記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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大門未知子は、テレビドラマ「ドクターX」の主人公です。「私、失敗しないので」という決め台詞通り、ドラマでは鮮やかに難病やケガを治していきます。
起業の失敗には多くの原因が絡み合っています。「失敗しない」という大門未知子が、もし起業して、そして失敗してしまうとしたら、どのような原因があり、何をやらかしてしまったのでしょうか? 今回は、大門未知子を例にして、起業の失敗原因についてお話しします。
大門未知子とはどんな人か?
大門未知子は、有能な外科医です。手術を得意としています。職場は大学病院ですが、大学病院のような組織に所属して働くことを好まず、フリーランスとして働いています。まさに起業18にいらっしゃる会社員の皆さまが憧れる生き方かもしれませんね。
特徴はその性格です。医師免許を必要とする仕事はやりますが、免許がなくてもできることは一切しません。上司の指示をバサッと「致しません」と切り捨てるその姿は実に爽快です。とは言え、組織で働くうえで必要となる忖度やお付き合いをキッパリ断ることから、敵を作りやすい性格とも言えます。
金銭感覚も独特で、お金については「世間知らず」「相場を知らない」という一面もあります。人の目や評価を気にしない性格は、視聴者に好感を持たせます。
大門未知子が起業に失敗するとしたら何をやらかすのか?
大門未知子が「失敗しない」と言い切れるのは手術のことで、他は色んなことに失敗していそうです。もし、彼女の性格で起業に失敗するとしたら、何をやらかしそうだと思われますか?
初期投資にお金をかけすぎてしまう!?
大門未知子は、金銭感覚が独特です。また、一般的な相場観が疎いところがあります。ドラマの中では、大門未知子が稼ぐお金は、医療スタッフ派遣会社(?)社長の「あきらさん」が管理しています。中小企業でいう番頭さん、マネージャーさんのような感じですね。
「あきらさん」は、お金に厳しく、必要な分しか大門未知子にお金を渡しません。しかし起業すれば、すべての収支を大門未知子が管理することに・・・。大門未知子ならば、きっと起業時から全力でお金を使い、経営を難しくさせてしまうでしょう。起業時は、一番財布のひもをしめなければならないのですが・・・。
敵を作ってしまい攻撃を受ける!?
大門未知子は、忖度しないことや空気を読まないことから敵を作りがちです。ドラマの中でも大物を敵に回してしまい、次々と攻撃を受けます。大門未知子は、類まれな能力をもっているため、攻撃をかわしていきますが、それは彼女が世界一の腕を持っているからできることです。
起業は、同業他社がライバルとなりますが、攻撃を受けるくらい憎まれてしまうのは良くありません。嫌がらせによる、たった一言の口コミで経営が傾いてしまうこともあるのです。事実、私のセミナーにも他社の偵察が来たり、マッチングサイトの匿名性を利用した妨害行為を受けた経験が何度もあります。
また、妨害とは別の話ですが、今の日本には、お行儀よい人が優秀、外れたらネットで叩く、謝罪させるという文化があります。最近では、こんな事件もありましたね。
同社の麻生要一CEOが「今日の仕事は楽しみですか。」との広告内容が写った画像を自身の公式Twitterアカウントに投稿したところ「見た人を傷つける」「働き過ぎて追い込まれた人々の“最後の一押し”になる」「“ディストピア”感が満載」などの批判が相次ぎ、わずか1日で掲載終了に追い込まれた。その後、麻生CEOは「配慮に欠く表現だった」と謝罪し、自身の投稿を削除。親会社のユーザベースも公式Webサイトを通じて「心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。
ITmedia ビジネスオンライン「「例の広告で株主から激詰め」――品川駅の“炎上広告”への質疑に反響 NewsPicks運営ユーザベースの回答は?」 より引用
大門未知子なら、全方位に敵を作りそうです・・・。
自分の立ち位置を理解せず人財不足になる!?
起業は事業のすべてを自分一人でやることもありますが、事業規模によっては人を雇うことになります。人を雇った場合は、ひとり一人に仕事の持ち分があり、持ち分を奪ったり、手を出し過ぎたりしてしまうと仕事がやりにくくなります。
大門未知子のように「自分のやり方」を持っている人は、つい他人にも自分のやり方を押し付けてしまったり、人の仕事を自分でやってしまう傾向があります。人によっては、仕事のやり方に口を出されることを嫌がり、辞めてしまうこともあるのです。
起業して事業を拡大させるには、人財が必要になります。力を発揮してもらい、成長してもらい、居続けてもらうことは簡単なことではありません。事業内容が素晴らしくても人財不足で失敗することも十分にあり得るのです。
「失敗しない」という過信が失敗のもとになる!?
大門未知子は必ず「私、失敗しないので」と言います。言葉だけを聞いていると、自分を過信しているかのように聞こえます。しかしドラマの大門未知子は、失敗しないようにしっかりと準備をしているのです。つまり「失敗しない」という言葉の裏には、それだけの根拠が用意されています。
もしも大門未知子がドラマのように入念な準備をしなければ、「失敗しない」という言葉は単なる自己過信になってしまいます。準備不足、自己過信は失敗のもとです。仮に、起業直後にご祝儀的な売上が続いたとしても、調子に乗って努力、下準備を怠れば、すぐに転落してしまうでしょう。
大門未知子のような人が起業に失敗しないようにするポイント
大門未知子のような人が、起業に失敗しないようにするポイントは3つあります。
市場相場の把握と長期資金計画の準備
ひとつ目は、市場相場を知り長期資金計画をしっかりと練ることです。市場相場を知らなければ、家賃や仕入れ値が高くても気がつかずに、余計な出費を続けてしまいます。どのタイミングでいくらお金を使うのかをしっかりと決めておくことで、売上目標や設備投資の計画もより現実的に考えることができます。
時と場合によっては空気を読む
ふたつ目は「長い物には巻かれろ」の精神を身につけることです。起業した直後は、だれでも一年生です。自分の本心とは多少違っても、先輩を立てて教えてもらう姿勢は必要です。ただ、信念まで曲げる必要はありません。自分の信念とは違うことが求められたときには、大門未知子のようにキッパリと断るのではなく、相手のプライドを守りつつ上手に断りましょう。
自分のやり方を押し付けない
最後は、起業したら自分の役割を知ることです。起業家は、企業で働く人よりも周囲に目を配る必要があります。起業家は、経営者であり営業パーソンであり経理課員でもあります。しかし、すべての仕事に口を出してしまえば、組織として回っていきません。自分のやるべき仕事以外は人に任せ、能力を発揮してもらいましょう。
リスク管理を続ける
大門未知子の自信の裏には徹底したリスク管理があります。これは起業家として見習いたいところです。大胆なように見えて、実は裏でしっかりと準備している。石橋を叩いて渡る性格ではないけれど、思い込みを排除して正しい状況判断をして本番に臨む。このリスク管理こそが失敗しないコツです。
おわりに
大門未知子は「失敗しない」が売りです。しかし、彼女のような超人的な能力を持っていない私自身はもちろん、多くの起業家にとって失敗はつきものです。失敗しないための準備はもちろんのこと、失敗したときにすぐに対応できる力も身につけておきたいですね。
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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