記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「会社を辞めて独立する」という決意が固まったとして、その後に準備しなければならないものの一つが「資金」です。
早く独立をしたい人は「借り入れしてどんどん進めたい」と、思うかもしれません。
しかし、お金を借りるのにも、準備が必要なのです。
今回は、独立に向けて準備期間が必要な理由や、その期間にしておくべきことを、詳しく解説します。
独立に向けて資金準備が必要な理由
理由1.収入0でも生活できる貯金が必要だから
独立したら、それまで毎月給料が入ってきたサラリーマン生活とは異なり、安定した収入を得られるまでに時間がかかることになります。見込んでいたほどの売上はない、と思っておいた方が良いでしょう。
さらに、何かを販売するのであれば、通常は納品した商品に対してすぐに支払いが行われることはなく、長ければ入金されるタイミングは半年後ということも珍しくありません。そのため、独立前には、当面の生活費を貯めていかなければなりません。この準備期間が必要なのです。
独立後を見据え、目安として半年~1年間は、収入がなくても生活できるレベルの貯金をしておくことをおすすめします。
今、サラリーマンとして仕事をしているのなら、焦って独立するのではなく、起業に必要な資金と同時に生活費も忘れず蓄えましょう。
理由2.事業計画書に書く資金計画が必要だから
独立後の経営を円滑にすすめるためには、独立前にざっくりでも事業計画を作成し、ビジネスプランを練っておくことが大切です。
事業計画書の作成は必ず必要というわけではありませんが、融資を受ける際には事業内容を伝える資料として必要ですし、アイデアをブラッシュアップさせるためには便利なものです。書面できちんと用意こそしなくても、事業計画のメモくらいは作っておくようにしてください。
全く計画をしていないような状態では、事業がうまくいっているように感じても、現実はどうなのかがわからなかったり、危険な状態になることもあります。
事業計画を考えたこともないとう状態では、先に触れた融資の審査などでも不利になる可能性があります。万が一ですが、お金を借りる必要が出てきたときに、面談で自信をもって話すことができなければ、当然お金を借りることはできません。
あなたの人間性や事業の将来性に、不信感を持たれてしまうからです。
また、家族に対して、「サラリーマンを辞めても生活は大丈夫」と堂々と言えるようにするためには、簡単でも事業計画書を書いてみると良いと思います。
金融機関も家族も、そして自分自身のためにも、実現性のある計画を書いてみましょう。たくさん見直しをすることになりますから、準備期間を十分に取りましょう。
理由3.事業計画は予定通りにいかないから
事業計画は、何度も見直しすることになります。一旦時間を空け、内容に問題点がないか、実現可能なものになっているか、何度もチェックが必要なのです。
後から読み返して、初めて問題に気づくこともあります。たとえば・・・
- 実現に無理がある売上計画になっていないか?
- 商標など権利を侵害していないか?
- ターゲットが広すぎたり狭すぎたりしていないか?
などには、特に注意を払うようにしてください。
そして、問題点を見つけたら都度対処し、客観的に見て実現可能だと思える事業計画に修正しましょう。事業計画を改善するその作業こそが、ビジネスを成功に向けて進めることそのものだからです。
さらに、作り上げた事業計画は、自分だけではなく他の人にも聴いてもらい、意見をもらうことをおすすめします。
自分のやろうとしている事業について知識がある人や、反対にそれについて全く知識がない人など、様々な立場の人に読んでもらうと良いですが、現実は、殆どの人は否定するはずです。ドリームキラーに負けずに、あなたが情熱をもって説明できるか、そこはあながた試されているところです。
その人たちが金融機関の人だと思って、熱く語ってみましょう。実際にあなたの事業計画書を読んで審査する人たちも、あなたの事業に関して必ずしも知識を持っているというわけではありません。
周りの人の共感を得られるか、心を動かせるか、応援してもらえるのか、その辺りは大事な成功のための要素になってきます。
理由4.創業融資を受けるには自己資金が重要だから
創業時に融資を受けたい人もいるかもしれません。自己資金では用意できない分を補うために、金融機関から「創業融資」を受けるわけですが、その際に「自己資金」が必要なのです。なので、本当の一文無しですと、中々お金は貸してもらえません。
なぜって、お金を貸してくれる人は「あなたの事業のために貸してくれる」のであって、「あなたの生活費を払ってくれる」わけではありません。事業資金の全額を融資に頼っているというのは、貸す側から見たらきわめて危険なことだからです。
起業の際には、無担保・無保証で3,000万円までを借りられる日本政策金融公庫の「新創業融資」を利用することが一般的ですが、その創業融資を受けるにあたっては「創業審査」を通過する必要があります。
その審査に「預金通帳のチェック」というものがあります。もしその通帳チェックで、融資申込の半年前の段階で自己資金がほぼないと判断されてしまうと、創業審査に不利になってしまうのです。
また、新創業融資の創業審査を通過する際にも、事業全体に必要となる資金の10分の1の自己資金を用意しておかなければなりません。
自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
日本政策金融公庫「新創業融資制度」 より引用
自己資金の額が多いほど信用度は高まりますので、できるだけ多く準備した方が良いですね。目安としては、2分の1~3分の1程度は用意しておきたいところです。
もし、創業融資の申し込みを断られてしまった場合は、その後暫くは審査に通過しづらくなります。早く独立したいからといってこの創業審査を甘く見ていると、結果的にスムーズに独立できなくなってしまうのです。
できるだけ早く独立したいけれど今は自己資金がほぼない・・・という方は、融資申込を認めてもらうためにも、今からできることを始めておきましょう!
理由5.毎月貯金をしていきたいから
上述のように、日本政策金融公庫から融資を受けるには、通帳のチェックをパスする必要があります。そして、この通帳チェックでは半年間の経済的な状況が調査されますので、通帳の中身を信頼感のあるものにしなければなりません。
具体的には、通帳に毎月一定の金額を記帳することや、家賃や公共料金などを期日通りにきちんと支払うことなどが挙げられ、たとえば毎月一定の金額を記帳しておくことができれば、金融機関に対して「独立のための資金が着実に貯まっていっている」という印象を与えることができます。
反対に、このようにコツコツと一定額を記帳していないと、貯金が自己資金として認められなくなることもあるので十分注意しましょう。
独立を成功させるには「急がば回れ」
以上「独立するなら資金を準備することが重要な5つの理由」についてご説明しました。
「早く独立したい!」という熱い気持ちを持つことは素晴らしいことですが、焦って行動を始めてしまっては、結果的になかなか独立できなかったり、仮に独立できたとしても失敗に繋がりやすくなります。
入念な準備があってこそ、リスクを減らし、独立を成功させやすくできるのです。時間を十分に確保して、万全に準備を整えてくださいね!
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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