記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
癒しをテーマにしたバリ雑貨を輸入し、日本のネットショップで販売したいと考えています。バリに観光に行った際にお土産として買ってきた商品を、日本で売っても良いものなのでしょうか?
プライベートブランドで、そのお店のロゴが入っている商品なのですが、ショップに了解を取る必要がありますか? もう一つ、シャンプーなども売りたいのですが、これらは販売可能ですか? お客様に肌トラブルなどがあった場合、責任を問われるのでしょうか?

● 回答
先に結論です。雑貨は自分で買い付けたものなら販売でき、シャンプーなど肌に触れる化粧品類は許可なしに売ると薬機法違反になります。お土産の転売は「何を売るか」で合法と違法がはっきり分かれる世界です。
「転売」と聞くと後ろめたい響きがありますが、海外で良いものを見つけて日本に紹介する輸入物販は、昔からある真っ当な商売です。規制の線を正しく踏めば、小さな物販の入口として堂々と始められます。順番に線引きを見ていきましょう。
最初に全体像:やってよい販売・手続きが要る販売・やってはいけない販売
ご質問のバリ雑貨とシャンプーは、法律上まったく別の扱いになります。まず全体の地図を確認してください。
| 商品・やり方 | 判定 | 根拠・必要なこと |
|---|---|---|
| 自分用に買った土産が不要になり売る | 問題なし | 生活用動産の売却。許可不要 |
| 海外で自分が買い付けた雑貨を国内で売る | できる | 古物商許可は不要(警察の公式見解)。事業なら開業届・確定申告 |
| 菓子など食品を輸入して売る | 手続きが要る | 食品衛生法27条の輸入届出+食品表示法の日本語表示 |
| シャンプー・コスメを輸入して売る | 許可がなければ不可 | 薬機法。化粧品製造販売業許可などが必要 |
| 「個人使用」と偽って商売用に輸入する | 不可 | 税関への虚偽申告にあたる |
古物商許可:自分で海外買い付けした品の販売には不要です
転売の話題で必ず出てくるのが古物営業法です。国内で仕入れた中古品を許可なく売り続けると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
ただし、ここに重要な線引きがあります。大阪府警や愛知県警が公開している古物営業法Q&Aでは、自分自身が海外で買い付けて輸入した物品を国内で売るだけなら、古物商許可は必要ないと明示されています(2026年6月時点の各府県警公式サイトで確認)。許可制度の目的が国内の盗品流通の防止にあるためです。
同じ輸入雑貨でも、日本国内の輸入業者から中古品を仕入れて売る場合は古物商許可が必要になります。ご質問のように現地のお店で直接買い付けるスタイルなら、この点はクリアです。一方、販売を繰り返して事業になれば、税務署への開業届と確定申告は必要になります。
食品:輸入届出と日本語表示が義務になります
バリ土産の定番である菓子やコーヒーを売りたい場合は、別のルールが待っています。販売や営業目的で食品を輸入するときは、食品衛生法27条に基づき検疫所への輸入届出が義務です(厚生労働省「食品等輸入手続について」)。自分で食べる分の持ち帰りと、売るための持ち込みは、法律上まったく別物として扱われます。
さらに国内で売る段階では、食品表示法に基づいて原材料名・原産国・輸入者などを日本語で表示したラベルが必要です。現地語のパッケージのまま日本で売ることは、表示義務の面でできません。食品まで広げるなら、検疫所の事前相談窓口に問い合わせてから仕入れ量を決めるのが現実的な順番です。
シャンプー・コスメ:個人輸入品の販売は薬機法違反になります
ご質問の中でいちばん注意が要るのがここです。シャンプーや石けん、ボディオイルなど人の肌や髪に使うものは、日本では薬機法上の「化粧品」にあたります。
東京都保健医療局は、個人輸入した海外製化粧品をフリマアプリ等で販売することはできないと公式に注意喚起しています。輸入化粧品を売るには化粧品製造販売業許可などが必要で、薬剤師等の責任者の設置も求められるため、個人が旅行のついでに扱える領域ではありません。メルカリも公式ヘルプの禁止出品物で「個人的に輸入した化粧品類」を明記して出品を禁止しています(2026年6月確認)。
肌トラブルの責任についても、輸入品は輸入者が国内では製造業者に準じた立場になり、PL法(製造物責任法)で損害賠償責任を問われ得ます。許可の問題と責任の問題が二重にのしかかるので、シャンプー類は最初の商材から外すことをおすすめします。
関税とロゴ入り商品:個人使用の免税は商売には使えません
仕入れとして輸入する場合、税関への申告も変わります。自分で使う輸入品には課税価格を海外小売価格の6割で計算する扱いがあり、課税価格の合計が1万円以下なら免税になる仕組みもあります(一部品目を除く)。ところが税関のカスタムスアンサーにあるとおり、販売目的の輸入にこの個人使用の優遇は適用されません。
商売用の仕入れを「個人使用」と申告するのは虚偽申告になるので、最初から販売目的として正しく申告してください。
お店のロゴが入ったプライベートブランド商品は、法律よりも商標とブランドの問題です。真正品を買い付けて売ること自体が直ちに違法になるわけではありませんが、日本に代理店があれば販路がぶつかります。トラブル予防と仕入れ交渉を兼ねて、お店に「日本で売りたい」と一報を入れておくのが安全です。うまくいけば正式な仕入れ条件を引き出せて、お土産価格より安く調達できる可能性もあります。
雑貨に絞って商売を立ち上げた玉城さんの例
起業18フォーラム会員の玉城さん(仮名・40代)は、年に2回のアジア旅行で買い集めた雑貨をメルカリで売ることから始めました。かごバッグもアロマオイルもハンドクリームも、買ってきたものを片っ端から出品していました。
つまずきは連続でした。ハンドクリームの出品が規約違反で削除され、次にオイルも消され、アカウント停止の警告文を見て青ざめたといいます。そこで初めてメルカリのガイドと都の注意喚起ページを読み込み、自分の出品リストを一つずつ照らし合わせて、肌に触れる商材は個人の輸入販売がそもそも許されない領域だと知りました。
起業18フォーラムの勉強会で商材を編み物かごとアタ製の収納雑貨に絞り直し、商品説明に産地の村の話を書き添えるスタイルに変えました。現在は月23件前後の販売が続き、購入者の4人に1人がリピーターです。違法すれすれの幅広さより、堂々と売れる得意分野の深さのほうが、結果として商売を安定させました。
拙著で紹介している「プロダクト系」の注意点
拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』の第4章では、海外のショッピングサイトから商品を仕入れて国内で転売するやり方を、プロダクト系ビジネスの一つとして取り上げました。仕入れ費用がかかり、売れるまで在庫を抱えるリスクがあるという注意点も、そこに書き添えています。
これはお土産物販にそのまま当てはまります。法律の線を全部クリアしても、売れなければ在庫が部屋に積み上がるだけです。最初の買い付けはスーツケースに入る量までと決めて、売り切ってから次を仕入れるサイクルを守ってください。小さく回すことが、規制対応と資金繰りの両方の安全弁になります。
よくある質問

