マネーの虎【石焼ビビンパ】小林社長がブチ切れる!

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

かつて日本の食を牛耳っていた虎たちが、その新感覚に驚いた、30歳人気ビビンパ屋(ビビンバではない)店長さんについてのお話です。
 

ビビンバ

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もはや起業家にとって伝説と言っても過言ではない「マネーの虎」。出資してもらいたい志願者が、恐ろしい顔をした社長5人を前に、自らの事業計画と熱意をプレゼン。社長からの金額提示が本人の希望額を超えればマネー成立(出資または融資を受けられる)、1円でも足りなければ不成立となり、お金を受け取ることができません。

20年以上前に日本テレビで放送されていた超人気番組です。
 

事業計画
 

今回の出演者は、マネーの虎の中でもコワモテ中のコワモテメンバー。彼らは、極めて冷酷な、しかし時に暖かい眼差しで志願者の中身を見抜きます。今回、志願者の出資希望額は3,000万円。今までにない新感覚のビビンパ店を横浜西口に出す開業資金です。いったいどんな展開になるのか・・・。

番組ではまず、川原社長の質問から始まります。「ビビンバ」と「ビビンパ」は何が違うのか? 志願者は丁寧に説明します。(顔がピーコさんに似ている・・・。)

「韓国語でビビンは混ぜる。パップはご飯。混ぜご飯という意味です。日本人にはビビンバが言いやすい。それだけです。」

「ピビン」(비빔)が「混ぜ」(「비비다」(混ぜる)の名詞形)、「パプ」(밥)が「飯」の意味である。 発音表記上のハングルは비빔빱となる。 日本語においては「ビビンバ」という表記が通例とされるが、実際には[pibimpʼap̚]「ピビンパッ」のように発音される。

Wikipedia「ビビンバ」 より引用

 

続いて大阪王将、文野社長が質問します。

「新感覚のビビンパとはどんなものですか?」

志願者曰く、通常の石焼ビビンパは、石の器にご飯とナムルを入れて、お客様がかき混ぜる。それを、お客様の見てる前で、たこ焼き屋さんのようにガラス越しでお店側でかき混ぜる。

それをサンチュに乗せて巻き、クレープのように提供する。ハンバーガーのようにレタスが隠れているのではなく、サンチュで包む。トッピングも、明太子、チーズ のり、キムチなどをそろえる。サイドメニューは、チャプチェやチヂミをリーズナブルな価格、300円程度で手軽に提供する。
 

チヂミ
 

志願者は、今までにないクレープのような「新感覚石焼ビビンパ」を、お客様の前で実演しながら提供できる店を開きたいというのです。

<虎のプロフィール(当時)>
  • 堀之内九一郎(54歳当時)年商50億
    (株)生活創庫 代表取締役社長
  • 小林敬(44歳当時)年商56億
    (株)小林事務所 代表取締役
  • 加藤和也(30歳当時)
    (株)ひばりプロダクション 社長
  • 川原ひろし(38歳当時)
    なんてんかんでん・フーズ(株)社長
  • 文野 直樹(42歳当時)年商70億
    (株)大阪王将 代表取締役社長

ちなみに、、この放送回には出演されていませんが、現在の南原会長です。虎ノ門・株式会社LUFTホールディングス事務所にて、パチリ。

南原竜樹
 

ポイント 石焼きビビンパと共に歩んできた志願者の経歴

マネーの虎【石焼ビビンパ】小林社長がブチ切れる!

志願者は番組出演時、ビビンパのファーストフード店(映像から、石焼ビビンパ本舗というお店と思われます)で仕事をしていました。店長として4店舗を見ていたそうです。石焼ビビンパについては専門家と言えるでしょう。

すごいのは、志願者の勤める会社が「石焼ビビンバ」の商標を取っていると説明したこと。ですが、平成元年出願、平成4年に認可されたとのことでしたが、調べ方が悪いのか、J-PlatPatで調べてみてもよくわかりませんでした。「石焼ビビンパ」については、別の会社さんが令和になってから取得されていますね。

お店のオーナーさんは、志願者の独立については許可を出してくれていたそうですが、資金面では、当時大問題になった狂牛病によって厳しい状況でした。俺がやらなければと感じていたそうです。

日本で初めて、牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が見つかったのは2001年のことでした。最後に国内で感染牛が見つかったのが2009年。BSE問題は、日本の食品安全行政を大きく変えました。

内閣府 食品安全委員会「食品安全委員会の20年を振り返る」 より引用

 

志願者は石焼ビビンパに可能性を強く感じていると言います。サラリーマンターゲットで始めたが、予想外に老若男女が集まる店となり、誰にでもウケると考えるようになったそうです。

