記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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副業には収入増だけを目的にするものと、将来の起業を目指すものがあります。
この記事では、会社を辞めて独立するとどんなリスクがあり、そのリスクを最小限に抑えるにはどうするのかを解説します。独立を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
副業からの起業でリスクを抑えるポイント
副業から起業するときのリスクを抑えるには、起業する(会社を辞める)タイミングを間違えないことが重要です。
リスクがあるのは「早すぎる起業」です。副業から起業する「早すぎるタイミング」には次のようなものがあります。
- 副業の収入が増え始めてすぐに起業する
- 仕事のスキルがアップしていないうちに起業する
- 経営者マインドができていないうちに起業する
- クライアント、得意先が限られているうちに起業する
- 人脈があまりできていないうちに起業する
- 貯蓄がないうちに起業する
上記のようなタイミングで起業したときにどんなリスクがあり、それを抑えるにはどうしたらよいのかをチェックしていきましょう。
1.収入増が一時的なものでないか1年間は様子を見る
副業の収入が増えたとしても、それが長続きするとは限りません。ラッキーだっただけかもしれませんし、コロナ禍初期のマスク需要のように、一瞬の需要だっただけかもしれません。
たとえば、アフィリエイトをやっていて、アクセス数が増えて商品購入数も増えると「この調子で増えていけば会社を辞めてもやっていける」という気がしてくるものです。
しかし、アクセス数は検索上位に表示されなければ伸びません。これまで度々あったように、グーグルが検索アルゴリズムを変更することで、検索順位が大きく下がってしまうこともあるのです。そうなると、1ヵ月10万円あったアフィリエイト収入がほとんどゼロになってしまう・・・というようなことも珍しくありません。
アフィリエイトで起業をするなら、別ジャンルの商品を扱うサイトをいくつか運営するなどのリスクヘッジができていないうちは、副業に留めておくべきです。
ほかの副業でも、収入が増え始めてから最低でも1年間はようすを見るのがリスクを抑えるポイントです。
2.仕事のスキルが十分身に付いてから起業する
仕事にはトラブルやアクシデントがつきもの。それに対処できるスキルが十分でないうちに起業するのはリスキーです。
主にはクレームに対処するスキルです。経験がものを言う世界ですが、相手の言うことを否定せずに聴き、論点を明確にしながら丁寧に回答していくというスキルが必要になります。
また、ITスキルで言えば、エクセルで見積書を作成できるくらいのスキルは習得しておく必要があります。仕事でパソコンを使わなくても、経理や業務管理はスマホではできません。
3.経営知識をある程度養ってから起業する
組織で仕事をしているときは、経理部、人事部、営業部などの各部署が機能を分担していますが、起業をするとこれらすべてを自分でしなくてはなりません。
必要な知識は独立してから少しずつ学んでいく、というのん気なスタンスでは間に合わないことがあります。
副業のうちに、会計帳簿をつけたり、税金の申告をしたり、経験を積んでおきましょう。
4.取引先の数がある程度増えてから起業する
メインの取引先の仕事が、ある日突然なくなるという恐怖は、サラリーマンをしているときには味わうことはないでしょう。ですが、起業をするとそれが現実のものになります。
売上の6割以上が1つのクライアントに集中しているような状態では、まだ起業するのは早いです。
下請け零細企業のような気苦労をするのでは、独立した意味がありません。副業のうちにクライアントの数を増やして、リスクヘッジをしておく必要があります。
5.人脈がある程度できてから起業する
起業には、得意先だけではなく、協力し合える仲間や相談相手も必要です。副業のうちは1人でコツコツやっていればOKですが、独立したら自分の知恵だけでは限界があり、リスクも大きくなります。
しかし実際には、会社員では人脈を作ることが難しい場合もあるでしょう。そんな時は、起業が現実味を帯びてきた段階で、地方自治体や商工会御などが主催する起業セミナーに参加するのもひとつの方法です。
中小企業庁や都道府県では、働き方改革の一環として、起業家を志す女性や若者への支援を積極的に行っています。助成金や融資など資金面の援助のほか、起業セミナーや起業家同士の出会いの場が設けられています。そういった機会を利用して人脈を作っておけば、起業のリスクを減らすことにつながるでしょう。
6.貯蓄がないうちに起業しない
会社を辞めて起業したとき、何といっても頼りになるのはお金です。
起業時には「開業資金プラス6ヵ月分の生活費」が必要だといわれていますが、リスクを最小限に抑えるためには、1年分くらいは貯蓄しておきたいもの。
下手に余裕があると気がゆるむから貯蓄ゼロの背水の陣で起業する・・・などという根性論では乗り切れないのが独立開業です。お金がないと、仕事の選択肢も狭くなってしまいます。
週末起業に留めておいたほうがよい場合
上記の6つのリスクヘッジのポイントで、3つ以上できていないことがあるうちは、サラリーマンを続けながらの週末起業に留めるべきです。
とくに、副業の売上が増えたからといって、すぐに会社を辞めるのは危険です。また、ある程度の貯蓄ができるまでも、週末起業に留めなければなりません。
アルバイト副業と週末起業の違いにも注意
週末に飲食店などで「時給いくら」という形で働く副業は、起業には結びつきません。
アルバイトでも、持っている知識や技能を活かす仕事なら、そこでスキルを磨いて起業することも可能ですが、あくまで2つの会社に雇われている状態なので、自分が経営者になる起業にはより慎重になるべきです。(参考:「会社員が起業するには? 知っておくべきローリスクで始める3つの方法」)
起業につなげやすい副業
将来的に起業につなげやすい副業は、起業するにあたって新たな場所や設備を必要とせず、今やっている副業のスタイルでそのまま起業できる仕事です。
ネットビジネス
パソコンとスマホ、ネット接続環境があればできる「ネットショップ」「アフィリエイト」「ライター」「Webデザイナー」などは、起業につなげやすい副業といえます。
ITスキルに、専門分野の知識・技能が加われば、さらに起業に結びつく可能性が高まります。
上記のライターやデザイナーもそうですが、英語、美容、栄養学、カウンセリングなどの知識や資格があれば、オンライン講座やオンライン相談で起業することが可能です。
出張ビジネス
「DIYアドバイザー」「収納アドバイザー」「英語講師」「手工芸ワークショップ」など、顧客の自宅に出張したり、オンラインでできるビジネスも、副業から起業へのハードルが低い仕事です。
このような出張ビジネスでも、現代はSNSでの拡散が成功のカギを握っています。そのため、ITスキルと言うほどではなくても、上手にFacebookやInstagramを使うセンスは必須です。
焦らずにじっくり準備することが大切
独立は、タイミングが早すぎるとリスクを大きくします。
リスクを最小限に抑えるには、副業収入の増加が一時的なものでないか、起業するだけのスキルが身に付いているかなど、6つのポイントをよく考えてみることが必要です。
状況によっては、独立せずに留めるべきタイミングもあるので、しっかりと見極めましょう。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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