記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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最近は「ママ起業」とか「趣味起業」とか、いかにも片手間で簡単にビジネスができるという宣伝文句が増えていますね。
今日は、ズバッ!と、本音でそんな風潮に切り込んでみたいと思います。まずはママ起業。「本当にそんなことが『簡単に』できるのか?」というお話です。
まず、結論から言いますと・・・「できます。やる気さえあれば」ということになります。
実際、起業を目指す人の多くは途中で挫折するのですが(やらない言い訳を見事に見つけてフェードアウトされる方がとても多い。そのあと、3~5年の歳月が流れ、年齢を重ねてから再びモヤモヤする方もとても多い)、そこを楽しみにながら乗り越えていける人には、輝く未来が待っていると言えるでしょう。ママだろうが独身だろうが、そこについては同じです。
私の周りには、いわゆるママさんが起業した例がいくつもあります。妊娠中から頑張って準備していた方もいれば、子育ても終わりある程度落ち着いてからスタートした方まで、開始時期は人それぞれです。実際に起業した一例をあげると、成功事例ではセミナータイプのビジネス塾であったり、過去の人脈を利用したカンファレンス事業であったり、カウンセリングであったりと様々です。
具体的にカンファレンス事業とは、このようにカナで書いてしまうととても難しそうに見えてしまいますが、ようするに勉強会であったり、読書会であったり、あるテーマを決めてそのエキスパートを集めて観客の前で討論をしてもらったり、名刺交換会をしたりする「集まりビジネス」のことです。
その集まりは幅広く、子育てをテーマにする人も多いですし、引き寄せの法則のような精神世界をテーマにする人などもいて、内容は様々です。ビジネスとしては、オンラインや会場を借りてのイベント形式で、会費や参加費用を徴収して行うことが多いですね。
ママ起業の真の実態・確かに流行っているみたい
ちょっと古い記事ですが、2015年12月11日付けの日経MJ(流通新聞)6面に、こんな記事がありました。
今年は女性活躍推進が声高に言われた年だった。とはいえ、子育てしながら仕事をすることが当たり前になるに従って「子育てしている」ことでの甘えも許されなくなっている。女性の「活躍」とは何なのか、いま一度考えてみたい。ネットショップで働く女性に焦点を当てた「私らしさをカタチに!人気ストアを生んだ全国のママオーナーに聞く!」という中小企業基盤整備機構が主催のセミナーで司会を担当した。登場したのは東京の下着ショップ「qilin Underwear」の表真弓さん、名古屋市の手芸品関連「MY mama」の蟹江幸子さん、大阪市のヘアアクセサリー「リトルムーン」の文美月さん、福岡市の防音関連「防音専門ピアリビング」の室水房子さん。4人のパワフルな発言で会場は大いに沸いた。4人には共通点が5つある。まず、出産が起業のきっかけになっている。妊娠中や出産直後に仕事を探したがどこも雇ってくれなかったり「小1の壁」にぶつかった。起業すると子供の存在がエネルギーになっている。
2015年12月11日 日経MJ(流通新聞)6面
流行っているというか、女性のチカラ、生きるパワーを感じます。男性も、しっかりしないと。
本題に戻りましょう。起業18にも、楽しいことをビジネスにしたり、過去の経験を生かして起業した女性がたくさんいます。産後ダイエットや、独身時代の留学経験を活用した語学事業、輸入ビジネスなど、実にたくさんあります。
既婚者ならではの、夫の単身赴任中の子育て、海外赴任への備えなどをテーマにしている事例もありますし、子育て中でもスキマ時間に起業ができるジュエリー製造販売、ECサイト運営などを選択する女性も多いですね。特徴的には、設備投資や初期投資額が低いものが殆どということです。
女性や若者は比較的低額な費用・自己資金で開業する傾向がある。
出典:平成28年1月21日 内閣府男女共同参画局「女性起業家を取り巻く現状について」(PDF18ページ)
ママ起業は、会社員のまま起業する場合と全く同じ、或いは、実際はそれ以上に時間との闘いです。お子さんの急な病気など、アポイントがあったりすれば、本当のピンチに陥ってしまうこともあるでしょう。
だからこそ、お子さんが小さいうちは、ECサイト運営であったり、ライターなど出社しないで自宅でできる仕事であったり、人と会うことよりもバックヤードでマイペースで進められる仕事を選ぶ人が多い傾向もありますね(もちろん全てではありませんが)。
起業準備者が直面している課題
女性は「経営知識」「家庭との両立」と回答する割合が高い一方で「特にない」と回答する割合も高い。
出典:平成28年1月21日 内閣府男女共同参画局「女性起業家を取り巻く現状について」(PDF16ページ)
