大学生が起業するなら? 失敗する理由と成功する人の特徴も解説

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

起業18には、20代後半から50代前半までを中心に、夢を持つ女性、男性がたくさん集まってこられますが、最近は、学生さんも参加されるようになってきています。
 

スタートアップ
 

残念な現実として、個人的な意見を敢えて述べられるとしたら、日本の大学の多くは「就職のための資格を得る場所」であり、起業に向けた教育を受ける場所ではありません。日本の大学は、経営学を学ぶ場所ではないのです。それでも、中には頑張っている学生さんもいますから、学校の仕組みはともかく、個人次第なのだと思います。
 

ポイント 近くにある若者の会社を眺めてみると・・・

大学生が起業するなら

大学生
 

弊社の池袋ミーティングルームの近くに入居されている会社さんも、若い人が毎日のように深夜3時~4時でも、元気に仕事をしています。ちょっと怖いくらいです。(※仕事の中身は正直、よく知らないのですが、毎日のように20代の前半くらいのような方々と面談をして「人生を変えよう」「動画が●●時間分あって・・・」みたいなお話をされていますので、転売金儲けシステムなどを販売しているようです(汗))

彼らの売る商材がどのようなモノかは知る由もありませんが、「賢い」と思うことは、彼らは「仕組み」と「コンテンツ」を販売している(っぽい)というところです。

最近、大学生起業などに多い起業ネタとして、IT技術を活かしてのインフラ、SDGs系商品、WEBサービスなどの開発系で起業しようとする人がいらっしゃいます。限られた開発費でどこまでいけるか、、、
 

大学生
 

かと言って、簡単なアプリ程度(ちょっとしたマッチングサイトレベル)のインフラであれば、開発費、その後の広告宣伝費は莫大な割に、価格は思うようには高額化できない運命です。さらに、様々な環境、機種に対応しなければならないので、学生数名のスモールビジネスでどこまで耐えうるのか、、、

実際、インフラ系までいかずとも「●●ポータル」系ビジネスは多くありますが、これは完全に「早いもの勝ち」そして「目の付け所」が問われるビジネスです。私の周りでは残念ながら、この手のポータルサイト構築の夢を語っていた人で、成功した人を見たことがありません。屍のようなポータルサイトは、たくさん見ますけどね。

そう考えると、うちのご近所の会社さんのような、まだ社会経験も少なく、経営経験もないうちには、既存のインフラの組み合わせ活用による仕組化、それを解説するコンテンツといった、身軽な商売に特化したのは、正解だったなと思うのです。学生はクラファンや令和の虎的な投資家からの出資を始めとし、大きく資金調達をする傾向がありますが、ちょっと心配になる時はありますね。

とは言え、私の遠い親戚は、学生で数十億円売り上げるベンチャーを立ち上げているようなのですが。。
 

ポイント 大学生での起業をおススメする理由

大学生が起業準備をするなら

大学生
 

まず、大学時代に起業をしようと考えるなら「入学」から始まっていると言えます。資金調達以外の「事業計画」は、入学前にスタートすることができるからです。そういう意味では、会社員の方が「3年後には」「いつかは」などとよく言うのですが、どれだけ長い時間軸なのだろう・・・と思うこともありますね。

幸い、日本の大学生は海外の学生と比較して遊ぶ時間がたくさんあるので、ビジネスを始めたり、そこまでいかずとも、流行りものやその時代のトレンドを掴める時間がたくさんあるはずです。

たとえば、あるSNSの創業者は、早くから「非正規雇用」に注目して、新卒採用が減少した頃から「人材マッチングサイト」の運営を始めています。また、ある東証一部上場の起業家は、大学時代に「法務に関しては求人が少ない」ことに目をつけ、全国の弁護士を分野別にソートして選べ、費用も掲載した登録無料の検索サイトを立ち上げ、やがて有料化することで大きな収益をあげています。

どれも「不景気」を逆手に取り、資格があっても仕事が少ない人や業種に光を当てた結果です。そして、目を付けるのが早かった(一時代前)。
 

大学生
 

同じように「そもそも料理教室に通う時間もお金もない」主婦層に、レシピのお裾分けという発想から始まったのが、有名なレシピサイトです。当然、ここには広告が入りますので、スポンサー企業も収益を期待できますし、やはり、目の付け所がよかったですね。

こうした社会の大きなトレンドを掴むには、時間にゆとりのある大学4年間は大きなチャンスです。就職のために留学するのもよいですが、起業に時間を使う学生がもっとたくさん出てきてもよいはずです。
 

ポイント 大学生など、若くして起業できる人の特徴とは?

大学生が起業準備をするなら

<div class="e">大学生が起業準備をするなら</div>
 

会社は、似たような仲間同士でいるなら「家内制手工業」と同じですが、異なる知識を集約させれば、その中で常に最善の運営方法を確保できます。大学時代はたくさんの仲間と行動することも多くなりますが、一匹狼的な存在であっても、そのような人が取引し合うことで、大きな価値を生み出すことができるのです。

大学時代から起業できる人は、好奇心が人一倍強い人でしょう。既存システム、既存製品の別の側面を引き出せる人。同じ製造過程で全く別の製品を作り出すなどの、自由な発想ができる人ですね。起業できる大学生とは、常に「これは面白そう」ということに敏感な人材だと思います。
 

ポイント 学生起業が失敗する理由は?

