記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「将来的に起業して自分の会社を経営していきたい!」昔に比べて「起業」という選択がしやすい時代になり、独立の夢を追う人が多くなりました。
今回は、起業のヒントとして「地域コミュニティーの課題」を取り上げます。
近年注目を集める「ソーシャルビジネス」という考え方
「ソーシャルビジネス」という言葉を聞いたことがありますか? ソーシャルビジネスは「社会起業」と呼ばれる、長年注目されているビジネスのアプローチです。
社会起業とは「社会の課題を解決しながら、同時に収益をあげていくこと」を目的にしています。ボランティアとは違います。
重要なポイントは「収益をあげる」という点です。
社会の課題を解決するというと、どうしてもNPOなどの「非営利組織」をイメージすると思います。NPOも、もちろん収益をあげていますが、公共性が強く、利益を追求する姿勢とは異なるものです。
社会起業では、社会性、収益性のどちらも追及していくことが特徴です。起業アイデアを探している人は、ぜひ「社会起業」も、一つの選択肢として目を向けてみましょう。
地域・コミュニティーの代表的な3つの課題
今、日本の地域コミュニティーは、どのような課題を抱えているのでしょうか? 長年解決されてこなかった代表的な課題を3つほど紹介したいと思います。
- 空き家問題
- 地域コミュニティーの衰退
- 観光資源不足
どれも日本が抱えている課題です。では、ひとつずつ見ていきましょう。
深刻な空き家問題
メディアにもよく取り上げられる社会問題のひとつが「空き家問題」です。
総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査の概要(令和元年9月30日)」によれば、空き家は848万9千戸、空き家率は13.6%と過去最高になったとのことです。(データ:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査の概要(令和元年9月30日)」)
深刻な空き家問題、民間ができることはあるのでしょうか? 事実、空き家はリフォーム次第で様々なスペースに変えることができます。近年では空き家を使ったビジネスも増えています。
空き家ビジネスの最大の特徴は、空き家を収益性が見込める「資源」に変えてしまうところ。空き家の処分にはお金がかかり、税金なども絡んでくるため、所有者は放置せざる終えない状況に陥ってしまいます。
そこで、たとえば「空き家を活用したい」という人と「空き家の所有者」をつなげたのが「空き家バンク」です。
「空き家ビジネス」の代表的な例は以下の3つです。
- カフェ
- ゲストハウス
- シェアハウス
これらの他にも「託児所」などの保育施設へ空き家を活用する動きも徐々に広がりをみせています。イベント会場に使うケースもありますね。
地域コミュニティの衰退
昔に比べて、人とのつながりが希薄になっている事実は否定できません。特に、人口の減少が激しい地方では、地域コミュニティーの衰退が目立っています。
それにより「孤独死」される方もいらっしゃいます。(参考:2020年11月27日 一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第5回孤独死現状レポート」)
地域コミュニティの衰退を改善できる起業には、一体どのようなものがあるのでしょうか?
まず、頭に浮かぶのは「地域住民のつながりを作れる場所」の提供です。代表的な例には「コミュニティカフェ」があります。
コミュニティカフェは、2000年以降から日本全国に広がりをみせており、地域の住民が集うスペースとして使われています。経営主体はNPOから個人までさまざまです。
普通のカフェと同じようにフードやドリンクが提供されるコミュニティカフェですが、特徴的なポイントは、地域住民向けのイベントやワークショップなどを定期的に企画しているところです。
中には大学生が中心となって運営を行っているコミュニティカフェもあり、お年寄りから子どもまでが楽しめるカフェになっています。
カフェ起業を目指している人は、単純なカフェですとシアトル系には勝てません。コミュニティカフェなどの付加価値をつけることを検討してみてはいかがでしょうか?
観光資源不足
コロナ前は「21世紀は観光の時代」と言われるほど観光産業が大きな注目を集めていました。今はしばらく我慢ですが、また復活する時はくるでしょう。
しかし復活できたとしても、東京や大阪、京都にように観光資源が豊富な地域は良いとして、地方には観光資源に乏しい地域が存在するのも事実です。
観光資源に乏しい地域は「発地型観光」には向いていません。発地型観光とは、都市部を出発地として、旅行会社がつくったツアーなどに従って旅行者が目的地へ向かう観光スタイルです。観光資源が豊富な地域が対象となるため、観光資源が少ない地域には旅行者が流れることはありませんでした。
観光資源に少ない地域で注目するべきは「着地型観光」です。着地型観光とは発地型観光とは異なり、地域住民が力を合わせて旅行商品を開発するものを指します。
発地型観光にとっての観光商品とは「観光名所をめぐるツアー」などが代表的です。しかし、着地型観光の旅行商品は「体験」「交流」「学習」がメインとなっています。
着地型観光が急速に浸透してきた要因は、Instagramの普及が挙げられます。観光資源が少なくとも、地域住民自らSNSで地域の魅力を発信することができるようになったのはとても大きいです。
旅行業は許認可事業のため、確かにハードルは高いですが、セカンドフェーズのビジネスとして将来的に展開できるように、視野に入れておくと面白いかもしれません。
自分が住んでいる地域の課題を探してみよう
いかがでしたでしょうか? 今回の記事では「地域が抱えている課題」を取り上げて、その解決策として注目されているビジネスをご紹介してみました。
起業のアイデアがなかなか浮かばないときは、ぜひ自分の地域が抱えている課題にも目を向けてみてください。社会をより良くするビジネスチャンスが眠っているかもしれません。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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