ママ起業の真の実態・希望と現実の差異
ここからは、ちょっとシビアなお話。ママ起業に限らないかもしれませんが、もちろん、理想と現実には差があります。主にフリーランスで独立を模索している方がよく言うこと・・・「空いた時間に効率よく稼ぎ、いつかはそこで独立を」といった希望です。
会社員の方の場合は、まずは副業からということになりますし、専業ママさんの起業の場合には当面は旦那様の収入をあてにするわけですが、自分でも自立を、或いは、家計の足しにということで、20代、30代のママさんから、よくそういったお話をお伺いします。
ここで問題は、その「空いた時間」という言葉です。「果たして、時間って、そんなに空くものなのでしょうか?」実際、空き時間というものは、家族が全力で協力し合い、積極的に確保しようとしなければ、いつまで経っても得られないものです。会社には定休日があり、皆でお休みしますが、有給消化率の悪い会社があるのはなぜでしょうか? 取り辛いという理由がイチバンでしょうが、それ以外にも「積極的に取らない限り、時間は取れない」という事実もあると思います。
また、仮に空いた時間が確保できたとしても、それが「定期的でない場合」はどうでしょうか? 発注者の希望する納期に対し「出来る範囲で」という制約が生まれてしまうことが増えるはずです。ママ起業の場合は特に、どうしても子供の事情に親が合わせる必要もあり、ビジネスは二の次になってしまうことがあります。
会社員であれば、育休、シフト、周りの理解と協力を得られる時代になってきましたので、問題ないことも多いでしょう。子育てのために残業ができない女性を責める会社も減っていると思います。ですが、起業したらどうでしょうか? 納期が不安定になる分、価格で妥協するなどの事態があるかもしれません。
だからこそ、ママ起業の場合には、仕事を選ぶ必要があると思います。やりたいこと、好きなことだけでは、成立しないこともあるということです。
ですが、実際のところ、子育てをしながらのママさん起業には、先述のカンファレンス事業のような、イベントの開催やセミナーなど、コミュニティを構築した中で人同士の交流を利用したものが多く見られます。ママ起業の場合は、人のスケジュールに振り回されない仕事や実務の方が、時間管理の観点からも、適しているのにも関わらずです。
実際、たとえばECで、予め作り置きしたアクセサリーを順次売るような事業の方が楽と言えば楽です。その辺り人は「時間がない方が時間を上手に使える」ということもあるのかもしれません。(もちろん、転売、物販をやっている主婦の方も非常にたくさんいます。)
ママ起業の真の実態・兼業の現実とは?
ママさん起業というのは、子育てと両立させるという課題があり、難題も多くあります。仮に、本業(正社員、派遣、パート)と兼業であるのならば、これは相当なものです。となれば、いかに協力者を見つけるかも、ママ起業の成功の要となります。私の周りで大成功している主婦の起業家さんは、優秀な経営者、クリエイター、そしてプロモーション企業を味方につけ、利益をシェアしながら大々的に展開しています。無理に一人でやるよりも、それがよいと思うのです。
また、ママ起業は、拡大を狙わないという方も多いです。子育てが一段落するまでは、事業を大きくすることよりも、安定的に、時間を確保しながら、家庭を大切にしながら、を第一義としているのです。(すでに事業が軌道に乗っていて、子育てしながらの拡大に影響が少ない場合には、もちろんその限りではありません。)「子供がいるのに何やっているの」「子育てに不安な要素は歓迎できない」という、親、夫、世間の目があるためなのか、気を使っているママさんが多いのも、また事実ですね。
ママ起業の真の実態・実際に子育てしながら起業はできるのか?
実際に、仲間と仕事を分散してこなしたり、下請けをうまく活用したり、ECのように時間に縛られない仕事を選んだりすれば、子育てしながらのママ起業だって可能です。先述のように、それでも実際は、時間に拘束されるような仕事を選んで、立派にやられているママ起業家もたくさんいるのです。毎日オフィスにいる必要がないというだけでも、可能性はあるのだと思います。
ママ起業成功のポイントは、つまり・・・
- 出勤しない(家でできること)
- 人のスケジュールに振り回されない(セミナー等も開催日をこちらで決める)
- 仲間と組む(いざという時に動いてくれる人を作っておく)
これ以外にもあるかもしれませんが、まずはこんなところですね。私は、ママさん起業賛成派です。社会がそれに応えられる環境になればいいなと思っています。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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