アイデア実行前に要確認!

学生
 

ネット上にある起業情報は、玉石混交です。特に素直な学生さんは、気を付けて判断していただく必要があります。

起業情報は、どれも似たり寄ったりのリライト記事ばかりで、参考にならないことも多いでしょう。すると、SNSからの情報をより信じることになると思います。ですが、SNSも「誰でも簡単に」系のインチキ情報、超高額の広告費を使う起業塾(つまりそれだけ塾生からお金を取るということです)の煽り広告で溢れかえっています。
 

学生
 

同調圧力が強く息苦しい、イノベーションが叩かれる日本社会では、起業したいと思う学生さんは「宝」です。良いことも悪いことも、きちんと伝えたいと思いますので、実態を正直にお伝えします。

この記事を書くにあたり、広く学生起業の体験談やデータを集めようとしましたが、結論、難しかったです。起業した学生の回収数が集まらない、学生起業家の出現率が低すぎるから、というのがその理由です。それほど、学生起業はまだ「レア」な存在ですし、統計が取れない程度しか事例がないというわけです。

それ故、私自身の経験と、私のセミナーを受けてくれた学生さんたちの体験に限られますが、学生の起業が失敗する可能性が高い理由を挙げて、それぞれの対処方法について解説してみます。
 

「勢い」が強すぎると失敗する

学生起業する人は、やりたいことが明確です。多くの社会人のように「起業したいから起業できるネタを探す」のではなく、私の周りの学生は「やりたことがあるから起業する」と考える人の方が多いです。

自分がやりたいことで起業できれば最高です。しかし「やりたい」と思う気持ちの勢いが強すぎると失敗の原因になります。なぜならば、勢いは冷静さを奪うという欠点があるからです。

若い人は失敗を恐れないので、起業まで突っ走りますが、経営には冷静さと勢いの両方が必要です。「早く起業したい」と焦る気持ちを優先するのではなく、計画を立ててコツコツと準備しましょう。 
 

学生
 

「ターゲット」が狭過ぎたり広過ぎたりすると失敗する

学生が起業したいと思う時には、やりたい事業が具体的に描けていることが多いです。ゴールを具体的に描くことは、起業を成功させるポイントです。

しかし、事業のターゲットがとても極端なことがあります。ターゲットとは「顧客」です。どのような人に自分の商品を買って欲しいのか、具体的に決めておくことで売り方が変わります。

ターゲットが狭すぎる人は、自分の価値観や基準で事業を考えてしまいがちです。たとえば、何かを販売する時「TikTokを知っているのは当たり前」という基準で事業を計画すれば、市場はとても小さくなります。
 

スマホ
 

一方で、ターゲットが広すぎる人は、刺さるメッセージが出せません。「なんでもやります」「なんでも売ります」は、「なにもできません」「なにも売れません」と言っているようなものです。

お客様は、欲しいものがあるから買うのであって、買う条件を持っています。条件が一番合っているものを買うため「なんでもできる」という個性のない商品は、他の商品に埋もれてしまうのです。
 

「ピンチ」を想定していないと失敗する

根拠のない自信にあふれ過ぎていると、成功イメージだけで起業することになります。しかしピンチは必ずやってきます。

学生は、社会人と違い余裕資金が多くありません。僅かなお金が足りずに失敗してしまう人もいます。ピンチの種類はたくさんありますが、多くはお金、そして仲間割れの問題です。備えておきましょう。
 

学生
 

「起業がゴール」だと失敗する

「起業がゴール」になってしまうと成功できません。やりたいことで起業できたら、確かにそれだけでもすごいことです。気力、体力、お金をつぎ込んで起業できたら、ゴールにたどりついた気持ちにもなるでしょう・・・。

しかし、起業は起業した時がスタートです。そこで燃え尽きては、そのまま失敗します。無事に起業できたら、次は継続してお客様に来てもらうために、さらに頑張る必要があるのです。お客様を分析し続けなければなりません。

学生は社会人に比べると、仕事の実務経験が乏しいです。「起業できたからよかった」とゴールの喜びに浸るのではなく、起業できたからこそ、経験不足を補うために行動しなければなりません。
 

「流行を追い過ぎる」と失敗する

学生は、流行に敏感な人も多いです。タピオカが流行ればタピオカを飲み、SNSにも速やかに反応します。しかし、流行を追い過ぎても失敗してしまいます。その理由は、流行が来てから流行に乗るようでは、ビジネスとしては遅いからです。

「この商品を売りたい」と思うのは大切ですが、起業するウ場合には、流行は作りだすものであって、流行になっているものを追うものではないからです。「自分は流行に敏感だ」と思うなら、ただ流行を追っているだけにならないように注意しましょう。
 

