記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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私自身の経験では、起業して最も充実していた時間は〝40代前半〟でした。
実際、40代で起業している人が多いというデータもあります。働き盛りの時期であり、経験も知識も豊富で、ビジネスを成功させるための引き出しも多くなる30代後半~40代は、起業するのにベストなタイミングと言えるでしょう。
40代で起業すると良い理由として〝人脈があること〟を挙げる人もいますが、10年前まではともかく、今は必ずしもそうではありません。
SNSやサロンなどを通じて、かつて手に入れることが難しかった人脈も簡単に手に入れることができますし、コミュニケーションが苦手な人でも、関係性が希薄になったことで悩みや負担も少なくなり、むしろチャンスは広がったと言うことができます。
40代で起業すると良い最大の点は、これまで培ってきた経験や専門知識を活かすことができることです。特に有利なのは〝失敗〟の経験です。これこそが、最高の持続可能なビジネスのネタに化けていきます。
もしあなたが起業を考えているのなら、40代前半に間に合わせるために、30代後半から準備を始めましょう。すでに40代になってしまった人、過ぎてしまった人は、今すぐに起業準備を始めましょう。
時間もチャンスも、あなたの決心を待ってはくれません。
- 働き盛りの時期であり、気力体力が充実
- 経験や専門知識を活かせる
- 人脈は今はそこまで重要視する必要はない
起業年齢は40歳代が最も多い!?
日本政策金融公庫が発表したデータによれば、起業時の年齢は「40歳代」が最も多くなっています。(参考:2021年度新規開業実態調査「日本政策金融公庫 総合研究所」)
2021年7月に行われた調査では、開業時の年齢は「40歳代」の割合が36.9%で最多でした。また、開業時の平均年齢は43.7歳。平均年齢の上昇は2013年度以降8年連続で、2020年と2021年が同じで最も高くなっています。
選択的週休3日制が広がり起業しやすくなった!?
今の日本では、起業しやすい環境がさらに整いつつあります。政府が6月に閣議決定した「骨太の方針」には、企業が「選択的週休3日制」の導入促進を進めることが盛り込まれています。
大企業にはすでに、この制度を導入する動きがあります。塩野義製薬は2022年度から、社員の7割にあたる約4000人を対象に、週休3日を選べる制度をスタート。また、みずほフィナンシャルグループでは、週休3日はもちろん、週休4日制の導入も選択できると話題になっています。
導入にあたっては、副業への取り組みが認められているのが特徴。中高年対象のある意味でのリストラとも考えられなくはないですが、労働市場の流動性の向上にもつながりますし、起業したい人にとってはとても良い環境とも言えます。
今、急激な円安や物価高に直面していますが、社会が変化する時にはビジネスチャンスがやってきます。副業で様子を見つつ、ニーズを探っていくことができる環境は最高です。
なぜ40代で起業する人が多いのか?
一般的な企業では、50代後半で役職定年になります。そのため、サラリーマンとしての集大成となる最後の10年が見えてくるのは40代前半から。この時期になれば、自分が出世コースに乗っているのか、頭打ちなのかは何となく分かるはずです。
出世コースから外れてしまったからといって、残りの仕事人生を惰性で走るのはもったいないことです。「バリバリ働けるうちに起業しよう」と考えるのは当然のことなのかもしれません。
40代で起業するのに効率的なやり方は?
