記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
会社の就業規則に、会社の外で収入を得る活動の規定はあり、申請すれば原則認められると書いてあります。それなのに、いざ申請書を出そうとすると上司への説明が怖くて、書類を引き出しにしまってしまいました。
何をどう伝えれば、お互い不安なく話を進められるのでしょうか?
● 回答

就業規則を読み込むよりも先に、自分で「1枚説明書」を作って上司に渡すほうが、結果として早く前に進めます。会社の規定は法律と社内ルールの中間にある文章で、規定だけを読んでも上司が安心できるかどうかは別の話だからです。
厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定し、副業・兼業の規定を新設しました。あわせて「副業・兼業の促進に関するガイドライン」「労働時間通算の取扱い」「管理モデル」などの実務資料を順次公開しており、会社側にも判断のよりどころが整っています。つまり、会社が社外活動の申請を判断するときに気にする論点は、ある程度パターン化されているということです。
会社が判断時に気にする項目は、おおむね次の5つに集約されます。
- 競業:
本業の取引先・競合先と利害が重ならないか - 情報漏えい:
本業の機密情報・顧客情報を持ち出さないか - 労働時間:
本業と合わせた時間が過重労働にならないか - 健康:
会社の外の仕事によって本業の業務遂行に支障が出ないか - 本業への支障:
勤務時間・場所・連絡可能性に影響しないか
1枚説明書は、この5項目に対する自分の答えをあらかじめ書いて持参するための紙です。「会社の外で仕事をしてもいいですか?」と聞くのではなく、「この範囲なら本業に支障が出ない設計になっています」と伝えると、会話の手触りが変わります。会社側も判断材料がそろうので、許可・条件付き許可・差し戻しのいずれにも進みやすくなります。
拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』にも書いたのですが、退職前にやっておきたい確認事項のひとつは「会社の外で収入を作る場面で、自分が事業者として境界線を持てるか」を実地で試しておくことでした。申請の1枚説明書を自分で書く作業は、まさにこの境界線を可視化する練習になります。
会員さんの志田さん(仮名・41歳・既婚・小学生の子1人・大手保険会社の営業企画)は、半年以上にわたり就業規則だけを読み返し、申請を出せないままでした。起業18フォーラムの勉強会で1枚説明書の作り方を学んだあと、競業の対象を「個人向けライフプラン相談」に限定し、情報漏えい防止のための作業環境分離を明文化したそうです。
1枚を持って上司と話したところ、その場で原則了承を得られ、申請も2週間で正式承認となりました。準備開始から13ヶ月目で月5万円、22ヶ月目で月12万円の継続収入になり、現在も本業を続けたまま動いています。就業規則の文字を追っていた半年と、自分の言葉で1枚にまとめた1週間は、開けた地図の広さが違っていたというのが志田さんの実感でした。
申請を出すこと自体は、会社の外で仕事を始めるかどうかの最終決定ではありません。1枚説明書を作ること自体が、その挑戦を半年続けられる設計に変えていく作業になります。怖さの正体は、説明できない不安です。説明できる形に直すと、半分は消えてしまうことが多いです。

就業規則を10回読み直すより、白紙1枚に5項目を埋めるほうが早いです。今夜、紙とペンを用意して、競業から順に書き出してみてください。明日の朝、引き出しの中の申請書が少し軽く見えるはずです。
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