などに取り組まれると成功しやすいタイミングです。
多くの人が不要不急の外出を控えるようになり、自宅で過ごす時間が増えたため、アプリやゲーム、人々の興味を引くWEBサービスの需要は高まっています。最初は副業として、クラウドソーシングで小さな案件を受け、軌道に乗ってきたら独立するのが良いでしょう。
このジャンルの好景気は、さらに川上のインフラが開発されたり、AIで開発が自動化されたりするまでは続くと思われますので、コロナ禍でもしばらく安泰と言えます。
2.ネットショップ運営
コロナ禍でも始めやすい起業アイデアとして「ネットショップ」があります。外出自粛がしばらく続くでしょうから、ネットショップの利用はさらに増えるでしょう。
三井住友カードが男女500人を対象に実施した調査によれば、2020年4月から7月の間にオンラインショッピングを利用した人の割合は全体の78.4%でした。さらに2019年と比べてオンラインショッピングの利用が増えたと回答した人の割合も35.6%で、コロナ禍でオンラインショッピングの利用が増加していることが分かります。
ネットショップは店舗を借りる必要がなく、初期費用が抑えられるのが大きなメリットです。BASEやSTORESなど、ネットショップを開設するサービスを提供している企業も多くあり、参入のハードルは高くありません。
ただし、発送業務、仕入先の開拓や、在庫管理などの仕事がありますので、慣れるまでには時間がかかるかもしれません。
3.テイクアウト専門店
副業で飲食業を始める人は少ないですが、もし今やるとすれば、テイクアウト専門店が良いでしょう。テイクアウト専門店はイートインスペースやテーブル、イスを準備する必要がありませんし、調理スペースだけを用意すればよいので光熱費も抑えられますし、何よりコロナは追い風です。
配達員に払うコストが意外と高く、大きく儲けることはできませんが、コロナよるリスクを最小限に抑えて起業できる方法のひとつです。
同様の理由で、移動販売も今はチャレンジし易い起業アイデアと言えるでしょう。
4.オンライン教室
特別な技術や資格を持っているのであれば、そのスキルを身に着けたいと思っている人たちを対象に教室を開くことができます。コロナ禍の影響を受けている今でも、子どもに習い事をさせたいという親は多く、大人になってから習い事を始める人も増えています。
教室を借りる会場費を抑えたいという方には今は追い風です。オンラインで教室を開くことが今や普通になっていますし、動画を使った通信講座にしたりする方法も考えられます。
オンラインで教室を開く場合、対象を全国や世界に広げていける可能性があるというのも、この起業アイデアの魅力です。
5.せどり
フリマアプリが一般的に利用されるようになった今、簡単に始められそうなのが「せどり」です。安く商品を仕入れて高く転売し利益を得るビジネスのことですが、商品を買い占めて不当に値を吊り上げる人が増えたためか、仕入先が規制をかけることも増えてきました。
コロナ禍で買い物に出る人が減っているとすれば、ネットショップ同様に成功しやすい起業アイデアですが、参入者が増えていることもあり、利幅も年々縮小傾向にあります。
参入障壁は低いですが、在庫リスクもありますので慎重に行ってください。
6.農業
コロナ禍の前から、国内農産物への興味は高く、食の安全に対する意識も高まっていました。
現在、農業従事者の後継者不足の問題が深刻化しており、国や自治体は新規就農者への支援を充実させています。
農林水産省が発表している2015年のデータによれば、新規就農者6万5,000人のうち、49歳以下は2万3,000人と35%を占めています。地方に移住して農業を始める若者も増加しており、現在の仕事を辞めて農業を始めたいと考える人も少なくありません。
先述の企業アイデアと比較すると、初期投資が多額になりやすいとされています。また、栽培や経営に関するノウハウが必要となるなど、ハードルが高いと一般的には考えられています。ですが、しっかりとした下準備をした上で起業してみるのであれば、これらはさして大きな問題ではありません。
ぜひ検討してみてください。
コロナ禍で日本のビジネスはどう変わったか?
