公務員の兼業緩和ニュースを見て自分は遅れていると感じたら、どう動き始めればいいか?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

50代前半、地方自治体の教育委員会で勤続28年です。子どもは独立、住宅ローンは完済済みです。先日「令和8年4月から国家公務員の自営兼業が一部緩和される」と報道されているのを見て、「自分は所属先の規程ばかり気にして、何も準備していなかった」と焦りました。

制度の準備を待つよりも先に、勤務先にいながらできる小さな活動はないでしょうか? 何から始める順番を教えてください。

起業前質問集

● 回答

入口から順番に見ていきましょう。4つの段階に分けると、何をいつ動かせばよいかが見えてきます。制度の動きを待つより先に「説明できる小さな活動」を1つ作ってしまうほうが、半年後の動き出しが軽くなります。

STEP1:国家公務員の自営兼業緩和の中身を確認する

人事院は、国家公務員の自営兼業制度について、令和8年4月から見直しを実施することを公表しています。新たに「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」を承認可能とするなどの整理が、人事院規則の運用通知で示されています。国税庁も「自営兼業を開始される国家公務員の方へ」というページで、個人事業の開業届出書や所得税等の確定申告書の提出について案内をしています。

地方公務員のかたの場合、所属自治体の条例・規則に従う形になります。制度の整備を待つ姿勢では半年・1年があっという間に過ぎますが、説明可能な小さな活動を作っておけば、制度が緩和されたタイミングで一気に動けます。

STEP2:「説明できる活動」の3条件を紙に書く

在職中のかたが制度の枠内で動き始める入口は、「本業に支障なし」「説明可能」「範囲が小さい」の3条件です。この3条件は、所属先の規程の抜け穴を探すための条件ではなく、「上司に正面から説明できる範囲を先に絞り込むため」の条件です。

  • 本業の勤務時間内に作業しない
  • 勤務先のPC・ネットワーク・備品を使わない
  • 勤務先の業務情報・顧客名簿に触れる活動はしない
  • 勤務先と直接の競合関係になる商品は扱わない
  • 取引相手は勤務先の関係者を選ばない
STEP3:起業18フォーラムで説明書を1枚にした古沼さん

起業18フォーラムの古沼さん(仮名・50代前半・男性・地方自治体・教育委員会・既婚・子は独立済み・勤続28年)の例が、まさに同じ局面でした。役職定年の通知が来た年から「所属先の規程が緩んだら始めよう」と思い、何も準備しないまま5年が経っていたといいます。本業の月収は42万円、住宅ローンも完済し、可処分所得には余裕がある状況でした。

そこに国家公務員の兼業緩和の報道が出て、「自分は遅れている」と感じて起業18フォーラムの勉強会を訪ねたのが転機でした。自己流の時期に作りかけていたビジネス案がほぼ全部「教育コンサル」「研修講師」「セミナー登壇」の3つに収まっていて、業務との競合関係が説明しきれない領域だったのです。

勉強会で何度も問い直しを受けながら、活動の輪郭を「学校教員向けの校務改善・夜間の勉強会講師(無償)」に絞り込み、説明書を1枚にまとめました。「何をするか・誰に売るか・勤務先と競合しない理由・収益化の予定時期・撤退ライン」を5項目で書き、上司に共有しました。最初は反応が薄かったものの、半年経った頃から相談者が増え、12ヶ月目には少額の謝礼を受け取る段階に進めたとのことです。

STEP4:予算・期間・出口を仮決めする

拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』に、「継続可能ゾーン」という指摘をしています。やる気満々のラインより一段左の、簡単な目標設定エリアから始めるほうが、在職中のかたは結果的に長く続く、という指摘です。50代のかたが在職のまま動き出すとき、最初の予算・期間・出口の3つを「続けられる範囲」で仮決めしておくと、半年後の選択肢が広がります。

50代のかたの場合、退職金や年金の見通しと組み合わせて、「撤退する場合の生活シミュレーション」も入口で済ませておくと、家族との会話が穏やかになります。予算・期間・出口の3つを仮決めしてから、説明書1枚を上司に共有する順番が、制度の整備を待たずに動き始めるための土台です。

  • 予算:
    最初の6ヶ月で使ってよい上限金額を月1万円程度に絞り込む
  • 期間:
    本業を続けながら検証する期間を18ヶ月で区切る
  • 出口:
    撤退ラインと続行ラインの判断基準を数字で先に決める
  • 説明書1枚:
    活動内容・対象・競合しない理由・収益化時期・撤退基準の5項目を一覧化する
  • 家族との会話:
    可処分時間・家計影響・引退後の生活見通しを共有する

制度の整備は確かに大きな追い風ですが、待っている時間に動ける範囲もまた、思っているより広く残っています。今週末、A4の紙1枚に「予算・期間・出口・説明書」の4項目を書き出すところから始めてみてください。

制度が緩和された日、すでに動き始めている人が次の半年を取りに行きます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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