迷いやすい論点を質問形式で押さえます。
Q.不要になったお土産を数回フリマで売るだけでも、開業届が必要ですか?
不要品の処分なら必要ありません。営利目的で繰り返し仕入れて売る状態になったときに、事業として開業届や確定申告の話が出てきます。迷う段階に来たら、それは商売が形になり始めた良い兆候だと考えてください。
Q.現地の市場で買った中古のアンティーク雑貨も、許可なしで売れますか?
自分が海外で直接買い付けて輸入したものなら、中古品でも古物商許可は不要というのが警察の公式見解です。ただし国内の業者や個人から同じ品を買い足して売るなら許可が要ります。仕入れルートが混ざる予定があれば、先に許可を取っておくほうが安全です。
Q.酒類やハーブ系のサプリをお土産として売るのはどうですか?
酒類の販売には酒類販売業免許が必要で、フリマアプリでも継続的な出品は禁止されています。サプリは成分次第で医薬品扱いになり、無許可販売が重い違反になる領域です。どちらも最初の商材には向きません。
Q.法律を全部確認する自信がありません。どこに相談すればいいですか?
公的な窓口が無料で使えます。輸入手続き全般はジェトロや税関の相談窓口、食品は検疫所、化粧品該当性は都道府県の薬務担当課が答えてくれます。売りたい商品の写真と成分表示を持って、該当する窓口に先に聞くことを習慣にしてください。自己判断で売ってから指摘されるより、何倍も安上がりです。

次の一歩はシンプルです。売りたい商品の候補を、メルカリの「禁止されている出品物」のページと一つずつ照らし合わせて、堂々と売れるものだけを残してみてください。線引きを知った人から、輸入物販は安心して育てられる商売に変わります。
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