子どもを一人で育てながら起業準備は無謀? 離婚直後でも生活を崩さない設計は?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

離婚直後で子ども2人を一人で養っているシンママです。月収は32万円ありますが、養育費は当てにできず、貯金も30万円しか残っていません。

働きながら起業準備をしたいのですが、こんな状態で始めるのは無謀でしょうか?

起業前質問集

● 回答

起業18フォーラムの会員Sさん(仮名・40代前半・女性・離婚後シングルマザー子1人・大手生命保険勤務15年)は、離婚直後で子どもを一人で養いながら、月収34万円の本業を続けていました。貯金は40万円、養育費は前夫からの入金が不定期で、家計の責任は完全に自分一人にのしかかっていた状態です。

Sさんが最初に試したのは、自己流で「シングルマザー向けキャリアコーチ」という肩書きを名乗り、SNSで発信を始めることでした。半年間SNSで発信を続けましたが、有料の問い合わせはゼロ。教材費・コーチ養成講座代として25万円を使い、残った貯金は15万円まで減っていました。生活の責任が一人にかかっている状態で、貯金を取り崩すスピードがどんどん上がる、という最悪の入り口でした。

起業18フォーラム参加後、Sさんは勉強会で「自分は0」前提でやり直しました。本業の保険会社で15年扱ってきた離婚後の保障見直し・遺族年金・教育資金準備の知識を、同じ立場のシングルマザー向けに月額3,000円の継続相談として商品化したのです。最初のモニター3名は、子どもの保育園で知り合った同じ立場の保護者でした。商品設計から最初の3名契約まで、SNS発信は一切していません。

家計を一人で支えながら起業準備に入る順番

Sさんが14ヶ月目に月5万円、19ヶ月目に月12万円の継続収入に到達し、22ヶ月目には継続契約20名・月25万円まで届いている現在地点を逆算すると、いくつかの順序が見えてきます。最初に整えたのは商品でも集客でもなく、生活防衛資金と公的支援の棚卸しでした

こども家庭庁の「ひとり親家庭等支援」は、子育て・生活支援、就業支援、養育費確保等支援、経済的支援の4本柱で整理されています。Sさんはまず児童扶養手当・児童育成手当・ひとり親家庭等医療費助成・就学援助制度を自治体窓口で一覧化し、家計の固定費を月2万円下げる作業から始めました。生活防衛資金6ヶ月分(固定費20万円×6=120万円)を半年で積み上げる計画を、起業準備と並行して進めたのです。

本業の業界知識を商品に変える

家計を一人で支える方の起業準備で最も再現性が高いのは、本業の業界知識をそのまま商品にする経路です。新しいスキルを学んで売る設計は、学習コスト・教材費が家計を直撃します。本業で15年扱ってきた知識は、それ自体が資産です。Sさんの場合、保険会社の窓口で扱った離婚後の家計再設計・遺族年金・教育資金準備という具体テーマがすでに手元にありました。これを月額3,000円の継続相談という形に変えただけで、半年後の月収プラスαが現実になりました。

拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』にも書いているのですが、家計を一人で支える方ほど、月5万円という地点に届くだけで生活の余白が大きく変わります。月5万円は単なる小遣いではなく、教育費の習い事1つ・家族の食卓・年に一度の旅行を支える金額です。

家計を一人で支える方が起業準備で先に整える順番

  • 児童扶養手当・就学援助等の公的支援を自治体窓口で棚卸し
  • 家計の固定費6ヶ月分を生活防衛資金として積み上げる計画
  • 本業の業界知識を月額3,000〜5,000円の継続商品に転用
  • SNS発信より先に手元の人間関係3名で試す設計

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」には、女性・若者・シニアなどの創業を支援する制度があり、初期投資を抑えて準備を進める下支えになります。Sさんは最初の2年間は融資を一切使わず、月額制商品の継続収入と本業給与だけで運営しました。融資を使うかどうかは、方向性が固まってから決める順番が安全です

独身で貯金も少ない会社員の起業準備は無謀? 月1万円から始める順番
● 質問 独身で家族の支えもなく、貯金も80万円ほどしかありません。会社員として働きながら起業準備を考えていま

今夜、家計の固定費を紙に書き出し、その6倍を「生活防衛資金の目標額」として家計簿の最初のページに書いてください。明日以降の起業準備のすべての判断は、その目標額を取り崩さないというルールから組み立てます。

来週中に、自治体のひとり親家庭支援窓口に電話し、自分が受けられる支援を一覧化してください。家計を一人で支える方にとって、この一覧表は起業準備のスタートラインそのものです。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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