輸入物販は何から仕入れる? 失敗しない商品選びと法律の注意点

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

本業で貿易の仕事をしていて、自分でも輸入ビジネスを立ち上げたいと思っています。ただ、どんな商品を仕入れたら良いのか分かりません。本業のように知らない商品を1から調べ直すのは、時間もコストもかかりすぎます。

売れる保証がないと手が止まりますし、化粧品や食品など人体に影響が出るものは避けたいです。私はどのような商品を取り扱うべきでしょうか?

起業前質問集

● 回答

貿易の現場で一つの市場をゼロから育ててこられた方ですね。その経験があるからこそ、かえって「次も同じだけ調べ尽くさないと売れない」と感じておられるのだと思います。けれど、自分の輸入ビジネスで最初に扱う商品は、本業のように深く研究しなくても選べます。むしろ完璧に調べてから動こうとするほど、手は止まります。

「この商品を売ったらどうですか」と私から一つに決めることはしません。代わりに、商品の選び方と、選んだあとに利益をどう作るかを順番にお話しします。

まずは「すでに売れているもの」から始める

新しい商材は魅力的に見えますが、誰も知らないものを売るには広告宣伝費がかさみます。最初は、すでにネットで売れているものを安く仕入れて売るのが、いちばん回収が早い入口です。商品知識がそれほど要らないぶん、本業のような市場調査をやり直さずに動けます。

ネットで売れやすい商品には、いくつかの共通点があります。仕入れる候補を探すときの目安にしてみてください。

  • どこで売っているか分かりにくい
  • 近所の店には置いていなさそう
  • 買いに行くのが面倒(重い・大きい・人前で買いにくい)
  • 一度きりでなく、定期的に必要になる

たとえばAmazon、楽天、ヤフオク、メルカリといった場で、こうした特徴を持つ商品が実際にいくつ売れているかを見ていきます。商品を決めるより先に、売れている棚を観察するのが順番です。

人体に関わる商材を避けたい理由は、法律にもある

化粧品や食品を避けたいというお考えは、リスク管理として正しい判断です。これは好みの問題だけでなく、輸入販売では法律の壁が立つからです。食品は食品衛生法、化粧品やサプリメントは薬機法の対象になり、輸入者が届出や許可を求められます。

ネットショップ

見落とされがちなのが、電気製品と無線機器です。コンセントにつなぐ家電は電気用品安全法でPSEマークが、Wi-FiやBluetoothを使う機器は電波法で技適マークが必要になります。マークのない製品をそのまま売ると、輸入者である自分が責任を問われます。さらに、輸入した商品で事故が起きた場合、製造物責任法(PL法)で責任を負うのは輸入者です。

最初の一品は、こうした規制に触れにくい日用雑貨や趣味の道具から選ぶと、確認の手間が少なくて済みます。

「個人輸入で安く」は、販売目的では使えない

ここは現場で誤解が多いところなので、先にお伝えします。海外から個人で少量を取り寄せる「個人輸入」には、税金が軽くなる仕組みがあります。けれど、それは個人で使う場合の話です。

売るために仕入れる時点で、それは商業輸入になります。個人輸入の簡易税率や少額の免税枠を販売目的に流用すると、脱税に当たってしまいます。商業輸入では、運賃や保険料を含めた価格に関税がかかり、さらにその合計に消費税がかかります(税関・JETROの説明より)。

もう一つ、知っておきたい変化があります。これまで課税価格の合計が1万円以下の輸入貨物は関税・消費税が免税されてきましたが、令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日閣議決定)で、1万円以下の越境EC通販を消費税の課税対象とする見直しが打ち出されました。「少額なら無税」を前提にした仕入れ設計は、今後そのままでは通用しなくなる可能性があります。

利益は「安く仕入れる」だけでは作れない

既存品の転売は知識のハードルが低い一方で、同じ商品を扱う人が多く、利幅が薄くなりがちです。仕入れ値を下げる努力と同じくらい、同じ商品でも値段がどう変わるのかを知っておくと、薄利から抜け出しやすくなります。

拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』では、価格が変動する6つの要因として、タイミング・季節・場所・目的・非日常・信用を挙げています。同じ商品でも、必要とされる季節や、買われる目的、売り手への信用によって、つけられる値段は変わります。「いくらで仕入れるか」だけでなく「どんな場面で誰に売ると高く買ってもらえるか」まで見ておくと、回収の見通しが立ちます。

輸入をしていると、メーカーのほうから「うちの商品を扱いませんか」と声がかかることもあります。けれど、それは相手の商品が売れずに売り手を探している場合が多く、結局は売るためのコストが自分にのしかかります。基準は「すでにネットで売れているもの」「小さく扱いが簡単なもの」に置いておくのが安全です。

同じ悩みから抜け出した、ある会員さんの話

起業18フォーラムの会員に、横手さんという方がいます。本業は商社で、輸入の実務には誰より詳しい方でした。それでも自分の輸入ビジネスとなると、「本業ほど調べ込まないと売れないのでは」と、最初の数本を何にするか選べないまま、リサーチ用のリストばかりが膨らんでいったそうです。

風向きが変わったのは、勉強会で先輩会員の仕入れ相談に同席したときでした。その先輩は高価な新商材ではなく、海外で安く手に入るありふれたアウトドア用品を、国内で在庫が切れる時期に合わせて出していました。商品の珍しさではなく、売る時期と売り場で利益を作っていたのです。横手さんは「調べる対象を間違えていた」と気づきました。

そこからは、会員仲間と仕入れ品を見せ合う中で、自分の候補を「いくらで仕入れて、いくらで、いつ売れるか」の目で選び直しました。最初に絞ったのは、本業とは無関係の小さな日用雑貨でした。仕入れ値はそのままに、需要が高まる季節に絞って出すことで、当初2割ほどだった粗利率を4割近くまで引き上げられたといいます。現在は本業を続けながら、月に十数万円の利益を安定して出せるようになりました。

横手さんが変わったきっかけは、新しい知識を増やしたことではありませんでした。仲間の現物を見て、利益の作り方の角度を変えただけです。

ポイント よくある質問

輸入ビジネスは、いくらから始められますか?

まずは家にある不要品や、国内で安く手に入る既存品を少量だけ仕入れて出品し、発送と入金の流れを体で覚えるところから始められます。最初は赤字でも構わないので国内仕入れで感覚をつかみ、次に同じものを海外から少量だけ仕入れ、徐々に数を増やしていくと無理がありません。

扱う商品は、好きなものを選んでも良いのでしょうか?

好きで自然と情報を集めてしまうものは、続けるうえで強みになります。ただし好みだけで決めず、すでにネットで売れているか、法律の規制に触れないか、利益を作れる売り方があるかをあわせて見てください。好きであることと、売れることの両方が重なる商品が理想です。

具体的なリサーチや、候補が出てきたときの仕入れ判断は、起業18フォーラムの勉強会でも一緒に見ています。今日できることは、Amazonや楽天で気になるジャンルの売れ筋を、価格と売れている数の目で1週間ほど眺めてみることです。商品を決めるより、売れている棚を知るほうが先です。

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同じ立場で迷っていた方を何人も見てきましたが、こうして仕入れの順番を確かめている時点で、あなたはもう動き始めています。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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