問題になったのは、横浜西口の高い2,000万円の不動産。横浜からフランチャイズ展開をしていきたいとこだわる志願者に、川原社長が苦言を呈します。

川原社長「うちなんてね家賃15万円。最初に投資した金額550万ですよ。それも、昔、潰れたラーメン屋を買い取って。うちの店だってね、1番忙しい時は毎日100万売りましたからね。営業時間8時間ですよ。1日8時間で100万円を1週間続けて売ったんだから。場所がよければお客さんが来ると思ってる?」

志願者「多少はそれは、んーと、、、」

川原社長「有名なハンバーガー店だって、どんどんどんどんつぶれたりしているんだよね。」

続いて、文野社長が、勝てる見込みの根拠を質問します。

厳しいツッコミに志願者は一瞬たじろいだ様子を見せますが、新しい感覚で若い層にも食べてもらいたいと、精一杯の説明をします。そして、これまでのビジネス経験について語りだします。成功体験として登場したエピソードが、「プロレス屋台村」でした。
 

プロレス屋台村
 

平成4~5年くらいに起きた屋台村ブーム。志願者の勤めていた会社のオーナーに、「鶴見の獅子ヶ谷に600坪の箱があるから屋台村をやらないか」というお誘いが入ったそうです。そこに屋台を15店舗並べ、志願者は店長として携わっていました。そこで、屋台だけではつまらないということで、リングを設置。居酒屋感覚でビールを飲みながらプロレス観戦ができる、屋台村プロレスを立ち上げ、成功させたというのです。

また失敗談としては、志願者は栃木の今市で、2,000万円を借り入れて韓国居酒屋を自ら経営していたこともあったそうですが、いろんな想定外の出費(ピー音で消されています)があって、精神的に参ってしまい閉じたのだそうです。ただの雇われ店長ではないのですね。
 

ポイント マネーを勝ち取るか! いよいよ実食へ

マネーの虎【石焼ビビンパ】小林社長がブチ切れる!

石焼ビビンバ
 

ここで、川原社長が直球をぶっこみます。

川原社長「レタスで巻くというのは、僕にとっては一般的な気がするんですけど?」

ここで、「一般的ですか? 僕は巻きませんけどね」と、吉田栄作さんが助け船を出します。そして、実食へ・・・

志願者は調理準備に入ります。1個600円で本場韓国から大量に仕入れたという石の器を取り出し、カセットコンロで調理を始めます。小林社長も川原社長も興味津々で、志願者の周りに集まります。

志願者はビビンパを目の前で混ぜ、サンチュにご飯と辛みそ(コチュジャン)を乗せます。まずは川原社長が試食。

しかし・・・衝撃の展開へ。

川原社長「食べにくいね。ビビンパ自体は普通だと思う。また食べに来ようという新感覚とは違うよね。

そして、小林社長が怒りの表情で、切って捨てます。

うちの子がこれをレシピで提案してきたら、殴ってるでしょうね。

ふざけんなバカヤローって言いますわ。

ベーシックなものがこんなおちゃらけ状態で出されたらですね、論外ですね。

こんなんでFC本部の社長になるなんて言ったら、ふざけんなバカヤローって言いますわ。誰でも書けるようなこと、こんなこと。

あなた30年間で、こんな人生しかしてないんですよ。何やってきた今まで。あなたのオーナーがかわいそうですわ。

場が凍り付きます・・・。

20%以下の原価率でコメ食わすようなことしたって、流行るわけがないと、バッサリと切って捨てた小林社長。

こんなものは焼き飯の延長だ

もうぐうの音も出ないといったところです。ですが、小林社長は、「そこまでビビンパにこだわるのなら、本場ものに近いものを作って、薄利多売で回転させて利益を出せるものを作れ」とアドバイスも忘れないのでした。憤慨されていましたが、愛も感じましたね。

文野社長も、「技術と経営は違う」と教えてくれました。技術があるから、少しのアイディアで独立してしまう。そこを間違えるから、5年以内に75%がつぶれるのだと。

居酒屋の経験と同じ轍を踏んではいけない。B級であるほど尊いもので、シンプルであるほど難しい。

事業の本質を教わった気がします。
 

ポイント 後日談とまとめ

マネーの虎【石焼ビビンパ】小林社長がブチ切れる!

ビビンバ
 

この放送で、ほとんど発言のなかった堀之内社長。後日談では、「無視していた」と語っています。

その理由は、親からお金を借りて、まだ返し切れていないこと。そんな人にお金を出すことは考えられないということです。その他にも、本業と競合する業種で起業しようとしている、オーナーが支援していない、経営について語れないという疑念など、いくつかの要因を挙げておられました。他で絶対に食べられないものならまだしも、経営力がない彼がやっても無理だったろうと・・・。
 

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志願者の彼が現在どうされていらっしゃるのかは、私たちにはわかりませんが、どこかで石焼ビビンパの事業に携わっていらっしゃるのでしたら、素敵なことですね。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


アイデア

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