記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
現在、アドバイスに沿ってネットショップ制作を進めています。特定商取引法に基づく表記について教えてください。副業禁止のため、どうしてもネット上に自分の本名を出すことができません。代わりに名前を出せる家族や友達もいません。屋号だけで対応する方法はないでしょうか?
● 回答
特定商取引法に基づく表記(いわゆる「特商法表記」)のご質問ですね。副業禁止の会社員の方からは、毎月のように同じご質問をいただきます。実は、条件を満たせば本名なしで対応できる方法があります。経済産業省に確認した内容(2017年4月)をベースに、2026年現在も有効な方法をご説明します。
結論:「商号登記済みの屋号」なら本名不要
特定商取引法ガイドには以下のように明記されています。
–特定商取引法ガイド「通信販売広告について」より引用
ポイントは「商業登記簿に記載された商号」という部分です。開業届に書いた屋号や、自分で決めただけの屋号ではなく、法務局に「商号登記」をした屋号であれば、本名の代わりに使うことができます。
商号登記の手順(個人事業主の場合)
商号登記は法務局の登記窓口で行います。以下の手順で進めましょう。
- 個人の実印(印鑑証明が必要)
- 印鑑届出書(法務局の窓口にある)
- 商号登記申請書・別紙(Wordで自作、法務局ホームページにフォーマットあり)
- 登録免許税:3万円(印紙で納付)
- あれば:屋号印・商号印
所要期間:書類に不備がなければ申請から約10日で登記完了
注意が必要なのは、商号登記ができる業種とできない業種があることです。コンサルティング・情報販売・ノウハウ系のビジネスはNGになることが多いです。窓口(電話予約可)で事前に確認することをお勧めします。
法人を設立した場合はどうなる?
「会社を作れば個人名が出なくていい」というのは誤りです。法人であっても、インターネットを使って通信販売を行う場合は、代表者または業務責任者の氏名の記載が必要です(経済産業省に電話確認済み)。法人名だけではルールを満たしません。
- ❌「法人なら法人名だけでOK」→ 代表者または業務責任者名が必要
- ❌「自分で決めた屋号を書けばいい」→ 商号登記していない屋号はNG
- ❌「バーチャルオフィスの住所でOK」→ 現に活動していない私書箱は不可
「自宅住所を出したくない」「電話番号はムリ」という方も多いですね。
住所・電話番号については、実際に事業を行っている場所の住所と、問い合わせに対応できる電話番号が必要です。バーチャルオフィスは「現に活動していない」として認められないケースがあります。
- レンタルオフィス・シェアオフィス:実際にそこで作業する実態があれば住所として使える
- 小規模な事務所を借りる:月数千円〜のレンタルスペースも選択肢
- 配偶者・家族の住所:家族が実際に事業に関与している実態があれば可能(事前に弁護士・行政書士に相談を推奨)
- 電話番号:050番号(IP電話)や、仕事用に別途取得したスマートフォン番号を使うことは問題なし
起業支援の現場から見ると、住所問題が起業の壁になっているケースは非常に多いです。法律の解釈は状況によって異なるため、具体的な事業内容に合わせて行政書士や弁護士に相談することを強くお勧めします。
会社にバレないための注意点をまとめておきます。
副業禁止の会社員がネットショップを開く場合、法的にはネットショップの開業自体が禁止されているわけではありませんが、会社の就業規則に違反する可能性があります。まず就業規則を確認することが最優先です。
「バレにくくする」という観点では、以下の点が重要です。
- 住民税の「普通徴収」を選択する:確定申告時に「自分で納付」を選ぶことで、副業収入の住民税が会社に通知されにくくなる
- 商号登記した屋号を特商法表記に使う:本名を出さない(前述の方法)
- SNS・ブログの運営名に本名を使わない:活動名(ペンネーム等)を一貫して使用
- 収入が少額のうちは確定申告不要な場合も:起業準備の収入が年間20万円以下であれば所得税の確定申告が不要(ただし住民税の申告は別途必要)
ただし、「バレないようにする」ことよりも「万が一バレた時のリスクを考える」ことが大切です。就業規則の解釈・懲罰の程度は会社ごとに異なります。まずは副業禁止の趣旨(競業避止・情報漏洩防止)に抵触しないビジネスを選ぶことが、長期的に安全な道です。
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