なぜカフェでの起業はリスクが高く、成功率が低いのか? 検証してみた

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

私は、会社員のまま、ひとりで小さくスタートし、高い利益率で大きく育てていく起業を推奨していますが、最近、カフェを出店したいというご相談が増えていまして、どうにも困っています。
 

理由は飲食店、特にカフェは「失敗率」がとても高いからです。
 

カフェの開業は想像以上に大変なことばかりです。現在、開業しても3年以内に閉店するお店は約8割と言われています。飲食店の廃業率は他の業界と比べて断トツで1位です。

ドリームゲート「カフェ開業を成功させるためのポイントと開業手続きまとめ」 より引用

飲食店の廃業率は非常に高いと言われています。連日行列ができるような店がある一方で、開店して2年以内に閉店する店舗は半数、3年で7割が消えるという数字もあります。つい最近できたばかりのお店なのに、気が付けば別の店になっているということはよくあるものです。

みずほ銀行「飲食店がつぶれるときの前兆とは」 より引用

 
もちろん、夢を追っていただきたい。ですが「まず別の事業を成功させて、それから道楽でやったら?」と言いたくなってしまいます。芸能人の節税対策カフェのような。。
 

ポイント カフェ出店の諸費用を考察する

カフェの起業のリスク・成功率

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まずは、初期投資の側面からお話しましょう。カフェ出店までの財務シミュレーションをしてみます。小さなお城といった感じの小さな箱で考えます。規模は10坪、座席数6。メニューは軽食3品、コーヒーの他、紅茶も出すとしましょう。この位の規模感でお考えというご相談が多いのです。

カフェは、誰をターゲットとした店舗なのか? によってコスト試算が変わりますが、ここは一般的な街中のカフェということで書きますね。会社員のまま副業でカフェをやるのなら夜のみの営業になりますが、それでは収益性が著しく低くなりますので、何らかの方法で昼と夜の営業をすることを考えます。

そうなれば、集客が望めるターゲットは、待ち合わせ利用者や、日中に時間の取れる消費者層になるでしょう。湘南や鎌倉の海の近くで、といったような理想を語られる方も多いのですが、その場合には地元密着型でありつつ、観光客も取り込む必要がありますね。
 

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日中に街中のカフェを使う層には、サラリーマンの他、買い物客も多いでしょう。その層の取り込みには、往来の多い駅前の立地確保がまず必須となります。駅ビルなどのテナント出店は収益性が最初から望めなければ厳しいでしょうから、少し外れた場所の路面店などが候補になるでしょうか。となれば、相場は郊外で賃料5万~7万円くらい、予算として8万円を準備しておく必要があるでしょう。

路面店は、過去に廃業に至った店舗に入る場合には、立地条件が関係することもあるので、可能な限りその経緯を知っておきたいですね。なるべくなら、小さくてもビルの1階店舗など、最初から利用者のいる場所を確保したいところです。
 

カフェ
 

次に、内装です。まずは厨房ですが、必要なものは冷蔵庫、ガステーブル、電子レンジなどの業務用設備ですが、これは中古で揃えればよいでしょう。軽食調理を考えれば大体30万円前後です。他の電化製品と合わせて40万円程度を見込んでおきましょう。

シンクは、このくらいの規模であれば20万円前後、これに厨房施工として内装工事の約30%を占めると言われているので、内装坪単価飲食店標準で30万円として、一坪9万円です。

ざっくり言って、24席の規模の喫茶店内装工事が700万円という目安があるので、席数で考慮すると160~170万円程度になります。これに賃料敷金など4か月分を入れると、初期投資額は190~200万円ほどかかります。これには、コーヒーなどの提供に必要な機材や食器は含みません。

火や油を使う店ではないので、火災保険と合わせても、大ざっぱにこの規模なら郊外の駅前で230万円前後の予算で、一応、店が完成することになります。ただし、これはあくまでもかなり小規模で、目安です。

四国内で女性や若者の起業が活発だ。日本政策金融公庫の2015年度創業融資は過去最高水準で、とりわけ小口(300万円以下)の伸びが目立つ。地域のニーズに応じた保育サービスや、地元の異業種と連携したカフェなど顔ぶれは多彩だ。既存の枠にとらわれない新事業は地域活性化にも一役買っている。

2016/06/23 日本経済新聞 地方経済面 四国 12面

 

ポイント 成功したカフェの大きな特徴

カフェの起業のリスク・成功率

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成功しないカフェと、大きく成長したカフェには一見して大きな違いがあります。それは、路面から店の内部がよくわかるかどうかです。これは人間の心理の研究からそうなってるそうですが、音声を遮断された密室での集団に対しては、外部からそれを眺めた人は、内部をとても興味を抱くといったことがあるのです。

このため、流行るカフェは、内装が実にシンプルです。凝ったテーブルや椅子は使いません。極端な話、窓全体が1枚のガラスであれば、ひとり顧客が中に座っていれば、その効果で人を引き寄せてくれるということです。

それが、流行るおしゃれなカフェほど、看板が簡素で、シンプルに路面に出してあるだけが多い理由です。ひとつのトレンドが作られると他は必ず追従しますから、今は個人経営のお店では、特にそのようなスタイルのカフェが増えているのです。
 

ポイント カフェ出店のリスクをまとめてみた

カフェの起業のリスク・成功率

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カフェの特徴とは一言でいえば何でしょうか? それは「メニューが少ない飲食店」だということです。味やバラエティは、コーヒーの種類で明示できても、根本的に飲み物以外は軽食など食事は限られています。つまり、カフェに来る顧客は、がっつりとした飲食をしに来るわけではありません。最近増えているノマドワーカーなどの利用者の滞在時間に対して、客単価は決して高くありません。

カフェ出店のリスクは、出店の手軽さによる、同様の他店舗の存在の多さもあります。手軽であるとは言っても、コンテンツビジネスとは異なり、それなりの費用はかかります。簡単には鞍替えできません。

今ではフランチャイズを含め、たくさんのカフェがあります。利用者は大きな差異をそこに見出すことは少なく、いつも利用する店に行くか「試しに新しくできたので」「いつもの店が混雑していたので」という理由で来店します。固定客や常連客の確保は、カフェの死活問題になります。
 

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仮に出店した地域が、何らかの原因によって大幅に通行人が減った場合や、近くにあった商業施設が閉鎖した場合、連鎖的に売上げが減っていくでしょう。また、一度立地条件の選定を間違うと、そのままずっと昼間から空席ばかりの店になる可能性が高いのが、差別化のしにくい個人カフェの宿命なのです。

利用者が多い場所は、どうしても賃料が高くなります。そこを考慮するほど、初期投資額は増えていきます。その家賃を1杯500円程度の客単価から捻出する利益で支払っていくわけです。一般的なアルバイト時給を950円だとした場合、どれくらいの客数が必要か、そう考えると大変なビジネスです。
 

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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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