世界を激変させたパンデミックにより、日本だけでなく世界のビジネスは大きく変化しました。ここでは、コロナ禍においてビジネスがどのように変わったのかを見ていきましょう。
1.リモートワーク・ビデオ会議システムの導入
ビジネスにおける最も大きな変化は、リモートワークの導入でしょう。
満員電車に揺られながら会社に出勤し、多くのデスクが並んでいるオフィスで仕事をする、これまでのビジネススタイルはコロナによって変化しました。今は多くの企業がリモートワークを導入し、できるだけ社員が会社に出勤せず、自宅で業務が行えるようにしています。
さらに会議のシステムも大きく変化しました。多くの人が1つの会議室に集まることは「密」になるため、ビデオ会議システムを使った会議に移行しています。
いつでもどこでも、自宅にいても業務や会議ができるようになり便利になった一方、自宅と会社の差がなくなり、メリハリもなくストレスを感じている方も多いようです。
2.副業の推奨
コロナ禍で起こったもうひとつの変化は、多くの企業が社員に副業を許可、推奨するようになったという点です。
これまで企業は、社員が副業を行うのを好ましく思っていない傾向がありました。社員が副業に力を入れすぎると本業に身が入らなくなってしまう恐れがあったからでしょうか。
しかし、コロナで多くの企業の業績が落ちる中、終身雇用どころか、今現在の雇用の維持、給料の保証も難しくなっているのでしょう。まずは非正規切り、その次は正社員切り、、そうなる前に企業は、社員に副業を許可、推奨しているのです。
正社員だから安心という時代は終わりを迎え、自分で副業しつつ収入を確保する時代に入ったのです。
3.より成果主義の人事評価に
コロナ禍は企業の人事評価にも大きな影響を与えました。
リモートワークが導入され、社内の働きぶりを見ることができなくなったため、企業も、より成果主義での評価にシフトしています。成果が出にくい、もしくは見えにくい業務を行っている社員は、自分は評価されていないと感じて起業を検討するようになるかもしれません。
コロナ禍でも成功しているビジネスモデル事例
コロナで多くの企業は大打撃を受けましたが、その一方で成功しているビジネスも存在します。コロナ禍で、より業績を伸ばしている企業も多くあるのです。
では、コロナ禍でも成功を収めているビジネスについて見ていきましょう。
1.テイクアウト・デリバリーサービスを展開した「menu」
コロナ禍において顧客ニーズをいち早くつかんだビジネスモデルといえるのが、スマートフォンからテイクアウトの店舗を探して注文できるアプリ「menu」です。2020年3月と比べて、4月のユーザー数は10倍以上に増加し、いかに消費者から支持されたのかが分かります。
消費者だけでなく、利用する店舗にとっても魅力的なサービスを展開した点も評価されています。期間限定で導入の手数料無料、サービス手数料やカード手数料も無料という点に加え、テレビコマーシャルを使った宣伝も功を奏しました。
2.ニーズを敏感に感じ取った「フィネス」
次に、コロナ禍で成功を収めたビジネスとして注目なのは、スーパーフルーツとして人気の高いサジージュースを販売している「フィネス」です。
サジーには豊富な栄養素があり、美容効果があるとされています。フィネスもユーザー数が2020年4月に前月比180%増となっており、新型コロナウイルスの影響を受けて急成長したと言えるでしょう。
フィネスが成功した理由の1つは、モニター募集を行ったことです。コロナで運動することが極端に減った消費者のニーズを敏感に感じ取り、モニター募集を行いました。
さらに他のネットショップとも提携し、ポイントのプレゼントやポイント還元も併せて実施したのです。加えて、実際にサジージュースを飲んだ消費者の体験談をホームページに掲載することにより、どのくらいの効果があるのか、消費者が理解しやすくなったというのも成功要因の一つでしょう。
3.巣ごもり需要を的確にとらえた「オイシックス」
オイシックスは食宅サービスで、買い物時間と調理時間を大幅に短縮するミールキットの販売により、巣ごもり需要を的確にとらえることに成功した事例です。
自炊は面倒くさい、それでも外食に行くのは怖い、というニーズに応えるため、人気のメニューをサポート販売するサービスを開始し、これがヒットしました。外食の味を手軽に自宅で味わえる、というコンセプトが消費者に受け入れられ、2020年5月に大きく利用者数を伸ばしたのです。
コロナ禍での起業で注意しなければいけない3つのこと
コロナ禍であっても、消費者ニーズを的確に把握できれば、起業し成功することは可能です。環境にあった商品、サービスを提供できるかどうか、そこだけです。
しかし、コロナで全体の経済が下がっているならば、成功確率が下がっていることも事実です。ここでは、今、起業する場合の注意点について見ていきましょう。
1.資金調達は前もって行う
今は、どのような事態が起こるのか、完璧に予想することは困難です。
飲食業界で起業したとして、いかに素晴らしいお店だったとしても、再度、緊急事態宣言が発令されれば、経営を続けていくことが難しくなってしまうかもしれません。そうした予想困難な状況に対処するため、限界まで固定費を減らした上で、資金調達を前もって行っておくことが重要です。
もちろん、無借金がより良いとは思いますが、運転資金が尽きてしまえば経営は立ち行きません。ある程度余裕のあるうちに、準備をしておくべきでしょう。
2.コロナ収束後も景気回復の見通しは立っていない
コロナが収束したからといって、以前のような日常がすぐに戻ってくるとは考えにくいです。そのため、景気回復を前提にするのではなく、コロナ禍の現状を基本として長い目を持って利益を出していけるように考える必要があります。
景気の低迷が続く恐れもありますが、そういったリスクを踏まえておけばケアは十分に可能です。
3.コロナ後は消費者のニーズが変化する可能性がある
現在は、コロナの影響で、以前では考えられなかったニーズが急激に高まっています。そのニーズをとらえたビジネスモデルが、成功を収めているわけです。
しかし、コロナが収束した場合、そのニーズがそのまま定着するのか、再度変化していくのか、それは誰にもわかりません。現在高まっているニーズにだけ焦点を当てるのではなく、将来変化するかもしれないニーズを予測したり、柔軟に変化できる体制を確保しつつ起業を検討しましょう。
コロナ禍を生き抜くため現在と将来のニーズを把握すべき
これまでの日常とはまったく違うコロナ禍だからこそ、効果的な企業アイデアがあります。
何が起こるかわからないコロナ禍で起業するには、これまで以上に丁寧な準備が必要になりますが、現在高まっているニーズをとらえ、将来変化するかもしれないニーズも検討し、固定費を抑え、柔軟性を確保できる起業アイデアを磨いていけば、不可能なことではありません。
今成功しているビジネスを参考にしつつ、今後需要が高まりそうな起業アイデアを磨いていきましょう!
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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