記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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いつかは会社から独立して起業したいと考えていても、ベストなタイミングがつかめないと悩んでいる人は少なくないでしょう。
独立して成功するには、売上見込や資金調達、事業計画、当面の生活費の確保といったポイントをクリアしなければいけません。
今回は、独立をする最適なタイミングについて詳しく解説いたします。
独立に適したタイミングとは?
まずは年代別で考えてみます。
20代・30代は、気力も体力もみなぎり、一般的に扶養家族も少なく、また失敗したとしてもリカバリーがしやすい世代とでしょう。一方40代・50代になると、気力や体力ではやや陰りがでてきます。扶養家族も増え、また失敗したときのリカバリーもしにくい年代です。
しかし視点を少し変えてみると40代・50代は仕事についての知識やスキルが蓄積され、また人生経験も豊富な年代です。20代・30代はその点では見劣りします。
そう考えると、独立のタイミングに年齢は関係なく、年代別ではどのタイミングが適しているかどうかというよりは、その年代の強みを生かせるかがポイントとなります。
独立したいと思ったときがタイミング?
もちろん独立したいという強い意志がなければ独立はできませんが、では意志さえあればいつでもよいのでしょうか?
独立すること自体はいつでもできます。会社に退職届を出して、税務署に開業届を出せば独立はできるのです。ただし独立して成功するためには事業が継続されなければなりません。
独立して成功するためにおさえておきたいポイントが2つあります。順番に確認していきましょう。
1.売上見込み
独立して事業を成り立たせるには、まず売上が立たなければなりません。
とくに大企業の会社員であれば、売上を増やすことは難しいことではなかったかもしれませんが、自分自身の力で、ゼロから注文を取るというのは大変な労力を要します。また、一度注文が取れたとしても、継続的に注文がくるかどうかはわかりません。
そのため、継続的に発注をもらえるクライアントを獲得できているかどうかが重要です。単発の受注ではなく、毎月コンスタントに売上の見込みが立つかどうかがポイントです。安定的な受注が一定の水準まで確保できれば独立のタイミングといえます。一定の水準というのは「生活できる水準」と考えてもいいでしょう。
反対に継続的な受注が一定水準以下であると、生活の基盤が揺らいでしまい、事業を継続できなくなる恐れがあります。ベースの売上を確保できるかどうかを、しっかりと見極めなければなりません。
2.資金の確保
売上の見込みと合わせて必要なのは資金の確保です。資金については大きく2つに種類に分けて考えます。
ひとつは開業資金です。スマホ1台で起業できる時代ではありますが、事務所や店舗、機械設備が必要なケースもあります。設備だけではなく、売上金が回収されるまでに必要な運転資金も含めて確保する必要があります。
もうひとつ忘れてはいけないのが生活資金です。独立しても会社員のときと同じように生活費はかかります。独立後は収入が不安定になりますが、支出は決まった額が必要です。目途とすると1年は耐えられる程度の蓄えを持っておく必要があります。
注意しなければならないのは、開業資金と当面の生活費が確保できたタイミングが独立のタイミングと思いがちですが、実際は、前述の売上の見込みが立って、さらに資金の確保ができたときが独立のタイミングということです。
資金の確保だけができても、売上の見込みが立たない独立はリスクが大きくなります。
仮に、早期退職でまとまった資金が手元にある、独立に向けてコツコツと資金を貯めたとしても、売上が立たなければその資金はジワジワと減っていくことになります。収入が不安定ななか、預金残高が減っていく状況はできるだけ避けたいところです。
独立を決めたらまず行うべき3つのこと
独立すると決めたら以下3つことを行いましょう。
1.事業計画を立てる
独立をしようと決めたら、ざっくりと、もし資金調達をするならば具体的な事業計画を立てることです。
事業内容やマーケット、想定されるリスクなど、頭のなかで考えていることを書面に落とし込み、いわゆる事業計画書を作成します。
事業計画は家を建てるときの設計図にあたります。これから始める事業について、ぼんやりと考えていることを事業計画書に落とし込むことで、自分のやりたいことや事業の内容がより具体的に姿を現します。同時にそれまで気付いていなかったポイントや問題点、今後詰めていくべき点が明確になってきます。
事業計画書には、事業内容や市場分析、リスク分析など一定のフォーマットがあります。それぞれの項目について具体的に検討をすることで、事業の内容や全体像が明確になるでしょう。
これは短時間で作れるものではありません。じっくりと時間をかけてプランを練り上げ、ブラッシュアップしていきましょう。
また、資金調達を考える場合には、事業計画書は「自分自身の考えをまとめるためのもの」ではなくなります。仕入先や金融機関に提出する公式な書類になるのです。明確な根拠のある数字を示し、事業の将来性をわかりやすく伝えていかなければなりません。(参考:「事業計画書の書き方~融資・出資を受けて起業するなら」)
2.必要な生活資金を把握する
上述のように、独立してからしばらくは、収入が不安定になることは覚悟しておかねばなりません。会社員時代のように毎月一定額が受け取れるわけではありません。
一方で、生活費は毎月一定額が必要となります。独立を決めたら、毎月生活費としていくら必要なのか、どのくらいの収入があれば生活が成り立つのか、貯蓄を切り崩しながらどのくらいもつのかを把握しておきましょう。
不要な支出は見直しを行い、固定費をできるだけ抑えておけば、収入の不安定さへの対応力が増します。
また、独立すると住宅ローンやクレジットカードの審査が厳しくなります。特に、独立して間もない時期であればなおさらです。ローンの申込や、クレジットカードの作成など審査があるものは、独立前に済ましておきましょう。
3.準備期間を十分に取る
独立までには、十分な時間を取って準備をしましょう。準備期間を取ることで、独立してから事業を軌道に乗せる期間を短くすることができます。
副業で実際に事業をスタートして、育てていくのが一番確実です。安定的な収入があるうちに、少しずつでも独立に向けて準備を進めていくことが重要です。
独立するか迷ったときの振り返りポイント
「よし独立しよう!」と思っても、誰しも迷いはするものです。迷わずに悩まずに独立する人はいませんし、迷ったり悩んだりするなかで事業に対する考えや、人生に対する考えを深めていくことができるようになります。
ただ、いつまでも迷っていても仕方がありません。以下のようなポイントに絞って、迷いを払拭していきましょう。
1.今の会社でやりたいことができているか?
まずは現在の状況を振り返りましょう。今の会社でやりたいことができていれば、独立を考えることはないでしょう。やりたいことができていれば、大きなリスクをとって退職をする必要はありません。
なぜ独立を考えるようになったのかをもう一度考えてみましょう。
2.独立したらやりたいことができるか?
次に、将来の状況を想像しましょう。独立したらやりたかったことができるでしょうか?
事業計画を作成するなかで、頭のなかのイメージが具体的になっていきます。やりたいことができるか、それを将来も継続できるか、顧客は確保できるか、採算は合うのか、リスクがないか、をじっくり考えてみましょう。
3.独立せずにできる方法はないか?
新たに事業をしたい場合でも、必ずしも退職しなければできないというものでもありません。
近年では、副業を容認する企業も増加しています。退職して新たな事業に取り組むにはリスクがあるという場合は、副業というスタイルで独立に備えることもできます。
タイミングを見極めて独立を成功させよう
独立するタイミングは年齢には関係ありません。売上見込みや資金の確保ができたタイミングがポイントとなります。
できるだけリスクを抑えて独立するにも、会社員として安定的な収入を確保したうえで、必要な準備をじっくりと進めていきましょう。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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