記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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僕はセミリタイア思考で「そのうち沖縄に拠点を持って、のんびり生きていきます」といつも公言しています。
「自分が本当にそうしたいのか?」内部対話中でもありますが、現地に行くと「やっぱりそうしたい!」と思うので、きっとそうなのでしょう。
2021年7月24日追記:
今(2021年7月時点)も、沖縄の観光業、飲食業が動けない状態が続いています。友人のお土産品の会社も、通販事業に積極的に打って出ています。今はこの先どうなるのか読めない部分が多いですから、非常に判断が難しいところです。
早く終息してもらいたいものです。
沖縄で開業する場合のリスク
開業率も廃業率も高い沖縄。
スクリーンショット出典:中小企業白書2021「都道府県別開廃業率(2019年度)」(PDF21ページ)
まず、沖縄で開業しようという起業家が抱えるリスクについて、最初にお話しておきます。これは実際に沖縄県で起業を考えた人から、直接得られた情報です。
まず賃料ですが、沖縄県の場合は、那覇や主要都市部以外は、限られた場所にしかテナントや路面店の契約ができないといった非常に限られた制約があります。ただし、空き店舗も多く、それなりに栄枯盛衰があるので、飲食業、土産物屋などを開業することは本土ほど難しくないそうです。
ところが、その肝心の物件価格は、本土とほとんど変わらないか、むしろ高い場合も多いといわれてます。
これは敷地自由度が(住宅の密集度も)本土の都心部よりも低いためで、その分どれもかなり広いのです。20坪以下はほとんど無いとか、敷金が本土の1.5倍もするとか、事業費確保と事業規模の合致において、これでは大きすぎるとか、収益とコストが見合わないといった問題があるようです。
また流通においては、公共交通機関が発達していないので、長距離ではタクシーかバスか自家用車以外は選択肢はなく、料金も高めです。
メイン通りで商店を出す場合においても、通行人自体が商店街においても高齢化しており、非常に若い世代が少ないそうで、ビジネスではやや不利な面が多そうです。
沖縄で実際に起業した人の例
「会社設立サポート」の事業を立ちあげた例があります。これは弁護士や行政書士などの、いわば代行業者です。
それ以外では、現地に住居を構え、大企業を退職した社員が起業した例があります。この人は、インターネットを通じて、沖縄の特産品や観光地の案内、現地ガイドの紹介などを行う事業をしていました。
他には、サイバーエージェントでの職務経験を通して、ベンチャーキャピタルの提案や、起業家支援事業を行っている例があります。この人は支援事業として、沖縄特産品のネット販売・ECサイト運営を支援しており、今もその事業を継続しています。
しかしながら、若者の完全失業率は改善しているものの依然として平均より高く、新規雇用は増えているものの就職を本土へ求める人が依然と多く、沖縄での事業は、食品関連に次ぎコールセンターなどの雇用が多いのが現実です。
若年者(15~29歳)の完全失業率は6.5%と、前年同月(6.9%)に比べ0.4ポイント低下、2か月ぶりの低下となった。
また、少なくとも流通面、生産拠点としては本土との輸送の関係上、コストはかなりかかる計算になります。必然的に、観光客目当てのビジネスであれば、飲食に関わる消費財が多くなることになりますね。
南の島の観光事情
現在は厳しい状況下にある沖縄の観光事情。(参考:現在はこんな状況です。「令和3年5月入域観光客統計概況(令和3年6月25日発表)」)
まだ正常だったころはこんな感じです。(参考:「令和元年(暦年)沖縄県入域観光客統計概況」)
資料によれば、国内の入域観光客数(国内)は723万3,900人、入域観光客数(外国)は293万人で、全体の約29%になっていました。せっかく上り調子だったのに、今の事態は残念としか言えません。
ハワイで起業の大きな制約
一方、同じような観光の島、ハワイはどうでしょうか?
これも沖縄と全く同じ事情があります。沖縄よりさらに強固な米海軍基地があるため、観光依存かと思いきや、実はハワイは巨大な軍事拠点でもあり、軍依存経済という一面があります。
日本人でも、移住を前提に、レストランオーナーやサロン経営は可能ですが、法人設立を現地で行うためのビザや手続きは益々困難になっています。そして何より、日本人相手メインの商売になれば、競争も大変激しく、事業の成功率は低い(10%!?)ともいわれます。
ハワイは観光都市としては多くの人の素敵な思い出になります。しかしビジネスにおいては、そうとも言えません。
正直に述べると、十分なリサーチと知識がない状態でハワイビジネスに参入しようとすると90%の人にとってハワイは最悪の思い出になります。それはハワイにおける建築のプロセスや労働環境といったビジネス習慣の理解不足、法律や文化の違い、ハワイ独特の島文化といった高い壁などが挙げられます。
AMP「『ハワイは甘くはない』」―― ハワイビジネスを成功させる日本向けビジネスプラットフォームScoopUSA.com」 より引用
もちろん、観光以上の語学力も必要ですし、個人事業で通訳やガイドを行うならまだしも、利益を出すまでには相当な努力が必要となります。
設立までの支援事業者の利用、コンサルタントの選出など、海外進出は個人で行うにはハードルが高すぎるかもしれません。
事業の展開地が沖縄という方法
最も簡単な沖縄やハワイでのビジネスを考えるなら、マリンスポーツ関係のツーリズムで事業を考えることです。
渡航サポート、現地ガイド、インストラクターをパッケージにしたような事業で、オペレーションは本土や日本国内で行いながら、事業、サービス提供は現地でというやり方です。
これは芸能人や、スポーツジム経営のオーナーがよくやる方法で非常によく見られますし、私の地元でも、マリンスポーツで沖縄石垣島を主体に事業を行う会社が存在しています。
機材は現地でリースによる調達、他の費用は利用者からの会費、旅行会社と全く似通ったプラン設計で事業を行うことができます。
規模は少し大きくなりますが、経営者は本土にいたとしても、現地で運営を業務委託のインストラクターやスタッフ(親族などがベスト)にある程度任せることができれば、移住しなくともビジネス展開は可能です。
現地で創業しなくても、親族や信頼できる仲間が現地で操業してくれるとなれば、手続き上も身軽になり、非常に利点が多いということができます。
しかしながら、現地の伝統や沖縄の歴史を踏まえた新しい観光や、今まで無かった都会的なサービスをこうした土地で展開し、それによって本土や日本から集客を画策することができれば、それは非常に魅力的で意義あることです。
特に、沖縄の伝統やハワイの原住民文化などは、もう一度産業として勃興する可能性はあるはずで、新しい経営者の知恵で盛り上げがる日がくるかもしれません。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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