ではここから、起業に向けて何をするべきかを具体的に考えてみます。20代であれば、勢いで起業し、失敗を重ねながら成長していく方法もありますが、40代となると失敗している時間はありません。
ここが最大のポイントになります。
環境を整える
ここで言う環境とは、仕事とプライベートの2つを指します。
◆仕事
起業準備のために会社を辞めてしまうのか、それとも副業で始めるのかによって、手順は随分変わってきます。特に今は社会が激しく変動しているタイミングですので、よほど不遇な環境にいない限り、いきなり会社を辞めるのは危険です。一定の収入を得ながら、起業準備を始める選択をすべきでしょう。
◆プライベート
40代で子供がいれば、まだ幼少か、大きくても学生で独立していないケースが大半。家族に反対されているようでは、起業に集中できなくなります。事前に説得し、賛同を得ておくと良いでしょう。
金銭面の課題もあります。たとえば、住宅ローンを返済中で、ボーナス併用払いをしている人もいるでしょう。さらに借り入れるなんて危険過ぎます。特に、週休3日を選択する人は給料が減るわけですから、ローンの組み換えなども検討しましょう。
綿密な計画を立てすぎない
起業する時に、計画と見通しの分析が重要だと考える人もいますが、それは大きく勝負する場合に限ります。手持ち資金で小さくスタートすればそんな面倒なことは不要なのですが、1円も損をしたくないと考えてしまうと「計画をしているだけで何もできない」人になってしまいます。
重要なことは、小さく一歩踏み出してみて、そのビジネスの可能性を見極めることです。どんなに自分が勝手に描いた夢があっても、社会ニーズがなければビジネスにはなりません。それは趣味、ボランティアです。そして、ニーズはやってみなければわかりません。
自己資金で小さく始めるのが鉄則
初めての挑戦です。初めてやることに大きなお金を突っ込んだり、借金したり、国からお金を貰ったりしたとして、上手くいくでしょうか? まずは小さくやってみる。これにお金(ガソリン)を入れたら一気に燃える(成長する)と確信できたら、事業計画書を持って資金調達の相談に行きましょう。
リスクを考えれば、初期投資はできるだけ少なくしましょう。手持ちの資金で、できる範囲から始めてください。自分にとって大きな資金が必要なのであれば、2つ目以降の事業に先送りするか、返す必要のない助成金や補助金を利用するようにしましょう。
- 仕事、プライベート、両方の環境を整える
- 計画し過ぎると動けなくなる(計画が要らないレベルにする)
- 最初のビジネスなので失敗することが前提(借金しない)
40代起業はリスクへの備えが必要
起業をしてもうまくいくとは限りません。初めての起業は特に、やってみた後わかることばかりです。そして、働けばお金が確実にもらえる会社員という生き方に慣れていると、働いた結果お金を失う起業の失敗ダメージは、とてつもなく辛いものに感じます。
では、いざという時、致命的なダメージを受けないために、心がけるべきことは何でしょうか?
健康第一! 体力作りも欠かせない
健康管理はどの年齢でも心がけるべきことですが、40代以降は特に重要となります。大病を患う人も増えてきますし、それによって大きなチャンスを逃したのでは話になりません。
また、ちょっとした躓きで気力を失ってしまうのも40代の怖いところ。苦しいときでもモチベーションを高くキープすれば解決策が見えてくるはずです。そのためにも、健康管理と体力作りは欠かせません。
夢よりも現実をとる勇気
起業を目指す会社員に多く見られるのが・・・
- サラリーマンではないのだから、ここは自分の想いを優先したい
- こんなことをするために独立したんじゃない
- 上手くいくまで周りには内緒にしておきたい
という〝無駄なプライド〟です。
「上手くいかなくても良い」ということなら大丈夫ですが、本気で成功したいなら、プライドはもっと大きなところ、違うところに向けるべきです。つまらないプライドを優先してチャンスを逃す人がなんと多いことか。成功したいのなら、本気でやらなければならない時期もあるのです。
あなたのプライドは、事業を軌道に乗せ、順風満帆になってから、いくらでも保つことができるはず。今のあなたのステージ(経営者としては幼稚園生みたいなもの)で、現実的な選択ができる勇気が必要です。
最後に頼れるのは自分
起業する際には、人を頼ったり、先輩のお言葉に甘えたりすることもあるはずです。しかし、最後は〝自立〟です。自分しか頼ってはいけません。人のせいにするなどもっての外。起業準備の段階から自己承認欲求丸出しで人に求めていたら、人が寄り付かず、多くを失うことになるでしょう。
ビジネスでは、自己信頼が成功のカギを握ります。承認や検証を他人に頼らず、自分の判断と決断を信じられるようにならなければなりません。これができなければ、ビジネスで成功することはできません。起業するなら、「自分の成功や失敗に責任を持つのは自分だけである」ことを常に心に留めておいてください。
まとめ
40代の起業は、これまでの経験を生かしながら進めてください。また、自分らしい人生を手に入れるために、健康と家族にも気を使いながら、いきなり大きく始めず、現実的に、着実に歩みを進めましょう。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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