学生
 

「マニュアルに慣れ過ぎている」と失敗する

アルバイト慣れのせいでしょうか、学生起業で失敗する人は、マニュアル対応に慣れ過ぎていることがあります。アルバイトにはマニュアルがあり、仕事はマニュアルに沿って行います。お客様からの問い合わせがあってもマニュアル通りに答えます。答えがないと「マニュアルに書いていませんので」と答える人もいたとか・・・。

マニュアルは便利なものです。しかしマニュアル人間になると、書いていないことに対応できない頭になってしまいます。起業は、学生であろうが社会人であろうが関係なく、様々なトラブルが発生します。マニュアル慣れし過ぎると「過去の事例」「一般的な対応」しかできなくなってしまいます。
 

「人付き合いが苦手過ぎる」と失敗する

知識や経験が足りないことは、人に補ってもらわなければなりません。よって、人間関係が大切になります。成功する学生には、仲間が多くいて、目上の人にも入り込んでいける人が多いです。あのホリエモンさんは、好き嫌いの好みがわかれる人ですが、個性が強くファンがもとても多い人です。仲間やファンをたくさん持つことができれば、失敗しにくくなると言えるでしょう。

「事業内容に自信があるから成功できる」と思っている学生は多いですが、それだけではビジネスは上手くいきません。なぜなら、仕事は、人と人とのつながりによって広がっていくからです。「この人とは一緒に仕事したくない」と思われれば、あっという間に立ちいかなくなります。

「人の下で働きたくない」「人に雇われたくない」という理由で起業したいと考える人も多いですが、人の下で働いて、時に理不尽なことや納得できない指示をされることを経験することで、人間として成長できることもあります。(※ずっと我慢しているのは意味がありませんが。)そういう意味でも、最初1~2年くらい就職してみるのも悪くはありません。
 

ポイント 学生起業で成功するチャンスは?

アイデア実行前に要確認!

ゴール
 

「時代に敏感」であること

上で「流行を追い過ぎる」と失敗すると書きましたが、鈍感では話になりません。流行の一歩先の流行を予測し、次の流れを創り出せるのは学生ならではの強みでもあります。

たとえば、マスクの需要が高まったとき、かわいいマスクやオシャレなマスクがたくさん販売されました。マスクを売る会社が急増し、激戦区となりました。ところが、長く売れている新しいマスクは、かわいいでもオシャレでもなく、口元が透明になっているマスクだったりします。飛沫防止効果が低いにもかかわらずです。

多くの人がマスクをして、口の動きで言葉を読み取ることができない。テレビタレントやセミナー講師には絶対に必要になる。そんな需要にいち早く気がつき、商品化した会社は大きな成功しているのです。
 

「学生の立場を心得ている」こと

学生は、先輩からたくさんのことを学ぶ必要があります。「学生である」ということを忘れず、謙虚な姿勢で他の起業家と接する人は成功します。学生に限ったことではありませんが「教えてもらう」という姿勢を忘れた起業家は、悲しい天狗人間です。

先輩起業家は、たくさんの知識とノウハウを持っています。学生という立場は「教えてもらいやすい」というメリットもあります。謙虚に学ぶ姿勢を維持するするだけで、多くの人に好感を持たれるでしょう。
 

ポイント 起業前に大学で準備できること

大学生が起業をするなら

大学生
 

経営とは、数字上の結果でしかありません。職人が手工業で製品を作っても、その良し悪しは販売実績によってでしか判断されません。それが、文化と現実の経営の違いです。生産数はどうであれ、他に代替えできる手段が無ければ価格を上げることができ、良い品と評価され、経営も安定します。

つまりは世の中の流れを読み解くこと、他にない商品・サービスを生み出す嗅覚こそが、求められるということです。「起業=経理・会計・税金を学ぶこと」と考えている人は意外と多いのですが、それは「経営実務」であって、起業ではありません。起業というのは、事業を起こす最初の一歩のことです。

経営については、実際に経営をしながら、財務諸表とにらめっこをし、人間関係に揉まれ、新商品が売れないという経験を乗り越えながら、身につけていく必要あるでしょう。そうして「将来性」を見抜く力を養っていけば、卒業するころには素晴らしい起業家、経営者として、社会に出ることができるでしょう。
 

ポイント まとめ

大学生が起業準備をするなら

大学生
 

大学生のうちに起業したいなら、遊び、恋愛、スポーツ、旅行、留学、たくさんのやりたいことに興味を持って、経験値を積んでいきましょう。ITベンチャーだけが大学生起業ではありません。「自分が生産者ならどうするか?」「より価値を高めるにはどうするか?」そんなことを考えながら遊ぶするだけでも、全く違う未来が生まれてきます。

そしてこれらの発想を活かし、仲間相手に小さなお小遣い稼ぎからでもスタートしても良いでしょう。起業して成功している人は、何度も失敗した経験がある人が多いです。学生起業のメリットは、失敗できる余裕があることです。型に捉われない、レールに乗る人生を否定し、やりたいことに挑戦して欲しいと思います!


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全11冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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