勤めながらの起業準備、始め時はいつ? 踏み出す手順を解説

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

いつか自分で何か始めたい気持ちはあるのですが、まだ会社の仕事が忙しく、本格的に動くなら辞めてからのほうがいいのか迷っています。

勤めながら準備するとして、どの段階で何から手をつければいいのか、始める時期の見極め方を教えてください。

起業前質問集

● 回答

始める時期を「辞めてから」に置く必要はありません。起業準備を始めるのに最適なタイミングは、勤めている今この瞬間です。給料という安全ネットがあるうちに小さく試すほうが、退職後に追い込まれて動くよりずっと有利になります。

日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度 起業と起業意識に関する調査」(2025年1月公表)を見ると、勤めの隙間時間で小さく事業を行うパートタイム起業家のうち、現在の月商が50万円未満の人が90.2%を占めています。多くの人が、無理のない規模から起業を始めているということです。いきなり大きく構える必要はありません。

全体像:踏み出す順番は3つの段階で考える

思い立った順に手をつけると、途中で息切れします。入口から順番に、3つの段階で考えると迷いません。本業に軸足を置いたまま始める段階、続けられる小ささで試す段階、手応えが出てから比重を移す段階の順です。

STEP1:本業に軸足を置いたまま、今日始める

最初の段階でやることは、退職の決断ではありません。本業はそのまま続けながら、平日の朝か夜に30分だけ、起業の作業にあてる時間を作ることです。給料が入り続ける状態は、準備期間における最大の武器になります。収入が途切れない安心があるからこそ、焦らずに試行錯誤ができます。

具体的には、自分が誰のどんな困りごとを解決できそうかを、ノートに書き出すところから始めてください。完璧な事業計画はいりません。20点でかまわないので、まず言葉にしてみることが第一歩になります。

STEP2:継続可能ゾーンの小ささで試す

次の段階は、やる気が空回りしないサイズに目標を絞ることです。拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』には「継続可能ゾーン」という考え方が出てきます。やる気満々で立てた高い目標より、ひとつ手前の「これなら無理なく続けられる」ラインに目標を置くという発想です。

  • 続けられる時間:
    平日の朝か夜に確保できる30分から始める
  • 続けられる金額:
    初期費用をかけず、手持ちのスキルや道具で試す
  • 続けられる規模:
    最初の相手はたった一人、知り合いのひとりでよい

息が続く小ささで始めた人ほど、長く続けられます。続けた人だけが、次の段階の景色を見られます。

STEP3:手応えが出てから、比重を移す

最後の段階で初めて、退職や独立を具体的に検討します。判断材料になるのは、準備の過程で実際にお金を払ってくれる人が現れたかどうかです。頭の中の自信ではなく、現実の小さな売上が、次に進んでいい合図になります。

順番が逆になると苦しくなります。辞めてから探し始めると、収入ゼロのプレッシャーの中で焦って判断することになるからです。勤めているうちに小さな実績を作っておくと、移るときの不安は大きく減ります。

会員さんの実例:定年が見えてきた飯田さん

起業18フォーラム会員の飯田さん(仮名・50代前半・住宅設備メーカーの販売職・役職定年が近い)は、最初「本格的にやるなら定年後だろう」と考えていました。それまでは情報を集めるだけで、何も手をつけずにいたそうです。

転機は、妻からふと言われた「定年後にいきなりじゃなくて、今のうちに小さく試せばいいのに」という一言でした。背中を押された飯田さんは、長年の販売現場で培った商品説明のコツを、平日の夜30分だけ動画にまとめ始めました。最初の相手は、以前の取引先でひとり困っていた人でした。

始めて2か月ほどで月2万円ほどの初めての受注が入り、いまは月6万円ほどの収入が生まれて、退職後の独立を具体的に描けるようになっています。「いつか」と思っている方は、まず平日の30分を、情報収集ではなく手を動かす時間に変えてみてください。

起業準備を始めてから最初の1ヶ月で何をするのが正解ですか?
● 質問 会社に勤めながら起業準備を始めようと決めました。ですが「まず何をすればいいか」がわからず、情報を集め

始め時を待つほど、最初の一歩は重くなります。勤めているという安心は、迷う理由ではなく、思いきって試せる土台です。

今日できることは、退職の決断ではありません。今夜の30分で、自分が誰の役に立てそうかをひとつ書き出すだけで十分です。

ポイント よくある質問

起業準備を始めるときによく出てくる素朴な疑問

起業前質問集

Q.忙しくて準備の時間がまったく取れません。それでも始められますか?

  • まとまった時間ではなく、一日30分の細切れ時間で十分に始められる

大きな空き時間を待つほど、いつまでも始まりません。通勤前の15分や寝る前の15分でも、続ければ着実に積み上がります。むしろ時間が限られているほうが、何を優先するかがはっきりします。

Q.会社の就業規則で報酬を得る活動が禁じられています。準備はあきらめるべきですか?

  • 収入を伴わない準備段階であれば、就業規則に触れずに進められる範囲は広い

困りごとの聞き取りやスキルの棚卸し、試作づくりは、収入が発生しない準備です。報酬を得る段階に入る前に、自社の規定を確認しておけば慌てずにすみます。判断に迷う場合は、人事の窓口で確認するのが安全です。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

起業アイデア診断
【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!

【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!

ポイント この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます!